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吉本興業で35年!竹中イサオの“泣く子も笑う”処世術-Vol.1
お笑いの総本山、吉本興業のプロデューサー生活13,000日、5,000人の吉本芸人と渡り合った竹中イサオの処世術コラム。社内外、業界内外からの悩みや疑問、提案に対してボケとツッコミでビシビシ返していきまっせ!
竹中 功(たけなか いさお)
1959年大阪市生まれ、吉本興業で約35年間タレント養成やイベント・映画製作を担当。数々の謝罪会見をこなした「謝罪マスター」でもある。
相談:「目標達成する方法を教えてください!」
まずボクがあなたに聞きたいのは「あんたの目標はヒトコトで言えますか?」やね。
それも短期的な目標、長期的な目標を共にね。木も見て森も見て、蟻の目線と鳥の目線とを持って、目指すものをしっかりと初期設定することが大事やね。
そして立てた目標を達成する方法は一つではないよね。目標が「あの山のてっぺんに登ること」ならば、登山路をせっせと歩くのもいいし、険しい頂をフル装備でアタックするのもいい。お金に余裕があればヘリコプターをチャーターしてもいい。
既成概念にとらわれず、自分の進む「道」を見定めて進めばええもんなんよ。
もちろんここは一人で決めなくってええよ。同僚や先輩、家族に色んな考え方や意見を聞いたらええねん。答えはイッパイあるから、そないに心配せんでもええよ。
それにあんまり頑張り過ぎもアカン。「好きなことやから一所懸命にやる」みたいな感じがええね! 明石家さんまさん流やね。
そしてそれを叶えてくれる方法の一つが「目標を具体的な言葉にする」ことや。
目標達成の話し、IT業界やと「定量化や数値化が重要」て言うよね。1日単位であっても目標の観点から現有のタスクを整理するとか言うやん。
お笑い業界でも「何人を笑わすか?」と言いますな。お客様が数十人キャパのライブハウスの舞台もあれば、1千人近くの座席のあるなんばグランド花月の舞台もある。
笑いを整え、質を上げ、より大勢の人にウケるようになれば、自然と観客数が変わる。すると当然、売上がアップし、演出などに掛ける経費や費用も、もちろんギャラも変わるという物語。実はどれも数値化されとるねん!
で、ここで言いたいのは、目標を具体的な言葉にするわけやから、その言葉を実際に発声するのがよろしいな。
それは頭の中で空想するだけでなく、言葉を口にして、人に言うて回るねん。そうすると目標達成に近づくねん。不思議な話しやろ。
家族にでも友だちにでも、会社の先輩や後輩にでも社長にでも「言語化」してそれを伝えるのが一番ええねん!
中には「なんでやねん!」とツッコんでくれる人も出るやろうが、それはアドバイスやねん。大事なもんやねん。
ツッコミを入れたくなるような不条理や不合理、不可能を発したわけやからツッコんでもらえるねん。それはなかなかのハイセンスの持ち主やと言えるよ。自信を持って「発信」しよう。
ただどうしても恥ずかしかったら他人に言わんでもええから、頭の中から外に出してみたらええわ。
独り言でもメモ書きでも。一旦、頭の中から出してみるんよね。そうすると、これまた不思議、1歩か2歩か、現実化しよるねん。前進しよるねん!
これやね、目標達成の極意!
30年以上前、お笑いのタレント養成所「よしもとNSC」で、入りたての新人君に「夢は何やねん?」て聞くと、「漫才で稼いでポルシェに乗ることです!」なんて答えるヤツがおったわけよ。
まだ1分のネタも出来てないのに!
でも、ここはとても重要!具体的な事を頭に浮かべ、それを言葉にする者は、少なくとも、少しずつであっても近づいて行きよる。
ボクは絶対に「無理・無理・無理」って思ってたけど、1年後、その新人君に「ポルシェ、買うたか?」て聞くと、「トヨタの中古のカローラ、買いました。」やて。
そうそう、4つのタイヤと屋根があって、エンジンで前や後ろに走る四角い箱を手に入れてんな。
「目標の言語化の重要さ」、ここが肝やねん。
一回きりの人生、目指したもん、つかもうや!