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テレワークで窮地に陥った企業が大逆転した方法とは?!
テレワーク・リモートワークの成功を左右するのは?
テレワーク・リモートワークを導入する企業が増え、テレビ会議システムや業務管理ツール、チャットツールなどの導入も進んでいます。
一見、各企業が新しい生活様式に順調にシフトしているように見えますが、テレワーク・リモートワークへのシフトに落とし穴はないのか?果たして、このまま定着するのでしょうか。
テレワークのメリット・デメリットについて、コロナ騒動によってテレワークを導入した東京に本社を置く食料品メーカーA社と、3年前から積極的にテレワークやリモートワークを推進してきた大阪に本社を置くシステム開発会社のL社に聞いてみました。
メリットについては「通勤や顧客訪問などの移動時間を有効活用できるようになった」「新型コロナのような有事の際に事業継続性が確保できる」など 、A社とL社に大差はありませんでした。
注目すべきはデメリットと感じていることの違いです。
A社では、物理的に離れた環境になることで従業員の不調や勤怠状況、業務の進捗管理を把握することの難しさを感じていました。また、社外ネットワーク経由で社内サーバーにアクセルするリスクなどセキュリティ面への不安もあるようです。
一方、L社が最も深刻だったと語るのが、従業員同士のコミュニケーション不足です。
テレワーク・リモートワークを導入した企業が壁にぶつかりやすい「コミュニケーション問題」。今回は、L社の解決例をご紹介しながらコミュニケーション不足を解消するポイントを探ります。
すべりだし好調と思いきや、急転直下の展開へ
L社も導入初期の段階では、A社と同じく従業員の勤怠や業務管理、セキュリティ関連に不安を感じていたそうです。
そこで経営層は、メンバーがオフィス以外でもしっかり仕事ができるか、業務効率が下がらないかを懸念し、監視ツールを使って従業員の就業状況やパソコンの稼働状況の把握を徹底しました。
その結果、サボるようなメンバーが出ることもなく、セキュリティ面も安全に管理され、一定の手ごたえを感じていました。
ところが、支援ツールの導入によって高まったかに見えた生産性が低下し、メンバーの評価・給与査定時にはメンバーの成長が感じられなかったと言います。
そしてその後すぐ、数名の従業員と急に連絡が取れなくなってしまったのです。
物理的な分断がもたらした深刻なコミュニケーション問題
事態を重くみた経営陣が徹底的に原因究明し、ある一つの答えにたどり着きました。
オフィス勤務時と比較し、人と人とのコミュニケーション量と内容が大幅に減少したことが関係していたのです。
細かな指導や指示ができず、メンバーの裁量に依存するようになり、今までは会話によって保たれていたOJT、ノウハウの伝承も行われない。その結果、成長の鈍化に繋がっていたが明らかとなりました。
さらに深刻なことに、孤独な職務環境からストレスを感じて「テレワークうつ」を発症する従業員も出てしまい、社内にはテレワーク・リモートワーク制度の廃止を希望する声も上がっていたそうです。
この状況に対し、L社はどのような対応を行ったのでしょうか。
オンラインでも気軽に雑談ができる環境を目指して
そこでL社が取り組んだのが「従業員の意識変革」と、すでに導入していたコミュニケーションツールの「効果的な運用」の検討です。
従業員同士のコミュニケーションを活性化させるべく、全社を巻き込んだ改革を行ったことで事態は好転していきました。
L社担当者:
「テレワーク・リモートワークでは、コミュニケーションの仕方にも変化が必要だということを社内に発信していきました。リモート(遠隔)コミュニケーションの注意点やコツをまとめ、社内のイントラで共有したり、マネジメントクラスのメンバーを集めて、上手くいっているチームの事例から学ぶ勉強会なども実施しました。」
L社担当者:
「また、一息つきたいメンバーが集まれる『休憩室』の再現を目指し、ツールのチャット機能に雑談チャンネルを設けました。部長などのマネジメント層に積極的に発言、リアクションしてもらうよう協力を仰ぎ、気軽な会話を促すことでコミュニケーションの機会を増やす狙いです。」
いかがでしょうか。L社が実践したことは決して難しいことではなく、どういった組織でも取り入れられそうではありませんか?
L社の話をまとめると、以下の3点が奏功したと考えられます。
1.テレワーク・リモートワークに適応したコミュニケーション方法を習得する
2.オンライン上にカジュアルコミュニケーションの場(休憩室)を設ける
3.マネジメント層が率先して「オンライン休憩室」を活性化し、風土を根付かせる
全社改革に乗り出した2か月後には、ビジネスチャットのやり取りが改善前の2.5倍に増えたというから驚きです。
その後も、会社規模の拡大や世の中の変化に順応しながら、着実にリモート(遠隔)コミュニケーション力を培った結果、今年の新入社員は研修もOJTもテレワーク・リモートワークでスムーズに実施され、順調に成長されているそうです。
新時代に求められる「コミュニケーションを諦めさせない仕組みづくり」
テレワーク・リモートワーク導入率の向上に比例し、従業員同士のコミュニケーションに問題を感じる企業が今後さらに増えていく可能性があります。
この先、新しい生活様式を考慮した働き方が求められていく時代において、テレワーク・リモートワークにおける従業員同士のコミュニケーションの場をどのように設けるか、そして、その環境をどう活性化し続けるかが重要な課題となりそうです。
一人ひとりがコミュニケーション方法の変革期を迎えていることを認識し、支援ツールにも上手に頼りながら、環境や組織の変化に適応したコミュニケーションを模索し続けることが問題解決の糸口になるかもしれません。
現在コミュニケーションに課題を感じている企業だけでなく、これからテレワーク・リモートワークを導入する企業のリスク対策としても効果があるのではないでしょうか。
L社が実践した、従業員を「孤独」から救うコミュニケーション術、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。