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「新しい生活様式」に適応し、成長しているサービスとは?
新型コロナで一変した生活様式
依然として、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス。
外出自粛が解除されてもなお、飲食業界や観光業界、アパレル業界などを中心に深刻な打撃を受けています。
東京商工リサーチは8月17日17時時点で、「新型コロナウイルス」関連破たんは2月からの累計で全国416件に達したと発表しました。そのうち、飲食業が63件で最多、次いでアパレル業(製造・販売)が50件、宿泊業が41件と、突出しています。
政府、自治体、金融機関などによる救済措置が図られていますが、この数字を見る限り充足しているとは言えず、業界の健全化には時間がかかりそうです。
その一方で、コロナショックによる生活や働き方の変化により、需要が増加している業界も存在します。
今回は、「新しい生活様式」へと移行しつつあるなか、ウィズコロナ・アフターコロナ時代に適応し、事業成長する企業について考察します。
「新しい生活様式」でどう変わる?
そもそも、新しい生活様式ではどのようなことが謳われているのでしょうか?
・人との間隔はなるべく2m以上(最低1m)空ける
・咳エチケットの徹底
・3密の回避(密集・密接・密閉)
すでに周知されている上記の実践例をはじめ、日常生活の各場面別の例も明示されています。(一部抜粋)
[買い物]
・通販も利用
・電子決済の利用
・計画をたてて素早く済ます
[娯楽・スポーツ等]
・筋トレやヨガは、十分に人との間隔を
もしくは自宅で動画を活用
・歌や応援は、十分な距離かオンライン
・狭い部屋での長居は無用
[公共交通機関の利用]
・徒歩や自転車利用も併用する
[食事]
・持ち帰りや出前、デリバリーも
・屋外空間で気持ちよく
屋内施設での感染リスクを回避すべく、屋外の利用やオンラインサービスの活用が推奨されていることが分かります。
巣ごもり需要による意識・行動変容
実際、コロナショックによって世間の生活様式が変化していることを示すデータが公表されています。
株式会社サイバーエージェントが、withコロナにおける日本人の消費意識とメディア行動の変化について、15歳以上から60代までの全国3,094人を対象に実施した意識調査によると、以下のような傾向にあることが分かりました。(一部抜粋)
・1ヶ月あたりのお金の使い方の変化を、自粛前・自粛中・自粛後(予想)で比較すると、自粛前と比べて自粛中・自粛後は「交際費」が減少し、「食費」と「貯蓄」が増加した。
・自粛期間中、全世代において、テイクアウトニーズが高まった。
・自粛期間中、全世代において、買い物をする場所が、実店舗からオンラインでの消費に移行した。
・自粛期間中に利用が増え、自粛期間後も利用し続けたいサービスは、「各種動画配信サービス」と「料理系アプリ」である。
「在宅生活を充実させること」に意識や行動がシフトしていることがうかがえます。
先日、香港の男性がコロナに再感染し、1回目と2回目で異なるウイルス株を確認したことが実証され、アフターコロナ時代においても個々の感染予防行動が重要になる可能性が高く、巣ごもり需要は継続するのではないでしょうか。
ピンチをチャンスに変えたサービスも登場
では、人々の変容に適応し、業績を伸ばしているのはどのようなサービスなのでしょうか?
私たちの日々の生活を衣食住+娯楽それぞれの観点で切り取ってみます。
まずは「衣服」です。
外出自粛で百貨店、デパート、路面店、ショッピングモールなどの店頭購入が難しくなった影響により、ファッションブランドのオンラインストアやZOZOTOWNやSHOPLISTといった「ファッション通販サイト・アプリ」などの需要が拡大しました。Amazonのプライム・ワードローブやロコンドなど、商品を自宅で試着できるサービスも台頭し、オンライン購入の敷居は低くなってきているのではないでしょうか。
次に「食料」。
スーパーマーケットで食材を揃え自炊する頻度の増加、Uber Eatsや出前館のような「デリバリーサービス」の活用など、内食需要が高まっています。また、外食控えのあおりを受ける飲食業界においても、これまで店舗営業のみだった飲食店がテイクアウトやデリバリー、通販を開始するなど工夫を凝らし、新たな活路を見出しています。
3つ目は「居住(暮らし関連)」です。
外出機会を減らそうとする動きから、生活必需品を1か所でそろえることができるスーパーやドラッグストアに人々が殺到、有事においても需要が継続するこれらの業態の優位性が顕著に表れました。また、在宅生活の充実という観点では、ホームセンターで日曜大工(DIY)用品、ガーデニング用品、ペット用品などの消費が増えたのもコロナ特需と言えそうです。
そして、最後は「娯楽」です。
インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも利用できるYouTubeやNetflixに代表される動画配信サービスや各種SNSサービス、楽天市場やYahoo!ショッピングなどの「EC業界」はコロナ禍も堅調です。政府や自治体などもこれらのサービスを活用して情報発信していることから、娯楽としてだけではなく、有事の際の情報収集手段としても大きな役割を果たしていることは間違いないでしょう。
この先も、不測の事態による世の中の変化に適応し、ピンチを商機に変えられるかどうかが市場を勝ち抜くカギになるのかもしれません。
「発想の転換」で逆境を力に変える
ウィズコロナ・アフターコロナ時代は、「ウイルスと共存する」ことが当たり前の価値観になっていくことが予想されます。
過去、東日本大震災などの自然災害時にテレワーク・リモートワークの利用率が一時的に高まりましたが、その後徐々に以前の状態へと戻っていきました。しかし、今回は世界規模でパラダイムシフトが起こったことからも、終息後にコロナ感染拡大前と全く同じ状態に戻る可能性は恐らく少ないのではないでしょうか。
私たちは史上類を見ない困難な状況におかれています。
なかには、これまで守り続けてきたものを変えざるを得ない、苦渋の決断を迫られる場合もあります。
しかし、その困難を乗り越えようという発想の転換が、これまでにない新しいサービスを生み出す原動力となり、人々を支えてくれているのかもしれません。