
2025年3月21日
旧来の常識は非常識?!出社勤務では気付けなかった「リモートワークでのコミュニケーションの課題」ランキング
記事の調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1001名
調査対象:2024年4月26日〜4月30日
2024年9月、驚くべきニュースが飛び込んできました。
アメリカのAmazon社が、全世界の従業員に対して「原則として週5日」の出社義務を課すと発表したのです。
Amazonはこの理由について、「社員同士が学び合ったり、新たなアイデアを創出したりするため」と説明しました。
オフィスでの偶発的な出会いや雑談の中から、新しいアイディアが生まれるという考え方もあります。オフィスで一緒に働くことで、従業員の一体感や結束を強め、組織全体の生産性向上に繋げたいという意図もあるのかもしれません。
さて、ビデオ会議やチャットツールなど、リモートワーク環境を支える様々なコミュニケーションツールが開発されてきました。
これまでよりも多くの人がリモートワークを始めたことにより、今までは見えてこなかった様々な課題が浮き彫りになっているのかもしれません。
出社時には感じなかった、リモートワークだからこそ発生するコミュニケーションの課題とはどんなものなのでしょうか?
今回は「リモートワークでのコミュニケーションの課題」について調査してみました!
リモートワークだからこそ見えてくる課題、本当に困るのは?
ワーキングパーソンのみなさんに、「リモートワークでのコミュニケーションで、課題に感じていることはありますか?」と聞いた結果は下記の通りです。

1位は「気軽に業務の相談や質問ができない(37.2%)」、2位は「ニュアンスや感情が伝わらない(27.5%)」という結果に。やはり職業人として、困ったときにその場で解決できないというのは大きなストレスとなるようです。
3位以下は「相手の反応がわかりにくい(25.6%)」「チャットでのやりとりに時間がかかる(25.1%)」「入ってくる情報が限定される(21.1%)」と続きます。
ここで注目すべきは図の最下部、「特に課題に感じることはない」という項目です。
何とこの項目、実に19.9%もの人に選ばれており、アンケートでは上位6位にランクインしています。
リモートワークで働く5人に1人は、特にコミュニケーションで困ったことはないようです。
続いて、この結果を年代別に見てみましょう。

20代
- 1位:気軽に業務の質問や相談ができないことが課題に感じる
- 2位:チャットベースのやり取りだとリアルタイムにコミュニケーションが出来ず、時間がかかることが課題に感じる
- 3位:自分から相手へのニュアンスや感情の伝達が難しいことが課題に感じる
- 4位:相手の反応や様子がわかりにくいことが課題に感じる
- 5位:入ってくる情報が限定される
- 6位:特に課題に感じることはない
30代
- 1位:気軽に業務の質問や相談ができないことが課題に感じる
- 2位:チャットベースのやり取りだとリアルタイムにコミュニケーションが出来ず、時間がかかることが課題に感じる
- 3位:自分から相手へのニュアンスや感情の伝達が難しいことが課題に感じる
- 4位:相手の反応や様子がわかりにくいことが課題に感じる
- 5位:入ってくる情報が限定される
- 6位:特に課題に感じることはない
40代
- 1位:気軽に業務の質問や相談ができないことが課題に感じる
- 2位:自分から相手へのニュアンスや感情の伝達が難しいことが課題に感じる
- 3位:チャットベースのやり取りだとリアルタイムにコミュニケーションが出来ず、時間がかかることが課題に感じる
- 4位:相手の反応や様子がわかりにくいことが課題に感じる
- 5位:入ってくる情報が限定される
- 6位:コミュニケーションの頻度や質が低下し、情報共有が不十分になることが課題に感じる
50代
- 1位:気軽に業務の質問や相談ができないことが課題に感じる
- 2位:自分から相手へのニュアンスや感情の伝達が難しいことが課題に感じる
- 3位:相手の反応や様子がわかりにくいことが課題に感じる
- 4位:入ってくる情報が限定される
- 5位:特に課題に感じることはない
- 6位:チャットベースのやり取りだとリアルタイムにコミュニケーションが出来ず、時間がかかることが課題に感じる
60代
- 1位:気軽に業務の質問や相談ができないことが課題に感じる
- 2位:入ってくる情報が限定される
- 3位:自分から相手へのニュアンスや感情の伝達が難しいことが課題に感じる
- 4位:相手の反応や様子がわかりにくいことが課題に感じる
- 5位:チャットベースのやり取りだとリアルタイムにコミュニケーションが出来ず、時間がかかることが課題に感じる
- 6位:特に課題に感じることはない
年代差のギャップとして気になるのは、「チャットベースのやり取りだとリアルタイムにコミュニケーションができず、時間がかかることが課題に感じる」という項目です。
20代~40代ではこの項目が2位にランクインしているのに対し、50代~60代では大きくその順位を落としています。
20代~40代は、子供の頃からインターネットやSNSに触れてきたデジタルネイティブ世代です。他者との繋がりを重視し、コミュニケーションを深めることに対するニーズが強いのかもしれません。
一方で50代~60代は、対面でのコミュニケーションが主流だった時代に社会人経験を積んだ世代です。
彼らは長年の経験から、表情や声のトーン、身振り手振りなど、コミュニケーションにおいては言葉以外にも重要な要素がいくつもあることを理解しています。
このためチャットツールはあくまでもお互いにやり取りするための補完的なツールと捉え、「チャットでコミュニケーションが成立するはずだ」という期待値が低いのかもしれません。
逆に50代~60代の人は「入ってくる情報が限定されてしまう」ことが課題だと考えているようです。
ビデオ通話やチャットにおいて交わされるやり取りは、業務連絡や事務的な報告など単純なコミュニケーションに終始してしまいがち。
雑談や世間話など、インフォーマルなやり取りから情報を集めようとする世代のワーキングパーソンにとっては、物足りなさを感じてしまうのかもしれませんね。
時代に取り残されないため、企業はより柔軟な姿勢が求められる
働き方改革の推進など、現代では多様な働き方が受け入れられています。
今後、デジタルネイティヴな世代が社会の中心を担うようになっていくにつれ、従来の働き方やコミュニケーションのあり方は更に見直されることになるでしょう。
仕事に対する姿勢や考え方は、世代ごとに異なります。
特に若手世代は柔軟な勤務形態を求める傾向が強く、対面での交流を重視するベテラン世代とは大きなギャップが生まれてしまっているのが現状です。
Amazonのような先進的なイメージを持つ大企業であっても、経営層は既にベテラン世代です。
その一方で若手経営者が率いる企業では、フルリモートワークを積極的に取り入れ、新たなビジネスモデルを確立しているケースも少なくありません。
私たちの暮らす社会は、今や驚くような早さで変化し続けています。
昨日までの常識が、ある日突然通用しなくなる。そんなことが当たり前に起きているのです。
急激な時代の変化に取り残されないためにも、企業経営者は固定観念にとらわれることなく、より柔軟な視点を持つことが求められます。
そのためには経営者自身が新しい技術やツールを積極的に活用し、変化に対応する姿勢を示すことも重要です。
若手社員の意見を積極的に取り入れることで多様な働き方を尊重し、世代間のコミュニケーションギャップを埋めるための施策を講じていくことで、企業はその価値を大幅に高めていくことが可能になるのではないでしょうか。
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