2026年3月19日
「会社が出社回帰したら転職を考える」20〜40代で6割超えの衝撃
記事の調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1,009名
調査期間:2025年11月27日~11月28日
出社回帰の波が止まらない。海外ではAmazon、Google、アクセンチュアといったグローバル企業が相次いで出社日数を引き上げ、国内でもLINEヤフーやメルカリが方針を転換した。Job総研の2025年調査(*1)では、回答者の51.9%が、職場で「出社回帰がある」と回答している。
Gartnerによる2025年調査(*2)でも、日本企業でリモートワークを「まったく実施していない」割合がコロナ禍中の12.6%から22.6%に増加したことが分かっている。
このまま出社回帰が進むとどうなるのだろうか――。
それを知る手がかりとして、テレリモ総研は、全国のリモートワーク経験者1,009人を対象に、出社回帰への反応やリモートワークに対する意識を調査した。
出社回帰で20〜40代は6割以上が転職検討
「勤務先がリモートワークから出社方針へ転換したら、転職を検討するか」。この問いに対し、転職を検討すると回答した人は全体の51.8%(n=1,009)だった。2人に1人が出社回帰を転職のトリガーとして意識している計算になる。
年代別に見ると、次のようになった。
図1|年代別「出社回帰時の転職検討率」
Q8. 勤務先がリモートワークから出社方針へ転換したら、転職したくなるか?(択一)
※「週1日でも出社が必要になれば転職を検討する」〜「完全なフル出社になれば転職を検討する」の合計
出典:テレリモ総研「働き方と転職意識に関する調査」(2025年)n=1,009
20代は68.5%、30代は63.5%、40代は65.5%と、いずれも6割を超えた。一方、50代は33.3%、60代は30.9%で、約3割にとどまる。20代と50代の間には35.2ポイントの差が開いており、40代と50代の間に明確な断層が走っている。
20代・30代の半数以上が「仕事選びでリモートワーク可を重視」
「あなたにとって、『リモートワークができること』は、仕事や転職先を選ぶうえでどの程度重要だと思いますか。」と聞いたところ、「最も重要」または「非常に重要」と回答した割合は、20代で56.0%、30代で52.5%と、いずれも過半数に達した。
40代は45.7%で半数に迫る。
50代は29.8%、60代は30.9%で約3割にとどまり、ここでも40代までと50代以降で大きく差がつく結果となった。
図2|年代別「仕事選びでリモートワーク可を重視する割合」
Q7. あなたにとって、「リモートワークができること」は、仕事や転職先を選ぶうえでどの程度重要だと思いますか。(単一)
※「最も重要」+「非常に重要」の合計
出典:テレリモ総研「働き方と転職意識に関する調査」(2025年)n=1,009
20〜30代の過半数が、転職先を選ぶ際にリモートワークの可否を「重要」と位置づけている。
続いて、「Q6. 転職活動をするときに、同じ仕事内容ならリモートワーク(ハイブリッド含む)できる企業を選択しますか?」と聞いてみたところ、以下のような結果となった。
図3|転職活動における「リモートワーク企業への優先選択率」
Q6. 転職活動をするときに、同じ仕事内容ならリモートワーク(ハイブリッド含む)できる企業を選択しますか?(択一回答)
出典:テレリモ総研「働き方と転職意識に関する調査」(2025年)n=1,009
「転職の際、同じ給料ならリモートワーク可能な企業を選ぶ」と回答した人は全体の53.6%。
これに、さらに「『多少給料が下がっても』『大きく下がっても』リモート可の企業を選ぶ」と回答した層を合わせると、69.9%──約7割がリモートワークを重視して次の職場を選ぼうとしている。
年代別で見てみよう。
図4|【年代別】転職活動における「リモートワーク企業への優先選択率」
Q6. 転職活動をするときに、同じ仕事内容ならリモートワーク(ハイブリッド含む)できる企業を選択しますか?(択一回答)
※「同じ給料なら選ぶ」「多少給料が下がっても選ぶ」「大きく下がっても選ぶ」の合計
出典:テレリモ総研「働き方と転職意識に関する調査」(2025年)n=1,009
全世代において半数を超え、20代に至っては8割近くが「給料が同等か下がってもリモート可を選ぶ」を選択する結果となった。この設問でも、50代から割合がぐっと下がる傾向が見える。
「出社回帰するなら転職を考える」その理由は
出社回帰によって転職を検討する人たちが、なぜ転職を検討するのか。その理由を見てみよう。
「出社回帰で転職を検討する」と回答した523人に、その理由を尋ねたところ、1位は「趣味や副業など、多様なライフスタイルを楽しむ時間を確保したいから」で37.7%だった。「通勤時間を家族との時間や自己研鑽に充てたいから」が35.6%で2位、「満員電車のストレスから解放され、心身の健康が改善したから」が33.8%で3位と続く。
図5|出社回帰で転職を検討する理由(上位7項目)
Q8a. Q8で「転職したくなる」と回答した方は、その理由を教えてください。
※複数回答のため、合計は100%を超えます。
出典:テレリモ総研「働き方と転職意識に関する調査」(2025年)n=523(転職検討者)
上位2項目は「通勤がなくなったことで得た時間の使い方」に関わるものである。リモートワークを前提に築いたライフスタイルを手放したくないという意識が、転職検討の背景にあるようだ。
図5-補足|出社回帰で転職を検討する理由(年代別・上位7項目)
Q8a. Q8で「転職したくなる」と回答した方は、その理由を教えてください。(年代別)
※複数回答のため、合計は100%を超えます。
出典:テレリモ総研「働き方と転職意識に関する調査」(2025年)n=523(転職検討者)
40代では「家事や育児、介護との両立が難しくなるから」が33.3%で、全年代中で最も高く、3番目に多い回答となった(他の世代では6位以下)。
出社回帰の影響が通勤や業務だけでなく、生活基盤にも及ぶことがよく分かる。
なぜ世代間に差が生じているのか
20〜40代で6〜7割、50代以上で約3割。この大きな差はどこから来るのか。本調査では因果を特定することはできないが、いくつかの背景が推測できる。
一つは、生活設計における世代差である。20〜30代はコロナ禍にキャリアの初期を過ごした。住居・居住地の選択、家族との時間配分、副業の開始──こうした重要な意思決定を「リモートワークがある前提」で積み重ねてきた可能性がある。転職検討率の高さは、働き方の変更が及ぼす影響の強さを映しているのかもしれない。
もう一つは、転職市場における選択肢の多寡である。20〜30代は転職市場での需要が最も高い。一方で、50代以降は転職のハードルが高まるため、不満があっても「留まる」を選びやすい。転職検討率の差は、意識の差だけでなく、選択肢の差を反映している可能性がある。
「柔軟性」が人材戦略の分水嶺になる
企業の人事・経営層にとって、出社回帰で20〜40代の6割超が転職を検討するというデータは見過ごせないだろう。
不本意に人的資本を失わないために、できることは何か――?
同じ1,009人に「あなたの会社が、働き方に関してより良くなってほしいと思う点を教えてください。」と尋ねたところ、最多の42.5%が「個人の事情に合わせた柔軟な働き方を選べるようにしてほしい」を選び、2位「在宅勤務と出社のバランスを自分で調整できるようにしてほしい」も35.2%であった。
図6|「働き方改善への期待項目」上位5位
Q9. あなたの会社が、働き方に関してより良くなってほしいと思う点を教えてください。(複数回答)(上位5項目)
選べるようにしてほしい
従業員自身が調整できるようにしてほしい
重視してほしい
もっと進めてほしい
ツール・設備を整備してほしい
※複数回答のため、合計は100%を超えます。
出典:テレリモ総研「働き方と転職意識に関する調査」(2025年)n=1,009
求められているのは「フルリモートか、フル出社か」の二択ではなく、個人が自分に合ったバランスを選べる余地である。一律の出社方針ではなく、リモートワークという選択肢も残す設計が、人材の流出を抑える鍵になりうる。
転職を考える個人においては、リモートワークが自身の生活設計とキャリアにとって「あれば嬉しい条件」なのか、「なければ成立しない前提」なのか。優先順位を言語化しておくと良いのではないだろうか。
*1 JOB総研の調査名、(2025年)、https://jobsoken.jp/info/20250127/
*2:Gartner「日本企業におけるリモートワークの実施状況」(2025年4月調査)、https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20250731-remote-work
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