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AWSコスト最適化をSavings Plans/RI診断で外注する進め方
LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託
この記事のポイント
- AWS Savings Plans(Compute SP・EC2 Instance SP)とリザーブドインスタンス(RI)はカバー対象と割引率が異なり、サービス構成に応じた選び分けが削減効果の鍵になります
- コミット最適化診断は「利用実績分析→コミット設計→適用→定期見直し」の4ステップで進め、過剰コミット(塩漬け)と過小コミット(オンデマンド払過多)の両リスクを避けることが大切です
- 外注先の選び方(AWSパートナー認定・費用体系・見直し運用の継続性)と費用構造のレンジ感を把握しておくと、依頼前の比較検討がスムーズになります
目次
AWSコスト最適化でコミット割引が機能する理由
AWSのSavings Plans(セービングスプラン)とリザーブドインスタンス(RI)を活用したコスト最適化とは、一定期間の利用量または利用額をAWSに事前コミットすることで、オンデマンド料金より低い料金で各サービスを利用できる仕組みを有効に活かす取り組みです。
AWSの課金はデフォルトがオンデマンドです。利用した分だけ払うため初期費用はゼロですが、常時稼働に近いワークロードでは割引の余地が大きくなります。Savings PlansやRIは「一定量・一定期間は使い続ける」という意思表示の代わりに、AWSが割引を提供する仕組みです。
コミット最適化が機能する前提は「定常稼働しているリソースがある」ことです。スポットインスタンス(入札型の割安インスタンス)や短期バッチ処理には別の最適化手段が適しています。まず自社の利用パターンを把握することが、コスト最適化の出発点になります。
コミットを誤ると損失が生じます。過剰にコミットすると、実際の利用量より多い分の割引が発生せず費用が無駄になります(塩漬けリスク)。逆にコミットが少なすぎると、常時稼働リソースをオンデマンド料金で払い続けることになります。適切なコミット量の算出には、過去の利用実績の分析と将来の計画のすり合わせが不可欠です。
Savings PlansとRIの違い — Compute SP・EC2 Instance SP・Standard RI・Convertible RIの選び方
Savings Plans(SP)とリザーブドインスタンス(RI)はどちらもコミット割引の仕組みですが、対象サービス・柔軟性・割引率の特性が異なります。それぞれの特徴を把握したうえで、自社の利用構成に合わせて組み合わせることが大切です。
| 種別 | 対象サービス | 柔軟性 | 割引率の傾向 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| Compute Savings Plans | EC2・Fargate・Lambda | 高(インスタンスファミリー・リージョン・OS横断で適用) | EC2 Instance SPより低め(条件により変わる・最新はAWS公式で確認) | 利用パターンが変わりやすい・コンテナ+Lambdaを併用している |
| EC2 Instance Savings Plans | EC2(特定ファミリー・リージョン固定) | 中(ファミリー内でOSやサイズは変更可) | Compute SPより高め(条件により変わる・最新はAWS公式で確認) | 長期で同一インスタンスファミリーを大量利用する |
| SageMaker Savings Plans | SageMaker | 高(インスタンスタイプ・リージョン横断) | 条件により変わる・最新はAWS公式で確認 | SageMakerを継続的に利用するML環境 |
| Standard RI | RDS・ElastiCache・Redshift・OpenSearch Service・EC2など | 低(変更に制限。EC2はマーケットプレイス転売可) | Convertible RIより高め(条件により変わる・最新はAWS公式で確認) | サービス構成が固定で変わらない定常DB・データ基盤 |
| Convertible RI | EC2・RDSなど(サービスによる) | 高(インスタンスファミリー・OSなどを変更可) | Standard RIより低め(条件により変わる・最新はAWS公式で確認) | 利用計画が流動的で将来の変更が見込まれる |
Savings Plansは2019年にAWSが導入した比較的新しい仕組みで、EC2についてはRIよりSavings Plansが推奨される傾向が強まっています。一方でRDS・ElastiCache・Redshift・OpenSearch ServiceなどはSavings Plansの対象外のため、RIが引き続き中心になります。
支払い方式もコミット選択に影響します。全額前払い(All Upfront)・一部前払い(Partial Upfront)・前払いなし(No Upfront)の3種があり、全額前払いが最も割引率が高くなります。ただし割引率は条件によって変わるため、最新の数値はAWS料金ページまたはAWS Cost Explorerの推奨機能で確認することを推奨します。
コミット期間は1年または3年の選択です。3年のほうが割引率は高くなりますが、その分将来の変更余地が狭まります。サービスの廃止・縮小計画がある場合は短いコミット期間にとどめ、利用実績が安定してから3年に移行する判断もあります。
診断の4ステップ:実績分析→コミット設計→適用→定期見直し
SP/RI診断は単発の設定作業ではなく、継続的なサイクルとして設計することが大切です。AWSの利用構成は時間とともに変わるため、適用後も定期的に見直さないと過剰コミットや過小コミットが積み重なります。
STEP 1:利用実績の分析と分類
AWS Cost ExplorerでEC2・RDS・ElastiCache・Fargate・Lambdaなどのサービス別・リージョン別・インスタンスタイプ別の利用量を取得します。Cost Explorerには「Savings Plans推奨」「Reserved Instances推奨」機能があり、過去の利用パターンに基づいたコミット推奨を確認できます。
推奨はあくまで過去実績の延長です。近いうちにシステムを廃止・縮小する予定があれば、その分を引いたうえでコミット量を設定する必要があります。逆に新規サービスの立ち上げが見込まれる場合は、安定した後でコミットを追加するほうがリスクを抑えられます。
コスト配分タグ(Cost Allocation Tags)を活用すると、プロジェクト別・部門別のコストを可視化できます。タグが整備されていない環境では、まずタグ設計と付与を先行させることで診断精度が上がります。
STEP 2:コミット設計
実績分析の結果をもとに、サービス別にSavings PlansかRIかを選定します。EC2主体でインスタンスファミリーが変わる可能性があればCompute SP、長期固定であればEC2 Instance SPが候補になります。RDS・ElastiCacheなどはStandard RIとConvertible RIを比較します。
コミット量は「控えめ」から積み上げるアプローチが基本です。実績の下限に近い量を先行してコミットし、余裕が見えてきたら追加する段階的な設計が、塩漬けリスクを抑えるうえで有効です。コミット満了のタイミングも管理し、満了前に再設計できるようにカレンダー管理しておくことをお勧めします。
STEP 3:適用(購入・タグ付与)
設計に基づいてSavings PlanまたはRIをAWSコンソールから購入します。購入後はCost Explorerのカバレッジレポートで、コミットが実際の利用量にどれだけ適用されているかを確認します。カバレッジが低ければコミット量の不足、利用率が著しく低ければ過剰コミットのサインです。
STEP 4:定期見直し
少なくとも四半期ごとにカバレッジレポートと利用量推移を確認します。コミット満了の3〜6か月前には再コミット設計を始める必要があります。この見直しを怠ると、満了後にオンデマンド料金に戻ってしまい、コスト削減効果が消えます。
内製でこのサイクルを回すには、AWS Cost Explorerの読み方・サービス別の課金仕組み・コスト配分タグの設計知識が求められます。これらが社内に蓄積されていない場合や、専任担当者を置く余裕がない場合に外注が選択肢になります。
コミット以外のAWSコスト最適化手段
SP/RIのコミット最適化は効果が大きい手段ですが、それだけで最適化が完了するわけではありません。コスト削減の幅を広げるには、以下の手段と組み合わせることが大切です。
Rightsizing(適正化)— 過剰スペックのインスタンスを縮小する
CPU使用率・メモリ使用率が常に低いインスタンスは、1サイズ小さいタイプに変更するだけでコストを削減できます。AWS Cost ExplorerにはRightsizing推奨機能があり、変更候補とその削減効果の試算を確認できます。コミット最適化と組み合わせるときは、Rightsingで利用量を確定させてからコミット量を設定する順序が効率的です。
未使用・アイドルリソースの削除
使われていないEBSボリューム・停止中のEC2インスタンス・不要なElastic IPアドレス・放置されたスナップショットは、存在するだけで費用が発生します。定期的なリソース棚卸しで削除または終了させることが基本です。AWS Trusted Advisorの「Cost Optimization」チェックで候補リストを確認できます。
スポットインスタンスの活用
スポットインスタンス(Spot Instances)は、AWSの空きキャパシティを入札型で利用できる仕組みで、オンデマンドと比べて大幅に安くなる場合があります。ただし中断される可能性があるため、バッチ処理・CI/CDパイプライン・ステートレスなワークロードに向いています。常時稼働が必要なサービスには不向きです。
ストレージ階層の最適化
S3にはS3 Standard・S3 Standard-IA(低頻度アクセス)・S3 Glacier Instant Retrieval・S3 Glacier Flexible Retrievalなど複数のストレージクラスがあります。アクセス頻度に応じてクラスを選択するか、S3 Intelligent-Tieringで自動移行を設定するとストレージコストを抑えられます。EBSもgp2からgp3へ変更するだけでコスト削減になる場合があります。
Cost Explorerとコスト配分タグの整備
どのリソースがどれだけコストを使っているかを把握できていない状態では、最適化の効果も測れません。Cost Explorerのダッシュボードを整備し、コスト配分タグ(例:environment・project・team)を設計・付与することが、継続的な最適化の基盤になります。
外注の費用構造 — スポット診断・月次運用・成果報酬のレンジ感
AWSコスト最適化診断の外注には、契約形態によっていくつかの費用モデルがあります。以下に挙げるレンジはあくまで市場参考値であり一次資料に基づく数値ではないため、実際は規模・スコープ・提供会社によって大きく異なります。複数社への個別見積もりで確認することをお勧めします。
| 契約形態 | 概要 | 費用レンジ(市場参考値・一次資料ではない) | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| スポット診断(単発) | 現状分析・SP/RI設計・レポート提出の1回完結 | 数十万円程度〜(スコープ・環境規模による) | まず現状把握だけしたい・社内に見直しができる担当者がいる |
| 月次継続サポート | 月次カバレッジ確認・見直し提案・問い合わせ対応を継続提供 | 月額数万〜数十万円程度(規模・サービス範囲による) | 専任担当者がいない・利用構成の変化が多い |
| 成果報酬型 | 削減できたコストの一定割合を報酬とする契約 | 削減額の10〜30%程度が報酬となるケースも(条件による) | 初期費用を抑えたい・削減効果が出なければ費用負担を抑えたい |
| Well-Architectedレビュー付き | コスト最適化の柱を含む5本柱のレビュー。AWSパートナーが実施 | パートナーによって無償〜有償(スコープによる) | コスト以外の設計品質も同時に確認したい |
成果報酬型は「削減が出なければ費用ゼロ」に見えますが、削減基準の測定方法(ベースライン設定)を契約時に明確にしておかないとトラブルになることがあります。スコープ・成果基準・測定期間を具体的に合意したうえで契約することが大切です。
なお、スポット診断で設計だけ外注して適用・見直しは内製するハイブリッドも有効です。内製チームのスキルレベルに合わせて外注範囲を決めることで、費用対効果を高められます。
外注先の選び方:AWSパートナー認定・体制・見直し継続性で判断する
AWSコスト最適化診断の外注先を選ぶ際は、単に「安い」「実績がある」だけでなく、自社の環境規模・内製チームの習熟度・長期的な見直し運用まで含めた適性を確認することが大切です。
AWSパートナーネットワーク(APN)認定の確認
AWS Partner Network(APN)のパートナーはAWSのトレーニング・認定試験・実績審査を経た会社です。Select・Advanced・Premierの3ティアがあり、上位ティアほどAWSとの連携実績・技術力の要件が高くなります。AWS公式のパートナー検索(AWS Partner Finder)で確認できます。
AWSパートナーはWell-Architectedレビューをフレームワークに沿って実施できる認定も取れます。コスト最適化だけでなく、セキュリティ・信頼性・パフォーマンスも同時に見てほしい場合はこの認定の有無を確認するとよいでしょう。
FinOps実践能力の確認
FinOps(Financial Operations)とは、クラウドコストを財務・エンジニアリング・ビジネスの3者が協力して管理するプラクティスです。FinOps Foundation(finops.org)が認定するFinOps Certified Practitionerの資格保有者が在籍しているかを確認すると、体系的なコスト管理の知見レベルを判断しやすくなります。
診断スコープと継続支援の範囲を確認する
見直し運用を含む継続サポートまで対応できるかは重要なポイントです。診断だけ請け負ってその後のフォローがないケースもあります。コミット満了時の再設計支援・月次の利用量モニタリング・追加コミットの提案まで含めた継続体制があるかを確認しましょう。
また、マルチアカウント環境(AWS Organizations)や複数リージョン・複数サービスにまたがる大規模環境では、組織的なサポート体制を持つ会社のほうが対応力が高くなる傾向があります。担当者1名の個人スキルに依存するフリーランスへの発注は、小規模環境向けに留めるか、継続支援を前提としない単発診断に限定するとリスクを抑えられます。
選定チェックリスト
- AWSパートナーネットワーク(APN)の認定ティアを確認したか
- 自社と同規模・同サービス構成での診断実績があるか
- コミット満了後の再設計サポートまで対応しているか
- 成果報酬型の場合、削減基準の測定方法が契約に明記されているか
- FinOps実践者またはAWS認定資格保有者が担当につくか
- Cost Explorerのカバレッジレポートや推奨機能の読み方を社内に移転できるか
まとめ:SP/RI診断外注の3つの判断軸
本稿ではAWSのSavings Plansとリザーブドインスタンスによるコミットコスト最適化の仕組みと、診断を外注する際の費用構造・外注先の選び方を整理しました。要点を3つに集約します。
第一に、Savings PlansとRIはカバー対象が異なります。EC2はSavings Plansが推奨傾向ですが、RDS・ElastiCache・Redshiftなどにはリザーブドインスタンスが必要です。自社のサービス構成に応じて組み合わせを設計することが削減効果の前提条件です。
第二に、診断は「実績分析→コミット設計→適用→定期見直し」のサイクルで継続的に運用する必要があります。設定してそのまま放置すると、過剰コミット(塩漬け)や満了後のオンデマンド戻りが起きます。
第三に、外注先の選定はAWSパートナー認定・継続支援の範囲・費用体系の透明性の3点で比較することをお勧めします。単発診断と月次継続の費用レンジ差を把握したうえで、自社の内製能力に合わせた外注範囲を決めることが費用対効果を高めます。
よくある質問
Savings Plansとリザーブドインスタンスはどのように使い分ければよいですか?
EC2インスタンスを主に利用していてインスタンスファミリーや利用パターンが変わりやすい場合はCompute Savings Plansが適しています。特定のインスタンスファミリーを長期固定で動かす場合はEC2 Instance Savings Plansのほうが割引率が高くなります。RDS・ElastiCache・Redshift・OpenSearch ServiceなどのマネージドDBやデータサービスはSavings Plansの対象外のため、リザーブドインスタンスが中心になります。サービス構成を棚卸しして、サービス種別ごとに最適なコミット手段を組み合わせることをお勧めします。
過剰コミットをしてしまった場合にどう対処すればよいですか?
Savings Plansは途中解約ができないため、コミット額が利用量を上回ると余剰割引が発生し損失になります。Standard RIはAWS Marketplaceで第三者へ転売できる場合がありますが、手続きや価格は状況によります。Convertible RIはインスタンスファミリーや契約を変更できるため、利用計画が流動的な場合はConvertible RIを選ぶと調整しやすくなります。過剰コミットが判明したら、対象ワークロードの利用を寄せてコミットを使い切るか、(EC2 Standard RIなら)マーケットプレイス売却を組み合わせて対応します。
コスト最適化診断を外注するとどのくらいの費用がかかりますか?
費用は契約形態によって異なります。単発診断(スポット型)では数十万円程度から、月次の継続運用サポートでは月額数万〜数十万円程度が市場の参考レンジとして挙げられますが、これらは一次資料に基づく数値ではなく、規模・スコープ・提供会社によって大きく異なります。成果報酬型の場合は削減できたコストの一定割合を報酬とする契約もあります。複数社に見積もりを依頼し、スコープと成果基準を明確にしてから判断することをお勧めします。
AWS Cost Explorerで自分でも診断できますか?外注との違いは何ですか?
AWS Cost ExplorerにはSavings Plans推奨機能があり、過去の利用パターンをもとにコミット推奨を提示します。ただし推奨はあくまで過去実績の延長のため、今後のシステム変更・廃止・追加計画を織り込んだ設計は自分で判断する必要があります。外注パートナーは複数顧客の知見・AWSパートナーとしての最新情報・業務要件との擦り合わせを組み合わせて診断できるため、大規模環境や複雑な構成では付加価値が出やすくなります。
AWSパートナーに依頼する場合とフリーランスに依頼する場合の違いはありますか?
AWSパートナー(APNパートナー)はAWSのトレーニングと認定を受けており、Well-Architectedレビューやコスト最適化の実績が審査されています。フリーランスの場合はコストが抑えやすい反面、継続的なサポート体制や認定資格の有無を個別に確認する必要があります。複数アカウントや複数リージョン・複数サービスにまたがる大規模環境ではAWSパートナーのほうが組織的なサポートを受けやすく、長期的な見直し運用を委ねやすい傾向があります。
著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑
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- ※費用レンジ・削減率はすべて市場参考値であり、一次資料に基づく数値ではありません。実際の費用・効果は環境規模・スコープ・提供会社によって異なります。