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2026.06.23 らしくコラム

Goエンジニア不足を受託・ニアショアで補完する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

Goエンジニアのイメージ

この記事のポイント

  • Go(Golang)エンジニアが採用難な背景には、言語の新しさによる母数の少なさと、クラウドネイティブ領域での需要拡大が同時に起きているという構図があります
  • 自社採用で解決しきれない場合、受託開発・ニアショアという外部活用の選択肢があり、プロジェクトの性質に応じて使い分けることが大切です
  • Goプロジェクトを外部に出すときは、設計レビュー・コードレビューを契約に組み込み、社内への知見移転まで見据えた進め方が長期的なリスク低減につながります

Goエンジニア不足とは — クラウド需要拡大と供給不足の構図

開発チームのイメージ

Goエンジニア不足の補完策とは、Go(Golang)を扱えるエンジニアを自社採用だけでは確保しきれない場合に、受託開発・ニアショア・業務委託など外部のGo技術力を活用してプロジェクトを推進する取り組みです。

STEP 1 課題整理 不足規模 内製/外部判断 STEP 2 委託先選定 Go実績確認 形態決定 STEP 3 要件定義 スコープ・ レビュー設計 STEP 4 開発・連携 コードレビュー 知見移転 STEP 5 本番稼働・ 保守運用 内製化判断 継続委託判断
図:Goエンジニア不足を外部で補完する基本ステップ(課題整理〜保守運用・内製化判断)

IT人材不足はエンジニア全体の課題ですが、Go(Golang)エンジニアには言語固有の事情が重なります。Go言語は他のメジャー言語と比べて歴史が浅く、実務経験を持つエンジニアの母数が相対的に少ない状況です。

その一方で、クラウドネイティブなシステム・マイクロサービス・インフラツールの領域でGoの採用が増加しており、需要が供給を上回るギャップが広がっています。このギャップを受託開発やニアショアという外部活用で埋める選択肢が現実的な対応策として注目されています。

採用を難しくするGo固有の事情:言語特性と経験者の希少性

Go言語はGoogleが2009年に公開したコンパイル型の静的型付け言語です。シンプルな文法・高い実行性能・組み込みの並行処理(goroutine・channel)を特徴とし、API/マイクロサービス/CLIツール/インフラツールの開発に広く使われています。

DockerやKubernetes(コンテナオーケストレーションツール)がGo製であることはよく知られており、クラウドネイティブの文脈でGoの存在感は高まり続けています。Terraformや各種クラウドCLIもGoで書かれており、インフラエンジニアとバックエンドエンジニアの両方が接点を持つ言語になっています。

しかしGoエンジニアの採用が難しい理由は、まさにこの「比較的新しく、かつ需要が増大している」という点にあります。JavaやPythonのように20年以上の歴史を持つ言語とは異なり、Go実務経験者の数は他のメジャー言語と比べて少ない状況です。特に設計段階から一人でGoプロジェクトをリードできるシニアレベルのエンジニアは、他のメジャー言語に比べて母数が少ない状況です。

さらにGoの用途はバックエンド全般ではなく、高スループットが求められるAPI・マイクロサービス・基盤レイヤーに集中しています。既存の開発組織がJavaやPHPベースの場合、Go固有の設計パターン(インターフェース志向・goroutineによる並行処理・エラー値の扱い)を理解したエンジニアを社内で育成するには相当の時間が必要です。

自社採用の壁:Goエンジニアを内製で確保する難しさ

Goエンジニアを正社員採用で確保しようとした場合、複数の壁に直面します。第一に、求人を出しても応募母数が少なく、選考に至るまでに時間がかかります。第二に、採用できたとしてもGo実務経験3年以上のシニアエンジニアは市場価値が高く、オファー競争になりやすい状況です。

社内育成という選択肢もありますが、既存エンジニアがGoをプロジェクトで使えるレベルに到達するまでには、学習期間と実務経験の積み上げが必要です。プロジェクトの納期が迫っている状況では、育成でギャップを埋めることは現実的に難しい場面があります。

また、Goの開発対象がマイクロサービスやインフラ基盤といった技術難度の高い領域に集中しているため、「とりあえず動くものを作れる」レベルの育成では対応しきれないケースもあります。設計品質が低いまま稼働したGoのマイクロサービス基盤は、後からのリファクタリングコストが高くなるリスクがあります。

受託開発・ニアショアで補完する選択肢と使い分け

Goエンジニアを外部活用で補完する主な選択肢は、受託開発とニアショア(地方拠点のエンジニアを活用したSES・業務委託)の2系統です。それぞれ性質が異なるため、プロジェクトの特性に応じた使い分けが重要です。

項目 受託開発 ニアショアSES・業務委託
契約形態 請負(成果物責任あり) 準委任または業務委託(工数ベース)
向いているケース スコープが明確・納期優先・
社内のGo知見が薄い場合
長期・継続開発・社内チームと協働して
内製能力を高めたい場合
ディレクション工数 比較的少(委託先が設計・管理も担う) 社内PMや技術リードが必要
知見の社内残留 設計レビューを契約に含めないと残りにくい 協働を通じて自然に蓄積しやすい
費用の性質 プロジェクト単位の固定費(見積もり依存) 月次の変動費(スキル・人数で変動)

受託開発はGoで実装するAPIサーバー、マイクロサービスの新規構築、CLIツール開発など、スコープを区切れるプロジェクトに向いています。社内にGoを指揮・レビューできるエンジニアがいない場合でも、委託先が設計から実装まで責任を持つため進めやすいです。

ニアショアSES(地方拠点のエンジニアが遠隔で業務に参加するSES形態)は、長期にわたる継続開発や既存Goプロジェクトのメンテナンスに適しています。社内エンジニアと協働する過程でコードレビューや設計の考え方が自然に共有されるため、内製能力の段階的な向上が期待できます。

Goプロジェクトを外部に出す際の進め方と注意点

開発作業のイメージ

Goプロジェクトを外部に委託するときは、一般的なシステム開発の委託よりもGo固有の設計・品質管理を意識した進め方が重要です。Go固有の事情を踏まえずに進めると、後から社内に引き継げないコードが生まれるリスクがあります。

要件定義でGoの用途とスコープを明確にする

最初の段階で「何をGoで作るのか」を明確にすることが大切です。Go言語が最も力を発揮するのは、高スループットなAPIサーバー・マイクロサービス・CLIツール・インフラ自動化ツールといった領域です。フロントエンドやOLTPのCRUD処理が中心のシステムでGoを選ぶ必然性は低く、用途に合った言語選定の判断も含めて委託先に確認することをお勧めします。

スコープについては、マイクロサービスであれば「どのサービスの境界線をGoで作るか」、APIであれば「エンドポイント一覧と認証・ロギング・エラーハンドリングの方針」まで合意しておくと、後の仕様変更コストを抑えられます。

設計レビュー・コードレビューを契約に組み込む

Goプロジェクトを外部に出す際に最も注意が必要な点は、開発が完了した後に社内エンジニアがコードを引き継げるかどうかです。Goは他の言語と文法や設計の慣習が異なる部分があるため、社内にGoを読める人がいないと保守が困難になります。

この問題を防ぐために、週次または隔週の設計レビュー・コードレビューセッションを契約に明示的に組み込むことが重要です。レビューを通じて社内エンジニアがコードの意図や設計判断を把握しておくと、委託期間終了後の引き継ぎがスムーズになります。

あわせてADR(Architecture Decision Records:アーキテクチャ判断の記録文書)の作成を委託先に求めると、「なぜgoroutineでこの処理を並行化したか」「なぜこのパッケージ分割にしたか」という設計の背景が文書として残ります。

テスト・CI/CDの整備を成果物に含める

Go言語は標準のtestingパッケージが充実しており、ユニットテストの文化が根付いています。委託成果物にテストコードとCI(継続的インテグレーション)設定を含めることを要件に明記しておくと、社内引き継ぎ後の品質維持がしやすくなります。

テストカバレッジの目安や、どの層(ハンドラ・ユースケース・リポジトリ)をテストするかの方針も事前に合意しておくことが大切です。テストのないGoコードは後からリファクタリングするコストが高くなるため、これを省略すると後工程でのリスクが増します。

知見の社内移転:ペアプログラミング・勉強会の活用

Goプロジェクトを外部で進めながらも、社内エンジニアの育成を並行させる方法があります。委託先エンジニアとのペアプログラミングセッションや、開発期間中に社内向けのGo技術勉強会を開いてもらう取り決めを契約に盛り込む方法です。

委託先がGo経験者であれば、実装と並行して社内エンジニアへの技術移転を担ってもらうことは実現可能な範囲です。長期的に内製化を目指す場合は、この知見移転の仕組みを最初から設計しておくことが大切です。

費用・単価の目安(市場参考値)

Go開発の委託費用は、プロジェクトの規模・複雑度・委託先の体制・契約形態によって大きく変わります。以下に示すレンジはあくまで市場参考値であり一次資料ではないため、具体的な金額は複数社への個別見積もりで確認してください。

受託開発の場合

小規模なGoプロジェクト(シンプルなREST APIサーバーやCLIツールの新規構築など)では、設計・実装・テストを含め数十万円台から対応できるケースがあります。マイクロサービス基盤の構築や認証・認可サービス、複数サービスにまたがるAPI Gatewayの開発など、設計難度と実装量が増えるプロジェクトでは数百万円規模になるケースがあります。

受託開発の費用は「エンジニアの工数単価×想定工数」に加え、プロジェクト管理・テスト・設計書作成の工数が加わります。GoシニアエンジニアはJavaやPHPと比べて市場単価が高めになる傾向があるため、見積もりの際は単価水準も確認することをお勧めします。

ニアショアSESの場合

ニアショアSES(地方拠点エンジニアの業務委託)では月次の単価契約となります。エンジニアのスキルレベルや経験年数によって単価が異なり、Go実務経験の深さが単価に直結します。東京・大阪などの大都市圏と比べて人件費が抑えやすいというニアショアの特性は、Go領域でも同様に機能します。

ニアショアで調達できるGoエンジニアは、大都市圏の即戦力エンジニアより見つかりやすいケースがあります。これはリモート勤務の浸透により地方拠点でもGoの実務スキルを持つエンジニアが育っているためです。ただし、要件の複雑度やプロジェクトの技術難度に合ったスキルレベルかどうかは、事前の技術ヒアリングで確認することが必要です。

Go実績のある委託先の選び方:技術・領域・体制の3軸

Goエンジニアを外部で補う際に失敗しないためには、委託先の選定が重要なポイントです。Go固有の技術力・対象領域の実績・プロジェクト管理体制の3軸で評価することをお勧めします。

技術軸:Go固有の概念と実務実績の確認

Go開発の委託先を選ぶときは、Go固有の技術概念への理解度を確認することが大切です。goroutine(Goの軽量並行処理)・channel(goroutine間のデータ通信)・context(タイムアウト・キャンセルの管理)・モジュール管理(Go Modules)といったGo特有の仕組みを実務で扱った経験があるかどうかを確認します。

ポートフォリオや公開リポジトリで、GoのAPIサーバー・CLIツール・インフラツールなど具体的な成果物を確認できると、技術水準の判断材料が増えます。提案RFPにGoの技術要件を明記して、回答の質から技術水準を見極めることも有効な方法です。

領域軸:担当プロジェクトの用途と合致した実績

Go言語が使われる領域は多岐にわたります。マイクロサービスとCLIツールでは設計の考え方が異なり、APIサーバーとインフラ自動化ツールでは求められる技術的背景が変わります。自社のプロジェクト用途(API・マイクロサービス・基盤ツール・認証認可など)に合った実績を持つ委託先かどうかを確認することが重要です。

KubernetesやDockerといったGo製のクラウドネイティブ基盤と連携するシステムを開発する場合は、Kubernetesオペレーターやカスタムコントローラーの開発経験があるかどうかも選定の参考になります。

体制軸:元請として一貫して対応できるかどうか

Go開発を委託する際に、複数の下請けベンダーを経由する体制では、社内とのコミュニケーションコストが増え、設計の意図が伝わりにくくなるリスクがあります。元請(プライムベンダー)として一貫して責任を持ち、設計・実装・テスト・保守まで対応できる委託先を選ぶことで、調整コストを削減できます。

また、内製化を視野に入れている場合は、知見移転(技術勉強会・ペアプログラミング・ADR作成)を継続的に提供できる体制があるかどうかも重要な確認ポイントです。

LASSICのIT事業部では、元請(プライムベンダー)としての受託実績をもとに、設計フェーズから保守運用まで一貫して対応しています。Goプロジェクトの外部補完に関するご相談はIT開発支援サービスページからどうぞ。

まとめ:Goエンジニア不足に対応する3つの判断軸

本稿では、Go(Golang)エンジニアが採用難になっている背景と、受託開発・ニアショアで補完する選択肢・進め方・委託先の選び方を整理しました。要点を3つにまとめます。

第一に、Goエンジニアが不足している主因は言語の新しさによる経験者母数の少なさと、クラウドネイティブ領域での需要拡大が同時に起きていることです。自社採用だけで即戦力を確保することが難しい状況では、受託開発・ニアショアという外部活用が現実的な補完策になります。

第二に、受託開発とニアショアSESはプロジェクトの性質によって使い分けることが大切です。スコープが明確で納期優先なら受託開発、長期継続開発で内製能力を高めたいならニアショアSES、それぞれに向いた使い方があります。

第三に、Goプロジェクトを外部に出すときは設計レビュー・コードレビュー・ADR作成を契約に組み込み、社内への知見移転を最初から設計することが長期的なリスク低減につながります。委託先の選定ではGo固有の技術力・領域実績・一貫した対応体制の3軸で評価することをお勧めします。

よくある質問

Goエンジニアはなぜ採用が難しいのですか?

Go(Golang)はGoogleが2009年に公開した比較的新しい言語で、JavaやPHPと比べてエンジニアの母数が相対的に少ないことが主な理由です。一方でクラウドネイティブなAPI・マイクロサービス・インフラツール領域での需要は拡大しており、需要と供給のギャップが大きくなっています。経験年数が3年以上ある即戦力のGoエンジニアを採用できるケースは、他のメジャー言語と比べて限られます。

Goプロジェクトはどのケースでニアショアよりも受託開発が向いていますか?

成果物(動作するシステム)の納期と品質を最優先にしたい場合、また社内にGoをレビューできるエンジニアがいない場合は受託開発が向いています。一方、社内に技術的な素地があり長期継続開発でGo知見を社内に蓄積したい場合はニアショアSESが適しています。プロジェクトの性質と社内体制の両面から判断することをお勧めします。

Go開発の受託費用はどのくらいが目安ですか?

Go開発の受託費用は規模・複雑度・委託先によって大きく異なります。以下に示すレンジは市場参考値であり一次資料ではないため、個別見積もりで確認してください。小規模なAPIサーバーやCLIツール開発であれば数十万円台から対応できるケースがあり、マイクロサービス基盤など複数機能を含む中規模開発では数百万円規模になることがあります。ニアショアSESの場合は月次契約で、スキルレベルに応じた月額単価が発生します。

外部委託したGoプロジェクトで社内に知見を残すにはどうすればよいですか?

委託契約に設計レビュー・コードレビューの機会を明示的に組み込むことが第一歩です。週次または隔週のレビューセッションを契約に含め、社内エンジニアが委託先のコード・設計判断を確認できる環境を作ります。あわせてADR(Architecture Decision Records:アーキテクチャ判断の記録文書)の作成を委託先に求めると、設計の背景が文書として社内に残ります。

Go実績のある委託先はどのように見つければよいですか?

ポートフォリオや公開リポジトリでGo言語の具体的な開発実績(API・マイクロサービス・CLIツール・インフラツール等)を確認するのが確実です。goroutine・channel・context・Go ModulesといったGo固有の技術への理解を技術要件として提案RFPに明記し、回答内容で技術水準を見極めることも有効です。元請(プライムベンダー)として一貫して対応できる委託先であれば、複数ベンダー間の調整コストを削減できます。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

LASSICに相談するメリット

LASSICのIT事業部は、元請(プライムベンダー)としてGoを含む多言語のシステム開発・API構築を受託しています。設計フェーズから実装・テスト・保守まで一貫して対応できる体制を整えており、社内知見の移転を見据えた開発支援も提供しています。


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  1. *1 出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年)— IT人材の需給に関する調査結果としてIT需要の伸びを高位に想定したシナリオで2030年に約79万人規模の不足が見込まれるとされる。URL: https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf


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