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2026.06.23 らしくコラム

データエンジニア不足を外注・育成支援で補完する打ち手

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

データ基盤のイメージ

この記事のポイント

  • データエンジニア不足の背景にはDX・データ活用の需要急増と、クラウドデータ基盤・ETL/ELT・SQL/Pythonに精通した人材の希少性が重なっています
  • 補完の打ち手は「外注(受託・委託)」「既存エンジニアの育成」「業務委託・フリーランス活用」の3系統があり、プロジェクトの段階と社内体制によって使い分けることが大切です
  • 外注時は属人化とデータのセキュリティ管理が課題になるため、ドキュメント納品・内製移管計画・権限設計を契約段階から織り込むことが長期的なリスク低減につながります

データエンジニアとは — データ基盤を担う専門職の役割と他職種との違い

データ分析のイメージ

データエンジニアとは、企業が保有するデータを分析・活用できる状態に整えるためのデータ基盤(データパイプライン・DWH・データレイク)の設計・構築・運用を担う専門職です。データを「届ける」インフラを作ることに特化しており、データを「分析・解釈する」データサイエンティストや「可視化・報告する」データアナリストとは役割が異なります。

STEP 1 課題整理 不足規模 内製/外注判断 STEP 2 委託先選定 基盤実績確認 形態決定 STEP 3 要件定義 スコープ・ 権限設計 STEP 4 構築・連携 レビュー・ ドキュメント STEP 5 稼働・保守 運用移管 内製化判断 継続委託判断
図:データエンジニア不足を外注で補完する基本ステップ(課題整理〜稼働・内製化判断)

データエンジニアが担う主な業務は、データパイプライン(ETL/ELT処理など)の設計・構築・運用、DWH(データウェアハウス)やデータレイクの設計、クラウドデータ基盤(BigQuery・Snowflake・Redshiftなど)の構築・管理、そしてBIツールへのデータ連携です。

ETL(Extract/Transform/Load:データを抽出・変換・格納する処理)やELT(格納してから変換する処理)はデータエンジニアリングの中核をなす業務で、SQLやPythonの実践的なスキルと、クラウドサービスの設定・チューニング知識が求められます。データサイエンティストがモデルを作るにも、データアナリストがダッシュボードを作るにも、データエンジニアが整備したクリーンなデータが前提になります。

この「下流の分析職を支える基盤専門職」という位置づけが、データエンジニアの役割を正確に把握するうえで重要です。採用や外注の際に「データ系人材」を一括りにしてしまうと、必要なアウトプットとずれが生じる可能性があります。

データエンジニア不足・採用難の背景:需要急増とスキル広範化が重なる

データエンジニア不足の背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進とデータ活用の需要急増が挙げられます。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)では、高位シナリオ(IT需要の伸びを高位に想定した場合)で2030年に約79万人規模のIT人材不足が見込まれています*1。データエンジニアはこのIT人材不足の中でも需給ギャップが顕著な職種の一つです。

需要拡大の主因は、企業がデータ基盤の構築を本格化させたことです。BI(Business Intelligence)ツールや機械学習モデルの活用が広がるほど、元データを適切な形で整備・供給するデータエンジニアリングの重要性が高まります。以前は大手企業だけが取り組んでいたデータ基盤整備が、中堅・中小企業にも広がりつつあります。

供給が追いつかない理由は、求められるスキルが広範なためです。データエンジニアには、SQLやPythonのコーディングスキルに加え、クラウドデータ基盤(BigQuery・Snowflake・Redshift等)の設計・運用知識、ETL/ELTパイプラインの設計・監視、データモデリング、セキュリティ・アクセス権限管理など、複数の専門領域が交差するスキルセットが必要です。これらを実務レベルで身につけるには、相応の実務経験の積み上げが必要です。

さらに、データ活用需要の拡大に伴い待遇が高騰しており、採用時の競争が激しくなっています。即戦力のデータエンジニアを採用しようとすると、大手テック企業や資金力のあるスタートアップとの争奪戦になるケースが珍しくありません。

自社採用の壁:データエンジニアを内製で確保する難しさ

データエンジニアを正社員採用で確保しようとした場合、複数の壁に直面します。第一に、求人を出しても応募者の絶対数が少なく、スクリーニングに時間がかかります。第二に、採用できたとしても即戦力級の人材は市場価値が高く、オファー競争になりやすい状況です。

社内育成も選択肢の一つですが、SQLとPythonの基礎を習得しただけでは実務には対応できません。クラウドデータ基盤の設計経験や、大量データのパフォーマンスチューニングは実際のプロジェクトを通じて身につく要素が多く、育成期間は半年から1年以上を要することがあります。

また、既存のエンジニア組織がWebアプリケーション開発に特化している場合、データエンジニアリングの考え方(バッチ処理設計・データモデリング・クラウド課金構造への理解など)は異なる知識体系を要求します。社内の技術文化とのギャップを埋めるには、外部からの知見投入が現実的な選択肢になる場面があります。

補完の3つの打ち手:外注・育成・業務委託の使い分け

データエンジニア不足を補完する主な打ち手は、(1)データ基盤構築の外注(受託委託)、(2)既存エンジニアの育成・リスキリング、(3)業務委託・フリーランス活用の3系統です。それぞれ適した状況が異なるため、プロジェクトの段階と社内体制に応じた使い分けが重要です。

打ち手 向いているケース 主な留意点
外注(受託委託) スコープが明確なデータ基盤の新規構築。
社内にクラウドデータ基盤の設計経験者がいない場合
ドキュメント納品・権限移管・内製移管計画を契約に明記。
属人化リスクへの対応が必要
既存エンジニアの育成 中長期で内製能力を高めたい場合。
SQLやPythonの基礎がある社内エンジニアがいる場合
実務レベルに至るまでに時間が必要。
育成期間中の実務は外注や業務委託で補完する必要がある
業務委託・フリーランス活用 既存基盤の運用保守・改善。
特定クラウドサービスの設定・チューニングなど範囲が限定的な業務
スキルレベルの見極めが重要。
依頼業務の範囲・成果物・権限をあらかじめ明確にする必要がある

外注(受託委託)は、データレイクやDWHの新規構築、ETL/ELTパイプラインの整備など、スコープを区切れるプロジェクトに向いています。社内にクラウドデータ基盤の経験者がいない段階でも、委託先が設計から実装まで責任を持つため進めやすいです。

既存エンジニアの育成は、中長期での内製化を見据える場合に有効です。SQLやPythonの基礎がある社内エンジニアに対して、クラウドデータ基盤の研修や実プロジェクトへの参画機会を提供することで、段階的にデータエンジニアリングの実務力を高めることができます。

業務委託・フリーランス活用は、既存のデータ基盤の運用保守・改善・チューニングなど、継続的かつ範囲が限定的な業務に適しています。必要なスキルと依頼範囲が明確な場合は、正社員採用より短期間でリソースを確保できます。

外注でデータ基盤を補完する進め方と注意点

データチームのイメージ

データ基盤の構築を外注する際は、一般的なシステム開発の委託以上に、データのセキュリティ・権限管理・属人化回避を意識した進め方が必要です。データを扱う基盤の外注を誤ると、機密情報の流出リスクや、委託期間終了後に誰も保守できない状態が生まれます。

要件定義:扱うデータの範囲とセキュリティ要件を先に決める

外注を開始する前に、「どのデータを、誰が、どのように扱えるか」を明確にすることが大切です。個人情報・財務データ・業務機密を含むデータソースをクラウドに連携する場合は、アクセス権限の設計(IAMポリシー・ロール設定など)と暗号化・マスキングの要件を要件定義に含めます。

これを後回しにすると、委託先に必要以上の権限を渡してしまう、または要件不足で後から権限設計をやり直すコストが生じる可能性があります。特にBigQueryやSnowflakeなどのクラウドデータ基盤は設定の柔軟性が高い分、適切な権限設計を最初に行うことが重要です。

属人化を防ぐドキュメント・データカタログの納品を契約に含める

データ基盤は一度構築したら終わりではなく、事業の成長とともに継続的に改善・拡張が必要です。委託先のみが理解している状態(属人化)で基盤が稼働すると、委託期間終了後に改修や障害対応が困難になります。

これを防ぐために、以下を契約の納品物に明示的に含めることをお勧めします。データパイプラインの仕様書(各ETL/ELTジョブの処理内容・スケジュール・エラー処理)、データカタログ(テーブル定義・カラムの意味・更新頻度)、アーキテクチャ概要図(クラウドサービスの構成・データの流れ)、障害時の対処手順書です。

あわせて、構築期間中に社内担当者を最低1名アサインし、週次の進捗レビューを通じて基盤の構造を把握することが大切です。委託期間終了後の内製移管タイミングと移管のための社内スキル習得計画も、委託開始時に合意しておくことをお勧めします。

内製移管・継続委託の判断基準をあらかじめ設定する

委託開始時に「将来どうするか」を決めておくことが、長期的なコストとリスクの最小化につながります。内製化を目指すなら、社内エンジニアが基盤を自走できるようになる条件(習得スキル・担当業務の種類)を定義しておきます。継続委託を前提とする場合は、委託先との定期レビュー体制と契約更新の基準を設定します。

どちらの方向であれ、「委託先だけが知っている状態」にしないことが共通の原則です。内製移管できないまま委託依存が続くと、交渉力が委託先側に傾き、コスト増加や解約リスクが高まります。

費用・単価の目安(市場参考値)

データ基盤の外注費用はプロジェクトの規模・扱うデータ量・クラウドサービスの複雑度・委託先の体制によって大きく変わります。以下に示すレンジはあくまで市場参考値であり一次資料ではないため、具体的な金額は複数社への個別見積もりで確認してください。

受託委託の場合(プロジェクト単位)

小規模なデータパイプライン構築(単一データソースからのETL/ELTフロー+DWH基本設定)では、設計・実装・テストを含め数十万円台から対応できるケースがあります。BigQuery・Snowflake・Redshiftなどのクラウドデータ基盤を中心に、データレイク・複数データソース統合・BIツール連携を含む中規模基盤構築では数百万円規模になることがあります。

受託委託の費用は「エンジニアの工数単価×想定工数」に、設計書・データカタログ作成・テストの工数が加わります。クラウドデータ基盤に精通したデータエンジニアは市場単価が高めになる傾向があるため、見積もりの際は単価水準と対応クラウドサービスの経験も確認することをお勧めします。

業務委託・フリーランスの場合(月次契約)

業務委託やフリーランス活用では月次の単価契約となります。スキルレベルや扱えるクラウドサービスの種類・経験年数によって単価が異なります。

フリーランスのデータエンジニアをマッチングするプラットフォームも複数存在しますが、スキルレベルの見極めは依頼側の技術的なヒアリング能力に依存します。社内に技術的な判断ができる担当者がいない場合は、評価基準を持つ委託先(受託会社・SES会社)を介するほうがリスクを抑えやすい場合があります。

データ基盤実績のある委託先の選び方:技術・クラウド・体制の3軸

データエンジニアリングの外注で失敗しないためには、委託先の選定が重要なポイントです。データ基盤特有の技術力・対象クラウドサービスの実績・プロジェクト管理と知見移転の体制の3軸で評価することをお勧めします。

技術軸:ETL/ELT・データモデリング・SQL/Pythonの実務実績

データ基盤の委託先を選ぶときは、ETL/ELT(データ抽出・変換・格納処理)の設計経験、データモデリング(スタースキーマ・スノーフレークスキーマなどのDWH設計手法)の実績、SQLとPythonを用いたパイプライン実装の経験があるかどうかを確認することが大切です。

提案依頼(RFP)に技術要件を明記して回答の質から技術水準を見極めることも有効です。過去の基盤構築事例やアーキテクチャ設計の考え方を説明してもらう機会を設けると、技術レベルの判断材料が増えます。

クラウド軸:自社が使う・使いたいクラウドサービスの実績

BigQuery(Google Cloud)、Snowflake、Redshift(AWS)など、自社が採用するクラウドデータ基盤サービスの構築・運用実績を持つ委託先かどうかを確認することが重要です。クラウドサービスごとにコスト最適化・パフォーマンスチューニングの手法が異なるため、対象サービスの知見がない委託先に依頼すると想定外のコスト増加や性能問題が生じる可能性があります。

クラウドベンダーのパートナー認定(Google Cloud Partner・AWS Partner等)は最低限の実績・技術力の指標の一つになります。ただし認定の有無だけでなく、実際の構築事例の質と規模を確認することも大切です。

体制軸:元請として一貫して対応できるかどうか

データ基盤の外注を複数のベンダーが分業する体制で進めると、設計の一貫性が失われたり、障害時の責任範囲が曖昧になるリスクがあります。元請(プライムベンダー)として設計・構築・保守を一貫して担える委託先を選ぶと、調整コストを削減できます。

また、知見移転(ドキュメント作成・社内担当者向けの説明・内製移管支援)を継続的に提供できる体制があるかどうかも、長期的な視点では重要な確認ポイントです。委託先が「作って終わり」ではなく、社内の理解を高めながら進めるパートナーシップを取れるかどうかを確認することをお勧めします。

LASSICのIT事業部では、元請(プライムベンダー)としてシステム開発を受託してきた実績をもとに、設計フェーズから構築・保守・内製移管支援まで一貫して対応しています。データエンジニア不足の補完に関するご相談はIT開発支援サービスページからどうぞ。

まとめ:データエンジニア不足に対応する3つの判断軸

本稿では、データエンジニアの役割・他職種との違い・不足の背景と、外注・育成・業務委託の3系統による補完策、外注時の進め方・注意点・委託先の選び方を整理しました。要点を3つにまとめます。

第一に、データエンジニア不足の背景はDX・データ活用需要の急増と、ETL/ELT・クラウドデータ基盤・SQL/Pythonを横断するスキル広範化が重なった結果です。データサイエンティスト・アナリストとは役割が明確に異なる専門職として位置づけたうえで採用・外注を検討することが大切です。

第二に、補完策は「外注(新規基盤構築)」「育成(中長期の内製化)」「業務委託(継続保守・限定業務)」の3系統があり、プロジェクトの段階と社内の技術素地によって使い分けることが有効です。単一の手段に固定せず、段階的に組み合わせる視点を持つことをお勧めします。

第三に、データ基盤を外注するときは、セキュリティ・権限設計・ドキュメント納品・内製移管計画を最初から契約に組み込むことが、属人化と長期的なコスト増加を防ぐ鍵になります。委託先の選定では技術・クラウド実績・一貫した対応体制の3軸で評価することをお勧めします。

よくある質問

データエンジニアとデータサイエンティストの違いは何ですか?

データエンジニアはデータを「届ける」インフラを担い、データサイエンティストはそのデータを「分析・活用する」役割を担います。データエンジニアが設計・構築するデータパイプラインやDWH(データウェアハウス)があってはじめて、データサイエンティストやアナリストは精度の高い分析を行えます。役割の違いを混同したまま採用・外注すると、求めるアウトプットとずれが生じる可能性があります。

データ基盤の外注はどのようなケースに向いていますか?

スコープが明確で早期に稼働させる必要がある場合、または社内にクラウドデータ基盤(BigQuery・Snowflake・Redshiftなど)の設計経験者がいない場合に外注が向いています。一方、長期にわたって基盤を進化させる必要があり社内にある程度の技術素地がある場合は、業務委託やリスキリング支援との組み合わせが適しています。いずれの場合も、ドキュメント整備と内製移管の計画を最初から契約に含めることが重要です。

データ基盤の外注費用はどのくらいが目安ですか?

以下に示すレンジはあくまで市場参考値であり一次資料ではないため、個別見積もりで確認してください。小規模なデータパイプライン構築(単一のETL/ELTフロー+DWH設定)では数十万円台から対応できるケースがあります。BigQueryやSnowflakeを中心とした中規模基盤構築では数百万円規模になることがあります。業務委託・フリーランス活用の場合はスキルレベルに応じた月額単価が発生します。

データ基盤を外注すると属人化しませんか?

外注先にのみ知識が集中すると属人化が生じます。これを防ぐには、契約に設計ドキュメント・データカタログ・パイプライン仕様書の納品を明記し、定期レビューを組み込むことが有効です。外注開始と並行して社内担当者を最低1名アサインし、将来的な内製移管の計画(移管タイミング・スキル習得ロードマップ)を最初から設計することをお勧めします。

既存のエンジニアをデータエンジニアに育成するにはどうすればよいですか?

SQL・Python・クラウドデータ基盤(BigQueryなど)の基礎は学習コンテンツと実プロジェクト経験の組み合わせで習得できます。ただし、大量データのパフォーマンスチューニングやパイプライン設計など実務レベルに至るには経験の積み上げが必要です。育成に時間がかかる間は外注・業務委託で実務を回しつつ、社内育成担当者を並走させる体制が現実的な選択肢になります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

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LASSICのIT事業部は、元請(プライムベンダー)としてデータ基盤構築・データパイプライン開発を含むシステム開発を受託しています。設計フェーズから構築・保守・内製移管支援まで一貫して対応できる体制を整えており、データエンジニア不足を外注で補完する際のパートナーとしてご相談いただけます。


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  1. *1 出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)— 高位シナリオ(IT需要の伸びを高位に想定した場合)で2030年に約79万人規模のIT人材不足が見込まれることを示す調査報告書。URL: https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf


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