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2026.07.10 らしくコラム

スマホアプリ開発会社の選び方と比較の判断軸

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム開発を受託

アプリ開発のイメージ

この記事のポイント

  • スマホアプリの発注先選びでは、ネイティブ・クロスプラットフォーム・PWAという開発方式の違いが、発注先の体制やコストの見え方を左右します。
  • MMD研究所の調査では2025年9月時点でiPhoneが48.3%、Androidが51.4%とほぼ二分しており、両OS対応の実績を持つ発注先かどうかの確認が比較の軸になります。
  • App StoreとGoogle Playはそれぞれの審査基準を公開しており、発注先の審査対応実績とリリース後の保守体制の確認が、選定の判断材料になります。

スマホアプリ開発会社を選ぶ前提——開発方式が発注先選びを左右する

モバイルUIのイメージ

スマホアプリ開発会社の選び方を比較する際、最初に整理すべきなのが開発方式です。開発方式には大きく3種類があり、ネイティブ開発はiOS向けにSwift、Android向けにKotlinなど各OS専用の言語・SDKでそれぞれ構築する方式です。クロスプラットフォーム開発は、単一のコードベースから複数OS向けにアプリを書き出す方式で、代表的なフレームワークにFlutterとReact Nativeがあります。Flutterは、単一のコードベースからモバイル・Web・デスクトップなど複数プラットフォーム向けに美しいアプリを構築できるオープンソースのフレームワークだとGoogleが説明しています*4。React Nativeも同様に、Reactを使ってAndroid・iOS向けのネイティブアプリを作成できる仕組みで、JavaScriptで記述したコードをネイティブのUIとしてレンダリングするとMetaが公開しています*5

図
図:スマホアプリ開発会社を選ぶまでの4ステップ(要件整理→方式選択→発注先評価→保守体制確認)

PWA(Progressive Web App。ブラウザ上で動作しつつネイティブアプリに近い操作感を提供するWebアプリ)は、ストアを経由せずブラウザから直接インストールできる方式です。開発方式の違いは、そのまま発注先選びにも影響する要素です。ネイティブ開発を主力とする会社はiOS・Android双方の専門チームを抱える傾向があり、クロスプラットフォーム開発を主力とする会社は少人数のチームで両OSに対応できる場合があります。どの方式を軸にした会社なのかを、まず確認しておくと以降の比較がしやすくなります。

3方式の違いを整理すると次の通りです。

項目 ネイティブ クロスプラットフォーム PWA
開発体制 iOS・Android別チームが必要になりやすい 単一チームで両OSに対応できる場合がある Webの開発体制を活用できる
コードベース OSごとに個別実装する 単一のコードベースから複数OS向けに書き出す*4 Web標準技術で実装する
ストア掲載 App Store・Google Playの審査対象*1*2 App Store・Google Playの審査対象*1*2 ストアを経由しない配信も選べる
主なフレームワーク例 Swift、Kotlinなど Flutter*4、React Native*5など 該当なし

iOSとAndroid両対応の体制とストア審査対応の実績を確認する

iOSとAndroidのどちらを優先すべきかは、対象ユーザーのOS比率で変わってきます。MMD研究所が2025年9月12日から21日にかけて、18歳から69歳の男女40,000人を対象に実施した調査では、メイン利用端末のOS比率はiPhoneが48.3%、Androidが51.4%という結果でした*6。両OSのシェアが大きく偏っていない以上、法人向けアプリの多くは両OS対応を前提に発注先を選ぶことになります。

両OS対応の体制を確認する際は、単に「対応可能」という回答だけでなく、実際にApp StoreとGoogle Play双方でのリリース実績があるかどうかを尋ねるとよいでしょう。Appleは審査基準をApp Review Guidelinesとして公開しており、Safety・Performance・Business・Design・Legalという分類のもとで、アプリの完成度やメタデータの正確性、プライバシーポリシーの明示などを審査対象としています*1。Googleも同様に、Play Console上でプライバシーポリシーの提出やターゲットオーディエンスの申告、コンテンツレーティングの取得といった、審査前に必須となる宣言事項を案内しています*2

発注先を比較する際には、これらの審査基準への対応実績、具体的には過去にリジェクトを受けた経験とその解消方法を聞くことも有効です。加えてGoogle Playには、内部テストや段階的な公開(staged rollout)でリリースリスクを抑える仕組みが用意されています*3。こうした検証プロセスを発注先が実務でどこまで使いこなしているかも、審査対応力を測る材料の1つになります。

発注先を評価する軸——実績ジャンル・UI/UX・品質保証・セキュリティ

発注先の比較では、まず実績ジャンルの近さを確認します。自社が発注したいアプリと機能特性が近い開発実績を持つ会社であれば、要件定義の段階から的確な提案を受けやすくなります。業種が異なる場合でも、認証機能や決済連携、プッシュ通知といった機能単位で近い実績があれば、参考材料として扱えるでしょう。

次に確認したいのがUI/UXの設計プロセスです。ワイヤーフレームやプロトタイプを作成し、実際の操作感を確かめる工程が提案に含まれているかを見ます。プロトタイピングの工程が省略されていると、実装後に大幅な手直しが発生しやすくなる傾向があります。

品質保証の観点では、iOSとAndroidそれぞれの実機での検証範囲を確認します。エミュレーターだけの確認にとどまっているか、複数の端末・OSバージョンで実機テストを行っているかによって、リリース後の不具合発生の頻度は変わってくるでしょう。セキュリティの観点では、通信の暗号化方式や認証情報の保管方法、脆弱性診断の実施有無を尋ねます。個人情報や決済情報を扱うアプリでは、この確認を提案評価の初期段階に組み込んでおくことが望ましいといえます。

保守運用とOSアップデート追随——リリース後を任せられる体制か

アプリはリリースした時点で完成するものではありません。AppleとGoogleはそれぞれ年次でOSの大型アップデートを提供しており、既存のアプリがそのまま動作しなくなる場合があります。発注先の保守契約に、OSアップデートへの追随作業が含まれているかどうかは、比較で見落とされやすい項目です。

確認すべきなのは、不具合対応のSLA(サービスレベルアグリーメント。対応時間や解決期限に関する約束事)、OSの新バージョンがリリースされた際の検証タイミング、そしてApp Store・Google Playの規約変更への追随体制です。ストアの審査基準は改定されることがあり*1*2、保守契約の範囲にこの追随作業が含まれていない場合、追加費用や対応の遅れにつながる可能性があります。契約前に、保守の範囲がどこまでを含むのかを文書で確認しておくと、後々の行き違いを避けやすくなります。

費用モデルと見積もりの見方——初期・保守・ストア対応

アプリストアのイメージ

見積もりを比較する際は、費用の内訳を3つに分けて見ると整理しやすくなります。第一に初期開発費で、要件定義・設計・実装・テストの各工程が含まれます。第二に保守費で、リリース後の不具合対応や軽微な機能追加、OSアップデート追随などにかかる月額または年額の費用です。第三にストア対応費で、デベロッパー登録の手続きや審査対応、リジェクトを受けた際の再申請対応にかかる費用です。

複数社の見積もりを比較する際に注意したいのは、この3つの費用がどこまで初期費用に含まれ、どこから保守費用として別途発生するのかという境界線です。初期費用が低く見える提案でも、保守費用の範囲が狭く設定されていると、リリース後に想定外の追加費用が発生することがあります。見積書の内訳を項目ごとに突き合わせ、どの工程が含まれていないかを確認する作業が、比較の精度を上げるうえで欠かせません。

RFPと提案評価のチェックリスト——比較で見落としやすい項目

複数の開発会社に提案を依頼する際は、RFP(提案依頼書)に含める項目を事前に整理しておくと、提案内容の比較がしやすくなります。対象とするOSとバージョンの範囲、想定する利用者数と利用シーン、既存の社内システムとの連携要件、保守体制への要望、セキュリティ要件は、最低限含めておきたい項目です。

提案を受け取った後の評価では、次の観点を1社ずつ確認していく方法が実務的です。実績ジャンルの近さ、iOS・Android双方の審査対応実績、UI/UX設計プロセスの有無、品質保証の実施範囲、保守契約に含まれる作業範囲、見積もりの内訳の明確さです。これらをチェックリスト化して各社の提案書に当てはめると、価格だけに引かれた比較を避けやすくなります。提案書の記載が曖昧な項目については、契約前のヒアリングで具体的な回答を求めておくとよいでしょう。

よくある失敗——保守不在・審査リジェクト・OS更新放置

発注後によく聞かれる失敗の1つが、保守契約が結ばれておらず、リリース後の不具合対応窓口が不明確になるケースです。開発フェーズの契約だけを結び、保守フェーズの契約を後回しにした結果、不具合が発生しても対応を頼める相手が定まっていない状態になることがあります。

2つ目は、ストア審査でのリジェクトが繰り返され、公開が遅れるケースです。プライバシーポリシーの記載不備やデモアカウントの未提供など、Apple・Googleが審査前に求める準備事項*1*2への対応が後手に回ると、公開予定日に間に合わなくなる可能性があります。

3つ目は、リリース後にOSアップデートへの追随が行われず、動作不良が発生するケースです。保守契約の範囲にOS追随が含まれていない、または発注先の体制上その作業に手が回らないという事情が背景にあることが多く、契約前の確認不足が原因につながりやすい失敗です。

まとめ:スマホアプリ開発会社選びで押さえる3つの判断軸

本稿ではスマホアプリ開発会社の選び方と比較の判断軸を整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、ネイティブ・クロスプラットフォーム・PWAという開発方式の違いが、発注先の体制やコストの見え方を左右します*4*5。第二に、iPhoneとAndroidのシェアはほぼ二分しており*6、App Store・Google Playそれぞれの審査基準への対応実績を確認することが比較の軸になります*1*2。第三に、リリース後の保守体制とOSアップデート追随、費用の内訳を事前に確認しておくことが、想定外のトラブルや追加費用を避ける手掛かりになります。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、元請(プライムベンダー)としてシステム開発・運用を受託しています。スマホアプリの開発方式の選定から、iOS・Android両対応の体制構築、リリース後の保守運用、OSアップデート追随まで、発注先選びのご相談に対応できる体制を整えています。開発方式や保守体制の検討段階からご相談いただけます。

よくある質問

ネイティブとクロスプラットフォーム、どちらを選ぶべきですか。

対象ユーザーのOS比率や、OS特有の機能をどこまで使うかで判断が変わります。両OSでほぼ同じ機能を提供する場合はクロスプラットフォームが検討しやすく*4*5、OS特有の機能を強く使う場合はネイティブが選択肢に入ります。発注先には両方式の実績を尋ね、自社の要件に合わせた提案を比較するとよいでしょう。

iOSとAndroidを同時にリリースする場合、開発会社は1社に絞るべきですか。

1社に集約すると保守窓口を一本化できる一方、その会社が両OSの審査対応・実機検証に十分な実績を持つかどうかの確認が欠かせません*1*2。実績が一方のOSに偏っている場合は、体制や協力会社の有無を確認しておくと判断の助けになります。

見積もりを比較する際、何に注意すればよいですか。

初期費用・保守費用・ストア対応費用の3つに分けて、どこまでが初期費用に含まれているかを確認します。保守費用の範囲が狭いと、リリース後に想定外の追加費用が発生する場合があります。

ストア審査でリジェクトされた場合、どのように対応してもらえますか。

リジェクトの主な要因には、メタデータの不備やプライバシーポリシーの欠落などが挙げられます*1。発注先の保守契約に再申請対応が含まれているかを、契約前に確認しておくと公開の遅延を抑えやすくなります。

保守運用の範囲はどう確認すればよいですか。

不具合対応のSLA、OSアップデート追随の頻度、ストアの規約変更への対応範囲を契約書や提案書で確認します*1*2。範囲が明記されていない場合は、契約前のヒアリングで具体的な回答を求めることが有効です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Apple「App Review Guidelines」(Apple Developer)(https://developer.apple.com/app-store/review/guidelines/
  2. *2 出典:Google「Prepare your app for review」(Play Console Help)(https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/9859455
  3. *3 出典:Google「Release with confidence」(Play Console)(https://play.google.com/console/about/guides/releasewithconfidence/
  4. *4 出典:Google「Flutter」公式サイト(https://flutter.dev/
  5. *5 出典:Meta「React Native」公式サイト(https://reactnative.dev/
  6. *6 出典:MMD研究所「2025年9月スマートフォンOSシェア調査」(2025年9月、18〜69歳男女40,000人対象)(https://mmdlabo.jp/investigation/detail_2496.html


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