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JP1移行の4ステップ|サポート期限の確認から切り替えまでの流れ
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- JP1移行は、バージョンアップ・サーバー更改・クラウド移行のどれかで作業の中身が変わります。
- 日立のライフサイクルポリシーで今のバージョンの期限を確かめ、移行の時期を逆算します。
- 棚卸し・定義の移し替え・並行稼働・切り替えの4段階で進め、戻す手順も先に決めておきます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
JP1のサポート期限が近いと保守会社から知らされた。サーバーの更改に合わせてジョブ管理も移したいが、何百本もあるジョブの定義をどう運べばよいか分からない——。長く使ってきたジョブ管理では、こうした悩みが重なりがちです。JP1移行とは、日立の統合システム運用管理製品JP1で動かしているジョブ管理を、新しいバージョンやサーバー、クラウドへ移し替える作業を指します。
夜間や月末の処理を止めずに切り替えるには段取りが欠かせません。ただし万能な手順はなく、ジョブの数や連携先によって段取りは変わります。本記事では、JP1のジョブ管理を受け持つ情報システム部門の方に向けて、移行の種類、バージョンのサポート期間の考え方、移行の進め方とつまずきやすい点、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
JP1移行とは
JP1移行は、何を変えるかで作業の中身が変わります。ジョブ管理の中心となるJP1/AJS3(JP1/Automatic Job Management System 3)を例にすると、よくある形は次の4つです。
- バージョンアップ:同じサーバーのまま、JP1を新しいバージョンへ上げる
- サーバー・OSの更改:新しいサーバーにJP1を入れ直し、ジョブの定義を運ぶ
- クラウドへの移行:クラウド上のサーバーへ移す。日立のSaaS(インターネット経由で使うサービス)であるJP1 Cloud Service/Job Managementへ移す形もあります*3
- 別のジョブ管理への置き換え:JP1以外の仕組みへ乗り換える
バージョンアップとサーバーの更改が同じ時期に重なることもあります。JP1以外の仕組みへ置き換える場合の考え方はジョブ管理・バッチ基盤の移行で扱っているため、本記事ではJP1を使い続ける移行を中心に見ていきます。
バージョンのサポート期間
移行の時期を決めるには、まず今のバージョンのサポート期間を確かめます。日立はJP1を含むオープンミドルウェアについて、バージョンごとの販売期間とサポート期間を「バージョンライフサイクルポリシー」で定めています。2025年4月1日以降に販売を始めた新しいバージョンには2.0、それより前から変わらないバージョンには従来の1.0が適用されます。*1

| 項目 | 1.0(従来のバージョン) | 2.0(2025年4月以降の新バージョン) |
|---|---|---|
| 標準サポート | 出荷開始から10年間、販売終了からは5年間 | 出荷開始から10年間、販売終了からは5年間 |
| 標準サポートの後 | 限定サポートを5年間(修正は既にあるものだけ)。JP1 V12は3年間 | 製品ごとに個別に相談(個別契約) |
| さらに延ばす場合 | 個別契約の延長サポートで最長5年間。標準サポートが終わる前の契約が必要 | 標準サポートの期限前の相談が必要 |
| 期限までに上げなかった場合 | そのバージョンのサービスがすべて終わり、後継バージョンの提供も終わる | |
販売期間はバージョンごとに5年間で、JP1製品群は最新の2バージョンだけを販売します。JP1 V12は2038年問題(時刻の処理があふれる問題)を理由に、2026年9月末で販売を終えました。*1 自社で使っている製品の具体的な期限は、サポートの契約者向けWebで製品の形名ごとに確かめられます。日立は、1.0の対象バージョンから上げるとサービスの期限が短くなる場合がある、とも注意を促しています。*2 移行先を決める前に、新旧両方の期限を並べて見ておきます。
移行の進め方
JP1の移行で重いのは、ソフトの入れ替えよりジョブの定義を漏れなく運ぶ作業です。日立も、クラウド移行やシステム更改では数百~数千件にのぼるジョブ定義の作成や書き換えが必要になることがあり、手作業では設定ミスや変更漏れのリスクが高まると説明しています。*3 次の4つの段階で進めると、抜け漏れを抑えられます。
- ステップ1 棚卸し:ジョブネット(順番に動かすジョブのまとまり)、実行の日程を決めるカレンダー、ジョブを動かすサーバー、他システムとの連携を一覧にする
- ステップ2 定義の移し替え:新しい環境に合わせて、ジョブを動かすサーバーの名前などを書き換える
- ステップ3 並行稼働:新旧の環境で同じ日の実行予定と結果を突き合わせる
- ステップ4 切り替え:切り替える日と、問題が出たときに旧環境へ戻す手順を決めてから本番を移す
ステップ2では、日立のJP1/AJS3 – Definition Assistantが使えます。ジョブの定義をExcelの画面に取り込み、まとめて書き換えてから新しいサーバーへ反映する道具です。日立の手順では、取り込んだ定義のうち実行先のサーバー名をExcelの置換で書き換え、反映する前にチェック機能で入力の誤りを確かめています。*3
つまずきやすい点
移行で問題が出やすいのは、ジョブの定義そのものより、定義の周りにある約束ごとです。JP1のジョブ管理は、月次・週次・特定日・休業日の振り替えといった細かい日程を、拠点ごとのカレンダーで制御できます。*4 移行で見落とすと、切り替えた翌月に処理が動かないといった形で表に出ます。
- カレンダー:休業日や振り替えの設定が新しい環境に移っているか。年をまたぐ日程も確かめる
- 連携先:ファイルの置き場所、他システムへの接続先、通知の宛先が新しい環境で変わっていないか
- 実行の権限:ジョブを動かすユーザーの設定が、新しいサーバーでも同じになっているか
- 二重実行:並行稼働の間に、新旧の両方が本番のデータを更新してしまわないか
特に二重実行は並行稼働の段階で起こりやすい事故です。新しい環境では本番のデータを更新せず、結果を別の場所に書き出して比べる決めごとを先に作っておきます。旧環境へ戻す手順も、この段階で一度試しておくと進めやすくなります。
外部に頼むときに確認しておきたい点
JP1の移行はふだんの運用と並行するため、社内だけでは時間を確保しにくいこともあります。棚卸しや並行稼働の確認を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

- 範囲:棚卸し、定義の移し替え、並行稼働の確認、切り替え当日の立ち会いのうち、どこまで任せるか
- 棚卸しの成果物:ジョブ・カレンダー・連携先の一覧を、移行後も使える形で受け取れるか
- 検証の方法:新旧の実行結果をどの単位で何日分比べるか。合否を誰が判断するか
- 切り戻し:問題が出たときに旧環境へ戻す判断の基準と手順
- 移行後の運用:切り替え後の障害対応や、次のバージョンアップの時期の管理まで続けて頼めるか
見積もりの段階で抜けやすいのが移行後の運用です。JP1のバージョンには期限があるため、次の移行の時期も見ておく必要があります。切り替え後のジョブの見守り方はバッチ運用の勘所も参考にしてください。
まとめ:JP1移行で確かめておきたい3つの点
JP1の移行を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、今回の移行がバージョンアップか、サーバーの更改か、クラウドへの移行かをはっきりさせること。第二に、日立のライフサイクルポリシーで新旧のバージョンの期限を並べて確かめること。第三に、棚卸しから並行稼働、切り替えまでを段階に分け、旧環境へ戻す手順を先に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「切り替えた翌月にジョブが動かなかった」という事態を避けやすくなります。棚卸しや並行稼働の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
JP1 V12はいつまで使えますか
製品ごとの具体的な期限は、サポートの契約者向けWebで製品の形名ごとに確かめられます。ポリシーの上では、V12は2038年問題を理由に、標準サポートの後の限定サポートが3年間に短くなっています。*1 限定サポートが終わるまでに後継バージョンへ上げていないと、サービスはすべて終わります。
バージョンアップとサーバーの移行は同時に行うべきですか
同時なら作業は1回で済みますが、問題が出たときに原因がバージョンとサーバーのどちらにあるかを切り分けにくくなります。新しいサーバーに新しいバージョンを組み、旧環境を残したまま並行稼働で比べる形にすると、原因を追いやすくなります。
クラウドに移しても同じ使い方ができますか
日立は、JP1/AJS3でAWS・Microsoft Azure・Google Cloud・OCIなどのクラウドサービスの処理とも連携して自動実行できると案内しています。*4 SaaSのJP1 Cloud Service/Job Managementへ移す場合も、ジョブの定義は同じ方法で移し替えられます。*3
JP1の移行・バージョンアップのご相談
JP1のジョブ定義の棚卸しから並行稼働、切り替え後の運用保守まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:株式会社日立製作所「日立オープンミドルウェアのバージョンライフサイクルポリシー」(ライフサイクルポリシー1.0)(https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/lc/lc10/index.html)。出典:ポリシー1.0と2.0の適用の区分、標準・限定・延長サポートの期間、JP1 V12の限定サポート期間と販売終了、販売期間とJP1製品群の販売バージョン数の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:株式会社日立製作所「日立オープンミドルウェアのバージョンライフサイクルポリシー」(ライフサイクルポリシー2.0)(https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/lc/lc20/index.html)。出典:標準サポート期限後の個別相談、契約者向けの製品形名別ライフサイクルの確認、1.0対象バージョンからのバージョンアップでサービス期限が短くなる場合がある旨の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:株式会社日立製作所 JP1 システム運用ハック「クラウド移行やシステム更改などで発生する大量のジョブ定義情報の作成や書き換え」(https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/jp1/hack/automation/0012.html)。出典:ジョブ定義の作成・書き換えの件数と手作業のリスク、JP1/AJS3 – Definition Assistantによる取り込み・置換・チェック・反映の手順、JP1 Cloud Service/Job Managementへの移行の記述を参照(2026年10月7日公開)(2026年10月確認)
- *4 参考:株式会社日立製作所「ジョブ管理 JP1/Automatic Job Management System 3」製品ページ(https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/jp1/product/jp1/ajs/index.html)。出典:拠点ごとのカレンダーによる日程の制御、クラウドサービスの処理との連携の記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:株式会社日立製作所「ジョブ管理 JP1 Cloud Service/Job Management」製品ページ(https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/jp1/product/jp1_cloud/job_management/index.html)。出典:JP1のジョブ管理をSaaSで提供するサービスの説明を参照(2026年10月確認)