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2026.10.23 らしくコラム

Redashとは?集計をグラフで共有する仕組みと開発状況を解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

会議室の大型画面に並んだグラフを指して共有する2人の手元

この記事の結論

  • RedashはSQLで書いた集計をグラフとダッシュボードにして社内で共有する、無料のオープンソースのBIツールです。
  • 開発元の買収後にクラウド版は終わり、いまは有志のコミュニティが保守と新しい版の公開を続けています。
  • 導入では、書く人と見る人の分担、グループごとの権限、版の更新とバックアップの担当を最初に決めます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

売上の数字を見たいたびに、担当者にデータの抽出を頼んでいる。集計した結果をExcelに貼ってグラフにする作業を、毎週同じように繰り返している——。データベースはあるのに数字を見るまでに手間がかかる会社では、こうした状況が起こりがちです。Redash(リダッシュ)は、SQLで書いた集計をブラウザの画面でグラフにし、ダッシュボード(複数のグラフを並べた画面)として社内で共有するための、無料で使えるオープンソースのBIツールです。

一度書いた集計を決まった間隔で自動で更新できるため、同じ抽出を繰り返す手間を減らせます。ただし万能ではなく、SQLを書く人が社内にいることが前提で、開発の体制も買収を機に変わっています。本記事では、データの活用を任された情報システムの担当者に向けて、Redashでできること、Metabaseとの違い、開発の状況とライセンス、導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Redashとは

公式のGitHubでは、Redashを、SQLを使う人がデータを探し、集計し、グラフにして共有するための道具だと説明しています。その結果を、組織の誰もが使えるようにすることが狙いです。*1 中心にあるのはクエリ(データベースへの問い合わせ文)で、クエリの結果からグラフを作り、グラフを並べてダッシュボードにします。

モニターの上半分の集計と下半分の棒グラフにカーソルを合わせる手元

  • 画面はすべてWebブラウザで開き、ダッシュボードはURLで共有できます
  • クエリを書く画面では、テーブルの一覧を見ながら入力候補を使って書けます
  • 決めた間隔でクエリを自動で実行し、グラフとダッシュボードを最新に保てます
  • データが決めた条件を満たしたときに知らせるアラートの機能があります
  • MySQL・PostgreSQL・BigQueryなど、35種類を超えるデータソースにつなげます*1

クエリと結果をセットで共有できるので、ほかの人が集計の中身を確かめられる点も特徴です。逆に言えば、集計の起点はSQLです。SQLを書ける人が社内にいない会社では、使いこなしにくい道具でもあります。

Metabaseとの違い

同じオープンソースのBIツールとして比べられることが多いのがMetabaseです。Metabaseは、SQLを知らない人でも画面の操作で問いを立てられることを特徴に挙げています。*8 2つの違いは機能の多さよりも、誰が集計の起点になるかにあります。

RedashとMetabaseの違い
項目 Redash Metabase
集計の起点 SQLで書いたクエリ 画面の操作で作る問い(SQLも使える)
ライセンス BSD-2-Clause オープンソース版はAGPL、商用版は別のライセンス
開発元のクラウド版 2021年11月に終了し、自社で動かす 有料のクラウド版がある
開発の体制 有志の保守担当によるコミュニティ運営 オープンソース版と商用版を同じリポジトリで公開

SQLを書ける担当者が集計を作り、ほかの部署はダッシュボードを見るという分担ならRedash、現場の担当者が自分で問いを立てたいならMetabase、という分け方が目安です。Metabaseの構築についてはMetabaseで社内BIをセルフホスト構築で扱っています。

開発の状況とライセンス

Redashを選ぶときに最初に確かめたいのが、開発の体制です。Redashを開発していた会社は、2020年6月にDatabricksに買収されました。*4 その後、開発元が運営していたクラウド版は2021年11月30日に終了しました。利用者は、DatabricksのSQL機能へ移るか、オープンソース版を自社で動かすよう案内されています。*5

Redashの開発の流れを年表で示した図。2020年6月にDatabricksが開発元を買収、2021年11月にクラウド版の提供を終了、2023年4月にコミュニティ主導へ移行、2025年1月に新しい版のv25.1.0を公開、2026年9月に13件のセキュリティ修正を含むv26.9.0を公開。

  • 2023年4月:創設者が、Redashをコミュニティ主導の開発に切り替えると発表しました。保守担当は7人の有志で始まっています*3
  • 2025年1月:2021年11月のv10.1.0以来となる新しい版、v25.1.0が公開されました
  • 2026年9月:13件のセキュリティの修正を含むv26.9.0が公開され、すべての環境で更新が勧められています*2
  • ライセンスはBSD-2-Clauseです。著作権の表示と免責の文を残せば、改変や再配布ができます*1

つまり、Redashは開発元の企業が保守する製品ではなく、有志が支えるオープンソースとして続いています。新しい版は出ていますが、版と版の間が3年ほど空いた時期もありました。使う会社の側で、セキュリティの修正が出たら更新する体制を持っておくことが前提になります。

導入の進め方

Redashの導入は、サーバーを用意する作業よりも、誰が何を見るかを決める作業のほうが大切です。次の4つの段階で進めると、権限を後から作り直さずに済みます。

小型ラックの薄型サーバーに青いLANケーブルを差す技術者とワゴンのノートPC

  • ステップ1:見たい数字と、クエリを書く人・ダッシュボードを見る人を決める
  • ステップ2:Linuxのサーバーを用意する(公式は最低4GBのメモリを勧めています)
  • ステップ3:データソースをつなぎ、グループごとに使えるデータソースを分ける
  • ステップ4:自動更新の間隔と、版の更新・バックアップの担当を決める

Redashは、画面を返すサーバー、クエリを裏で実行する処理、RedisとPostgreSQLという部品を組み合わせて動きます。*6 権限は利用者のグループに対して、データソースごとに「すべて使える」か「見るだけ」かを付ける仕組みです。特定のテーブルだけを見せたい場合は、データベースの側でそのテーブルだけ読める利用者を作り、それをデータソースとして登録するよう公式は案内しています。*7

外部に頼むときに確認しておきたい点

Redashはライセンス費用がかかりませんが、構築と保守は自社か委託先で持つことになります。開発元のクラウド版が無いため、構築や運用を外部に頼むときは次の点を見積もりの前に確かめておきます。

  • どこまで頼むか:サーバーの用意、データソースの接続、権限の設計、ダッシュボードの作成のうち、どれを任せるか
  • 権限の設計:部署ごとに見せてよいデータを決め、データベース側の利用者とグループの対応表を残すか
  • 版の更新:セキュリティの修正が出たとき、誰がいつ更新し、更新の前に動作をどう確かめるか
  • バックアップ:Redashが使うPostgreSQLを、どこへどの頻度で保存し、どう戻すか
  • 続けるかの見直し:開発の動きを定期的に確かめ、ほかのBIツールへ移る判断をいつするか

特に版の更新は後回しになりやすい点です。2026年9月の版には、見るだけの権限の利用者がクエリの実行の制限をすり抜けられる問題の修正も含まれていました。*2 古い版を使い続けると、こうした権限の抜け道が残ったままになります。

まとめ:Redashで確かめておきたい3つの点

Redashで集計の共有を始めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、クエリを書く人とダッシュボードを見る人の分担を決めること。第二に、開発元の企業ではなく有志が保守するオープンソースだと理解し、版を更新する体制を持つこと。第三に、部署ごとに見せてよいデータを、グループとデータソースの単位で分けておくことです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、更新の止まった古い版を使い続けていた」という事態を避けやすくなります。構築や運用の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Redashの構築では、Linuxのサーバー上に、Redashの画面とクエリを実行する処理、Redis、PostgreSQLを公式の構成に合わせて組み、通信をHTTPSに限って公開します。設計の段階では、部署ごとに見せてよいデータを整理し、データベース側の読み取り専用の利用者、Redashのグループ、データソースの対応を決めます。社内アカウントとの連携では、SAML 2.0やGoogleのログインを使うか、Redash自体のパスワードでのログインを止めるかを合わせて判断します。運用では、セキュリティの修正が出たときの更新手順と、PostgreSQLのバックアップと戻し方を文書にし、検証用の環境で動作を確かめてから本番を更新します。

よくある質問

Windowsのサーバーで動かせますか

利用者は、ChromeやFirefoxなどのブラウザがあればOSを問わず使えます。*9 ただし、Redashを自社で動かすにはLinuxのサーバー(または仮想マシンやコンテナ)が必要です。Windowsのサーバーしか無い場合は、仮想マシンを用意するかを最初に決めておきます。

社内のアカウントでログインできますか

GoogleのアカウントやSAML 2.0に対応した認証の仕組みでログインできます。*10 公式は、全員がこれらでログインするなら、Redash自体のパスワードでのログインを止めることを勧めています。ログインの方法が2つ残ると、利用者が迷いやすくなるためです。

条件を変えて使うクエリも自動で更新できますか

条件を入力して使うパラメータ付きのクエリは、いまのところ自動更新の対象になりません。*11 定期的に動かしたい場合は、RedashのAPIと外部の定期実行の仕組みを組み合わせる方法が案内されています。自動更新したい集計は、パラメータを使わない形で作っておくと運用が楽になります。

社内のデータ活用基盤づくりのご相談

RedashなどのBIツールの構築から、権限の設計、版の更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:getredash/redash(GitHub)README・LICENSE(https://github.com/getredash/redash)。出典:Redashの説明、主な機能、35種類を超えるデータソースへの対応、ライセンス(BSD-2-Clause)を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:getredash/redash(GitHub)Releases(https://github.com/getredash/redash/releases)。出典:v10.1.0(2021年11月)、v25.1.0(2025年1月)、v26.9.0(2026年9月・13件のセキュリティの修正)の公開を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:getredash/redash(GitHub)Discussions「A New Chapter as a Community-Led Project」(https://github.com/getredash/redash/discussions/5962)。出典:2023年4月のコミュニティ主導への切り替えの発表、7人の有志の保守担当の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Databricks Blog「Welcoming Redash to Databricks」(https://www.databricks.com/blog/2020/06/24/welcoming-redash-to-databricks.html)。出典:DatabricksによるRedash(開発会社)の買収の発表を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Redash Knowledge Base「Hosted Redash End of Life」(https://redash.io/help/faq/eol/)。出典:クラウド版(app.redash.io)の2021年11月30日の終了と移行先の案内を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Redash Knowledge Base「Setting up a Redash Instance」(https://redash.io/help/open-source/setup/)。出典:最低4GBのメモリの推奨、APIサーバー・バックグラウンドの処理・Redis・PostgreSQLの構成を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Redash Knowledge Base「Permissions & Groups」(https://redash.io/help/user-guide/users/permissions-groups/)。出典:グループとデータソースによる権限、Full access と View Only、テーブル単位の制限の考え方を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:metabase/metabase(GitHub)README(https://github.com/metabase/metabase)。出典:SQLを知らなくても問いを立てられる機能、クラウド版、オープンソース版(AGPL)と商用版のライセンスを参照(2026年10月確認)
  9. *9 参考:Redash Knowledge Base「FAQ: General」(https://redash.io/help/faq/general/)。出典:利用者のブラウザとOS、自社で動かす場合のLinuxのサーバーの記述を参照(2026年10月確認)
  10. *10 参考:Redash Knowledge Base「Authentication Options (SSO, Google OAuth, SAML)」(https://redash.io/help/user-guide/users/authentication-options/)。出典:Googleのログイン、SAML 2.0、パスワードでのログインを止める推奨を参照(2026年10月確認)
  11. *11 参考:Redash Knowledge Base「How to schedule a query」(https://redash.io/help/user-guide/querying/scheduling-a-query/)。出典:パラメータ付きのクエリの定期実行に対応していないこと、APIと定期実行の仕組みを使う案内を参照(2026年10月確認)




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