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phpIPAMでIPアドレス台帳を構築する5つのポイント
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- phpIPAMはIPアドレスとサブネットの台帳をWebで管理する、無料のオープンソースです。
- ラックや配線までを対象にするNetBoxとは役割が違い、IPアドレスの重複や空きの把握に向いています。
- 構築では台帳の整理と権限を先に決め、更新とバックアップの担当を最初に決めておきます。
※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
このIPアドレスは誰が使っているのか、Excelの台帳を見ても分からない。新しい機器に割り当てたら、すでに別の機器が使っていた——。IPアドレスを表計算の台帳で管理している職場では、こうした食い違いが起こりがちです。phpIPAM(ピーエイチピー・アイパム)は、IPアドレスとサブネットの割り当てをWebの画面で管理するための、無料で使えるオープンソースのソフトウェアです。
どのサブネットに空きがあるか、どのアドレスを何に割り当てたかを1つの画面で確かめられます。ただし万能ではなく、ラックや配線まで含めたネットワーク全体の構成を管理したい場合は、別の選択肢が合うこともあります。本記事では、IPアドレスの管理を任された情報システムの担当者に向けて、phpIPAMでできること、NetBoxとの違い、構築するときの5つのポイント、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
phpIPAMとは
phpIPAMは、IPアドレス管理(IPAM:IP Address Managementの略)のためのWebアプリケーションです。開発元はGitHubのREADMEで、軽くて簡単なIPアドレス管理の仕組みを目指すと説明しています。*1 IPアドレスの台帳に役割を絞っている点が特徴です。
- オープンソースで、ライセンスはGPL v3(改変して配布するときはソースコードの公開が求められる条件つきで、自由に使えるライセンス)です*1
- IPv4とIPv6の両方のアドレスを管理できます*2
- 画面はWebブラウザで開きます。サーバー側はPHPとMySQL(またはMariaDB)という一般的な組み合わせで動きます*3
- Webサーバーは、ApacheかNginxのどちらかを使います
利用料はかかりませんが、サーバーの用意や更新、バックアップは自社で受け持ちます。READMEでは、古い版の保守用の枝分かれ(ブランチ)が「obsolete(廃止)」と示されています。*1 使い続けるには、新しい版へ順に上げていく手間を見込んでおく必要があります。
phpIPAMでできること
公式サイトの機能一覧には、IPアドレスの台帳づくりに要る機能が並んでいます。*2 Excelの台帳と比べて大きく違うのは、サブネット(ネットワークを分けた1つのまとまり)の空きを自動で表示する機能と、ネットワークを調べてアドレスが使われているかを確かめる機能です。台帳と実際のずれに早めに気づけます。

- セクションとサブネットの管理(拠点や用途ごとに分けて登録できます)
- サブネットの空きの自動表示と、使用状況を図で見せる表示
- サブネットの自動スキャンと、IPアドレスの状態の確認
- VLANとVRF(1つの物理的なネットワークを論理的に分ける仕組み)の管理
- XLSやCSVのファイルからのサブネットの取り込み
- AD・LDAP・RADIUSを使ったログインと、グループごとの閲覧・編集の権限
- IPアドレスの申請を受け付ける機能、メールでの通知、REST API(ほかのシステムからデータを読み書きする窓口)
社内からアドレスの申請を受け付ける流れも画面に載せられるので、「誰が、いつ、どのアドレスを使い始めたか」を別のメールや表で追う手間を減らせます。
NetBoxやExcel台帳との違い
IPアドレスの管理は、Excelの台帳から始める会社が多い分野です。台帳が大きくなり手作業が重くなったとき、phpIPAMのようなIPアドレス管理に絞った仕組みか、ネットワーク全体の構成を管理するNetBoxが候補に挙がります。両者の違いを公式の資料の記述で並べると次のとおりです。*1*4*5
| 項目 | phpIPAM | NetBox |
|---|---|---|
| 中心の役割 | IPアドレスとサブネットの管理。軽くて簡単な仕組みを目指す | ネットワーク基盤の「信頼できる情報源」として、あるべき状態を定める |
| 主に扱うもの | IPアドレス、サブネット、VLAN、VRF、機器、ラック | ラック、機器、ケーブル、IPアドレス、VLAN、回線、電源など |
| ネットワークへの働きかけ | サブネットの自動スキャンとIPアドレスの状態の確認ができる | ネットワーク機器には直接つながらず、データを自動化や監視の道具に渡す |
| 動く仕組み | PHPとMySQL(またはMariaDB) | PythonとDjango(Webアプリケーションを作る枠組み) |
| ライセンス | GPL v3 | Apache License 2.0 |
選ぶときは、管理したい範囲から考えると迷いません。困っているのがIPアドレスの重複や空きの把握なら、まずphpIPAMで台帳を整える、という考え方です。ラックや配線、回線まで1つの台帳にまとめたい場合の構築は、NetBoxでネットワーク構成管理を外注構築で扱っています。
構築するときの5つのポイント
phpIPAMの構築は、ソフトを入れる作業よりも、何をどの単位で登録し、誰に何を許すかを決める作業のほうが大切です。次の5つを押さえておくと、台帳を作り直さずに済みます。
- ポイント1:管理の単位を決める(拠点や用途ごとのセクションと、その下のサブネットの分け方)
- ポイント2:いまの台帳を整えてから取り込む(重複・空欄・書き方の揺れを先に直す)
- ポイント3:ログインと権限を決める(社内のアカウントとつなぐか、どのグループに編集を許すか)
- ポイント4:スキャンの範囲を決める(どのサブネットを、どのくらいの間隔で確かめるか)
- ポイント5:更新とバックアップの担当を決める(誰が、いつ、どこへ保存するか)
見落としやすいのはポイント4とポイント5です。自動スキャンは、対象のサブネットのアドレスに実際に通信して使われ方を確かめる機能なので、対象にするサブネットはネットワークの担当者と合意してから広げます。データベースについては、公式の導入手順が毎日のバックアップを勧めています。*3
もう1つ、新しく入れた直後の管理者のログイン情報は、誰でも見られるデモページと同じだとREADMEに書かれています。*1 構築の最初に管理者のパスワードを変えることは、外部に頼む場合でも最初に確かめておきたい点です。
外部に頼むときに確認しておきたい点
phpIPAMを自社のサーバーに置く場合、ライセンス費用はかかりませんが、構築と保守の手間は自社で持つことになります。構築や運用を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

- どこまで頼むか:サーバーの用意、phpIPAMの設定、台帳の取り込み、操作の説明のうち、どれを任せるか
- 台帳の移行:Excelの重複や空欄を誰が直すか。取り込む前と後の件数をどう照らし合わせるか
- ログインと権限:ADやLDAPとつなぐか。退職や異動のときに権限をどう外すか
- 公開の仕方:社内だけで使うか。前段に別のWebサーバー(リバースプロキシ)を置くときの設定を誰が確かめるか*1
- 更新とバックアップ:新しい版への更新を誰がいつ行うか。データをどこへ、どの間隔で保存するか
特に更新は、決めないまま運用に入りやすい点です。更新が止まると、古い版の弱点を放置することになります。IPアドレスに加えて、PCやソフトウェアといった資産まで管理したい場合の考え方は、GLPIでIT資産管理基盤を外注構築にまとめています。
まとめ:phpIPAMで確かめておきたい3つの点
phpIPAMでIPアドレスの台帳を整えるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、管理したい範囲がIPアドレスとサブネットに収まるかを確かめること。第二に、いまの台帳の重複と空欄を片づけ、セクションとサブネットの分け方を決めてから取り込むこと。第三に、自社のサーバーに置くなら、更新とバックアップ、管理者のパスワードの変更を誰が受け持つかを、導入の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、結局Excelの台帳に戻ってしまった」という事態を避けやすくなります。構築や移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
社内のDNSサーバーと連携できますか
機能一覧には、PowerDNSというDNSサーバーのソフトとの連携が挙がっています。*2 社内で使っているDNSの仕組みが別のものなら、REST APIを使ったつなぎ方も含めて、構築の前に連携の方法を確かめておくとよいでしょう。
Dockerで動かしてもよいですか
Docker(ソフトを動く状態のまま箱に詰めて配る仕組み)用のイメージは用意されていますが、READMEではコミュニティが保守するものと案内されています。*1 使う場合は、イメージの更新を誰が追いかけるかを、本体の版の更新と合わせて決めておくとよいでしょう。
管理者のパスワードを忘れたらどうなりますか
サーバー上で管理者のパスワードを設定し直す方法が、READMEで案内されています。*1 画面からは戻せないため、サーバーに入れる担当者と手順を、運用の資料にあらかじめ書いておくと慌てずに済みます。
IPアドレス管理の仕組みづくりのご相談
phpIPAMなどのIPアドレス管理ツールの構築から、台帳の移行、更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:phpipam/phpipam(GitHub)README・ライセンス(https://github.com/phpipam/phpipam)。出典:READMEの説明(軽くて簡単なIPアドレス管理の仕組み)、保守用ブランチの廃止の表示、初期の管理者ログイン情報、管理者パスワードの再設定、リバースプロキシ配下での設定、コミュニティ保守のDockerイメージ、GPL v3ライセンス(misc/gpl-3.0.txt)の記述を参照(2026年11月確認)
- *2 参考:phpIPAM公式サイト「Feature list」(https://phpipam.net/documents/features/)。出典:IPv4/IPv6の管理、セクションとサブネットの管理、空きの自動表示、自動スキャン、PowerDNS連携、AD・LDAP・RADIUS認証、XLS/CSVの取り込み、IP申請、REST API、VLAN・VRF管理などの機能一覧を参照(2026年11月確認)
- *3 参考:phpIPAM公式サイト「Installation」(https://phpipam.net/documents/installation/)。出典:ApacheまたはNginx、MySQL、PHPの要件と、データベースの毎日のバックアップを勧める記述を参照(2026年11月確認)
- *4 参考:netbox-community/netbox(GitHub)README・ライセンス(https://github.com/netbox-community/netbox)。出典:ネットワーク基盤の信頼できる情報源としての役割、ネットワーク機器と直接やり取りしないこと、扱う対象(ラック・機器・ケーブル・IPアドレス・VLAN・回線・電源など)、Apache License 2.0の記述を参照(2026年11月確認)
- *5 参考:NetBox Labs「NetBox Documentation」(https://netboxlabs.com/docs/netbox/)。出典:PythonのDjangoで作られていることの記述を参照(2026年11月確認)