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2026.07.02 らしくコラム

依存関係更新の自動化を外注で進める進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

software dependency code

この記事のポイント

  • 依存関係の更新を人手だけに頼ると、既知の脆弱性への対応やサポート終了バージョンからの移行が遅れます。
  • GitHub DependabotとRenovateは、いずれも更新プルリクエストを自動生成しますが、グルーピングや自動マージの設定範囲が異なります。
  • 自動化はCIテスト・破壊的変更(メジャーバージョン更新)への対応・通知量の設計とセットで導入する必要があります。

依存関係更新を放置すると何が起こるか

automated pull request

依存関係更新の自動化とは、アプリケーションが利用するライブラリ・パッケージの新バージョンを継続的に検知し、更新用のプルリクエストを自動で作成する仕組みを指します。GitHubは自社が提供するDependabotについて「Dependabot version updatesは、依存関係を最新の状態に保つための自動化されたプルリクエストである。脆弱性の有無にかかわらず更新する」と説明しています*1

STEP1 新版検知 ・脆弱性検知 STEP2 PR自動生成 STEP3 CIテスト STEP4 レビュー STEP5 マージ運用
依存関係更新を自動化する場合の基本フロー

依存関係の更新を後回しにする主な理由は、既知の脆弱性が公表された時点でアプリケーションが対応済みバージョンに追随できていないことです。GitHubは、脆弱性を含む依存関係を検知した場合の仕組みについて「Dependabotは、修正版へアップグレードすることが依存関係グラフを壊さずに可能かどうかを確認する」とし、対応できる場合にセキュリティアップデート用のプルリクエストを作成すると説明しています*2。この仕組みが機能するには、リポジトリ側で脆弱性アラートを有効にしていることが前提になります。

更新を長期間止めた場合の問題は、脆弱性だけではありません。メジャーバージョンが複数世代分積み重なると、1回の更新作業で影響を受けるAPIやインターフェースの範囲が広がります。バージョン間の差分が大きくなるほど、更新に伴う動作確認の範囲も広がるため、こまめな更新の積み重ねに比べて作業の見通しが立てにくくなります。サポート終了(EOL)を迎えたバージョンを使い続けている場合は、新たに見つかった脆弱性に対する修正パッチ自体が提供されない状態になります。

これらの問題に共通するのは、更新作業自体の難易度が「先送りした期間」に応じて増していく点です。依存関係の数が数十から数百に及ぶ規模のプロジェクトでは、どのライブラリが古いか、どれに脆弱性があるかを人手で棚卸しする作業自体が負荷になります。自動化はこの棚卸しと更新提案の生成を継続的に行う仕組みとして位置づけられます。

DependabotとRenovate — 仕組みの違い

依存関係更新を自動化する代表的なツールが、GitHubが提供するDependabotと、Mend(旧WhiteSource)が開発するオープンソースツールのRenovateです。両者はいずれも新バージョンを検知して更新用のプルリクエストを作成する点は共通していますが、設定の粒度に違いがあります。

Dependabotは、リポジトリ内の.github/dependabot.ymlで設定します。GitHubの公式ドキュメントは、更新確認の頻度について「schedule.intervalでdaily(平日毎日)またはweeklyなどの間隔を指定する」形式を示しています*3。また、対象とする依存関係を絞るignore設定、同時に開くプルリクエスト数の上限を定めるopen-pull-requests-limitも、dependabot.ymlの設定項目として案内されています*3

Renovateは、GitHub・GitLab・Bitbucketなど複数のプラットフォームに対応する点と、設定の柔軟性が特徴です。Renovate公式ドキュメントは、ツールの機能を「依存関係とロックファイルを更新するプルリクエストを取得できる」「Renovateがプルリクエストを作成するタイミングをスケジュール設定することで通知の量を減らせる」と説明しています*4。RenovateはpackageRulesという設定項目で、パッケージ名・依存関係の種別・更新の種類(メジャー・マイナー・パッチ)ごとに異なる挙動を指定できます*5

グルーピング(複数の更新を1つのプルリクエストにまとめる機能)についても、両者は別々の仕組みを持ちます。RenovateはgroupNameで更新をグループ化する設定を提供しており*5、細かい単位でグループを分けたり、特定のパッケージ群だけをまとめたりする調整が可能です。Dependabotもdependabot.yml内でグループ機能を提供しており、対象とする依存関係の条件を指定してグループにまとめられます*3。どちらのツールを選ぶかは、GitHub単体での運用かマルチプラットフォーム対応が必要か、設定の細かさをどこまで求めるかによって判断が変わります。

CIテストと破壊的変更にどう向き合うか

依存関係更新の自動化は、プルリクエストを作成するところまでを担う仕組みです。作成されたプルリクエストが実際にマージされるかどうかは、CI(継続的インテグレーション)のテスト結果に依存します。テストが自動化されていないプロジェクトでは、更新プルリクエストが作成されても、動作確認を人手で行う工程が残るため、更新の速度は結局人手のペースに縛られます。

自動マージ(automerge)は、テストに合格した更新を人の承認なしにマージする機能です。Renovate公式ドキュメントは、自動マージを有効にする際の判断基準として「どのみち自分でマージを選ぶような更新に対して有効にする」という考え方を示しています*6。同ドキュメントは、開発時のみ使う依存関係(devDependencies)やロックファイルの保守作業を、自動マージの対象として比較的リスクが低い例として挙げています*6

一方で、メジャーバージョンの更新は破壊的変更(互換性のない変更)を伴う可能性があるため、自動マージの対象から外す判断が一般的です。Renovateの設定では、matchUpdateTypesで更新の種類を指定し、マイナー・パッチ更新のみを自動マージ対象にして、メジャー更新はプルリクエストの作成のみに留め、レビューを経てマージする運用が可能です*5*6。破壊的変更を含むメジャー更新では、CIのテストが通過していても、リリースノートや変更履歴を確認する工程を残すことが、想定外の不具合を防ぐ実務上の対処になります。

CIのテストカバレッジが薄いプロジェクトでは、テストが通過したことをもって「問題なく更新できた」と判断すること自体のリスクが残ります。依存関係更新の自動化を導入する前提として、更新対象の主要な機能を検証できるテストが用意されているかどうかを確認しておく必要があります。

通知量を抑える運用設計

code security

依存関係更新の自動化を導入した直後によく起こる問題が、更新プルリクエストの数が多すぎて、開発チームがどれに対応すべきか判断できなくなる状態です。依存関係の数が多いプロジェクトでは、1回のスケジュール実行で数十件のプルリクエストが同時に作成されることもあります。

この状態を避ける対処が、更新頻度の調整とグルーピングです。更新確認の間隔を毎日ではなく週次に変更する、関連する依存関係群を1つのプルリクエストにまとめる、パッチ・マイナー更新は自動マージにして目視確認の対象から外すといった設定を組み合わせることで、対応が必要なプルリクエストの数を絞り込めます。

重大度による優先順位づけも欠かせません。既知の脆弱性を修正するセキュリティアップデートと、機能追加を含まない通常のバージョン更新を同列に扱うと、優先度の判断が難しくなります。セキュリティアップデートは検知から対応までの期間を短く設定し、通常のバージョン更新は週次や月次でまとめて処理するという切り分けが、通知量を抑えながら脆弱性対応の速度を落とさない運用につながります。

通知量の設計を誤ると、開発チームが更新プルリクエストの通知を確認しなくなり、結果として自動化を導入した目的そのものが失われます。ツールを導入すること自体ではなく、どの更新を自動マージし、どの更新を人の目に残すかという設計判断が、運用が続くかどうかを分けます。

外注の委託範囲と発注側が準備する情報

依存関係更新の自動化を外部パートナーに委託する場合、委託範囲は初期構築と継続運用の2段階に分かれます。初期構築では、DependabotとRenovateのどちらを採用するかの選定、dependabot.ymlまたはRenovateの設定ファイルの作成、グルーピング・自動マージ範囲の設計、CIパイプラインとの連携確認を行います。

初期構築を内製で行う場合、対象言語・パッケージマネージャーごとの依存関係管理の特性の把握、既存のCI環境の設定変更、どの更新を自動マージ対象にするかというリスク判断という複数分野の知識が必要になります。特に、破壊的変更を伴うメジャー更新の扱いをどう設計するかには、複数プロジェクトでの運用経験が影響します。

継続運用では、運用開始後に発生する誤検知や更新失敗への対応、グルーピング設定の見直し、新しい依存関係が追加された際の設定調整といったチューニングを継続します。依存関係更新の自動化は一度設定すれば完成する仕組みではなく、プロジェクトの依存関係構成が変化するのに合わせて設定を調整し続ける前提があります。

発注側が準備しておく情報としては、対象リポジトリの言語・パッケージマネージャーの一覧、既存のCI環境(利用しているサービス・パイプラインの構成)、現在のコードレビュー体制、脆弱性対応の社内フロー(誰が承認するか)が挙げられます。これらの情報が事前に整理されているほど、設定ファイルの作成とCI連携の初期構築を短い期間で進めやすくなります。

LASSICは、システム開発の受託・保守運用を行う中で、CI/CDパイプラインの構築や既存システムの継続的な保守運用を担ってきました。DependabotやRenovateの設定から自動マージ範囲の設計、運用開始後のチューニングまで、開発チームの実情に合わせた導入を支援する体制を整えています。

まとめ:依存関係更新の自動化を外注で進める3つの判断軸

本稿では、依存関係更新の自動化について整理しました。要点を3つに集約すると次の通りです。第一に、依存関係更新を放置すると既知の脆弱性への対応が遅れ、バージョン間の差分が積み重なるほど更新作業の難易度が上がります。第二に、DependabotとRenovateはいずれも更新プルリクエストを自動生成しますが、対応プラットフォームやグルーピング・自動マージ設定の細かさに違いがあり、プロジェクトの要件に応じた選定が必要です。第三に、外注時は初期構築(ツール選定・設定ファイル作成・CI連携)と継続運用(グルーピング調整・破壊的変更への対応)を分けて委託範囲を定義し、発注側は対象リポジトリの言語・CI環境・脆弱性対応フローを事前に整理しておくことが、導入を円滑に進める前提になります。

よくある質問

DependabotとRenovateはどちらを選べばよいですか。

対応プラットフォームと設定の細かさで判断します。GitHub単体での運用であればDependabotの標準機能で足りる場合が多く、GitLabやBitbucketを含む複数プラットフォームを使う場合や、グルーピング・自動マージの条件を細かく制御したい場合はRenovateが選択肢になります。どちらも更新プルリクエストを自動生成する点は共通しています。

自動マージはすべての更新に設定してよいですか。

すべての更新を自動マージの対象にすることは推奨されません。破壊的変更を伴う可能性があるメジャーバージョンの更新は、CIテストが通過していてもレビューを経てマージする運用が一般的です。パッチ・マイナー更新やロックファイルの保守作業など、比較的リスクが低い更新から自動マージの対象を検討することが実務上の進め方です。

CIのテストが整っていない場合でも自動化を導入できますか。

更新プルリクエストの作成自体は導入できますが、テストが整っていない状態では、更新に問題がないかの確認を人手で行う工程が残ります。依存関係更新の自動化から効果を得るには、更新対象の主要な機能を検証できるテストの整備を合わせて進める必要があります。

更新プルリクエストの通知が多すぎて対応が追いつかない場合はどうすればよいですか。

更新確認の頻度を毎日から週次に変更する、関連する依存関係をグルーピングして1つのプルリクエストにまとめる、パッチ・マイナー更新は自動マージにして目視確認の対象から外すといった設定の見直しが対処になります。脆弱性修正のセキュリティアップデートは優先度を上げ、通常のバージョン更新と切り分けて扱うことも有効です。

依存関係更新の自動化の設定は外注後も見直しが必要ですか。

見直しが必要です。プロジェクトで使う依存関係の構成は時間とともに変化するため、グルーピングの範囲や自動マージの対象は、運用状況に合わせて継続的に調整する前提があります。初期構築時に設定した内容のまま固定して運用を続けることは想定されていません。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

LASSICに相談するメリット

LASSICはシステム開発の受託・保守運用を通じて、CI/CDパイプラインの構築や既存システムの継続的な保守運用に携わってきました。DependabotやRenovateの設定から自動マージ範囲の設計、運用開始後のチューニングまで、開発チームの体制に合わせて支援します。


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  1. *1 出典:GitHub「About Dependabot version updates」(https://docs.github.com/en/code-security/dependabot/dependabot-version-updates/about-dependabot-version-updates
  2. *2 出典:GitHub「About Dependabot security updates」(https://docs.github.com/en/code-security/dependabot/dependabot-security-updates/about-dependabot-security-updates
  3. *3 出典:GitHub「Configuring Dependabot version updates」(https://docs.github.com/en/code-security/dependabot/dependabot-version-updates/configuring-dependabot-version-updates
  4. *4 出典:Mend「Renovate Docs」トップページ(https://docs.renovatebot.com/
  5. *5 出典:Mend「Configuration Options」Renovate Docs(https://docs.renovatebot.com/configuration-options/
  6. *6 出典:Mend「Automerge」Renovate Docs(https://docs.renovatebot.com/key-concepts/automerge/


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