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2026.07.09 らしくコラム

グリーンIT・サステナビリティの省電力対応を外注

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

再生エネルギーのイメージ

この記事のポイント

  • グリーンIT・サステナブルITとは、データセンターやクラウドの利用にともなう電力消費とCO2排出を抑える取り組みを指します。
  • AWS・Microsoft・Google Cloudは、それぞれ自社サービスの利用に伴う排出量を可視化するツールを提供しています。
  • 省電力・ペーパーレス・機器のライフサイクル管理を組み合わせつつ、社内対応と外部委託の使い分けを検討する必要があります。

グリーンIT・サステナブルITとは、可視化・省電力・最適化・開示の4段階で進める取り組み

省電力データセンターのイメージ

グリーンIT・サステナブルITとは、データセンターやクラウド、社内IT機器の利用にともなう電力消費とCO2排出を抑え、企業の環境負荷を下げる取り組みを指します。経済産業省・資源エネルギー庁は、データセンターの電力需要が今後増える見通しを示し、稼働効率を示す指標PUE(Power Usage Effectiveness、データセンターの電力使用効率を表す指標)を用いた基準の導入を進めています*5

図
図:グリーンIT・サステナブルIT推進の4ステップ(可視化→省電力→最適化→開示)

取り組みは大きく4つの段階に整理できます。第一に、クラウドやサーバーの使用状況を可視化し、CO2排出量を把握します。第二に、サーバー・データセンターの省電力化を進める段階です。

第三に、リソースの使用量を必要な範囲まで最適化します。第四に、把握した数値をESG(環境・社会・ガバナンス)報告など社外への開示に活用する流れです。

グリーンITは主に情報システムそのものの省エネ化を指す言葉として使われることがあります。一方でサステナブルITは、IT部門の運用全体を持続可能にする考え方を含む、より広い言葉です。本稿では両者を合わせて、IT領域における環境配慮の取り組みとして扱います。

データセンターの電力需要増加とPUE規制——対応が迫られる背景

グリーンIT・サステナブルIT対応が急がれる背景には、データセンターの電力需要増加があります。資源エネルギー庁は、2029年度以降に新設するデータセンターについて、稼働開始から2年後のPUEを1.3以下にする基準の導入を進めています*5。既存のデータセンターについても、2030年度に事業者平均でPUE1.4以下という目標が示されています*5

電力効率の基準づくりと並行して、企業のCO2排出量そのものを開示させる制度も動いています。環境省は温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度、温対法に基づき事業者に排出量の算定と報告を義務付ける制度)を平成18年4月から運用しており、温室効果ガスを相当程度排出する事業者に算定・報告を義務付けています*6

SHK制度の直接対象になる事業者は限られますが、取引先や親会社からサプライチェーン全体の排出量データを求められる場面は増えています。データセンターやクラウドの利用状況もその対象に含まれるため、IT部門が排出量を把握できる体制を整える必要性が高まっているといえます。

サーバー・データセンターの省電力とリソース最適化

サーバーやデータセンターの省電力化は、機器そのものの電力効率を高める対応と、使用量を必要な範囲に抑える対応の両方から進めます。前者は電源管理機能の活用や高効率な機器への切り替えが中心です。後者はサーバーの使用率に応じた稼働台数の調整が中心になります。

クラウド環境では、仮想サーバーの使用率を継続的に確認し、稼働時間が短い環境を停止・縮小することが有効です。使用していないディスクやIPアドレスなど、稼働していないリソースの解放も見落としやすい対応といえます。

これらの対応は、コスト最適化の取り組みと重なる部分があります。ただし本稿で扱うグリーンIT・サステナブルITの観点では、電力消費量とCO2排出量の抑制を主な目的として位置づけます。

AWS・Azure・Google Cloudのカーボン可視化ツールを比較する

クラウドを利用する企業が排出量を把握するには、各クラウドが提供するカーボン可視化ツールの活用が実務的な出発点になります。AWS・Microsoft・Google Cloudは、それぞれ自社サービスの利用に伴う排出量を確認できる機能を用意しています。

AWSは、旧Customer Carbon Footprint Toolの機能をAWS Sustainabilityというサービスに統合しました。Scope1・2・3(事業者自身の直接排出・購入した電力等に伴う排出・サプライチェーン全体の排出を区分する国際的な分類)の排出量を、リージョンやサービス単位で確認できます*1

Microsoftは、Azure向けのEmissions Impact DashboardをPower BI上で提供してきましたが、2027年3月31日をもって退役する予定です*2。後継としてAzure Carbon Optimizationへの移行が案内されており、排出量の可視化や削減提案などの機能が用意されています*2*3

Google CloudはCarbon Footprintというダッシュボードを提供しています。市場ベース・場所ベースという2つの算定方式でGHGプロトコル(温室効果ガスの算定・報告に関する国際的な基準)に沿った排出量を確認でき、追加のAPI有効化なしで利用できます*4。3社の機能を整理すると次の通りです。

項目 AWS Sustainability Microsoft(Azure) Google Cloud Carbon Footprint
対応スコープ GHGプロトコルのScope1・2・3*1 Scope1・2・3(Emissions Impact Dashboardで提供)*2 Scope1・2・3、市場ベース・場所ベースの2方式*4
現状の位置づけ 旧CCFTを統合した現行サービス*1 Power BI版は2027年3月末に退役予定*2 継続提供中、BigQueryへの連携に対応*4
利用方法 AWSのコンソール上で確認*1 後継のAzure Carbon Optimizationへ移行*3 追加のAPI有効化なしで利用可能*4

いずれのツールも、自社のクラウド利用に紐づく排出量の把握が目的です。複数クラウドを併用する企業では、ツールごとに算定方法や提供形態が変わる可能性がある点を踏まえ、集計方法をあらかじめ整理しておく必要があります。

ペーパーレス化と機器のライフサイクル管理——ハード面の環境負荷と開示の関係

環境配慮ITのイメージ

データセンターやクラウドだけでなく、社内のIT機器や紙の使用量もグリーンIT・サステナブルITの対象です。契約書・請求書・社内資料の電子化は、印刷にかかる紙・インク・輸送の負荷を抑える取り組みとして位置づけられます。

PC・サーバーなどの機器は、製造段階と廃棄段階でも環境負荷が発生します。使用期間を必要以上に短くせず、リユース・リサイクルの仕組みを整えることも、機器のライフサイクル管理の一部といえます。

欧州で導入されたCSRD(企業のサステナビリティ情報開示に関する指令)のように、自社だけでなくサプライチェーン全体の環境データ開示を求める規制が広がっています。国内でも環境省のSHK制度*6のように、排出量の算定・報告を求める仕組みが先行しており、IT部門が管理するデータもその対象範囲に含まれます。

内製か外注か——グリーンIT推進の工数と専門性から判断する

グリーンIT・サステナブルITの推進を内製で担うには、複数分野の知識が必要です。クラウド各社の可視化ツールの仕組み、サーバー・データセンターの構成管理、開示に使えるデータの整理方法などです*1*4*6

対応範囲が自社の一部のクラウド利用にとどまるなら、既存の運用担当者が可視化ツールを確認するだけで足りる場合もあります。複数クラウドやオンプレミス環境が混在すると、集計方法の整理や開示資料の作成まで含めた工数が大きくなりやすい状況が想定されます。

専門パートナーに委託する場合は、可視化ツールの設定支援からサーバー構成の見直し、開示用データの整理までを一括して依頼できるかどうかが選定の分かれ目になります。内製では既存担当者が通常業務と並行して対応することになり、開示対応にかけられる時間が限られる場合があります。

。クラウド構成や機器の保有状況によって必要な工数は変わるため、現状を棚卸ししたうえで内製・外注の切り分けを検討することが実務的です。

まとめ:グリーンIT・サステナブルIT推進で押さえる3つの判断軸

本稿ではグリーンIT・サステナブルITの取り組みを、AWS・Microsoft・Google Cloudの公式情報や環境省・経済産業省の制度動向をもとに整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、取り組みは可視化・省電力・最適化・開示の4段階で進めるのが実務上の基本です*1*4。第二に、データセンターの省エネ規制やSHK制度など、開示を求める仕組みが国内外で広がっています*5*6。第三に、対応範囲がクラウド1社にとどまるか複数クラウド・オンプレミスまで広がるかによって工数は変わり、内製と外注の判断材料になります。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、AWS・Azure・Google Cloudの運用保守を受託し、クラウド環境の構成調査から改善提案までを担う体制を整えています。グリーンIT・サステナブルIT対応では、各クラウドのカーボン可視化ツールの設定支援や、サーバー構成の見直しによる省電力化を支援できます。現状のクラウド構成を棚卸ししたい企業様は、まずご相談ください。

よくある質問

グリーンITとサステナブルITは同じ意味ですか。

グリーンITは主に情報システムそのものの省エネ化を指す言葉として使われることがあります。サステナブルITは、IT部門の運用全体を持続可能にする考え方を含む、より広い言葉といえるでしょう。本稿では両者を合わせて、IT領域における環境配慮の取り組みとして扱っています。

データセンターやクラウドの省電力対応は、コスト削減にもつながりますか。

電力使用量を抑える対応は、クラウド利用料や電気代の低減にもつながる可能性があります。ただしグリーンIT・サステナブルITの主眼は電力消費とCO2排出量の抑制であり、コスト面の効果は取り組みに伴う副次的な結果として捉えるのが実務的です。

AWS・Azure・Google Cloudのカーボン可視化ツールは、どのクラウドでも同じように使えますか。

3社とも自社サービスの利用に伴う排出量を可視化する機能を用意していますが、対応するスコープや提供形態、ツールの名称は変わる可能性があります*1*2*3*4。導入前に、契約中のクラウドの公式情報で最新の提供条件を確認することをお勧めします。

中小企業でもグリーンIT・サステナブルITへの対応は必要ですか。

SHK制度の直接的な対象になるのは、温室効果ガスを相当程度排出する事業者に限られます*6。ただし取引先や親会社からサプライチェーン全体の排出量データを求められる場面は増えており、対象事業者以外でも準備を進めておく価値があります。

グリーンIT・サステナブルITの推進を外注する場合、何を確認すればよいですか。

各クラウドの可視化ツールの設定範囲、サーバー構成の見直し方法、開示用データの整理方法までを一括して依頼できるかを確認します。加えて、社内のどの部門がデータ提出や意思決定を担うのかを委託先とすり合わせておくと、開示対応まで進めやすくなります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:AWS「What is AWS Sustainability?」(AWS Sustainability User Guide)(https://docs.aws.amazon.com/sustainability/latest/userguide/what-is-sustainability.html
  2. *2 出典:Microsoft「Overview of Emissions Impact Dashboard」(Microsoft Learn、退役告知)(https://learn.microsoft.com/en-us/industry/well-architected/sustainability/emissions-impact-dashboard-overview
  3. *3 出典:Microsoft「Carbon optimization in Azure」(Microsoft Learn)(https://learn.microsoft.com/en-us/azure/carbon-optimization/
  4. *4 出典:Google Cloud「View Carbon Footprint data」(Google Cloud Documentation)(https://docs.cloud.google.com/carbon-footprint/docs/view-carbon-data
  5. *5 出典:経済産業省・資源エネルギー庁 データセンターの省エネ規制(PUE基準)に関する審議会資料まとめ(PPPT 政策トラッカー)(https://pppt.jp/councils/meti-sho-energy/m/data-center-energy-efficiency-regulation
  6. *6 出典:環境省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」(https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/


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