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2026.06.30 らしくコラム

スマホ新法のアプリ外部課金対応を外注する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

smartphone app payment

この記事のポイント

  • スマホ新法(スマホソフトウェア競争促進法)は2025年12月18日に全面施行され、指定事業者のアプリストアで代替課金や外部課金への誘導が認められる方向に変わりました。
  • 外部課金対応のアプリ改修は、決済導線の追加・手数料や会計処理の見直し・審査要件の確認が絡み、要件整理を起点に進めることが工数とリスクの両面で合理的です。
  • 外注先の選定では、Apple・Googleの最新の対応方針を追える知見と、決済連携・審査対応の実装経験を確認することが重要です。

スマホ新法とアプリの外部課金対応とは

mobile app store

スマホ新法とは、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」(通称:スマホソフトウェア競争促進法)を指します*1。公正取引委員会によると、同法は令和7年(2025年)12月18日に全面施行されました*1。モバイルOS・アプリストア・ブラウザ・検索エンジンの4つを「特定ソフトウェア」と位置づけ、市場で大きな影響力を持つ事業者に対して公正な競争環境を整えるためのルールを定めています*1

アプリ事業者にとって特に関係が深いのが、アプリストアの課金まわりのルールです。これまで一部のアプリストアでは、アプリ内の有料コンテンツ販売にストア標準の課金システムの利用が事実上求められてきました。スマホ新法では、指定事業者が自社の課金システム以外の利用を妨げることや、アプリ外の購入導線(外部リンク等)の表示を制限することが禁止される方向に整理されています*1*2。これが「外部課金対応」が注目される背景です。

指定事業者と対象となる特定ソフトウェア

公正取引委員会は令和7年(2025年)3月26日に、規制の対象となる「指定事業者」を公表しました*1。公式の発表では、Apple Inc.(モバイルOS・アプリストア・ブラウザ)、iTunes株式会社(アプリストア)、Google LLC(モバイルOS・アプリストア・ブラウザ・検索エンジン)が指定されています*1。対象となる特定ソフトウェアは、モバイルOS・アプリストア・ブラウザ・検索エンジンの4分野です*1

規制が適用されるのは、こうした指定事業者が運営するプラットフォームです。アプリ事業者自身が規制を受ける立場になるわけではありませんが、配信先であるアプリストアのルール変更を前提に、自社アプリの決済導線や表示を見直す必要が生じます。

外部課金・代替課金・外部リンク誘導の用語整理

外部課金まわりの用語は混同されやすいため、本稿では次のように整理します。「代替課金(サードパーティ課金)」は、ストア標準の課金システムに代えてアプリ内で別の決済手段を組み込む方式を指します。「外部リンク誘導(アウトリンク)」は、アプリ内からWebサイト等の外部ページへ遷移させ、そこで購入してもらう方式です。いずれも、ストア標準課金に限定されてきた従来の運用からの変更点にあたります。

どの方式が、どのストアで、どのような条件で認められるかは、各プラットフォームの公式ガイドラインに従う必要があります。条件は変更される可能性があるため、実装方針を固める前に、各社の最新の公式情報を確認することが前提になります。

要件整理 対象アプリと 課金導線を 棚卸し 方式選定 代替課金か 外部リンクか を判断 外注先選定 決済連携と 審査対応の 経験を確認 開発・審査 実装・テスト とストア審査 を並走 運用・改善 手数料や 規約変更を 継続確認
外部課金対応の外注5ステップ:要件整理→方式選定→外注先選定→開発・審査→運用・改善

外部課金対応で発生するアプリ改修の範囲

外部課金対応の改修は、決済画面に決済手段を1つ追加するだけでは完結しないことが多く、決済導線・会計処理・審査対応の複数領域にまたがります。いずれかが抜けると、リリースできない、あるいは運用が回らない状況が生じます。

決済導線・課金システムの実装

代替課金を選ぶ場合は、アプリ内に外部の決済サービスを組み込み、購入処理・領収書発行・返金処理・購入復元(リストア)などの機能を実装します。サブスクリプション型の商品では、更新・解約・無料トライアルの状態管理も設計対象になります。ストア標準課金と外部決済を併存させる構成では、ユーザーがどちらで購入したかを記録し、後続のサポート対応に備える仕組みも必要です。

外部リンク誘導を選ぶ場合は、アプリ内からWebの購入ページへ遷移させ、決済後にアプリ側の権利付与(コンテンツのアンロック等)を連携させる仕組みを設計します。アプリとWebをまたぐため、ユーザー認証やアカウント連携、決済完了の検知をどう実装するかが論点になります。

手数料・会計・税務まわりの見直し

課金経路が増えると、入金経路や手数料の構造が変わります。各経路の売上・手数料を区分して集計できるよう、会計連携や売上計上のロジックを見直す必要が生じることがあります。各ストアの手数料率や、外部課金を利用した場合の手数料の扱いは各社の規約・発表に基づいて変動するため、自社の収益試算は最新の公式情報をもとに行ってください。本稿では具体的な手数料率は記載しません。

消費税の取り扱いや、外部決済事業者との契約・入金サイクルなど、会計・税務に関わる論点も発生します。これらは法令・会計基準の適用判断を伴うため、税理士・会計士などの専門家に確認することをお勧めします。

ストア審査・ガイドライン対応

外部課金や外部リンクを実装したアプリは、各ストアの審査ガイドラインに沿って表示・導線を整える必要があります。許容される表現・必要な開示・ユーザーへの注意喚起などは、各社が公式に定める要件に従います。要件を満たさないと審査でリジェクト(差し戻し)される可能性があるため、実装と並行して審査要件を確認する進め方が現実的です。ガイドラインは更新されることがあるため、開発着手時点の最新版を確認してください。

Apple・Googleの対応方針と確認すべきポイント

スマホ新法の施行に合わせて、指定事業者であるAppleとGoogleはそれぞれ対応方針を示しています。報道によると、両社とも代替課金や外部課金への誘導を認める方向で仕組みを整える一方、その条件や手数料の体系は各社で異なるとされています*3。実装方針を固める際は、報道や要約ではなく、各社の開発者向け公式ドキュメントを一次情報として確認してください。

iOS(App Store)側で確認すること

iOS向けでは、外部決済や外部リンク誘導に関する仕組み(外部購入リンク等)の利用条件、申請手続き、表示要件、手数料の扱いを、Appleの開発者向け公式情報で確認します。利用にあたって権利(エンタイトルメント)の申請が必要なケースや、対象地域・対象アプリの条件が定められているケースがあります。具体的な数値や条件は変更される可能性があるため、最新の公式ドキュメントを基準にしてください。

Android(Google Play)側で確認すること

Android向けでは、代替課金(ユーザー選択型の課金や外部リンク)の提供条件、対象国・対象アプリの範囲、申請の要否、手数料の扱いをGoogle Playの開発者向け公式情報で確認します。報道では、外部課金へのリンク表示を可能にする仕組みが整えられるとされていますが*3、具体的な適用条件は公式ガイドラインに従う必要があります。

方針が変わりうる前提で設計する

外部課金まわりのルールは、施行直後で各社の運用や条件が更新される局面にあります。実装を一度作り切る発想ではなく、ガイドライン変更に追従しやすい設計(決済処理の抽象化、設定値の外部化など)を意識すると、後続の改修コストを抑えやすくなります。法令やガイドラインの適用判断に迷う点は、弁護士・専門家への確認を前提にしてください。

外注を選ぶべきケース・内製で対応できるケース

外部課金対応を内製で進めるか、外部に開発外注するかは、自社の開発体制・決済実装の経験・対象アプリの規模によって判断が分かれます。

内製で対応しやすいケース

社内に継続的にアプリを開発・保守するエンジニアがおり、決済機能の実装やストア審査対応の経験がある場合は、内製で進めやすくなります。対象アプリが1本で、課金商品の種類も限られている場合は、改修範囲が見通しやすく、社内対応で完結することがあります。

外注を検討する目安

次のいずれかに該当する場合は、外注の検討が現実的です。判断の目安として参照してください。

  • アプリの開発を過去に外部委託しており、社内に実装を継続できるエンジニアがいない
  • 決済サービスの組み込みや、サブスクリプションの状態管理を実装した経験が社内にない
  • iOS・Androidの両方に対応する必要があり、各ストアの審査要件への対応リソースが不足している
  • 複数のアプリを抱えており、横断的に外部課金対応を進めるための工数を社内で確保できない

こうした状況では、外注先に設計・実装・審査対応を依頼し、自社は要件定義・収益方針の決定・検収に集中する進め方が、リスクと工数の両面で合理的です。

外部課金対応を外注する進め方(5ステップ)

in-app purchase phone

外部課金対応を外注する際は、以下の5ステップを順番に進めることで、着手後のやり直しや追加費用を抑えやすくなります。

ステップ1:対象アプリと課金導線の要件整理

まず、対象となるアプリと、現在の課金商品・決済導線を棚卸しします。どの商品をどの経路で販売するか、サブスクリプションか買い切りか、対象とするストア・地域はどこかを整理します。あわせて、各ストアの最新の公式ガイドラインを確認し、自社が取りうる方式の選択肢を洗い出します。

ステップ2:実装方式の選定(代替課金/外部リンク)

要件整理をもとに、代替課金とするか外部リンク誘導とするか、あるいはストア標準課金と併存させるかを決めます。方式によって実装範囲・会計処理・審査要件が変わるため、収益方針と運用負荷を踏まえて判断します。手数料や入金条件の試算は、各社の公式情報をもとに行ってください。

ステップ3:外注先の選定

複数の外注先候補に提案を依頼し、評価軸に沿って選定します。外部課金対応では、決済連携とストア審査対応の実装経験、各社ガイドラインの最新動向を追える知見が重要な評価軸になります(詳細は「外注先選定の4つの評価軸」で後述します)。

ステップ4:開発・テスト・ストア審査

設計・実装・単体テスト・結合テストを進めます。決済処理は金額に直結するため、購入・更新・解約・返金・購入復元の各シナリオを網羅的にテストすることが重要です。実装と並行して、各ストアの審査要件への適合を確認し、リジェクトを受けた場合の修正余地をスケジュールに織り込んでおきます。

ステップ5:運用とガイドライン変更への追従

リリース後は、各経路の売上・手数料・問い合わせ状況をモニタリングします。スマホ新法に関連する各ストアのルールは今後も更新される可能性があるため、ガイドライン変更を継続的にキャッチし、必要に応じて改修する体制を整えておきます。外注先がこうした追従対応を保守契約に含められるかを、契約時に確認しておくとよいでしょう。

外注の費用感と期間の目安

外部課金対応のアプリ改修にかかる費用と期間は、対象アプリ数・課金商品の種類・実装方式・対応ストアの数によって大きく異なります。以下は一般的な市場参考値であり、一次資料に基づく公表数値ではありません。実際の見積もりは外注先への個別照会が必要です。

改修規模の目安 対象・内容 市場参考費用(税込) 期間目安
小規模 単一アプリに外部リンク誘導を追加。
買い切り商品が中心
数十万円程度 1〜2ヶ月
中規模 外部決済サービスを組み込み。
サブスクリプションの状態管理を含む
数百万円規模 3〜6ヶ月
大規模 iOS・Android両対応で代替課金と既存課金を併存。
会計連携・複数アプリ横断対応
数千万円規模以上 6ヶ月〜1年以上

上記はあくまでも参考値です。実際の費用は、対象アプリの技術スタック・既存コードの整備状況・外注先の工数見積もりによって変動します。複数社から見積もりを取得し、内訳を比較することをお勧めします。

審査期間とスケジュールの考え方

ストア審査は提出から結果が出るまで一定の時間がかかり、リジェクトを受けると再提出が必要になります。実装完了からリリースまでに、審査・再提出の往復を見込んだ余裕を確保しておくことが望ましいです。年度末や繁忙期に合わせてリリースしたい場合は、審査の遅延リスクを織り込んでスケジュールを後ろ倒しに設計してください。

外注先選定の4つの評価軸

外部課金対応の外注先を選ぶ際は、一般的なアプリ開発の評価軸に加えて、決済・審査・法令動向に関する特有の確認が必要です。以下の4つの軸で評価することをお勧めします。

決済連携・課金実装の経験

外部決済サービスの組み込みや、サブスクリプションの状態管理、購入復元・返金処理を実装した経験があるかを確認します。決済は金額とユーザー体験に直結するため、テスト方針やエラーハンドリングの考え方まで提案書で説明できる外注先は、取りこぼしのリスクが低い傾向があります。

ストア審査・ガイドライン対応の知見

App StoreおよびGoogle Playの審査要件を理解し、外部課金・外部リンクに関する各社の最新ガイドラインを追えているかを確認します。スマホ新法に関連するルールは更新されうるため、公式の一次情報を継続的に確認する姿勢があるかどうかが評価のポイントです。

保守・ガイドライン変更への追従体制

リリース後に各ストアのルールが変わった場合の改修対応や、問い合わせ窓口・対応時間・SLA(サービスレベル合意)を契約に明記できるかを確認します。一度作って終わりではなく、変更に追従できる保守体制を持つ外注先を選ぶことが、長期的な運用の安定につながります。

元請(プライムベンダー)としての責任体制

複数のサブベンダーを使う開発体制では、プロジェクト全体の進捗管理・品質管理を誰が一元的に担うかが重要です。元請(プライムベンダー)として責任を持って受託し、発注者が個別のサブベンダーと直接交渉しなくてよい体制を整えているかを確認してください。窓口を一本化し、改修全体を統括できる外注先を選ぶことが、プロジェクトリスクの低減につながります。

まとめ:外部課金対応外注の3つの判断ポイント

本稿では、スマホ新法に伴うアプリの外部課金対応を開発外注で進める方法について、改修範囲・各社の対応方針・ステップ・費用・外注先選定を整理しました。要点を3つにまとめます。

第一に、改修範囲の確定が出発点です。決済導線・会計処理・ストア審査の3領域を棚卸しし、どの商品をどの経路で販売するかを文書化することが、正確な見積もりと工数管理の前提になります。

第二に、Apple・Googleの対応方針は各社の公式ドキュメントを一次情報として確認してください。手数料率や適用条件は変更されうるため、報道や要約だけで方針を固めず、最新の公式情報を基準にすることが重要です。

第三に、外注先選定では決済実装と審査対応の経験、ガイドライン変更への追従体制を優先して評価してください。法令やガイドラインの適用判断に迷う点は、弁護士・税理士などの専門家への確認を前提とすることで、リスクを抑えながら対応を進められます。

よくある質問

スマホ新法はいつ施行され、誰が規制の対象ですか。

公正取引委員会によると、スマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)は令和7年(2025年)12月18日に全面施行されました。規制の対象となる指定事業者として、令和7年3月26日にApple Inc.・iTunes株式会社・Google LLCが公表されています。規制を受けるのはこれら指定事業者が運営するプラットフォームで、アプリ事業者は配信先のルール変更を前提に自社アプリを見直す立場になります。詳細は公正取引委員会の公式情報を確認してください*1

外部課金に対応すると、ストアに支払う手数料はどうなりますか。

各ストアの手数料率や、外部課金を利用した場合の手数料の扱いは、各社の規約・発表に基づいて定められ、変更される可能性があります。本稿では具体的な数値は記載していません。収益試算を行う際は、AppleおよびGoogleの開発者向け公式ドキュメントで最新の条件を確認することをお勧めします。会計・税務の取り扱いについては、税理士などの専門家への確認をお勧めします。

代替課金と外部リンク誘導は、どちらを選べばよいですか。

どちらが適しているかは、販売する商品の種類・収益方針・運用負荷・各ストアの最新ガイドラインによって異なります。代替課金はアプリ内で決済が完結する一方で実装範囲が広くなりやすく、外部リンク誘導はWebとの連携設計が論点になります。どの方式がどのストアで認められるかは公式ガイドラインに従う必要があるため、要件整理の段階で外注先と相談して選定することをお勧めします。

外部課金対応のアプリは、ストア審査で差し戻されることはありますか。

各ストアの審査ガイドラインで定められた表示・導線・開示の要件を満たさない場合、審査で差し戻し(リジェクト)を受ける可能性があります。ガイドラインは更新されることがあるため、開発着手時点の最新版を確認し、実装と並行して審査要件への適合を点検する進め方が現実的です。再提出を見込んだスケジュールを確保しておくとよいでしょう。

外部課金対応の改修と、法令面の判断はどこまで外注先に任せられますか。

アプリの設計・実装・ストア審査対応は外注先に依頼できますが、スマホ新法や関連ガイドラインの適用判断、契約・会計・税務に関わる判断は法的・専門的な領域にあたります。これらは弁護士・税理士などの専門家への確認を前提とし、外注先には実装と各社公式情報の確認を担ってもらう、という役割分担が現実的です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

LASSICに相談するメリット

LASSICは元請(プライムベンダー)として、アプリの開発から保守運用までを受託しています。スマホ新法に伴う外部課金対応では、課金導線の要件整理から実装方式の選定、決済連携の実装・テスト、ストア審査への対応までを一気通貫で支援する体制を整えています。各ストアのガイドライン変更への追従を含めた継続的な保守をご希望の場合も、お気軽にご相談ください。法令・会計・税務に関わる判断は専門家と連携して進めます。


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  1. *1 出典:公正取引委員会「スマホソフトウェア競争促進法(スマホ法)」(令和7年12月18日全面施行/指定事業者は令和7年3月26日公表)
  2. *2 出典:e-Gov法令検索「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律
  3. *3 出典:ITmedia NEWS「スマホ新法、きょう施行 Google Playの“課金”周りはどう変わる? 変更点を整理」(2025年12月18日)


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