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2026.07.06 らしくコラム

Strapiでヘッドレスcms基盤を外注構築

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

コンテンツ管理のイメージ

この記事のポイント

  • Strapi(ヘッドレスCMS)と従来型CMSの違い、コンテンツタイプビルダーとREST/GraphQL APIの仕組みを整理します。
  • Web・モバイル・デジタルサイネージなど複数フロントへの一元配信と、権限管理の考え方を解説します。
  • セルフホストとStrapi Cloudの違い、外注・内製の判断軸を具体的に示します。

Strapiとは何か・ヘッドレスCMSの基本像

API開発のイメージ

Strapiとは、コンテンツの管理画面(管理パネル)とコンテンツの配信先(フロントエンド)を分離して構築できるオープンソースのヘッドレスCMSを指します*1。公式ドキュメントは「開発者が好みのツールやフレームワークを自由に選べるオープンソースのヘッドレスCMS」と位置づけています*1

ヘッドレスCMSとは、コンテンツの入力・保存を担う管理画面(バックエンド)と、そのコンテンツを実際に表示する画面(フロントエンド)が分かれているCMSの形態です。管理画面側は「本体(ヘッド)を持たない」構成で、コンテンツはAPIを通じて外部に渡され、表示方法はフロントエンド側が自由に決めます。

この構成により、Webサイトの見た目に縛られずコンテンツだけを一元管理できるようになります。IT事業部がコーポレートサイト・モバイルアプリ・その他の表示先を同時に運用している企業では、コンテンツ管理基盤を1つに統合する狙いでStrapiが検討対象になります。

図
StrapiによるヘッドレスCMS基盤構築の5ステップ

従来型CMSとの違い・管理画面と配信の分離

WordPressのような従来型CMSは、コンテンツの管理画面とWebページの表示テンプレートが1つのシステム内に統合されています。テーマやプラグインを通じてページの見た目を制御でき、専門知識がなくても比較的短期間でWebサイトを立ち上げられる点が強みです。

これに対しStrapiは、管理パネルはコンテンツの入力・公開管理だけを担い、表示側のテンプレートを持ちません。取得したコンテンツをどう表示するかは、Next.js・Astro・Nuxt.js・React Native等のフロントエンド側の実装がすべて決定します*2

この分離により、Webサイトのデザインを刷新してもコンテンツ管理側の設定を変える必要がなくなります。反面、フロントエンドの実装自体は別途構築する必要があるため、単純なコーポレートサイト1つだけを作る用途では従来型CMSの方が着手コストは低くなる場面もあります。複数チャネルへの同時配信を前提とする場合に、ヘッドレス構成の利点がより大きくなります。

コンテンツタイプビルダーで設計するデータ構造

Strapiでコンテンツの構造を定義する機能がContent-Type Builder(コンテンツタイプビルダー)です。公式ドキュメントでは「コンテンツタイプとコンポーネントを設計するためのツール」と説明されており、管理パネルの画面上からコードを書かずに項目を追加・編集できます*3

コンテンツタイプには大きく3種類があります。複数のエントリを持つ「Collection Type」(例:ブログ記事、製品情報)、1つのエントリだけを持つ「Single Type」(例:トップページ設定、会社概要)、そして複数のコンテンツタイプで再利用できる部品である「Component」です*3

各フィールドにはテキスト・数値・日付・真偽値・メディア・リレーション(他のコンテンツタイプへの関連付け)など多様な型が用意されています*3。この柔軟さにより、記事のような一般的なコンテンツだけでなく、製品カタログや店舗情報のような業務データもStrapi上で一元管理できるようになります。

ただし、コンテンツタイプの設計は後からの変更が難しくなる場合があります。フィールドの型や必須項目・リレーションの方向性をどう設計するかは、運用開始後の使い勝手を大きく左右するため、要件整理の段階で情報設計に一定の時間をかける必要があります。

REST APIとGraphQL APIによるコンテンツ配信

Strapiで作成したコンテンツをフロントエンドに渡す方法が、REST APIとGraphQL APIです。公式ドキュメントは「コードを1行も書かずに数分でREST APIやGraphQL APIを利用できる」としており、コンテンツタイプを作成した時点でAPIエンドポイントが自動生成されます*4

REST APIはStrapiの標準機能としてデフォルトで有効になっているのに対し、GraphQL APIはGraphQLプラグインを追加でインストールすることで利用可能になります*5。GraphQLプラグインを導入すると、Apollo Server(GraphQLサーバーの実装ライブラリ)をベースにしたGraphQL Sandboxという検証環境も使えるようになります*5

Strapi内部の設計では、REST/GraphQL APIは外部公開用の最上位レイヤーで、その下にバックエンド開発・プラグイン開発向けのDocument Service API、さらに低レベルなQuery Engine APIという階層があります*6。フロントエンド開発者はREST APIかGraphQL APIのどちらか、あるいは両方を選んで利用する形になります。

複数のAPI方式を選べる自由度は利点ですが、どちらを採用するかでフロントエンド側の実装方法・キャッシュ戦略・クエリの組み方が変わってきます。既存のフロントエンド技術スタックや取得したいデータの粒度に応じて、着手前にAPI方式を決める必要があります。

Web・モバイル・サイネージへの複数チャネル配信

ヘッドレスCMSの中心的な利点は、1つのコンテンツ管理基盤から複数の配信先へ同じコンテンツを届けられることです。Strapi公式サイトは「1つのCMSであらゆるデバイスに」というコンセプトを掲げ、Web・モバイルアプリ・その他デバイスへの配信を想定した設計を紹介しています*2

具体的には、コーポレートサイトはNext.jsやAstroで構築し、モバイルアプリはReact NativeやFlutterで開発するといった構成でも、コンテンツの入力元はStrapiの管理パネル1つに統一できます*2。編集者が1回コンテンツを更新すれば、各フロントエンドが同じAPIからその更新を取得します。

デジタルサイネージのような特殊な配信先についても、REST APIやGraphQL APIからJSON形式でコンテンツを取得できる以上、技術的には同じ仕組みで対応できます。サイネージ表示用のアプリケーションがStrapiのAPIエンドポイントを呼び出す実装を持てば、Webサイトと同じコンテンツ基盤から情報を配信する構成が組めます。

複数チャネルに同一コンテンツを配信する設計は運用上の利点が大きい一方、チャネルごとに求められる文字数・画像サイズ・表示速度の制約は異なります。コンテンツタイプの設計時に、どのチャネルでどの項目を使うかを想定しておくことが、後の手戻りを防ぐポイントになります。

ロールベースの権限管理と編集ワークフロー

Webアプリ開発のイメージ

Strapiの管理パネルには、RBAC(Role-Based Access Control、役割に基づくアクセス制御)による権限管理機能があります*7。デフォルトでは自分のコンテンツのみ扱う「Author」、コンテンツの作成・公開まで担う「Editor」、全機能にアクセスできる「Super Admin」というロールが用意されています*7

権限はコンテンツタイプ単位でも細かく設定でき、あるロールには「作成・読み取りのみ許可し、公開は許可しない」といった制御が可能です*7。加えて「自分が作成したコンテンツのみ編集できる」といった条件付きの権限も設定できます*7

複数の部門やグループ会社が同じStrapi環境でコンテンツを管理する場合、この権限設計が誤ると、権限を持たない担当者が誤って他部門のコンテンツを公開してしまうといった事態が起こり得ます。部門ごとの権限マトリクスを事前に整理し、ロールと権限の対応を明文化しておくことが望まれます。

セルフホストとStrapi Cloud、2つの運用形態

Strapiの実行環境には大きく2つの選択肢があります。1つは自社または委託先のサーバーにStrapiをセルフホストする手順で、公式ドキュメントは「従来型のホスティングサーバーや任意のホスティングプロバイダー」への配置に対応するとしています*8。AWS・Azure・DigitalOceanなど主要クラウドへのデプロイガイドも公式に用意されています*8

もう1つは、Strapiが提供するマネージドサービスであるStrapi Cloudを利用する手順です。公式ドキュメントは「Strapi Cloudを使うと迅速にプロジェクトをデプロイ・ホストできる」と位置づけており、サーバー管理の負担を軽減する選択肢として案内されています*8

セルフホストを選ぶ場合、本番環境向けに管理パネルをビルドする作業や、プロセスマネージャーによるサーバー起動、環境変数の設定など複数の準備作業が必要になります*8。加えて、サーバーのバージョンアップ・障害対応・可用性確保を自社(または委託先)が継続的に担う体制が求められます。

一方でStrapi Cloudを利用すれば、こうしたサーバー運用の大部分をStrapi側に委ねられますが、料金プランや制限事項は公式サイトの案内に沿って個別に確認する必要があります。データの保管場所や運用ポリシーの制約が強い企業では、セルフホストとマネージドサービスのどちらが要件に合うかを比較検討する必要があります。

外注と内製、どちらを選ぶべきかの判断軸

Strapiでコンテンツ管理基盤を内製構築するには、コンテンツタイプ設計の情報アーキテクチャ的な知見に加えて、Node.js(Strapiの実行基盤)の運用知識、REST/GraphQL APIを消費するフロントエンド側の実装スキル、権限設計やセキュリティ設定の理解が必要になります。複数フロントへの配信を前提にする場合は、フロントエンドごとの担当者との連携も欠かせません。

コンテンツタイプの設計や権限設定を誤ると、影響は表示崩れだけでは終わりません。たとえば公開権限の設定を誤ると、非公開であるべき情報がAPI経由で外部から取得可能な状態になる可能性があります。ヘッドレスCMSはAPIが外部への窓口になるため、権限設計のミスがそのまま情報漏えいのリスクにつながる点は軽視できません。

専門パートナーに外注する場合は、コンテンツタイプ設計・API公開範囲の設計・権限設計・フロントエンド連携までを一貫した体制で構築でき、内製では確保しにくいスキル領域を補えます。他方、内製する場合はStrapiの学習コストと、セルフホストであれば継続的な保守体制を自社内に維持し続ける必要があります。すでに複数フロント配信の実装経験を持つエンジニアが社内にいる企業は内製も選択肢になりますが、そうでない場合は初期のコンテンツタイプ設計・基盤構築だけを外部に依頼し、日々の記事投稿・運用は内製に引き継ぐ進め方も現実的な落とし所になります。

比較項目 Strapi(ヘッドレスCMS) WordPress等(従来型CMS)
管理画面と表示の関係 管理パネルは入力・公開管理のみを担います。
表示はフロントエンド側の実装が担います。
管理画面とテーマ(表示テンプレート)が統合されています。
設定だけで表示まで完結します。
コンテンツ配信方法 REST APIまたはGraphQL APIで配信します。
任意のフロントエンドから取得できます。
主にテーマがページを直接生成します。
API配信は追加実装が必要な場合があります。
複数チャネル対応 Web・モバイル・サイネージ等へ同一コンテンツを配信できます。
配信先ごとにフロント実装が必要です。
Webサイト表示を主眼に設計されています。
他チャネル配信は別途の対応が必要です。
着手のしやすさ コンテンツタイプ設計とフロント実装の両方が必要です。
単一サイト用途では手数が増えます。
テーマ選定だけで比較的短期間に立ち上げられます。
単一サイト用途に向きます。

まとめ:Strapi導入で確認すべき3つの判断軸

本稿ではStrapiによるヘッドレスCMS基盤構築の基本概念と実務上の論点を整理しました。要点を3つに集約すると、第一に管理画面と表示を分離することで複数チャネルへの同時配信が可能になること、第二にコンテンツタイプビルダーとREST/GraphQL APIの設計が運用のしやすさを左右すること、第三にセルフホストかStrapi Cloudかで運用負荷の分担が変わることが挙げられます。

導入方式を検討する際は、配信予定のチャネル数・社内のAPI実装経験・セルフホストかマネージドサービスかという選択を踏まえ、初期構築と継続運用のどちらを外部パートナーに委ねるかを具体的に検討する必要があります。

LASSICに相談するメリット

LASSICはIT事業部として、システムの保守・運用を元請で受託する体制を整えています。ヘッドレスCMSのようにコンテンツ管理基盤とフロントエンド実装の両方を見据えた設計が求められる領域でも、要件整理から構築・運用引き継ぎまでを一貫して支援できる点が強みです。Strapiのコンテンツタイプ設計や複数フロントへの配信構成まで、貴社の既存システムに合わせてご提案します。

よくある質問

StrapiとWordPressはどちらを選ぶべきですか。

配信先がWebサイト1つに限られる場合は、テーマ選定だけで完結するWordPressの方が着手は早くなります。一方、Webサイトに加えてモバイルアプリやその他のチャネルへ同じコンテンツを配信したい場合は、API経由で配信できるStrapiのようなヘッドレスCMSが選択肢になります。配信先の数と将来の拡張予定を基準に検討する必要があります。

Strapiの利用にライセンス費用はかかりますか。

Strapi本体はオープンソースソフトウェアとして無償で利用できます*1。ただし、セルフホストする場合はサーバー費用や保守人件費が発生し、Strapi Cloudを利用する場合は同社の料金プランに応じた費用が発生します。詳細な料金は公式サイトの案内で確認する必要があります。

REST APIとGraphQL APIはどちらを使うのが適切ですか。

REST APIはStrapiの標準機能として追加設定なしで利用でき、シンプルな取得処理に向いています*5。GraphQL APIはプラグインの追加インストールが必要になりますが*5、必要なフィールドだけを指定して取得できるため、複数チャネルで異なるデータ粒度を求める場合に適します。フロントエンド側の技術構成に合わせて選ぶのが実務的です。

既存のWebサイトからStrapiへ移行するのは大掛かりな作業になりますか。

移行規模はコンテンツ量とフロントエンドの作り直し範囲によって変わります。コンテンツタイプの設計・既存データの移し込み・フロントエンド側のAPI接続実装という複数の工程が発生するため、事業規模に応じた計画的な進め方が必要です。段階的に一部コンテンツから移行を始める進め方も現実的な選択肢になります。

複数の担当者でコンテンツを編集する場合、権限管理は複雑になりますか。

StrapiのRBAC機能により、コンテンツタイプ単位・操作単位(作成・読み取り・更新・削除・公開)で権限を細かく分けられます*7。部門ごとに担当するコンテンツタイプを分けたロールを事前に設計しておけば、複数担当者での運用でも権限の混乱は抑えられます。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Strapi「Introduction to the Strapi CMS」(https://docs.strapi.io/cms/intro
  2. *2 出典:Strapi公式サイト(https://strapi.io/
  3. *3 出典:Strapi「Content-type Builder」(https://docs.strapi.io/cms/features/content-type-builder
  4. *4 出典:Strapi「Customizable REST and GraphQL API」(https://strapi.io/features/customizable-api
  5. *5 出典:Strapi「GraphQL plugin」(https://docs.strapi.io/cms/plugins/graphql
  6. *6 出典:Strapi「Content API」(https://docs.strapi.io/cms/api/content-api
  7. *7 出典:Strapi「Users, Roles & Permissions」(https://docs.strapi.io/cms/features/rbac
  8. *8 出典:Strapi「Deployment」(https://docs.strapi.io/cms/deployment


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