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2026.08.19 らしくコラム

構造化出力とは|AIの回答を決まった形式で

生成AIに問い合わせ内容を分類させ、その結果をそのまま業務システムに取り込みたい。ところが、AIの答えは毎回すこしずつ書き方が変わり、プログラムでうまく読み取れない——。生成AIを業務の仕組みに組み込もうとすると、こうした「出力のばらつき」に手を焼くことがあります。ここで役立つのが「構造化出力(Structured Outputs)」です。AIの回答を、自由な文章ではなく、あらかじめ決めた形式にそろえて返させる。だから、その答えをそのまま次の処理へ渡せるようになります。

「JSONモード」などと呼ばれることもありますが、ねらいはシンプルです。AIの回答を「人が読む文章」から「システムが扱えるデータ」へと整える、それが構造化出力の役割になります。本記事では、生成AIの業務組み込みを検討する情報システム部門や事業部門の担当者に向けて、構造化出力とは何か、ふつうの出力やプロンプトの工夫とどう違うのか、どんな場面で役立つのか、注意点や外注の勘所を整理します。

AIの回答を決まった形式で受け取る構造化出力のイメージ

構造化出力とは——回答を決まった形式でそろえる

構造化出力とは、生成AIの回答を、自由な文章ではなく、あらかじめ決めた形式に沿って返させる仕組みを指します。ここでいう形式とは、「どんな項目を、どんな種類の値で返すか」という取り決めのことです。たとえば、問い合わせの文章をAIに渡し、「製品名」「種類」「緊急度」という項目で結果を受け取る、といった具合になります。返ってくるのは整った文章ではなく、項目と値が決まった並びのデータです。だからこそ、そのままプログラムで読み取り、次の処理へ受け渡せるわけです。

身近なたとえでいえば、自由記述のアンケートと、選択式の記入用紙の違いに近いかもしれません。自由記述は書き手によって表現がばらつき、集計するには読み解く手間がかかるものです。いっぽう、項目と選択肢が決まった記入用紙なら、そのまま数えて処理できます。構造化出力は、AIの回答を後者のような「そろった形」にするための仕組みです。人が読むための文章ではなく、システムが扱うためのデータを受け取りたい——そんな場面で効いてきます。

この記事のポイント

  • 構造化出力は、AIの回答を決めた形式(項目と型)にそろえて返させ、そのままシステムで扱えるようにする仕組みです。
  • プロンプトで例を示してお願いする方法より、形式を守らせる度合いが高いのが特徴になります。
  • 形式がそろっても中身が正しいとはかぎらないため、値の検証や誤りへの備えが要ります。

ふつうの出力との違い

構造化出力の値打ちは、ふつうの出力と並べると、はっきりします。全体像を図にまとめました。

構造化出力とふつうの自由な文章の出力の違いを示す図

ふつうの生成AIの出力は、人が読むための自由な文章です。読みやすく、説明も添えてくれる一方、書き方は毎回すこしずつ変わります。人が目で見る分には問題なくても、プログラムで決まった箇所を取り出そうとすると、この「ゆらぎ」が壁になりがちです。文章の途中に必要な情報が紛れていたり、言い回しが違ったりすると、うまく取り込めません。これに対して構造化出力は、決めた項目と型で回答が返るため、どこに何が入っているかが毎回そろいます。取り出す側は、迷わず目的の値を読めるわけです。要するに、ふつうの出力が「人向けの読みもの」なら、構造化出力は「システム向けのデータ」だと捉えると分かりやすいでしょう。

プロンプトで「お願い」するだけとの違い

「決まった形式で返して」とプロンプトに書けばよいのでは、と思うかもしれません。たしかに、プロンプトの工夫で形式の例を示し、その形で返すよう頼むことはできます。手軽に試せるため、まずはこの方法から入るのも一つの手でしょう。ただし、これはあくまで「お願い」であり、AIがいつもその形式を守るとはかぎりません。ときに余計な説明が付いたり、項目が抜けたり、形式が微妙に崩れたりするのです。少量なら人が直せても、大量に、自動で処理するとなると、この崩れは無視できません。

いっぽう、構造化出力の機能は、受け取りたい形式(項目や型の取り決め)をあらかじめ指定し、その形を守らせる度合いを高めるものです。プロンプトでの例示が「そうしてくれると助かる」という依頼だとすれば、構造化出力は「この型で返す」という約束に近い、といえます。もちろん、どこまで厳密に守られるかは、使うAIやサービスの機能によって変わるのです。それでも、崩れにくさという点では、プロンプトで頼むだけよりも一段、頼りになります。自動処理に組み込むなら、こうした仕組みを使う値打ちがあるわけです。

業務での使いどころ

構造化出力は、AIの回答を「そのまま業務に流したい」場面で持ち味を発揮します。代表的な使いどころを整理しました。

場面 やること 受け取る形式の例
問い合わせの仕分け 内容を分類し担当へ振る 種類・緊急度・担当区分
書類からの項目抽出 申請書などから値を取り出す 日付・金額・氏名など
レビューの集計 感想を評価軸ごとに整理 項目ごとの評価・要約

一つ目は、問い合わせの仕分けです。届いた文章をAIに読ませ、種類や緊急度、担当区分といった項目で受け取れば、その結果をそのまま振り分けの処理へ渡せます。二つ目は、書類からの項目抽出です。申請書や帳票の内容から、日付や金額、氏名といった値を決まった形で取り出せば、システムへの登録がはかどります。AI-OCRで読み取った内容を、構造化出力で整えるといった組み合わせも考えられます。三つ目は、レビューや感想の集計です。ばらばらな自由文を、評価軸ごとの項目に整理して受け取れば、集計や分析に載せやすくなります。いずれも、「AIの答えを人が読む」のではなく、「AIの答えを仕組みが処理する」点が共通しています。

つまずきやすい難所

構造化出力は便利な一方で、過度に頼りすぎると足をすくわれます。知っておきたい難所を挙げましょう。一つ目は、形式が合っても中身が正しいとはかぎらない、という点です。項目と型がそろっていても、その値そのものが誤っていることはあります。もっともらしく見えて事実と違う、いわゆるハルシネーションは、形式を整えても消えないのです。受け取った値の中身は、別途あらためて確かめる姿勢が要ります。二つ目は、複雑すぎる形式の扱いです。項目を細かく、入れ子を深くしすぎると、AIがうまく形式を守れず、失敗しやすくなります。まずは必要な項目に絞るのが賢明です。三つ目は、決めた形式に載らない情報の行き先です。想定していなかった内容が来たとき、どの項目に入れるのか、あるいは「該当なし」をどう表すのかを、あらかじめ決めておく必要があります。四つ目は、AIやサービスによる対応の差です。構造化出力の機能や、守らせる度合いは、使うものによって異なります。前提とするAIを踏まえて設計することが欠かせません。

外注時に確認しておきたい点

生成AIの業務組み込みを外部に委託する場合は、構造化出力について次の点をすり合わせておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。まず、どんな項目を、どんな型で受け取りたいのか、という形式の設計です。ここが、後段のシステムで使いやすいかどうかを大きく左右します。業務でその値をどう使うのかを起点に、過不足のない形式を一緒に決めていきたいところです。欲張って項目を増やしすぎると、かえって失敗が増えるため、まずは要となる項目に絞る判断も大切になります。

次に、中身の正しさをどう担保するかです。形式がそろっていても値が誤ることはあるため、受け取った値を検証する仕組みや、人が確認する工程をどこに挟むかを、あわせて設計してもらえると心強いところです。加えて、想定外の内容が来たときの振る舞いや、どのAI・サービスを前提にするのかも取り決めておきましょう。形式の設計から、値の検証、運用までを見通して相談できると、任せたあとのつまずきを抑えやすくなります。

まとめ:構造化出力で押さえる3つの視点

構造化出力は、生成AIの回答をシステムで扱えるデータへと整える、実務的な仕組みです。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、構造化出力はAIの回答を決めた形式(項目と型)にそろえて返させ、そのまま次の処理へ渡せるようにするものであり、ふつうの自由な文章の出力とは、そこが違うこと。第二に、プロンプトで例を示してお願いする方法より、形式を守らせる度合いが高く、自動処理への組み込みに向くこと。第三に、形式がそろっても中身の正しさは別問題であり、値の検証や誤りへの備え、形式を絞る工夫が要ることです。この3点を押さえておけば、「AIの答えがそのまま使えない」という悩みに、道筋を立てて向き合えます。形式の設計や検証に不安があれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、元請(プライムベンダー)として生成AIの活用から業務システムへの組み込みまでを一貫して受託しています。どんな項目を、どんな型で受け取るかという形式の設計から、値を検証する仕組み、想定外への備え、そして運用までを、分断せずに対応できるのが強みです。どこから手を付けるべきか、現状把握の段階からご相談いただけます。

よくある質問

構造化出力と、プロンプトで形式を指定するのは同じですか。

似ていますが、守らせる度合いが異なります。プロンプトで例を示してお願いする方法は手軽な反面、AIが形式を崩すことがあります。構造化出力の機能は、受け取りたい形式をあらかじめ指定し、その形を守らせる度合いを高めるものです。自動で大量に処理するなら、後者のほうが崩れにくく頼りになります。

構造化出力にすれば、答えの中身も正しくなりますか。

正しくなるわけではありません。構造化出力がそろえるのは「形式」であって、「中身の正しさ」ではないのです。項目と型が整っていても、その値がもっともらしく誤っている、いわゆるハルシネーションは起こりえます。受け取った値の中身は、別に検証する仕組みや人の確認と組み合わせることをおすすめします。

JSONモードという言葉を聞きました。構造化出力と同じですか。

近い意味で使われます。JSONモードは、AIの回答をJSONというデータ形式で返させる機能を指すことが多く、構造化出力を実現する代表的なやり方の一つです。呼び名や細かな仕様は使うAI・サービスによって異なりますが、「回答を決まった形式でそろえて受け取る」という考え方は共通しています。

どんな業務で役立ちますか。

AIの回答をそのまま業務システムに流したい場面で役立ちます。問い合わせを種類や緊急度で仕分ける、申請書から日付や金額を取り出す、レビューを評価軸ごとに整理するなどが代表例です。いずれも、AIの答えを人が読むのではなく、仕組みが処理する用途で持ち味を発揮します。

形式は複雑にするほどよいのですか。

むしろ逆のことが多いといえます。項目を細かくし、入れ子を深くしすぎると、AIが形式を守りきれず、失敗しやすくなります。まずは業務で本当に要る項目に絞り、シンプルな形式から始めるのが現実的です。運用しながら、必要に応じて項目を足していくとよいでしょう。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

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  1. *1 参考:OpenAI「Structured Outputs」(https://platform.openai.com/docs/guides/structured-outputs)。構造化出力の一般的な解説の参考として。


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