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2026.10.23 らしくコラム

SuiteCRMとは?できることと自社導入の判断ポイントを解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

受話器を手に取りながらノートPCの顧客一覧にカーソルを合わせる営業担当の手元

この記事の結論

  • SuiteCRMはSugarCRMの無償版を土台に生まれたオープンソースのCRMで、AGPLバージョン3のもと無料で使えます。
  • いまは長期サポート版の7系と、作り直した8系があり、8系は新しい版へ上げ続ける体制が前提になります。
  • 版の更新を担う人が社内にいなければ、開発元のホスティングか外部の会社への依頼を選ぶと運用が止まりにくくなります。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

顧客の情報が担当者ごとの表計算やメールに散らばっていて、誰が何を約束したのか分からない。有料のCRMは利用者の数だけ費用が増える——。営業や問い合わせの情報を扱う現場では、こうした悩みが起こりがちです。SuiteCRM(スイートシーアールエム)は、顧客との関係を管理するためのCRMを無料で使える、オープンソースのソフトウェアです。

顧客の記録、商談、問い合わせ、メールの配信までを1つの仕組みで扱えます。ただし万能ではなく、自社で置く場合は版の更新やバックアップを自社で受け持つことになります。本記事では、CRMの導入を検討している情報システムの担当者に向けて、SuiteCRMの成り立ちとライセンス、できること、7系と8系の違い、自社で入れるか外部に頼むかの判断、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

SuiteCRMとは

SuiteCRMは、SugarCRMというCRMの無償版(Community Edition)を土台に、イギリスのSuiteCRM社が拡張して公開しているソフトウェアです。ソースコードの冒頭には、SugarCRM社の著作権表示と並べて「SugarCRM Community Editionの拡張」であることが書かれています。*1 いまも公式の手順として、SugarCRM Community Edition 6.5の環境をSuiteCRM 7へ移す方法が案内されています。*5

  • ライセンスはAGPLバージョン3です*2。利用料はかからず、ソースコードも公開されています
  • 改変した版をネットワーク越しにほかの人へ使わせる場合は、その利用者に改変後のソースコードを受け取る機会を示す必要があります*3
  • 画面には「Powered by SugarCRM」と「Supercharged by SuiteCRM」のロゴ(難しければその文言)を残すことが条件になっています*1
  • 有料の上位版はなく、公式の利用者ガイドも、使えない機能は管理者が止めているだけで別売りではないと説明しています*4

無料で始められる一方、条件のないライセンスではありません。改修した画面を取引先や顧客にも開く場合は、ソースの扱いとロゴの表示を前もって確かめておきます。

SuiteCRMでできること

公式の利用者ガイドは、表計算やメールの受信箱、個人のメモに散らばった顧客の情報を1か所に集め、チーム全員が同じ最新の情報を見られるようにする仕組みだと説明しています。*4 取引先の記録に電話やメールの履歴がひも付く点が、表計算の台帳との違いです。

丸テーブルでタブレットの履歴一覧を2人で確かめる打ち合わせの手元

  • 顧客の管理:取引先(会社)と担当者を登録し、やり取りの履歴を1つの画面で追う
  • 営業の管理:見込み客を商談に進め、見積書・請求書・契約まで記録する
  • 問い合わせの対応:問い合わせを「ケース」として担当者に割り当て、メールから自動で起票する
  • メールの配信:配信先のリストを分けてメールを送り、開封やクリックを確かめる
  • 自動化と集計:担当の割り当てや通知をワークフローで自動にし、レポートを作って定期的にメールで送る

機能が広いので、まず「顧客の管理」と「営業の管理」から始め、使わない機能は管理者の設定で画面から隠しておくと、現場が迷いにくくなります。

SuiteCRM 7と8の違い

SuiteCRMには、いま2つの系統の版があります。長く使われてきた7系と、画面と内部を作り直した8系です。8系はAngularとSymfonyという仕組みで作り直され、外部のシステムからつなぎやすい作りになっています。2026年10月時点のGitHubでは、7系が7.15.2、8系が8.10.2です。*6

SuiteCRM 7系と8系の違い
項目 7系(7.15) 8系(8.10)
位置づけ 長く使われてきた系統。長期サポート版(ESR) 画面と内部を作り直した新しい系統
サポートの期限 不具合の修正は2027年12月まで。セキュリティの修正は2028年3月まで 期限は示されていない。次の版が出ると前の版のサポートは終わる
向いている場面 すでに7系を使っていて、当面は安定を優先したいとき これから新しく入れるとき。外部のシステムとつなぎたいとき

見落としやすいのはサポートの仕組みの違いです。長期サポート版でない版には、セキュリティの修正だけを受けられる期間がありません。実際に8.9は、8.10が出た2026年4月に通常のサポートを終えています。*7 8系を選ぶなら、新しい版へ上げ続ける体制を最初から組んでおく必要があります。

自社で入れるか外部に頼むか

SuiteCRMの置き方は、大きく3つに分かれます。開発元のREADMEは、Apache・PHP・MySQLといった標準的な技術で動くため、社内のネットワーク、パブリッククラウド、管理つきのホスティングのどれにも置けると説明しています。*6

SuiteCRMの3つの置き方
置き方 自社が受け持つこと 向いている会社
自社のサーバーやクラウドに自分で入れる 構築、版の更新、バックアップ、セキュリティの対応のすべて サーバーを運用できる担当者が社内にいる会社
開発元のホスティング(SuiteCRM Hosted) 使い方の設定とデータの中身 サーバーの運用を持ちたくない会社
外部の会社に構築と保守を頼む 何を管理するかの決定と、運用ルールの承認 自社の環境に置きたいが、担当者の手が足りない会社

開発元のホスティングは、サーバーの管理・更新・バックアップ・セキュリティを開発元が受け持つ有料のサービスで、30日間の無料の試用があります。*8 一方、社内の業務システムとつなぎたい、データを自社の環境から出せないといった事情があるなら、自社の環境に置くことになります。どの置き方でも、導入は次の4つの段階で進めると手戻りを減らせます。

SuiteCRMの導入を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 使う機能と項目を決める、STEP2 版と置き場所を決める、STEP3 顧客データを整えて移す、STEP4 更新と権限の運用を決める。

判断の目安は「版の更新を続けられる人がいるか」です。8系は新しい版へ上げ続けることが前提なので、社内に担当者がいなければ、ホスティングか外部への依頼が現実的です。別のオープンソースのCRMの例はTwentyでCRMをセルフホスト構築・外注で扱っています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

構築や移行を外部に頼む場合は、見積もりの前に次の点を確かめておきます。公式の移行手順も、本体のファイルを直接書き換えた改修は移行の後にやり直しになると注意しています。*5

機器室で小型ラックのサーバーに手を添えながらノートPCを操作する技術者

  • 版の選び方:7系と8系のどちらで組むか。8系なら、新しい版への更新を誰がどの間隔で行うか
  • 改修の置き場所:画面や項目の改修を、更新で消えない場所に分けて作るか
  • データの移行:表計算や旧システムの顧客データを誰が整え、移す前と後の件数をどう照らし合わせるか
  • ライセンスの確認:改修した画面を社外の人にも使わせるか。使わせるならソースの提供とロゴの表示をどう扱うか
  • 運用後の見直し:使われていない機能や項目を、導入後に見直す場を設けるか

営業支援システムや基幹システムとの連携まで考えている場合は、CRM・SFAの連携開発を外注する費用と進め方もあわせて参考にしてください。

まとめ:SuiteCRMで確かめておきたい3つの点

SuiteCRMの導入を考えるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、AGPLバージョン3の条件を読み、改修した画面を社外に開放するかどうかを先に決めること。第二に、7系と8系のどちらを使うかを、サポートの期限と更新の手間から選ぶこと。第三に、版の更新とバックアップを誰が受け持つかを決め、社内で持てなければホスティングか外部への依頼を選ぶことです。この3点を踏まえておけば、「無料だと思って入れたが、更新が止まったまま古い版を使い続けていた」という事態を避けやすくなります。構築や移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

SuiteCRMの構築では、公式の互換表に合わせてPHP・Apache・MySQL(またはMariaDB)の版を選び、通信をHTTPSに限ったうえで公開します。設計の段階では、7系と8系のどちらで組むか、利用者の役割ごとの閲覧と編集の権限、使う機能と画面から隠す機能を、お客様の業務の流れを見ながら決めます。改修は版の更新で消えない場所に分けて作り、AGPLの条件(ソースの扱いとロゴの表示)に沿っているかを確かめます。移行では、表計算や旧システムの顧客データの重複と空欄を洗い出し、移す前と後で件数を照らし合わせます。運用では、版の更新とバックアップの手順を文書にして、サポート期限の前に次の版への更新を計画します。

よくある質問

SuiteCRMとSugarCRMは同じものですか

別の製品です。SuiteCRMはSugarCRMの無償版を土台に、SuiteCRM社が拡張して公開しているもので、開発も提供も別の会社が行っています。SugarCRMの無償版6.5を使っている場合は、SuiteCRM 7へ移すための公式の手順があります。

社内だけで使う場合もソースコードを公開する必要がありますか

AGPLバージョン3が改変後のソースの提供を求めるのは、改変した版をネットワーク越しに利用者へ使わせる場合です。改修する場合は、誰にどこまで使わせるかを決めたうえで、ライセンスに詳しい専門家に確かめておきます。

導入にはどのくらいの期間がかかりますか

期間は、使う機能の範囲と、移す顧客データの量や整い方で大きく変わります。ソフトウェアを入れる作業そのものよりも、管理する項目を決めることと、既存のデータを整えることに時間がかかる場合が多いため、その2つを最初の見積もりに含めて考えると見通しを立てやすくなります。

オープンソースのCRM導入のご相談

SuiteCRMなどのオープンソースのCRMの構築から、顧客データの移行、版の更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:SuiteCRM(GitHub)ソースコードのヘッダーとLICENSE.txt(https://github.com/SuiteCRM/SuiteCRM)。出典:index.php冒頭の著作権表示(SugarCRM Community Editionの拡張であること、AGPLバージョン3、Powered by SugarCRM と Supercharged by SuiteCRM のロゴ表示の条件)を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:SuiteCRM Documentation「Licensing」(https://docs.suitecrm.com/8.x/admin/licensing/)。出典:SuiteCRMがAGPLバージョン3で公開されていることを参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Free Software Foundation「GNU Affero General Public License version 3」(SuiteCRMのLICENSE.txtに同梱)(https://www.gnu.org/licenses/agpl-3.0.html)。出典:第13条(ネットワーク越しの利用者への改変後ソースの提供)を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:SuiteCRM Documentation「User Guide: Introduction」(SuiteCRM 8)(https://docs.suitecrm.com/8.x/user/getting-started/introduction/)。出典:SuiteCRMの説明、有料の上位版がないこと、顧客・営業・問い合わせ・メール配信・ワークフロー・レポートの機能の記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:SuiteCRM Documentation「Migrating from SugarCRM CE」(https://docs.suitecrm.com/admin/migration/from-sugarcrm-ce/)。出典:SugarCRM CE 6.5からSuiteCRM 7への移行手順と、本体のファイルを直接書き換えた改修はやり直しになるという注意を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:SuiteCRM-Core(GitHub)README(https://github.com/SuiteCRM/SuiteCRM-Core)。出典:SuiteCRM 8がAngularとSymfonyで作り直された版であること、置き場所の選択肢、版の番号(8.10.2。7系はSuiteCRMリポジトリのREADMEで7.15.2)を参照。2026年10月22日に確認(2026年10月確認)
  7. *7 参考:SuiteCRM Documentation「Supported Versions」(https://docs.suitecrm.com/community/supported-versions/)。出典:7.15 ESRと8.10のサポート期限、ESRでない版にセキュリティ修正だけの期間がないこと、8.9のサポート終了時期を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:SuiteCRM「SuiteCRM Hosted」(https://suitecrm.com/suitecrmhosted/)。出典:開発元がサーバーの管理・更新・バックアップ・セキュリティを受け持つこと、30日間の無料の試用を参照(2026年10月確認)




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