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2026.07.09 らしくコラム

生成AIで提案書・仕様書を自動生成、外注で実装

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

ビジネス文書のイメージ

この記事のポイント

  • 生成AIによるドキュメント自動生成とは、提案書・仕様書・議事録要約などのビジネス文書をテンプレートに沿って自動で作成する仕組みです。
  • OpenAI・Google・Microsoftは、生成AIの出力を定義済みの書式に合わせるための機能を公式に提供しています。
  • 社内データの参照範囲や機密情報の扱いは提供元ごとに方針が異なるため、内製と外注のどちらで進めるかは事前の確認が欠かせません。

生成AIによるドキュメント自動生成とは、テンプレートに沿って提案書・仕様書などを生成する仕組み

オフライン作業のイメージ

生成AIによるドキュメント自動生成とは、提案書・仕様書・議事録要約などのビジネス文書を、あらかじめ定めたテンプレートや社内データを踏まえて生成AIが草稿として作成する仕組みを指します。OpenAIとAzure OpenAI Serviceは、出力を指定したJSON Schema(データの構造を定義する仕様)に沿った形式で返す機能を公式に提供しています*1*2

図
図:生成AIによるビジネス文書自動生成の実装フロー(テンプレート設計→データ連携→生成・レビュー→出力・承認)

Googleも同様の機能をGemini APIで提供しており、レスポンスのスキーマをあらかじめ指定すれば、その形式に沿った出力を得られます*3。この機能は本来データ抽出や分類を目的に設計されたものですが、章立てや必須項目を定義したテンプレートとして扱えば、ビジネス文書の生成にも応用できるでしょう。

ただし生成AIが出力するのはあくまで草稿にすぎません。体裁が整っていても、事実の正確性や社内ルールとの整合性は人の目で確認する必要があります*5。どこまでを自動化し、どこから人が担うかを見極めることが、実装を始める前の出発点になります。

提案書から議事録要約まで——生成AIで自動化できる社内文書の範囲

ビジネス文書の自動生成が対象にする範囲は幅広く、営業提案書や見積提案書、システム仕様書、月次・週次の報告書、会議の議事録要約、業務マニュアルなどが挙げられます。文書の種類ごとに求められる正確性や表現の水準は異なるため、テンプレート設計もそれに応じて分ける必要があります。

議事録については、会議音声をテキスト化する処理そのものは別の技術領域にあたります。本稿で扱うのは、テキスト化済みの内容や過去の議事録を素材として、要約や体裁の整った議事録案を生成する工程です。

社内文書を探し出す仕組みも、文書を新たに作る仕組みとは役割が異なります。検索は既存の文書へ素早く到達するための機能であり、本稿の自動生成は過去の文書やひな形を参照しながら新しい文書を作り出す点に主眼があります。

テンプレート準拠・社内データ参照・章立て生成——文書生成システムの技術的な仕組み

提案書や仕様書の自動生成システムを組むうえで欠かせない要素の一つが、出力形式を固定する仕組みです。OpenAI・Azure OpenAI Service・Google Gemini APIはいずれも、あらかじめ定義したJSON Schemaに沿って出力を生成する機能を備えています*1*2*3

この機能を使うと、見出し構成や必須項目、表・箇条書きの有無といった章立てを事前に定義できます。生成AIはその定義に従って内容を埋めていくため、担当者ごとに体裁が揺れる事態を避けやすくなるはずです。

過去の提案書や社内の文書を参照させる仕組みも、実装上の重要な要素です。Microsoft 365 CopilotはWord上で「/」コマンドを使い、20件までのファイルやメール・会議記録を参照してドラフトを生成できます*5。Googleドキュメントでも「@」でファイルを指定し、既存文書の形式や文体を踏まえた提案書などを作成できます*4

こうした参照機能は、検索拡張生成(RAG。社内文書を検索して回答や生成の精度を高める手法)の考え方に近く、社内データベースと連携させる設計にはさらに検討の余地があります。連携範囲をどこまで広げるかは、扱う文書の機密度によって変わってきます。

Word・PowerPoint・PDF出力とレビュー承認フロー——実装時に設計すべき運用ルール

生成した文書をどの形式で受け取るかも、実装の初期に決めておきたい点です。Claudeは2025年9月にファイル作成機能を発表し、Word・Excel・PowerPoint・PDFをすぐに使える形式で出力できるようになりました*6。この機能は同年10月に正式版として提供されています*6

Microsoft 365 CopilotはWord上で直接ドラフトを生成するため、追加の変換工程なしにそのままWord文書として編集を続けられます*5。出力形式をどちらに寄せるかは、後工程の編集やレビューを誰がどの環境で行うかによって変わるでしょう。

生成AIが作るのは草稿であり、公開・提出前の確認は人の作業として残ります*5。実装時には、生成・レビュー・修正・承認という工程を明確にし、誰がどの段階で何を確認するかをあらかじめ決めておくことが欠かせません。

特に対外へ提出する提案書は、数値や固有名詞の誤りがそのまま信用に関わります。生成AIの出力を承認フローに乗せる前に、必須確認項目のチェックリストを用意しておくと、レビューにかかる時間のばらつきを抑えやすくなります。

機密情報をどう扱うか——テナント境界とデータ利用方針の確認ポイント

文書作成のイメージ

提案書や仕様書には、顧客情報や見積金額、システム構成など社外に出せない内容が含まれます。生成AIに文書を作らせる場合は、入力した情報がどこに保存され、モデルの学習にどう使われるかを事前に確認する必要があります。

Microsoft 365 CopilotとMicrosoft 365 Copilot Chatは、プロンプトと応答がMicrosoft 365のサービス境界内(利用企業ごとに区切られたデータの管理範囲)に留まり、Microsoft Graph経由でアクセスしたデータが基盤モデルの学習に使われない方針を公式に示しています*7。加えて秘密度ラベル(文書の機密度を示す分類情報)を継承し、利用者が閲覧権限を持つ範囲のデータだけを参照する設計になっています*7

利用するサービスによって、データの保存場所や学習利用の方針、EUデータ境界のような地域単位の扱いは異なります*7。自社で使う生成AIサービスの契約条件を確認し、機密度に応じてどの文書をどのツールで生成してよいか、社内ルールとして整理しておくことが実務上の対応になります。

内製と外注の分かれ目——工数・専門知識・ベンダー選定で判断する

自社でドキュメント自動生成システムを構築する場合、テンプレートやJSON Schemaの設計、社内データとの連携、生成結果の品質評価という複数の領域の知識が必要になります*1*2。加えて、レビュー・承認フローや権限設計、機密情報の取り扱いルールの整備も欠かせません*7

テンプレートやスキーマの設計を誤ると、生成された文書の見出し構成や必須項目が社内基準からずれてしまい、レビューの段階で修正がかさみます。運用を始めた後にツールやモデルを切り替える場合は、テンプレートの再設計が必要になる場合もあるでしょう。

専門パートナーに委託する場合は、テンプレート設計から社内データ連携、レビュー体制の構築までを一括して依頼できるかどうかが選定の分かれ目になります。内製では既存の情報システム部門が通常業務と並行して対応することになり、設計・検証に割ける時間が限られる場合があります。

両者の違いを整理すると次の通りです。

比較項目 内製 外注
必要な専門知識 スキーマ設計・API連携・プロンプト設計を担当者が習得する必要がある 委託先が持つ実装知見をそのまま活用できる
初期構築 要件定義から自社で行うため、試行と検証に時間を要する場合がある テンプレート・連携部分の実装経験を踏まえて進めやすい
レビュー体制の構築 既存業務と並行して設計・整備する必要がある 運用ルールの設計段階から相談できる
機密情報管理の設計 社内ルールの整備・見直しを自社で担う 要件整理や社内ルール策定を支援してもらえる

。対象とする文書の種類や社内データの連携範囲によって、必要な工数は変わります。現状の文書作成業務を整理したうえで、内製と外注の切り分けを検討することが実務的な進め方です。

まとめ:生成AIドキュメント自動生成で押さえる3つの判断軸

本稿では生成AIによるビジネス文書自動生成の仕組みと実装のポイントを、公式情報をもとに整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、OpenAI・Azure OpenAI Service・Google Gemini APIは出力をJSON Schemaに準拠させる機能を提供しており、テンプレートに沿った章立て生成の土台になります*1*2*3。第二に、社内データを参照するにはMicrosoft 365 CopilotやGoogleドキュメントのようなファイル参照機能があり、出力形式もWord・PowerPoint・PDFなど実務に合わせて選べます*4*5*6。第三に、機密情報の扱いはサービスごとに方針が異なるため、データ利用方針の確認とレビュー・承認フローの設計が実装の前提になります*7

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、業務システムの受託開発・運用保守を元請(プライムベンダー)として手掛けています。提案書・仕様書などのビジネス文書を生成AIで自動化する仕組みについても、テンプレート設計から社内データ連携、レビュー・承認フローの構築まで一貫して相談いただける体制を整えています。機密情報の扱いを含めた要件整理から、現状の文書作成業務に合わせてご相談いただけます。

よくある質問

生成AIで作った提案書は、そのまま提出しても問題ありませんか。

生成AIが作成するのはあくまで草稿です。事実の正確性や数値、固有名詞、社内の表記ルールとの整合性は、提出前に人が確認する必要があります*5。承認フローを設けたうえで運用することが前提になります。

既存のひな形や過去の提案書を生成AIに参照させることはできますか。

できます。Microsoft 365 Copilotは「/」コマンドで20件までのファイルやメールを参照してドラフトを生成でき*5、Googleドキュメントも「@」で既存文書を指定し形式や文体を踏まえた文書を作成できます*4

社内の機密情報を含む文書を生成AIで作成しても大丈夫ですか。

利用するサービスの方針を確認したうえで判断する必要があります。Microsoft 365 Copilotは、Microsoft Graph経由でアクセスしたデータを基盤モデルの学習に使わない方針を示しています*7。契約条件やデータ保存場所は提供元ごとに異なるため、事前の確認が欠かせません。

Word・PowerPoint以外の形式で出力することもできますか。

対応する形式はサービスによって異なります。Claudeのファイル作成機能はWord・Excel・PowerPoint・PDFに対応しており*6、Word上で直接ドラフトを作るCopilotのような方式もあります*5。必要な出力形式は導入前に確認しておくとよいでしょう。

ドキュメント自動生成システムの構築を外注する場合、何を確認すればよいですか。

対象とする文書の種類、参照させる社内データの範囲、レビュー・承認フローの設計を委託先とすり合わせることが大切です。加えて、機密情報の取り扱い方針や生成AIサービスの契約条件についても、事前に確認しておく必要があります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:OpenAI「Structured outputs」(API Documentation)(https://developers.openai.com/api/docs/guides/structured-outputs
  2. *2 出典:Microsoft「How to use structured outputs with Azure OpenAI」(Azure AI Foundry Documentation)(https://learn.microsoft.com/en-us/azure/ai-services/openai/how-to/structured-outputs
  3. *3 出典:Google「Structured output」(Gemini API Documentation)(https://ai.google.dev/gemini-api/docs/structured-output
  4. *4 出典:Google「Gemini in Google ドキュメントでドキュメントを作成する」(Google ドキュメント エディタ ヘルプ)(https://support.google.com/docs/answer/15541879?hl=JA
  5. *5 出典:Microsoft「Draft and add content with Copilot in Word」(Microsoft Support)(https://support.microsoft.com/en-us/word/copilot/draft-and-add-content-with-copilot-in-word
  6. *6 出典:Anthropic「Claude can create and edit files」(Claude Blog)(2025年9月9日)(https://claude.com/blog/create-files
  7. *7 出典:Microsoft「Microsoft 365 CopilotとMicrosoft 365 Copilot Chatでのエンタープライズ データ保護」(Microsoft Learn)(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/enterprise-data-protection


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