LASSIC Media らしくメディア

2026.07.24 らしくコラム

個人情報保護法2026年改正の要点と企業の備え

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

個人情報保護のイメージ

この記事のポイント

  • 個人情報保護法の改正法は令和8年(2026年)7月10日に成立、同月17日に公布され、原則として公布日から2年以内で政令が定める日から施行されます*3
  • 改正の柱は「適正なデータ利活用の推進」「リスクに適切に対応した規律」「不適正利用等防止」「規律遵守の実効性確保(課徴金制度の導入等)」の4本です*2
  • 企業は取得・同意・安全管理措置・委託先管理・データ利活用(AI含む)を点検し、台帳や記録を仕組みとして残せる体制へ移行する準備が求められます。

本記事は、2026年の個人情報保護法改正で何が変わりうるかという動向と、企業が今から備えるべき観点にテーマを絞って解説します。個人情報の取得・利用・安全管理措置など基本的な対応の全体像については、別記事「個人情報保護法対応で押さえる要点」もあわせてご参照ください。

2026年の個人情報保護法改正とは――確認できた全体像

企業の法対応のイメージ

個人情報保護委員会(以下、PPC)は令和8年4月7日、「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第221回特別国会に提出しました*1。この法律案は、いわゆる「3年ごと見直し」規定に基づく検討の結果としてまとめられたもので、令和5年からの検討会・有識者ヒアリング・意見募集を経て提出に至っています*2

法律案は同年7月10日に成立し、7月17日に公布されました*3。施行期日については、公式資料に「原則として公布の日から起算して2年を超えない範囲内」で政令が定める日から施行される旨が示されています*2*3。裏を返せば、具体的な施行日は本稿執筆時点では確定しておらず、今後政令で定められる予定です。この点を含め、改正の詳細・施行時期は個人情報保護委員会の公式情報で最新をご確認ください。

PPCが公表した改正の趣旨は、「デジタル技術の急速な進展に伴い、個人情報を含むデータの利活用に対する需要が高まっている一方で、個人情報の違法な取扱いにより個人の権利利益が侵害されるリスクも高まっている」ことを踏まえ、個人の権利利益の適切な保護を図るとともに、AI活用にも資する円滑なデータ連携を促進するための措置を講じるというものです*2。データ活用の追い風と、規律強化という2つの方向性が同時に盛り込まれている点が、今回の改正の特徴といえるでしょう。

この改正は、令和5年9月の「改正個人情報保護法の施行状況について」の公表に始まり、有識者ヒアリング・関係団体ヒアリング、令和6年6月の中間整理とその意見募集、同年12月の検討会報告書、令和8年1月の制度改正方針の公表という段階を経て、閣議決定に至っています*2。数年単位の継続的な検討を経てまとめられた内容であるため、企業側も一時的な対応ではなく、継続的な点検の仕組みとして受け止める姿勢が求められるでしょう。

図
図:個人情報保護法改正への企業の備えフロー(改正動向の把握→現状の棚卸し→リスク評価→体制のシステム化)

改正の4本柱を整理する

PPCが公表した「改正内容」の概要資料によれば、今回の改正は大きく4つの柱で構成されています*2。以下の表に、確認できた範囲でポイントを整理しました。

確認できた主な内容
①適正なデータ利活用の推進 統計情報等の作成(統計作成等であると整理できるAI開発等を含む)にのみ利用されることが担保されている場合に限り、第三者提供や公開されている要配慮個人情報の取得について本人同意を不要とします。また、契約履行に不可欠で本人の意思に反しないことが明らかな第三者提供、生命等の保護・公衆衛生等のための同意取得困難性要件の緩和、学術研究例外の対象に医療提供機関を含める明示も盛り込まれています*2
②リスクに適切に対応した規律 16歳未満の本人について同意取得・通知等で法定代理人を対象とすることを明文化し、利用停止等請求の要件を緩和します。顔特徴データ等については一定事項の周知を義務化し、オプトアウト制度に基づく第三者提供を禁止します。委託を受けた事業者の義務見直し、漏えい等発生時の本人通知義務の緩和も含まれます*2
③不適正利用等防止 個人情報には該当しないものの特定の個人への働きかけが可能な情報(電話番号・メールアドレス・Cookie ID等)について、不適正利用及び不正取得を禁止します。オプトアウト制度に基づく第三者提供では、提供先の身元及び利用目的の確認を義務化します*2
④規律遵守の実効性確保 違反是正を速やかに求められるよう命令の要件を見直し、違反行為を補助する第三者への要請規定を新設します。罰則の法定刑を引き上げ、不正取得行為への罰則も新設します。さらに、重大な違反行為により個人の権利利益が侵害された場合等について、違反行為によって得られた財産的利益等に相当する額の課徴金納付を命ずる制度を新設します*2

このうち特に企業実務への影響が大きいと考えられるのは、課徴金制度の新設と、AI開発等を含む統計作成目的でのデータ利活用に関する同意規制の緩和でしょう。ただし、課徴金の具体的な料率や上限額、統計作成等の特例に必要な公表事項の詳細な様式などは、公表資料の時点では「委員会規則等で定めることを想定」とされており、確定した数値は示されていません*2。この点についても、断定的な金額や料率を前提とした説明は避け、政省令・委員会規則等の公表を継続的に確認する姿勢が求められます。

罰則面では、個人情報データベース等の不正提供等罪(法定刑の引き上げ対象条文の一つ)について拘禁刑の上限を2年から3年へ、罰金刑の上限を100万円から150万円へ引き上げるとともに、行政機関等の職員による不正提供等(法定刑の引き上げ対象条文の一つ)についても拘禁刑の上限を1年から2年へ、罰金刑の上限を50万円から100万円へ引き上げる方向性が示されています*2。あわせて、詐欺行為や不正アクセス等により個人情報を不正に取得する行為そのものを処罰対象とする規定が新設される点も、確認できた改正内容の一つです*2

企業が今からチェックすべき8つの観点

施行日が確定していない段階でも、企業が自社の個人情報の取扱いを棚卸しし、改正の方向性に照らして点検を進めておく意義は大きいといえます。確認できた改正内容を踏まえ、点検の観点を整理しました。

  • 取得ルートの把握:Webスクレイピング等による要配慮個人情報の取得や、AI学習データとしての個人データの取得経路を洗い出し、統計作成等の特例に該当し得るかを整理します。
  • 同意管理の再点検:目的外利用・第三者提供のうち、契約履行に不可欠で本人の意思に反しない取扱いがどこまで自社に存在するかを確認します。
  • オプトアウト運用の見直し:オプトアウト制度に基づく第三者提供を行っている場合、提供先の身元・利用目的を確認する体制があるかを点検します*2
  • 安全管理措置の実効性:漏えい等発生時の報告・本人通知の運用フローが、影響の大きさに応じた対応になっているかを確認します。
  • 委託先管理:委託契約で取扱いの方法や範囲がどこまで明記されているか、委託先の取扱状況を把握する仕組みがあるかを点検します。
  • データ利活用・AIの取扱い:AI開発・学習目的でのデータ利用が統計作成等の特例に沿った設計になっているか、目的外利用や第三者への横流しを防ぐ管理体制があるかを確認します。
  • 生体データ(顔特徴データ等)の取扱い:顔認証等のシステムを利用している場合、利用目的や取扱事業者名等の周知事項を整理できる状態かを確認します*2
  • 子どものデータの取扱い:16歳未満の利用者を想定するサービスがある場合、法定代理人の関与や年齢確認の仕組みを設計できているかを点検します*2

これらの観点は、いずれも「誰が・どのデータを・どの目的で・どこまで扱っているか」を可視化できていて初めて点検が進みます。逆にいえば、取扱い実態が属人的な管理にとどまっている企業ほど、点検そのものに時間がかかりやすい状況にあるといえるでしょう。

改正対応を仕組みで支える――台帳・同意・委託先管理のシステム化

個人情報の取扱いに関する点検・記録・証跡の管理は、Excel等の手作業では担当者の異動や更新漏れによって形骸化しやすい領域です。改正内容を踏まえると、次のような要件をシステムとして支える必要性が高まっています。

  • 取扱台帳の一元管理:取得目的・保管場所・委託先・第三者提供の有無を、部署横断で一覧できる台帳として維持します。
  • 同意・オプトアウトの記録管理:取得経路別の同意状況や、法定代理人の同意取得記録、オプトアウト提供先の確認記録を、後から追跡できる形で残します。
  • 委託先管理の証跡化:委託契約の内容、委託先における取扱状況の把握結果、監督の実施記録を蓄積し、必要に応じて提示できる状態にします。
  • 公表・周知事項の版数管理:統計作成等の特例や顔特徴データ等の取扱いに関する公表・周知事項は、規則改定に応じて内容を更新し、変更履歴を残す運用が求められます。
  • 定期棚卸しの仕組み化:年1回程度で終わらせず、事業内容の変化やAI活用範囲の拡大に応じて棚卸しを回せる運用フローを設計します。

これらはいずれも、既存の業務システムやワークフローツールに個人情報管理の機能を組み込む形で実現可能な領域です。一足飛びに全社基盤を刷新するのではなく、まず取扱台帳と同意管理の棚卸しデータを整備し、そのうえで委託先管理・証跡管理へ段階的に対象を広げる順序であれば、現場の負荷を抑えながら改正動向への対応力を高めやすくなります。

LASSIC IT事業部では、元請(プライムベンダー)として、こうした取扱台帳・同意管理・委託先管理の仕組み化を、企業の既存システムとの連携も含めて構築を受託しています。自社の運用実態の可視化から着手したい企業様は、まずは現状の取扱い実態の棚卸しからご相談ください。

まとめ:2026年改正を見据えた3つの視点

本稿では、2026年の個人情報保護法改正について、個人情報保護委員会が公表した公式情報に基づき確認できる範囲を整理しました。要点は次の3つに集約されるでしょう。第一に、改正法は令和8年7月17日に公布され、原則として公布日から2年以内で政令が定める日に施行される予定であり、具体的な施行日は今後の政令公布を待つ必要があります*3。第二に、改正は「適正なデータ利活用の推進」「リスクに適切に対応した規律」「不適正利用等防止」「規律遵守の実効性確保」の4本柱で構成され、課徴金制度の新設やAI開発を含む統計作成目的でのデータ利活用の同意規制緩和が含まれます*2。第三に、課徴金の具体的な金額基準や公表事項の詳細な様式など未確定の部分は多く、断定的な情報に基づいて判断せず、公式情報を継続的に確認しながら社内の取扱台帳・同意管理・委託先管理を仕組みとして整えておくことが、企業にとっての現実的な備えになります。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、個人情報の取扱台帳・同意管理・委託先管理の仕組み化を、元請(プライムベンダー)として一貫して受託しています。既存の業務システムやデータ基盤と連携させた設計から、運用開始後の記録・証跡管理まで対応する体制を整えています。改正動向を踏まえた点検の着手に不安がある企業様は、まずは現状の個人情報の取扱い実態の棚卸しからご相談ください。

よくある質問

2026年の個人情報保護法改正はいつから適用されますか。

改正法は令和8年7月10日に成立し、同月17日に公布されました。施行期日は、原則として公布の日から起算して2年を超えない範囲内で政令が定める日とされていますが、本稿執筆時点で具体的な施行日は確定していません*3。最新の施行時期は個人情報保護委員会の公式情報でご確認ください。

課徴金制度とはどのような制度ですか。

重大な違反行為により個人の権利利益が侵害された場合等について、個人情報保護委員会が違反行為によって得られた財産的利益等に相当する額の納付を命ずる制度です*2。対象となる違反行為の類型や算定方法の骨格は公表されていますが、具体的な料率や上限額は示されておらず、委員会規則等による今後の整備を待つ必要があります。

AIの学習データ利用にはどのような影響がありますか。

統計情報等の作成(統計作成等であると整理できるAI開発等を含む)にのみ利用されることが担保されている場合に限り、第三者提供や公開されている要配慮個人情報の取得について本人同意が不要となる特例が新設されます*2。ただし、目的外利用や第三者への横流しは禁止され、一定事項の公表や提供元・提供先間の合意等の担保措置が求められます。

規模の小さい企業でも対応は必要ですか。

個人情報保護法は事業規模を問わず個人情報取扱事業者に適用されるため、取得・同意・安全管理措置の点検は規模にかかわらず必要です。一方で課徴金納付命令の対象は、公表資料上「大規模な事案に限定(対象行為に係る本人の数について1,000人を基準とする)」との考え方が示されており*2、規模に応じた線引きが検討されています。詳細は今後の政省令等でご確認ください。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


ITアウトソーシング・システム開発のご相談はLASSICへ

元請(プライムベンダー)として、貴社の課題に合わせた体制構築・開発支援をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

無料相談はこちら

ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。

  1. *1 出典:個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案』の閣議決定について(令和8年4月7日)」(https://www.ppc.go.jp/news/press/2026/260407/
  2. *2 出典:個人情報保護委員会事務局「個人情報保護法等の一部を改正する法律案について」(令和8年4月)(https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260407_kisyahaifusiryou.pdf
  3. *3 出典:個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律』の公布について(令和8年7月17日)」(https://www.ppc.go.jp/news/press/2026/260717/


View