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備品管理システムの選び方|Excel台帳から移る4つのステップ
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 備品管理システムは、机や工具、貸出品の置き場所と使う人、状態を記録し、貸し出しと棚卸しを回す仕組みです。
- 管理項目は増やしすぎず、分類と状態の分け方、共用品の主任者を最初に決めておくことが大切です。
- 移行は台帳の重複と空欄の整理から始め、社員の情報や会計とのつなぎ方を外部に頼む前に決めます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
棚にあるはずの貸し出し用の機材が見当たらない。台帳には載っているのに、誰が持っているのか分からない——。机や工具、貸し出し用の機材をExcelの台帳で管理している職場では、こうした食い違いが起こりがちです。備品管理システムは、会社の備品を1点ずつ登録し、どこにあるか・誰が使っているか・どんな状態かを記録して、貸し出しと棚卸しを画面で回すための仕組みです。
パソコンのようなIT機器はIT資産管理の道具で扱えますが、机や工具、貸出品まで同じ道具に載せると項目が合わないことがあります。ただし万能ではなく、仕組みを入れても管理項目と運用の決まりが曖昧なままだと、台帳はすぐに現物とずれていきます。本記事では、IT機器以外の備品を管理する総務や情報システムの担当者に向けて、ほかの管理との違い、貸し出しと棚卸しの仕組み、Excel台帳から移る4つのステップ、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
備品管理システムとは
備品管理システムが扱うのは、机や椅子、棚、工具、計測器、貸し出し用のカメラやプロジェクターなど、会社が持っていて社員が使う物です。考え方の骨組みには、国の備品の扱いを定めた物品管理法が参考になります。民間企業に当てはまる法律ではありませんが、同法は物品の管理を「取得、保管、供用及び処分」の4つの段階に分けています。*1 供用とは、物品を用途に応じて使わせることを指します。*1
- 取得:買った物を台帳に登録し、1点ずつ管理番号を付ける
- 保管:置き場所と、使える・修理が要る・使えないといった状態を記録する
- 供用:誰に貸し出したか、いつ返ってきたかを記録する
- 処分:使わなくなった物を廃棄や売却に回し、台帳から外す
Excelの台帳でも同じ記録は残せます。ただ、貸し出しと返却のたびに台帳を開いて書き換える運用は、担当者が忙しい時期に抜けやすくなります。備品管理システムは、この記録を貸し出しの手続きに組み込み、書き忘れを防ぐ仕組みです。
IT資産管理や固定資産管理との違い
備品の管理は、似た名前の仕組みと混同されやすい分野です。違いは、何を、何のために管理するかにあります。自社が困っているのがどの管理なのかを先に切り分けておきます。
| 仕組み | 主な対象 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 備品管理システム | 机、椅子、工具、計測器、貸出品 | どこにあり誰が使っているかを把握し、貸し出しと棚卸しを回す |
| IT資産管理 | パソコン、スマートフォン、ソフトウェアのライセンス | 機器とライセンスの割り当てを把握し、セキュリティの対策につなげる |
| 固定資産管理 | 一定の金額以上で長く使う資産 | 減価償却の計算や税の申告など、会計の処理を正しく行う |
| Excelの台帳 | 何でも載せられる | 点数が少ないうちに、すぐ管理を始める |
同じ机でも、会計の上では固定資産として、現場では備品として二重に管理されることがあります。どちらの台帳を正とするか、管理番号をそろえるかは、最初に決めておきたい点です。パソコンなどIT機器の管理はSnipe-ITでのIT資産管理、会計側の仕組みは固定資産管理システムの開発で扱っています。
貸し出しと棚卸しの仕組み
備品管理システムの中心は、貸し出しと棚卸しの記録です。物品管理法の施行規則は、保管している物を、使える物、修理や改造が要る物、使えない物に分けて整理し、出入りを常に明らかにしておくよう定めています。*3 2人以上が一緒に使う物については、使う人のうちの主任者をはっきりさせておくことも求めています。*3

- 貸し出し:ラベルの管理番号を読み取り、借りる人と返す予定の日を記録する
- 共用の物:会議室のプロジェクターのように何人もで使う物は、主任者を1人決めて登録する
- 返却:使わなくなったら担当者に知らせる決まりにし、返ってきたら状態を付けて棚に戻す*3
- 状態:使える・修理が要る・使えないの3つに分け、修理待ちの物を貸し出さない
棚卸しは、台帳と現物を突き合わせる作業です。国の物品については、毎会計年度1回に加えて、担当者が交替するときにも、物品と帳簿を検査することが施行令で定められています。*2 検査には、検査を受ける担当者を立ち会わせることになっています。*2 会社の備品でも、年1回の棚卸しと担当の引き継ぎ時の確認を決まりにしておくと、ずれが小さいうちに見つかります。
Excel台帳から移る4つのステップ
備品管理システムへの移行は、ソフトを入れる作業より、台帳の中身を整える作業のほうが時間を使います。次の4つのステップで進めると、移ったあとに台帳を作り直さずに済みます。
- ステップ1:管理項目と分類を決める(管理番号、分類、品目、置き場所、使う人、状態、取得日など)
- ステップ2:現物を数えて台帳を整える(重複した行や番号の空欄を片づけ、ラベルを貼る)
- ステップ3:貸し出しと返却の流れを決める(誰が貸し出しを認め、期限を過ぎたら誰が声をかけるか)
- ステップ4:棚卸しの時期を決めて回す(年1回と、担当が替わるときを目安にする)
管理項目は、多すぎると入力されなくなります。物品管理法の施行規則は、帳簿に分類・細分類・品目ごとの異動の数量と現在高を記録するよう定めたうえで、取得価格の記録を求めているのは財務大臣が指定する機械・器具と美術品です。*3 会社でも、すべての物に同じ項目を求めず、高価な物だけ価格を持たせるといった絞り方ができます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
備品管理システムは、市販の製品やクラウドのサービスを使う方法と、自社の業務に合わせて開発する方法があります。どちらでも、既存の仕組みとの連携と台帳の移行は、外部の手を借りることが多い部分です。見積もりの前に、次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:管理項目の設計、台帳の移行、ラベルの印刷、操作の説明のうち、どれを任せるか
- 社員の情報との連携:退職や異動のときに、貸し出し中の備品が分かるよう社員の一覧とつなぐか
- 会計との連携:固定資産の台帳と管理番号をそろえるか、どちらを正とするか
- 読み取りの方法:バーコードやQRコードのラベルをスマートフォンで読むか、専用の読み取り機を使うか
- 運用後の見直し:棚卸しの結果を見て、管理項目や状態の付け方を直す場を設けるか
特に社員の情報との連携は、後回しにされやすい点です。退職者が持ったままの備品は、退職の手続きと貸し出しの記録がつながっていないと見つかりません。人事や認証の仕組みとのつなぎ方は、頼む前に社内で決めておきます。
まとめ:備品管理システムで確かめておきたい3つの点
備品管理システムで台帳を現物と合わせ続けるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、管理項目と分類、使える・修理が要る・使えないといった状態の分け方を、絞って決めること。第二に、貸し出しと返却、共用品の主任者、年1回と担当交替時の棚卸しを運用の決まりにすること。第三に、社員の情報や固定資産の台帳とどうつなぐかを、開発や移行を頼む前に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「システムを入れたのに、結局Excelの台帳に戻ってしまった」という事態を避けやすくなります。既存の仕組みとの連携や移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
点数が少ない会社でも備品管理システムは必要ですか
点数が少なく、管理する人が1人で、貸し出しもほとんど無いなら、Excelの台帳で足りることもあります。貸し出す物が増えた、拠点が複数になった、棚卸しのたびに数が合わない、といった状態になったときが見直しの目安です。
パソコンも同じ仕組みで管理できますか
置き場所と使う人を記録するだけなら、同じ仕組みに載せることもできます。ただ、ソフトウェアのライセンスやセキュリティの更新まで追いたい場合は、IT資産管理の道具と分けて考えたほうが項目の過不足が起こりにくくなります。
ラベルはどんな物に貼ればよいですか
1点ずつ区別して貸し出す物や、高価で行方を追いたい物に管理番号のラベルを貼ります。ねじやケーブルのように数で管理すれば足りる物は、入れている箱や棚にラベルを貼る方法もあります。
備品管理の仕組みづくりのご相談
備品管理システムの設計から、Excel台帳の移行、社員情報や会計の仕組みとの連携まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「物品管理法」(昭和三十一年法律第百十三号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000113)。出典:第一条(目的:物品の取得、保管、供用及び処分)、第二条第二項(供用の定義)を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:e-Gov法令検索「物品管理法施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/331CO0000000339)。出典:第四十四条第一項(毎会計年度一回及び物品管理官等の交替時の検査)、第四十五条(検査の立会い)を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:e-Gov法令検索「物品管理法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000040085)。出典:第二十一条(共用物品の主任者)、第二十四条(使用職員からの返納)、第二十五条(保管の方法と三つの区分)、第三十八条(帳簿の記録事項と取得価格)を参照(2026年10月確認)