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AIエージェントで業務ワークフローを自動化・外注
LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託
この記事のポイント
- AIエージェントは、メールの一次対応や申請の一次審査など、状況に応じた判断が必要な業務ワークフローを自律的に処理します。
- 定型的な条件分岐のみを実行するRPAと異なり、AIエージェントは状況を解釈しながら対応方針を決められる点が違いです*2。
- 本稿では適用業務の範囲、ヒューマンインザループの設計、既存システム連携、内製と外注の判断軸を整理します。
目次
AIエージェントによる業務ワークフロー自動化とは、状況を判断して実行する仕組み
AIエージェントによる業務ワークフロー自動化とは、AIが状況を分析し判断したうえで、必要なシステム操作までを自律的に実行する仕組みを指します。人による最終確認を含め、判断から実行までを一貫して担う点がAIエージェントの特徴です*1。
AIエージェントはまず、メール本文や申請フォームといった非構造化の情報を読み取ります。次に状況を解釈し、あらかじめ定義したツールや外部システムのAPIを呼び出して処理を進めます*1。人による確認が必要な判断では、実行の直前で処理を一時停止する設計も可能です。
この一連の流れをAWSは、要求の分解・追加情報の収集・API呼び出しというエージェントの基本動作として説明しています*1。判断を伴うこの処理こそが、従来のRPAが苦手としてきた領域にほかなりません。次の章では両者の違いを整理します。
定型処理のRPAでは対応しきれない場面——判断業務との違い
RPAは、事前に定義した条件分岐に沿って決まった画面操作やデータ入力を繰り返す仕組みです。入力データの形式や画面レイアウトが変わらない業務では、高い精度で安定した稼働が可能です。
一方でRPAは、想定外の入力やレイアウトの変更が起きると処理を停止しやすい傾向があります。UiPathは、RPAが明確な指示を必要とするのに対し、エージェント型のオートメーションはパターンを分析し状況に応じて自律的に対応を決められると説明しています*2。両者の違いを整理すると次の通りです。
| 項目 | RPA | AIエージェント |
|---|---|---|
| 処理対象 | 定型・構造化データの操作 | 非構造化情報を含む判断業務*2 |
| 判断基準 | 事前に定義した条件分岐のみ | 状況を解釈し自律的に方針を決定*2 |
| 例外への対応 | 想定外のパターンで停止しやすい | 状況に応じて対応を変えられる*2 |
| 向いている業務 | 請求書の転記・定型入力 | メール仕分け・一次審査・要約*3 |
| 代表的な提供元の機能 | UiPath・Power AutomateのRPA機能 | Amazon Bedrock Agents・Copilot Studioのエージェント機能*1*6 |
この違いから、メール仕分けや一次審査のように案件ごとに状況が異なる業務ほど、AIエージェントとの相性が高くなります。逆に入力形式が固定された定型入力は、引き続きRPAが得意とする領域です*2。
メール対応から一次審査まで——AIエージェントが担う4つの業務
メール・問い合わせの一次対応
受信したメールや問い合わせ内容を読み取り、緊急度や種類を判定して振り分ける業務です。Microsoftは、AIエージェントが問い合わせ内容を評価し、それに続く対応まで担う例を紹介しています*3。
定型的な自動返信だけでなく、内容に応じて回答文を作成したり担当部署へ引き継ぐ判断までを含められる点が特徴です。
申請の一次審査
休暇申請や費用申請、給付の対象条件確認など、規定に沿った一次判定が必要な業務です。Microsoftの解説では、給付の適格性審査(申請者が制度の条件を満たすかどうかの一次確認)にAIエージェントを使う例が挙げられています*3。
保険分野でも、AIエージェントが申請内容の妥当性を評価し、必要な追加情報を申請者に確認する運用が紹介されています*2。ただし最終承認は人が担う設計が前提です。
情報収集・要約
社内文書や過去の対応履歴を検索し、担当者が判断に使う材料を要約する業務です。AWSのエージェントは、ナレッジベース(社内文書等を検索可能な形で保持するデータストア)を参照して回答の精度を補う仕組みを持ちます*1。
定例レポートの下書き作成や、複数システムに分散した情報の集約にも応用できます。
システム横断のデータ入力
請求書の内容を確認して基幹システムへ登録したり、複数システムの記録を突き合わせて更新したりする業務です。Microsoftは、請求書処理やレコード更新をAIエージェントが担う自動化の例を挙げています*3。
単純な転記だけでなく、内容に矛盾がないかを判断しながら登録する点が、従来の定型入力ツールとの違いです。
人が最終確認するヒューマンインザループ——承認フローの組み込み方
AIエージェントに業務を任せる場合でも、すべての判断を無条件に実行させる設計は推奨されません。重要な処理の前に人の確認を挟む、ヒューマンインザループの設計が実務上の前提になります。
Amazon Bedrock Agentsの解説では、ユーザー確認とReturn of Control(処理を実行せず担当者に制御を戻す方式)という2つの型が紹介されています*4。ユーザー確認は、実行前に承認・拒否のボタンを示すだけの方式です*4。
Return of Controlでは、AIエージェントが提案した処理内容を担当者が編集できます*4。申請の日数や振込先といった項目を人が修正したうえで、最終的な実行に進める運用が可能です。
OpenAIのAgents SDKも同様の考え方を採用しています。承認が必要なツール呼び出しには実行を一時停止する設定を付けられ、担当者の承認・拒否をもとに処理を再開する仕組みが用意されています*5。こうした仕組みをどこに組み込むかは、既存システムとの連携方法とあわせて検討する必要があるでしょう。
既存システムとの連携と実行ログの管理——APIとツール呼び出しの仕組み
既存システムとの連携
AIエージェントは単独で動くのではなく、既存の業務システムと連携して初めて効果を発揮します。Amazon Bedrock Agentsは、あらかじめ定義したアクショングループを通じて自社システムのAPIを呼び出せる構成を持ちます*1。
この点はMicrosoftも同様です。ワークフローの途中でAIエージェントに判断を委ねる「エージェントノード」という仕組みと、AIエージェントが既存のワークフローをツールとして呼び出す仕組みの両方が用意されています*6。
判断はAIエージェントが担い、決まった手順の実行はRPAやワークフローが担うという役割分担も選べます*2*6。既存のRPA資産を置き換えるのではなく、組み合わせる設計が現実的な選択肢と言えるでしょう。
実行ログの管理と統制
AIエージェントが自律的に判断する分、何を根拠にどの処理を実行したかを後から追跡できる仕組みが欠かせません。Amazon Bedrock Agentsは、トレース機能でエージェントの推論過程を段階ごとに確認できるようにしています*1。
OpenAIのAgents SDKでも、承認待ちで一時停止した処理の状態を保存し、承認・拒否の履歴とともに処理を再開できる仕組みが提供されています*5。この記録が、誰がどの処理を承認したかという統制の根拠にほかなりません。
権限管理も統制の一部です。AIエージェントが呼び出せるAPIやシステムの範囲をあらかじめ絞り込み、想定外の操作を実行できないようにする設計が求められます。
小さな業務から広げる段階導入——影響範囲を抑えた進め方
AIエージェントを一度に全社へ展開すると、想定外の判断ミスが広範囲に影響しかねません。対象業務を絞った小規模な導入から始め、段階的に範囲を広げる進め方が実務的です。
最初の対象は、判断を誤った場合の影響が限定的で、人による最終確認を組み込みやすい業務が適しています。メールの振り分けや、社内向け問い合わせの一次対応などが候補になるでしょう。
運用しながら誤判定の傾向をつかみ、確認が必要な条件を調整していく工程が欠かせません。安定した運用実績が積み重なった段階で、確認の範囲を狭め対象業務を広げる判断がしやすくなります。
内製と外注の分かれ目——体制・スキル・変化対応力で判断する
承認フローを整えずに導入すると、誤った判断がそのままシステムへ反映されるおそれがあります。とくに複数システムへデータを反映する業務では、誤りの影響が後工程まで及ぶ可能性があるため注意が必要です。
内製で対応するには、AIエージェントの精度検証、承認フローの設計、既存システムとのAPI連携、権限管理といった複数分野の知識が求められます。加えて、フレームワークやモデルの更新に追随し続ける体力も必要になってきます。
専門パートナーに依頼する場合は、業務分析から承認フローの設計、既存システムとの連携、稼働後の監視までを一括して依頼できるか確認することが欠かせません。内製では運用担当者が通常業務と並行して対応することになり、検証に割ける時間が限られる場合があります。
。対象業務の判断の複雑さや連携するシステムの数によって、必要な体制は変わってきます。現状の業務を整理したうえで、内製・外注の切り分けを検討することが実務的です。
まとめ:AIエージェントによる業務ワークフロー自動化で押さえる3つの判断軸
本稿ではAIエージェントによる業務ワークフロー自動化の仕組みと適用範囲を、公式情報をもとに整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、AIエージェントは状況を解釈し外部システムのAPIを呼び出して処理を進める点で、条件分岐のみのRPAと異なります*1*2。第二に、メール対応・一次審査・情報収集・データ入力のように判断を伴う業務ほど適用効果が見込め、実行前には承認フローを組み込む設計が前提です*3*4。第三に、既存システムとの連携範囲や監査・統制の体制によって必要な工数は変わり、内製と外注の判断材料になるでしょう。
よくある質問
AIエージェントとRPAは何が違いますか。
RPAは事前に定義した条件分岐に沿って定型的な操作を繰り返す仕組みです*2。AIエージェントは状況を解釈しながら対応方針を判断し、外部システムのAPIを呼び出して処理を進める点が異なります*1*2。両者は排他的な選択肢ではなく、判断はAIエージェントが担い実行はRPAが担うという組み合わせも可能です*2。
導入するとすべての業務判断をAIエージェントに任せられますか。
重要な処理は人の承認を経る設計が前提になります。Amazon Bedrock AgentsやOpenAIのAgents SDKには、実行前に処理を一時停止し担当者の承認・拒否を待つ仕組みが用意されています*4*5。すべてを自動化するのではなく、判断の重さに応じて人の確認を組み込む設計が実務的です。
既存の業務システムと連携できますか。
AIエージェントは、あらかじめ定義したAPIやツールを呼び出すことで既存システムと連携します*1。ワークフローの途中でAIエージェントに判断を委ねたり、AIエージェントが既存のワークフローを呼び出したりする組み合わせ方も用意されています*6。
小規模な業務から試すことはできますか。
対象業務を絞った小規模な導入から始め、運用実績を積みながら範囲を広げる進め方が現実的です。最初の対象には、判断を誤った場合の影響が限定的で、人による確認を組み込みやすい業務を選ぶことが望ましいでしょう。
内製と外注はどちらが向いていますか。
精度検証や承認フローの設計、既存システムとのAPI連携を担える体制が社内にあり、フレームワークの更新にも追随し続けられる場合は内製が選択肢になります。体制やスキルの確保が難しい場合は、業務分析から稼働後の監視までを一括して依頼できる専門パートナーへの外注が検討材料になります。
著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑
ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
- *1 出典:AWS「Automate tasks in your application using AI agents」(Amazon Bedrock User Guide)(https://docs.aws.amazon.com/bedrock/latest/userguide/agents.html)
- *2 出典:UiPath「What is Agentic Automation?」(https://www.uipath.com/automation/agentic-automation)
- *3 出典:Microsoft「Types of AI Agents and Their Use Cases」(Microsoft Copilot)(https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-copilot/copilot-101/ai-agents-types-and-uses)
- *4 出典:AWS Machine Learning Blog「Implement human-in-the-loop confirmation with Amazon Bedrock Agents」(2025年4月9日)(https://aws.amazon.com/blogs/machine-learning/implement-human-in-the-loop-confirmation-with-amazon-bedrock-agents/)
- *5 出典:OpenAI「Guardrails and human review」(OpenAI API ドキュメント)(https://developers.openai.com/api/docs/guides/agents/guardrails-approvals)
- *6 出典:Microsoft Copilot Blog「Automate business processes with agents plus workflows in Microsoft Copilot Studio」(2026年4月10日)(https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-copilot/blog/copilot-studio/automate-business-processes-with-agents-plus-workflows-in-microsoft-copilot-studio/)