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2026.11.05 らしくコラム

Apache Solrの構築を外部に頼むときの確認ポイント5つ

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ノートPCの画面を手のひらで示して説明する外部の技術者と、あごに手を当てる担当

この記事の結論

  • Apache Solrは、Apache Luceneの上に作られたオープンソースの検索サーバーで、自社のシステムに検索機能を組み込めます。
  • 2026年10月時点の現行の版は10.xで、9.11より古い版はすべてサポートが終わっています。
  • 構築は検索させたい文書と構成から決め、版の更新とバックアップの担当を最初に決めておくことが大切です。

※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

サイト内の検索で、欲しい情報が出てこない。何年も前に入れた検索の仕組みが、誰も触れないまま動いている——。自社のサービスや業務システムに検索機能を持つ会社では、こうした悩みが起こりがちです。Apache Solr(アパッチ・ソーラー)は、大量の文書から目的の情報をすばやく探し出すための、無料で使えるオープンソースの検索サーバーです。

通販サイトの商品検索や社内システムの文書検索など、検索機能を自社のシステムに組み込む場面で使われます。ただし万能ではなく、社内の文書を探せればよいだけなら、画面まで揃った製品のほうが合うこともあります。本記事では、情報システムやサービス開発の担当者に向けて、Solrの特徴、既製の検索製品との違い、版の状況、構築の進め方、そして外部に頼むときに確認したい5つの点を整理します。

Apache Solrとは

公式サイトはSolrを、Apache Luceneという検索ライブラリの全文検索・ベクトル検索・位置情報検索の機能の上に作られた、オープンソースの検索の基盤だと説明しています。*1 文書を登録すると索引(インデックス)が作られ、大量のデータの中からでも条件に合うものをすばやく返せるようになります。主な特徴は次のとおりです。

  • ライセンスはApache License 2.0(改変や再配布を広く認めるライセンス)です*7
  • データの登録も検索もHTTPでやり取りし、JSON・XML・CSVの形式に対応します
  • 条件で結果を絞り込む機能(ファセット)、入力中の候補表示、検索語の強調表示を備えます
  • 日本語は、文を単語に区切る仕組み(形態素解析)のKuromojiで解析できます*4
  • PDFやWordなどのファイルは、Apache Tikaで文字を取り出して登録できます

Solrが受け持つのは、登録された文書を索引にして速く探す部分です。利用者が触る検索画面や、どの文書をいつ登録するかの流れは、自社のシステムの側で作り込みます。部品として組み込める自由さがある一方、作る範囲は広くなる、というのがSolrの性格です。

Fessなど既製の検索製品との違い

社内の検索の仕組みを考え始めると、Solrと並んで、文書を集める機能や検索画面まで最初から入った製品も候補に挙がります。その一つが、オープンソースの全文検索サーバーのFessです。両者は役割の広さが違います。

モニターの検索欄を指して話しかける同僚と、マウスに手を置いて見つめる担当

Apache SolrとFessの違い
観点 Apache Solr Fess
位置づけ アプリやシステムから呼び出して使う検索サーバー そのまま使える全文検索サーバーの製品
文書の集め方 登録するデータをシステムの側から送る Webサイト・ファイル共有・データベースなどを内蔵の仕組みで巡回して集める
画面 管理用の画面がある。利用者向けの検索画面は自社で作る 管理画面と検索画面を標準で備える
中の検索エンジン Apache Luceneを使う OpenSearchを使う
ライセンス Apache License 2.0 Apacheライセンス

表は両者の公式サイトの記載をもとに整理したものです。*1*8 社内の文書を横断して探せればよいなら既製の製品、自社のサービスや業務システムに検索機能を組み込みたいならSolr、という分け方が目安になります。Fessの仕組みはFessとは?社内文書を横断検索する仕組みと導入の注意点で扱っています。

版の状況とサポートの範囲

Solrはボランティアが中心となって開発しており、新しい版を出す日は事前に決まっていません。 公式のダウンロードのページは、版ごとの扱いを次のように示しています。

  • 2026年3月3日にSolr 10.0.0が公開され、10.xが機能の追加が続く現行の版です*1
  • 9.11.xは一つ前の版で、重大な不具合の修正が出ることがあります。9.11.0が9.x系の最後のリリースです
  • 9.11より古い版はすべてEOL(サポート終了)で、今後は更新されず、コミュニティの支援も受けにくくなります*2
  • Solr 10を動かすには、Java 21以上が必要です*3

セキュリティの勧告も続いています。公式サイトには、2026年1月20日付で、権限の規則の一部をすり抜けられる問題などの勧告が2件載っています。*6 古い版のまま動いている検索があれば、まず版を確かめるところから始めます。Solr 10へ上げるときは、いま使っている版から先のすべての版の変更点を確かめるよう、公式の手引きが案内しています。*3

構築の進め方

Solrの構築は、サーバーを用意する作業よりも、何をどう探させるかを決める作業のほうが大切です。次の4つの段階で進めると、途中で作り直しになりにくくなります。

  • ステップ1:検索させたい文書と、検索する人・使う場面を決める
  • ステップ2:1台で動かすか、複数台のSolrCloudで動かすかと、使う版を決める
  • ステップ3:項目の定義(スキーマ)と日本語の区切り方を設計する
  • ステップ4:データを登録する流れと、更新・バックアップ・監視の運用を整える

Apache Solrの構築を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 検索させる文書と使う人を決める、STEP2 構成と版を決める、STEP3 項目と日本語の解析を設計する、STEP4 登録と運用を整える。

ステップ2の構成は、止められない検索かどうかで考えます。公式の手引きは、2つの動かし方の違いを次のように説明しています。*5

1台構成とSolrCloudの違い
観点 1台構成(ユーザー管理) SolrCloud
全体のとりまとめ 手作業や自前の仕組みで行う Apache ZooKeeperが各サーバーの状態をまとめて管理する
索引の分割 どこに入れるかを自分で振り分ける 作るときに分割数を決めれば自動で振り分ける
1台が止まったとき 自動で引き継ぐ仕組みは無い 複製(レプリカ)が処理を引き継ぐ

つまずきやすいのはステップ3です。日本語の区切り方しだいで、同じ言葉で探しても見つかる文書が変わります。公式サイトは、最初は項目を自動で判断するモードで始め、本番では項目を定義した設定に切り替えるよう勧めています。*1 本番の前に、実際の文書と検索語で結果を確かめておきます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Solrはライセンス費用がかからない一方、設計と運用の手間は自社か委託先が持つことになります。構築を外部に頼むときは、見積もりの前に次の5つを確かめておきます。

ホワイトボードの構成図を前に話し合う外部の技術者と運用担当

  • どこまで頼むか:構成の設計、項目と日本語の解析の設計、データ登録の仕組み、検索画面のうち、どれを任せるか
  • 使う版:現行の10.xで組むか。古い版から移すなら、移行の手順と確かめ方をどうするか
  • 構成:1台で足りるか、SolrCloudにするか。ZooKeeperを含めて誰が面倒を見るか
  • 権限:Solrには認証と権限の仕組みがあります。誰が検索や登録をできるようにするか
  • 運用:版の更新とセキュリティの勧告の確認を誰がいつ行うか。バックアップをどこへ取り、戻す練習をするか

特に版の更新は、導入時に決めないまま運用に入りやすい点です。SolrCloudでバックアップを取るには、すべてのサーバーから同じ場所に見える共有の保存先が要ると、公式の手引きは説明しています。*4 検索エンジン全体の選び方や費用の考え方は全文検索基盤の構築・外注費用と委託先の選び方にまとめています。

まとめ:Apache Solrで確かめておきたい3つの点

Apache Solrで検索の基盤を作るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社のシステムに組み込むのか、社内の文書を探せればよいのかを決め、Solrと既製の製品のどちらが合うかを見極めること。第二に、現行の10.xを使い、1台構成かSolrCloudかを検索を止められるかどうかで決めること。第三に、版の更新・セキュリティの勧告の確認・バックアップを誰が受け持つかを、導入の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「作った検索が古い版のまま放置され、誰も直せなくなった」という事態を避けやすくなります。設計や移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Apache Solrの構築では、公式の要件に合わせてJava 21以上の実行環境を用意し、現行の10.xで組みます。設計の段階では、1台構成かApache ZooKeeperを使うSolrCloudかを検索の止められなさから決め、項目の定義とKuromojiによる日本語の区切り方を、お客様の実際の文書と検索語で確かめながら詰めます。PDFやOfficeの文書を扱う場合は、Apache Tikaで文字を取り出す流れを登録の仕組みに組み込みます。運用では、認証と権限の設定、共有の保存先へのバックアップと戻す手順、版の更新とセキュリティの勧告の確認手順を文書にしてお渡しします。

よくある質問

Apache Solrは商用のサービスに使えますか

使えます。ライセンスはApache License 2.0で、利用料はかかりません。ただし、サーバーの費用や、構築・更新・監視の手間は自社か委託先が持つことになります。ライセンスの条件の細部は、利用前に法務の担当者と確かめておくと確実です。

古い版のSolrを使い続けても問題ありませんか

おすすめできません。9.11より古い版はEOL(サポート終了)で、今後は更新されません。*2 新しく見つかった弱点が直らないまま残るため、使い続けるなら現行の版への移行を計画します。移行は今の設定と検索結果を記録してから進めると、結果の違いを確かめやすくなります。

Solrだけで社内のファイルサーバーを検索できますか

Solr自体は、登録されたデータを検索する仕組みです。ファイルサーバーの文書を定期的に集めて登録する流れは、別に用意する必要があります。社内文書の横断検索が目的なら、巡回して集める機能を備えたFessのような製品と比べて選ぶとよいでしょう。

全文検索基盤の構築のご相談

Apache Solrを使った検索基盤の設計・構築から、版の移行、更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:The Apache Software Foundation「Apache Solr」公式サイト(トップページ・Features)(https://solr.apache.org/features.html)。出典:Apache Luceneの上に作られた検索の基盤であること、JSON・XML・CSVでのHTTPによる登録と検索、ファセット・候補表示・強調表示、スキーマレスで始めて本番では定義した設定に切り替える記述、Solr 10.0.0の公開日(2026年3月3日)を参照(2026年11月確認)
  2. *2 参考:Apache Solr「Solr Downloads」(https://solr.apache.org/downloads.html)。出典:リリースが事前に予定されないこと、10.xが現行の版、9.11.xが一つ前の版、9.11より古い版がEOLであることの記述を参照(2026年11月確認)
  3. *3 参考:Apache Solr Reference Guide「System Requirements」「Major Changes in Solr 10」(https://solr.apache.org/guide/solr/latest/deployment-guide/system-requirements.html)。出典:Solr 10がJava 21以上を必要とすること、移行前に途中の版を含めて変更点を確かめる案内を参照(2026年11月確認)
  4. *4 参考:Apache Solr Reference Guide「Language Analysis」「Indexing with Solr Cell and Apache Tika」「Configuring Authentication and Authorization」「Backup and Restore」(https://solr.apache.org/guide/solr/latest/indexing-guide/language-analysis.html)。出典:KuromojiによるJapaneseの解析、Apache Tikaによる文字の取り出し、認証と権限の仕組み、SolrCloudのバックアップに共有の保存先が要ることの記述を参照(2026年11月確認)
  5. *5 参考:Apache Solr Reference Guide「Solr Cluster Types」(https://solr.apache.org/guide/solr/latest/deployment-guide/cluster-types.html)。出典:SolrCloudとユーザー管理の構成の違い(ZooKeeperによる管理、索引の分割、障害時の引き継ぎ)の記述を参照(2026年11月確認)
  6. *6 参考:Apache Solr「Solr Security」(https://solr.apache.org/security.html)。出典:2026年1月20日付のセキュリティ勧告(CVE-2026-22022・CVE-2026-22444)を参照(2026年11月確認)
  7. *7 参考:apache/solr(GitHub)(https://github.com/apache/solr)。出典:ライセンス(Apache License 2.0)を参照(2026年11月確認)
  8. *8 参考:CodeLibs Project「Fess」公式サイト(https://fess.codelibs.org/ja/)。出典:クローラー・管理画面・検索画面の標準搭載、Webサイト・ファイル共有・データベースのクロール、OpenSearchの採用、Apacheライセンスの記述を参照(2026年11月確認)




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