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2026.07.08 らしくコラム

CentOS 7終了後のLinux移行を外注で解決

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

サーバー移行の作業

この記事のポイント

  • CentOS 7はRed Hatの公式発表通り2024年6月30日にサポートを終了しており、以降はセキュリティ更新が提供されません。
  • 移行先の代表格であるAlmaLinuxとRocky Linuxは、運営母体・互換性方針・CentOS 7からの移行手段が異なります。
  • 移行方式の選定や検証には専門知識が必要なため、内製・外注のどちらで進めるかを早期に判断することが欠かせません。

CentOS 7サポート終了、2024年6月30日で何が変わったか

IT基盤の運用

CentOS 7サポート終了後の移行とは、CentOS 7環境を後継のLinuxディストリビューションへ切り替える取り組みを指します。代表的な移行先がAlmaLinuxとRocky Linuxです。Red Hat公式の情報によると、CentOS Linux 7は2024年6月30日にエンドオブライフ(EOL)を迎えています*1

EOLを迎えたLinuxディストリビューションでは、新たに発見された脆弱性への修正パッチが提供されなくなります*1。CVE(共通脆弱性識別子)が公表されても、対応版パッケージが配布されない状態が続くことになります。

本番環境でCentOS 7を稼働させている法人にとって、この期限は看過できません。セキュリティ更新が届かないサーバーは、外部からの攻撃を受けた際に修正手段がないまま被害が拡大するおそれがあります。取引先とAPI連携や専用線接続を行っているシステムでは、自社の被害にとどまらず取引先への影響も懸念されるでしょう。

Red Hatは移行の選択肢として、無償の移行ツール「Convert2RHEL」を提供しています*1。既存のカスタマイズや設定を維持したままRHELへ変換できる仕組みです*1

あわせて「Extended Life Cycle Support(ELS)」という有償の延長サポートも用意されています*1。RHEL 7の最終マイナーリリース(7.9)が対象で、重大なセキュリティ修正や緊急度の高い不具合修正を2029年5月31日まで受けられます*1。ただしELSは延命措置であり、恒久的な対応ではありません*1

AlmaLinux・Rocky Linux、運営母体と互換性方針の違い

CentOS 7の後継としてよく比較されるのが、AlmaLinuxとRocky Linuxです。両者ともCentOSの安定版が終了したことを受けて生まれたコミュニティ主導のディストリビューションですが、運営母体と互換性方針には違いがあります。

AlmaLinuxは、2021年3月に設立された非営利団体「AlmaLinux OS Foundation」が運営しています*2。当初はRHELの完全な1対1の再構築(ダウンストリームリビルド)を目標としていました*2

しかし2023年7月、方針をABI互換(アプリケーション・バイナリ・インターフェースの互換性)の維持へ転換しています*2。この転換により、RHEL上で動くアプリケーションやカーネルモジュールはAlmaLinux上でも動作すると同財団は説明しています*2

一方のRocky Linuxは、「Rocky Enterprise Software Foundation(RESF)」という団体が運営しています*5。RESFの憲章には、特定の企業や個人による支配・買収を禁じる方針が明記されています*5

対象はRocky Linuxを含む、RESFが手がける全プロジェクトです*5。Rocky LinuxはEnterprise Linuxとの「バグレベルでの互換性」を掲げる設計を採用しています*5

この違いは、移行手段にも表れます。AlmaLinuxには「ELevate」というプロジェクトが用意されています*3。CentOS 7からの段階的なインプレース移行(既存環境を保ったままの移行)に対応する仕組みです*3

一方でRocky Linuxの移行ツール「migrate2rocky」は、CentOS・RHEL・Oracle Linuxの8または9が対象です*4。CentOS 7からの直接移行には対応していません*4。CentOS 7からRocky Linuxへ移行する場合は、クリーンインストールでの新規構築が中心的な選択肢になります。

項目 AlmaLinux Rocky Linux
運営主体 AlmaLinux OS Foundation(非営利団体・2021年3月設立)*2 Rocky Enterprise Software Foundation(RESF)*5
互換性方針 2023年7月からRHELとのABI互換を維持する方針*2 Enterprise Linuxとの「バグレベル互換」を掲げる*5
CentOS 7からの移行手段 ELevateプロジェクトで段階的なインプレース移行に対応*3 公式ツールmigrate2rockyはバージョン8・9が対象でCentOS 7は非対応*4
クリーンインストールが中心
ガバナンスの特徴 会員登録した個人が理事会選出に参加できる仕組み*2 特定企業・個人による支配を禁じる憲章を明文化*5

移行方式の選択 — ELevateによる段階移行とクリーンインストール

CentOS 7からの移行方式は、大きく「インプレース移行」と「クリーンインストール」の2つに分かれます。インプレース移行とは、既存のサーバー環境を維持したままOSを新しいディストリビューションへ切り替える方式です。

ELevateプロジェクトによるインプレース移行

AlmaLinuxが提供する「ELevate」は、Red Hat系ディストリビューションのメジャーバージョン間アップグレードを支援するプロジェクトです*3。Leapp(RHEL系のOS標準アップグレードツール)にAlmaLinux独自のリポジトリとメタデータライブラリを組み合わせた仕組みです*3。CentOS 7からAlmaLinux 8・9・10への移行に対応しています*3

ただしELevateは、1段階ずつのアップグレードを前提に設計されています*3。CentOS 7からAlmaLinux 10のような複数バージョン先へ一度に移行する場合は、8・9・10と段階を踏む必要があります*3。各段階での動作検証も欠かせません*3

クリーンインストールによる新規構築

Rocky Linuxへ移行する場合や、ミドルウェア・アプリケーションの構成を見直したい場合は、クリーンインストールによる新規構築が選択肢になります。新しいサーバーにRocky LinuxやAlmaLinuxをゼロから構築し、データと設定を移し替える方式です。

クリーンインストールには、CentOS 7時代の古い設定やライブラリを引き継がずに済む利点があります。一方で、稼働中のミドルウェアやアプリケーションをすべて洗い出し、新環境向けに再構築する工数が発生します。

EL7(CentOS 7)向けにビルドされたパッケージは、ライブラリのバージョンが異なるEL8・EL9環境でそのまま動作するとは限りません。事前の互換性確認が欠かせません。

どちらの方式を選ぶ場合も、本番環境でいきなり作業を実行するのではなく、検証環境での事前テストを経て段階的に展開する計画が必要になります。

移行を内製で進める場合に必要なスキルと工数

CentOS 7の移行を内製で進める場合、情報システム部門には複数の専門知識が求められます。第一に、ELevateやLeappの実行手順を理解し、アップグレード時に発生する依存関係の競合に対処する知識です。第二に、稼働中のミドルウェア・データベース・アプリケーションが移行先のEL8・EL9環境で動作するかを洗い出す互換性調査の知識です。

そして第三に、移行に失敗した場合に旧環境へ戻す切り戻し手順を設計しておく運用知識も欠かせません。

この作業を誤ると発生するリスクは軽視できません。検証を省いたまま本番サーバーで直接アップグレードを実行すると、依存パッケージの競合でサービスが起動しない、データベースの互換性が崩れるといった障害が発生します。結果として業務システムの停止につながるおそれがあります。バックアップを取得しないまま作業を進めた場合、復旧の手段自体が失われる点にも注意が必要です。

サーバー台数が数十台規模になると、検証環境の構築・アプリケーションごとの動作確認・段階的な展開を、通常の運用業務と並行してこなす必要があります。担当者が少人数の企業ほど、負荷が集中しやすくなるでしょう。「ひとり情シス」のような体制では、日々の運用を止められない以上、移行作業に割ける時間そのものが制約になります。

外注委託で進めるメリットと委託先選定のポイント

専門パートナーに委託した場合、内製との違いは主に「移行方式の見極め」と「複数台への並行展開力」にあります。委託先は、CentOS 7環境の構成をもとにELevateによる段階移行かクリーンインストールかを判断する仕組みです。

検証手順をチェックリスト化し、横展開できる点が特徴と言えるでしょう。そのため情シス担当者は、例外対応や利用部門からの問い合わせに専念できます。

委託先を選定する際は、次の点を確認することが欠かせません。まず、CentOS系・RHEL系ディストリビューションの移行実績があるかどうかです。次に、検証環境を用意したうえで段階的に展開するロールアウト計画を提示できるかどうかも判断材料になります。

さらに、移行後の障害対応や監視体制を保守契約として引き継げるかどうかも、移行後の運用を見据えると重要な確認事項です。

委託範囲の決め方も検討事項の一つです。棚卸しから移行先の選定・構築・展開まで一括で委託する方式があります。検証設計だけを委託し、実際の移行作業は自社で行う方式もあり、費用感と社内の関与度合いが変わります。

外注のメリットは、業務を止められない状況で頼るという消極的な理由だけではありません。サポートが途切れた状態で稼働を続ける期間を短くし、計画どおりに移行を終わらせる点にこそ意味があります。ELSのような延命措置に頼る期間を待たずに着手するほど選べる方式の幅は広く残るため、早い段階での相談が有効です。

まとめ:CentOS 7移行で押さえる3つの判断軸

本稿ではCentOS 7のサポート終了と、AlmaLinux・Rocky Linuxへの移行について、時期・運営母体・移行手段の違いを整理しました。要点を3つに集約すると次の通りです。第一に、CentOS 7は2024年6月30日にすでにエンドオブライフを迎えており、以降はセキュリティ更新が提供されない状態が続いています*1。第二に、AlmaLinuxとRocky Linuxは運営母体・互換性方針が異なります*2*4。CentOS 7からの移行手段にも違いがあるため、自社の環境に合った選択が必要です*2*4。第三に、ELevateによる段階移行かクリーンインストールかの判断には専門知識が求められるため、内製か外注かの検討は早期に行う必要があります。

LASSICに相談するメリット

LASSICはシステム保守・運用を元請として受託しています。CentOS 7環境の棚卸しから移行先の選定、ELevateによる段階移行やクリーンインストールの実行、切替後の監視体制構築まで、一貫した支援を提供します。稼働中の本番サーバーでも、検証環境を用いた段階的な移行計画により、サービスを止めずに切り替えを進める体制づくりが可能です。

よくある質問

CentOS 7はもうサポートが終了していますか?

はい、CentOS Linux 7は2024年6月30日にエンドオブライフ(EOL)を迎えており、無償のセキュリティ更新は提供されていません*1。すでに期限を過ぎているため、対応方針の検討を急ぐ必要があります。

AlmaLinuxとRocky Linuxはどちらを選べばよいですか?

一概にどちらが優れているとは言えません。AlmaLinuxはRHELとのABI互換を掲げ、ELevateによるCentOS 7からの段階移行に対応しています*2*3。Rocky LinuxはRESFという団体が運営しています*5。特定企業に支配されない体制を重視していますが、CentOS 7からの直接移行ツールは用意されていません*4*5。自社の移行方式と運用方針に応じて選ぶことが大切です。

CentOS 7からAlmaLinuxへ直接移行できますか?

できます。AlmaLinuxのELevateプロジェクトを使うと、CentOS 7からAlmaLinux 8への段階的なインプレース移行が可能です*3。ただしAlmaLinux 9・10まで進める場合は、1段階ずつ順番にアップグレードする必要があり、各段階での動作検証が欠かせません*3

移行作業は自社の情シス担当者だけで対応できますか?

台数が少なければ対応できる場合もあります。複数台・複数アプリケーションが稼働する環境では、互換性検証・段階的な移行・切り戻し準備が同時並行になり、通常業務と両立しにくくなります。体制が限られる企業では、検証の一部を外部委託する選択肢が有効です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Red Hat「CentOS Linux EOL」(redhat.com
  2. *2 出典:AlmaLinux OS Foundation「FAQ」(wiki.almalinux.org
  3. *3 出典:AlmaLinux Wiki「About ELevate project」(wiki.almalinux.org
  4. *4 出典:Rocky Linux公式ドキュメント「Migrating To Rocky Linux」(docs.rockylinux.org
  5. *5 出典:Rocky Linux「Community Charter」(rockylinux.org

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