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2026.07.03 らしくコラム

DX認定制度の取得メリットと進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

DX認定制度の検討・経営会議のイメージ

この記事のポイント

  • DX認定制度は情報処理促進法に基づき国が認定する制度で、全事業者が対象になります。
  • 取得すると対外PRや金融・税制面の優遇要件としての活用など複数の効果が期待できます。
  • 申請にはデジタルガバナンス・コードに沿った社内整備が前提となり、経営層の関与が欠かせません。

DX認定制度とは — 情報処理促進法とデジタルガバナンス・コード

DX戦略の整理・申請準備のイメージ

DX認定制度とは、情報処理の促進に関する法律第28条に基づき、デジタルガバナンス・コードの基本的事項に対応していると認められた事業者を国が認定する制度である*1。認定の主体は経済産業省であり、実務上の申請受付・審査事務はIPA(情報処理推進機構、DX推進を支援する独立行政法人)が担っている。

認定基準は経済産業省が公表するデジタルガバナンス・コードに対応しており、経営ビジョンの策定、DX戦略の推進体制、ITシステムに関する戦略、成果指標の設定と開示といった項目への対応状況が審査対象になる。対象事業者は法人・個人事業主を問わず全事業者であり、大企業だけでなく中小企業も申請できる*2

申請は年間を通じていつでも可能であり、時期を限定した募集ではない点が特徴である*2。標準処理期間は60営業日とされ、申請から認定まで一定の審査プロセスを経る*2。認定の有効期間は2年であり、更新を受けるには有効期間満了前に更新申請が必要になる*2

この制度の位置づけを一言で表すなら、「DXに取り組む姿勢を国が客観的に確認した証明」と言えるだろう。自己宣言ではなく第三者機関の審査を経る点が、社内外への説明力を持つ理由である。

図

DX認定制度の取得フロー(現状の棚卸しから認定・更新まで)

経営層が取得を検討する理由 — PR効果と戦略の棚卸し

DX認定の取得を検討する動機は、対外的な信用力の向上だけにとどまらない。申請プロセス自体が、自社のDX戦略を経営層の目線で言語化する機会になる点が実務上の理由として挙げられる。

デジタルガバナンス・コードが求める項目は、経営ビジョン・DX戦略・推進体制・成果指標の4領域にわたる。これらを申請書としてまとめる過程では、各部門に散在していたDXの取り組みを一枚のストーリーとして棚卸しすることになるだろう。

取引先や金融機関、採用市場に対しては、認定取得が「DXに本気で取り組む企業」という客観的なシグナルになる。特に発注元となる大企業がサプライヤー選定でDXへの取り組み姿勢を確認する場面では、認定の有無が判断材料の一つになり得るのではないだろうか。

一方で、認定取得そのものを目的化してしまうと、審査を通すための体裁づくりに終始しかねない。次章以降で述べる通り、取得プロセスをDX戦略の実質的な見直し機会として活用する視点が求められる。

取得で得られる3つのメリット:PR・支援措置・社内整理

DX認定制度の取得によるメリットは、大きく3つに整理できる。第一に、認定事業者はDX認定ロゴマークを自社のホームページや名刺、採用資料などに使用できる*2。ロゴマークは第三者認定の証であり、営業資料や採用ページに掲載することで対外PRの材料になる。

第二に、金融・税制面での優遇や助成の要件として認定が活用できる点である。経済産業省は金融機関の融資制度や税制上の措置において、DX認定の取得を要件の一つに位置づけている*1。具体的な優遇内容や適用条件は制度ごとに定められているため、自社が対象となるかは各制度の最新の公表情報を確認する必要があるだろう。

加えて、上場企業はDX認定の取得によってDX銘柄の選定調査への回答資格を得られ、中堅・中小企業等はDXセレクションへ自薦で応募できるようになる*2。いずれも経済産業省が実施する顕彰制度であり、認定取得がその入口として機能する。

第三に、社内的な効果として、DX戦略・推進体制・成果指標を文書として整理する過程そのものが資産になる。担当者の異動や退職があっても、申請書という形で戦略の全体像が残るため、属人化を防ぐ効果が期待できる。

準備・申請・審査・更新 — 取得までの4ステップ

DX認定の取得プロセスは、準備・申請・審査・更新という4段階で進めると整理しやすい。まず準備段階では、デジタルガバナンス・コードが示す項目に沿って、自社の経営ビジョン・DX戦略・推進体制・成果指標の現状を洗い出す。

この棚卸しでは、経営層がDXをどう位置づけているかを明文化できているか、戦略を推進する責任者や体制が明確か、成果を測る指標を設定し開示する仕組みがあるかを確認する。未整備の項目があれば、申請前にドキュメント化や体制構築を進める必要がある。

次に申請段階では、IPAが公開する申請要領・様式に沿って認定申請書を作成し、電子申請システムを通じて提出する。年間を通じて随時受け付けているため、社内の準備が整ったタイミングで申請できる*2

審査段階の標準処理期間は60営業日である*2。この間に申請内容の確認や、必要に応じた照会対応が発生し得る。認定後は2年間有効であり、更新を希望する場合は有効期間満了前に更新申請の手続きを行う*2

申請書の作成には、デジタルガバナンス・コードの各項目をどう解釈し自社の取り組みに落とし込むかという専門的な読解力が求められる。経営企画・IT部門だけで対応する場合、通常業務と並行して数か月規模の準備期間を要する可能性があるだろう。

認定はゴールでなく手段 — 形式取得で終わらせない視点

認定取得後の推進体制のイメージ

DX認定はあくまで、デジタルガバナンス・コードに対応する体制が整っていることの証明であり、取得自体が経営課題を解決するわけではない。認定を受けた時点の体制を維持・発展させなければ、次回更新時に形骸化した申請書を作り直すだけの作業になりかねない。

認定取得後に重要なのは、申請時に整理した成果指標を実際に運用し、DX戦略の進捗を定期的に見直すサイクルを回すことである。指標を設定しただけで放置すれば、対外的な認定と社内の実態が乖離していく懸念がある。

また、認定基準はデジタルガバナンス・コードの改定に応じて見直される可能性がある。制度の最新動向を継続的に把握し、自社の取り組みを更新し続ける姿勢が、認定の実質的な価値を保つ条件と言えるだろう。

内製で進める場合の負荷と外部専門支援という選択肢

DX認定の取得準備をすべて内製で完結させる場合、経営戦略の言語化、IT戦略・システム構成の整理、成果指標の設計という異なる専門性を同時に扱う必要がある。経営企画部門とIT部門が兼務体制で対応するケースでは、申請書の作成だけで相応の工数がかかることが想定される。

特にIT戦略・システム面の記述は、現状のシステム構成やクラウド活用状況を正確に棚卸しした上で、今後の投資計画と整合させる作業を伴う。老朽化したシステムの刷新計画やクラウド移行の方向性が定まっていない企業では、申請書作成の前段階でシステム戦略そのものを検討し直す必要が生じるだろう。

このような場面では、DX戦略の策定支援やシステム開発・運用の受託実績を持つ外部パートナーと分担する進め方が有効な選択肢になる。認定取得の準備を機にITシステムの現状を棚卸しし、老朽化したシステムの刷新や新規開発を外部委託と組み合わせて検討すれば、認定準備と実際のDX推進を同時に前進させやすい。

内製と外部委託を組み合わせるかどうかの判断軸は、社内に戦略立案とシステム実装の両方を担える人員が継続的に確保できるかという点にある。人員の異動や退職に左右されない体制を築けるかどうかが、実務上の分かれ目になるのではないだろうか。

まとめ:DX認定制度で経営が握るべき3つの判断軸

本稿では、DX認定制度の法的根拠から取得メリット、申請の進め方までを経営視点で整理しました。要点を3つに集約すると次の通りです。第一に、DX認定は情報処理促進法第28条に基づく国の認定制度であり、デジタルガバナンス・コードへの対応状況が審査されます。第二に、取得によりロゴマークの使用や金融・税制面の優遇要件としての活用、DX銘柄・DXセレクションへの応募資格といった複数のメリットが得られます。第三に、認定はゴールではなく、DX戦略を継続的に運用するための手段であり、申請準備の過程でシステム面の課題整理まで進めることが実質的な価値につながります。

LASSICに相談するメリット

LASSICは元請(プライムベンダー)として、システムの保守・運用を受託する体制を整えています。DX認定申請の前提となるITシステム戦略の整理から、既存システムの刷新・クラウド活用の検討、新規開発の受託まで一貫してご相談いただけます。経営企画部門・IT部門の体制が限られる企業でも、申請準備と並行して進めるべきシステム面の課題を整理し、優先順位に沿った進め方をご提案します。

よくある質問

DX認定制度は中小企業でも取得できますか。

取得できます。DX認定制度は法人・個人事業主を問わず全事業者を対象としており、大企業と中小企業で申請条件に区別はありません*2。自社の規模に合わせてデジタルガバナンス・コードの項目に対応することが前提になります。

申請から認定までどのくらいの期間がかかりますか。

標準処理期間は60営業日とされています*2。ただし社内での準備期間は別途必要であり、デジタルガバナンス・コードの各項目を整理する期間を含めると、着手から認定まではより長い期間を見込んでおく必要があるでしょう。

DX認定を取得すると具体的にどのような支援を受けられますか。

認定事業者はDX認定ロゴマークを使用できるほか、金融・税制面の優遇や助成の要件として認定が活用されます*1。上場企業はDX銘柄の選定調査に、中堅・中小企業等はDXセレクションに応募できる資格も得られます*2。具体的な優遇内容は制度ごとに異なるため、最新の公表情報の確認をお勧めします。

認定を取得した後、更新の手続きは必要ですか。

必要です。DX認定の有効期間は2年であり、更新を希望する場合は有効期間の満了前に更新申請書を提出する必要があります*2。更新時には、認定後の取り組み状況も踏まえて審査が行われます。

申請書の作成は自社だけで対応できますか。

対応は可能ですが、負荷は小さくないと考えられます。経営戦略の言語化とIT戦略・システム構成の整理を同時に進める必要があるため、体制が限られる企業では外部の専門支援やシステム開発の受託パートナーと分担する進め方も選択肢になります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:経済産業省「DX認定制度」https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-nintei/dx-nintei.html
  2. *2 出典:IPA(情報処理推進機構)「DX認定制度のご案内」https://www.ipa.go.jp/digital/dx-nintei/about.html


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