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2026.07.22 らしくコラム

Focalboardでタスク管理をセルフホスト構築・外注

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

タスク管理ボードのイメージ

この記事のポイント

  • Focalboardは、カンバンボードでタスクやプロジェクトの進捗をチームで一元管理できる、無料のセルフホスト型プロジェクト管理OSSです。
  • GitHub公式リポジトリは「現在メンテナンスされていません」と明記し保守担当者を募集しており、最新リリースもv8.0.0(2024年6月)にとどまるため、導入前に開発体制の現状を確認する必要があります。
  • Mattermost Boardsという代替の選択肢もありますが利用可能プランに制約があるため、内製で構築するか外注するかは費用構造とリスクの両面から判断することになります。

Focalboardとは?Trello・Asana・Notion代替のセルフホスト型プロジェクト管理OSS

セルフホストサーバーのイメージ

Focalboardとは、Mattermost社が開発を主導してきた、オープンソースかつ自社サーバーに構築できるプロジェクト管理ツールです。GitHub公式リポジトリのREADMEは「an open source, multilingual, self-hosted project management tool that’s an alternative to Trello, Notion, and Asana」と説明しており*1、カンバン形式のボードでタスクやプロジェクトの進捗をチームで一元管理する用途に位置づけられています。

図
図:Focalboardによるタスク管理の流れ(タスク登録→カンバン管理→進捗の可視化→自社サーバーで保持)

タスクをカードとして登録し、ステータスごとにカンバンボード上で動かしながら進捗を管理する発想は、TrelloやAsanaに近いものです。担当者や期限といった情報をプロパティとして付与できる点も、SaaS型のタスク管理ツールと共通する部分でしょう。無料のオープンソースソフトウェアであり、データを外部のクラウドサービスへ送信せず自社サーバーに保持できる設計は、セルフホストを検討する一つの動機になり得ます。

【要確認】GitHub公式が明記する「現在メンテナンスされていません」という通知

Focalboardを導入候補として検討する際にまず確認すべきなのは、開発体制の現状です。GitHub公式リポジトリのトップページには「This repository is currently not maintained. If you’re interested in becoming a maintainer please let us know here」という通知が掲示されており*1、保守担当者を新たに募集している段階にあることが明記されています。

最新リリースはv8.0.0(2024年6月13日公開)で*1、これ以降スタンドアロン版としての新しいリリースは確認できません。README自体も機能一覧やスクリーンショットを含まない簡素な内容にとどまっており*3、活発に更新され続けているプロジェクトとは言い難い状況です。導入を検討する企業は、この開発体制の現状を踏まえたうえで採用の可否を判断する必要があるでしょう。

Personal Desktop・Personal Server・Dockerの3つの導入形態

Focalboardは、用途に応じて複数の形態で提供されています。Personal Desktopは、macOS・Windows・Linuxで動作するスタンドアロンかつシングルユーザー向けのデスクトップアプリです*3。Personal Serverは、Ubuntu上で動作するスタンドアロンのマルチユーザー向けサーバー版であり*3、社内の複数メンバーでボードを共有したい場合はこちらが対象になります。

もう一つの選択肢がDockerによる構築です。公式イメージ「mattermost/focalboard」を使えば「docker run -it -p 80:8000 mattermost/focalboard」というコマンドで起動できます*3。複数アーキテクチャに対応したビルド手段も用意されていますが*3、前章でふれた開発体制の現状を踏まえると、こうしたイメージや手順自体が今後も更新され続けるとは限らない点に注意が必要です。

ライセンス構成:AGPLv3・MIT・Apache License v2.0の使い分け

ライセンス面では、Focalboardは単一のライセンスではなく複数のライセンスを組み合わせた構成を取っています。LICENSE.txtによると、Mattermost社がコンパイルした版はMIT LICENSEの下で提供され*2、ソースコード本体はFree Software FoundationによるGNU AGPL v3.0の下で公開されています*2。管理ツールと設定ファイルの一部についてはApache License v2.0が適用される構成です*2

AGPLv3は、改変したソフトウェアをネットワーク越しにサービスとして提供する場合にもソースコード開示義務が及ぶ点で、MITやApacheのライセンスより制約が強い形態です。社内利用にとどめる限りは大きな制約になりにくいものの、改変版を外部へ提供するようなケースでは、契約前にライセンス条項を自社の顧問等と確認しておくことが望ましいでしょう。

Dockerで構築する基本手順

Dockerを使った構築の流れは比較的シンプルです。公式イメージをそのまま利用する場合は、前述の「docker run -it -p 80:8000 mattermost/focalboard」を実行するだけで起動できます*3。自前でビルドする場合は、リポジトリ直下で「docker build -f docker/Dockerfile .」を実行すると、現在のアーキテクチャ向けのイメージを作成できます*3

arm64等の異なるアーキテクチャ向けには「docker build -f docker/Dockerfile –platform linux/arm64 .」のように–platformオプションを指定したビルドも用意されていますが、公式ドキュメントはこれを実験的な位置づけとして扱っています*3。本番環境で採用する前には、自社が使うインフラ上での動作検証を個別に行う必要があります。

代替の選択肢:Mattermost Boardsプラグインとの違いと注意点

Focalboardのスタンドアロン版が保守停滞にある一方、Mattermost本体に統合する「Mattermost Boards」プラグインは、mattermost-plugin-boardsという別リポジトリで開発が続いています*4。このリポジトリはFocalboardから完全に独立して運営されており*4、2026年7月時点の最新リリースはv9.3.1です*4。すでにMattermostをコミュニケーション基盤として社内導入している企業にとっては、こちらが現実的な選択肢の一つになり得るでしょう。

ただし、Mattermost Boardsにも制約があります。公式ドキュメントは「The Mattermost Boards plugin is currently in maintenance mode」と明記しており*5、新機能の追加は行わず、バグ修正とセキュリティパッチのみを提供する段階にあるとしています。加えて、Boardsを利用できるのはEntry・Enterprise・Enterprise Advancedのプランに限られ、Professionalプランでは利用できません*5。導入する場合は、GitHubのリリースページからプラグインバイナリを取得し、システムコンソールのPlugin ManagementからUpload Pluginで登録したうえで、Boardsプラグインを有効化する手順を踏みます*5。Focalboard単体・Mattermost Boards・そして外注委託のいずれを選ぶにしても、自社の既存基盤と運用体制を踏まえた比較が欠かせません。

セルフホスト内製と外注委託のコスト構造比較

セルフホストによる内製構築と、外部パートナーへの委託では、費用構造・必要スキル・リスク対応の重心が異なります。以下の表に主な違いを整理しました。

比較項目 セルフホスト内製 外注委託
ライセンス費用 AGPLv3等をベースとした無料ソフトウェアのため発生しません*2 ソフトウェア自体は無料ですが、構築・保守を委託する分の費用が発生します
開発体制のリスク 保守停滞という現状を踏まえ、脆弱性対応や継続利用の可否を自社で見極める必要があります*1 委託先が継続利用の是非や代替手段への切替判断を含めて助言できます
必要な専門知識 Docker運用・Personal Server版が前提とするUbuntu管理・ライセンス条項の確認が必要です*3*2 専門パートナーが構築・調整を担うため、社内での知識習得は最小限で済みます
継続性の担保 スタンドアロン版の更新停止に備え、Mattermost Boards等への移行計画を自社で検討します 移行判断や代替製品の提案を含めて委託先が対応します

内製構築に必要なスキルと外注との違い

Docker運用・ライセンス確認・継続性リスクの見極めに求められる専門知識

Focalboardを内製で構築・運用する場合、求められる専門知識は複数分野にまたがります。Dockerコンテナの運用とPersonal Server版が前提とするUbuntu環境の管理、AGPLv3をはじめとするライセンス条項の確認、そして保守停滞というプロジェクトの現状を踏まえた継続利用リスクの見極めがその内容です。自社の情報システム部門だけでこれらを完結させるには、複数の担当者が連携する体制を整える必要があるでしょう。

判断を先延ばしにしたまま自己流で構築を進めると、脆弱性情報のキャッチアップが後回しになったり、Mattermost Boardsのような移行先を検討しないまま運用を続けてしまったりする問題が後から表面化するケースがあります。開発体制が停滞しているOSSを社内システムに組み込む以上、こうしたリスクへの備えは導入前の段階で整理しておくことが大切です。

専門パートナーに委託した場合の違い

専門パートナーに依頼すると、Docker環境の構築からライセンス条項の確認、Mattermost Boardsを含む代替製品との比較検討、将来的な移行判断まで一連の工程を任せられます。自社では情報収集や動作検証だけで時間がかかる場面でも、複数のプロジェクト管理基盤を扱ってきた知見を活用すれば、稼働までの期間を圧縮しやすくなります。内製と外注のどちらを選ぶ場合でも、まずは自社の運用体制と継続利用のリスク許容度を整理することが出発点と言えるでしょう。

まとめ:Focalboard導入前に確認すべき3つの判断軸

本稿ではFocalboardの機能とセルフホスト構築の要点を、GitHub公式リポジトリおよび公式ドキュメントの情報に基づいて整理しました。要点は次の3つに集約されるでしょう。第一に、カンバンボードによるタスク・プロジェクト管理はAGPLv3等をベースとした無料OSSで実現でき、ライセンス費用は発生しません*2。第二に、GitHub公式は「現在メンテナンスされていません」と明記しており、最新リリースもv8.0.0(2024年6月)にとどまるため、導入前に開発体制の現状を確認する必要があります*1。第三に、Mattermost Boardsという代替の選択肢にも利用プランの制約があり*5、構築・運用の判断と実行は外部委託によってリスクを抑えやすくなります。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、OSSを含むプロジェクト管理基盤の構築・運用を元請(プライムベンダー)として受託しています。Focalboardの現状評価やMattermost Boardsとの比較検討、Docker構築からライセンス条項の確認、将来的な移行計画の策定まで一貫して対応する体制を整えています。自社での構築や継続利用の判断に不安がある企業様は、まずは現状のタスク・プロジェクト管理体制の棚卸しからご相談ください。

よくある質問

Focalboardは今から新規に導入しても問題ないですか。

GitHub公式リポジトリは「現在メンテナンスされていません」と明記しており、保守担当者を募集している段階です。最新リリースもv8.0.0(2024年6月)にとどまるため、新規導入する場合はこの開発体制の現状を踏まえ、脆弱性対応や継続利用のリスクを自社で見極めたうえで判断する必要があります。

Focalboardのライセンスはどうなっていますか。商用利用できますか。

コンパイル版はMIT LICENSE、ソースコードはGNU AGPL v3.0、管理ツールと設定ファイルの一部はApache License v2.0という複数ライセンスを組み合わせた構成です。商用利用自体は可能ですが、AGPLv3は改変版をネットワーク経由で提供する場合にソース開示義務が及ぶ点に留意が必要です。

Mattermost Boardsとの違いは何ですか。

Mattermost Boardsは、Focalboardから独立したmattermost-plugin-boardsというリポジトリで開発が続くプラグイン版で、Mattermost本体に統合して使います。ただしこちらも「maintenance mode」の段階にあり新機能追加はなく、利用できるのはEntry・Enterprise・Enterprise Advancedのプランに限られます。

Focalboardの構築にはどのような知識が必要ですか。

Dockerコンテナの運用、Personal Server版が前提とするUbuntu環境の管理、AGPLv3をはじめとするライセンス条項の確認など複数分野の知識が求められます。

保守が止まったOSSを社内導入する際に注意すべき点は何ですか。

セキュリティパッチが今後も提供され続けるとは限らないため、脆弱性情報を自社で継続的に確認する体制が要ります。Mattermost Boards等の移行先を想定した計画をあらかじめ用意しておくことも判断材料になるでしょう。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Focalboard公式GitHubリポジトリ「README」(https://github.com/mattermost/focalboard
  2. *2 出典:Focalboard公式リポジトリ「LICENSE.txt」(https://github.com/mattermost/focalboard/blob/main/LICENSE.txt
  3. *3 出典:Focalboard公式リポジトリ「README.md」(https://github.com/mattermost/focalboard/blob/main/README.md
  4. *4 出典:Mattermost公式GitHubリポジトリ「mattermost-plugin-boards」(https://github.com/mattermost/mattermost-plugin-boards
  5. *5 出典:Mattermost公式ドキュメント「Install Mattermost Boards」(https://docs.mattermost.com/administration-guide/configure/install-boards.html


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