LASSIC Media らしくメディア

2026.10.28 らしくコラム

ハンディターミナルのシステム開発の進め方|構成と外注の確認点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

出荷前の倉庫の通路で、手にした読み取り端末の画面を見て考える倉庫の管理者

この記事の結論

  • ハンディターミナルのシステムは、端末とアプリ、中継のサーバー、業務システムをつないだ1つの仕組みです。
  • つなぎ方はまとめて送る型・その場で送る型・Web型の3つで、作業ごとに遅れて届いても困らないかで選びます。
  • 古いWindows系の端末はサポートが終わっており、入れ替えではアプリの作り直しと端末の管理まで計画します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

入荷や棚卸しをハンディターミナルで読んでいるのに、在庫の数が基幹システムと合わない。端末が古くなって入れ替えたいが、いまの業務アプリがそのまま動くのか分からない——。倉庫・店舗・工場で業務用の端末を使っている会社では、こうした悩みが起こりがちです。ハンディターミナルのシステムとは、バーコードを読む業務用の端末と、読んだ結果を受け取って在庫や実績に反映する業務システムを、ひとつの仕組みとしてつないだものです。

入荷・出荷・棚卸しの記録を紙から端末に移せば、転記の手間と書き間違いを減らせます。ただし万能ではなく、つなぎ方や端末のOSの選び方を誤ると、電波の届かない場所で作業が止まったり、数年で作り直しになったりします。本記事では、倉庫や店舗のシステムを担当する方に向けて、ハンディターミナルのシステムの構成、3つのつなぎ方の違い、端末のOSの選び方、開発の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

ハンディターミナルのシステムとは

国土交通省が2026年3月にまとめた物流効率化の解説書は、ハンディターミナルを「バーコード、RFタグ、専用タグ等を識別する」機械として挙げ、検品作業の簡素化につながるとしています。*1 ただし、システムとして考えるときは端末1台で終わらず、読み取った結果を在庫や出荷の記録に反映するところまでを含めます。

  • 端末:バーコードやRFタグ(電波で読み取る札)を読む、業務用の携帯端末
  • 端末のアプリ:読み取った結果を画面に出し、数量の入力や確定を受け付ける
  • 中継のサーバー:端末から届いた記録をまとめて、業務システムへ渡す
  • 業務システム:WMS(倉庫管理システム)や基幹システムなど、在庫・受注・出荷の正本を持つ仕組み

読み取るコードも現場によって違います。流通で使う標準のバーコードには、JANシンボル、ITFシンボル、GS1-128シンボル、QRコードなどの種類があります。*2 倉庫なら入荷・ピッキング・出荷・棚卸し、店舗なら発注や棚卸し、工場なら部品の受け払いと、場面ごとに端末の画面と送るデータが変わります。最初に「どの作業で、どのコードを読み、どの記録を更新するか」を一覧にしておくと、後の工程で迷いません。

3つのつなぎ方の違い

端末と業務システムのつなぎ方は、大きく3つに分かれます。違いは、読み取った記録がいつ業務システムに届くか、そして端末の画面をどこで作るかの2点です。どれが正解ということはなく、作業の性質と現場の電波の状況で選びます。

倉庫の通路で作業手袋の手で端末を構えて箱を読み取る手元

ハンディターミナルと業務システムの3つのつなぎ方
つなぎ方 仕組み 向いている作業 気をつけたい点
まとめて送る(バッチ型) 端末の中に記録をためておき、作業の後で充電台やUSBからまとめて送る 棚卸しのように、後でまとめて反映すればよい作業 送るまで在庫の数が古いまま。送り忘れと二重送信の確認が要る
その場で送る(リアルタイム型) 端末のアプリが無線LANなどでサーバーとやりとりし、1件ずつ記録する 出荷の引き当てなど、その場で在庫を確かめたい作業 電波の届かない場所でも止まらない作り(端末に一時保存して後で送る)が要る
ブラウザで画面を開く(Web型) 端末のブラウザでサーバー側の画面を開いて操作する 画面の変更が多い作業や、端末の台数が多い現場 通信が切れると操作できない。手袋をしたままでも押せる画面の作りが要る

1つの現場で3つを使い分けることもあります。たとえば、出荷はその場で送り、年に数回の棚卸しはまとめて送る、という組み合わせです。迷ったときは、作業ごとに「読み取った記録が業務システムに少し遅れて届いても困らないか」を確かめると決めやすくなります。

端末のOSと入れ替えの時期

ハンディターミナルのシステムを作り直すきっかけの一つが、端末のOSのサポート終了です。以前の業務用端末には、Windows系の組み込みOSで動くものがあります。これらのOSは、マイクロソフトのサポートがすでに終わっています。

  • Windows Embedded Handheld 6.5:延長サポートは2020年1月に終了*3
  • Windows Embedded Compact 2013:延長サポートは2023年10月に終了*4

サポートが終わったOSには、新しい弱点が見つかっても修正が届きません。このOS向けに作った業務アプリはAndroidの端末では動かないため、入れ替えではアプリも作り直す前提で計画します。

入れ替え先の候補になるのが、Androidの業務用端末です。Googleの資料は、会社が所有し、在庫管理のような1つの用途に使う端末を「専用デバイス」と呼び、そのための管理の設定を示しています。*5

  • キオスクモード:電源を入れると決めたアプリが全画面で立ち上がり、作業者がほかのアプリに移れない
  • Webの画面で作った業務アプリも、キオスクモードで開ける
  • OSの更新を、作業のない時間帯にまとめて入れるよう設定できる

端末を何十台も配る現場では、設定を1台ずつ手で行うと漏れが出ます。端末をまとめて管理する仕組み(MDM)で設定を配る前提で、アプリの配り方を決めておきます。

開発の進め方

ハンディターミナルのシステム開発は、端末のアプリを作る前に、業務とデータの流れを決める作業に時間をかけたほうがうまく進みます。次の4つのステップで考えると、手戻りを抑えられます。

  • ステップ1:作業ごとに「読むコード・入力する項目・更新する記録」を洗い出す
  • ステップ2:作業ごとのつなぎ方(まとめて送る・その場で送る・Web)と端末のOSを決める
  • ステップ3:業務システムとのやりとり(受け取る項目・返す項目・エラーのときの扱い)を決めて作る
  • ステップ4:一部の現場で試してから、端末の台数と対象の作業を広げる

ハンディターミナルのシステム開発を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 作業とコードを洗い出す、STEP2 つなぎ方とOSを決める、STEP3 業務システムとのやりとりを作る、STEP4 現場で試して台数を広げる。

つまずきやすいのはステップ3です。WMSや基幹システムの側に、端末から届く記録を受け取る口(APIや取り込み用のファイル)が無いと、そちらの改修も必要になります。倉庫管理の仕組みそのものを作る話はWMS倉庫管理システムの開発で扱っています。

同じ記録が2回届いても在庫を2回引かない作りや、電波の切れ目で送れなかった記録を後で送り直す作りも、ステップ3で決めておきます。後から組み込みにくく、数が合わない原因になりやすい部分です。

外部に頼むときに確認しておきたい点

ハンディターミナルのシステム開発を外部に頼むときは、端末のアプリだけでなく、業務システムとのつなぎ込みまで誰が受け持つかで、見積もりの中身が大きく変わります。次の点を、見積もりを取る前に確かめておきます。

充電台の端末を手に取る担当者とノートPCの表を指す技術者の手元

  • 範囲:端末のアプリ、中継のサーバー、WMSや基幹システム側の改修、端末の設定のうち、どこまで頼むか
  • 業務の確かめ方:現場の作業を見てから画面を決めるか。実機で試して直す期間を見積もりに入れているか
  • 電波と例外:電波の届かない場所、読めないラベル、数量の訂正をどう扱うか
  • 端末の管理:MDMでの設定の配り方、OSの更新、故障した端末の入れ替えの手順を誰が持つか
  • 運用後の見直し:現場から出た使いにくさを、いつ、どの窓口で受けて直すか

入荷時の検品を中心に仕組みを選びたい場合は検品システムの選び方も参考になります。端末の機種は、読むコードの種類や作業の環境で合うものが変わるため、決める前に現場で数台を試すことをおすすめします。

まとめ:ハンディターミナルで確かめたい3つの点

ハンディターミナルのシステムを作るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、作業ごとに読むコードと更新する記録を一覧にすること。第二に、作業ごとにつなぎ方を決め、電波が切れたときの扱いを設計に入れること。第三に、端末のOSのサポート期間と、設定を配る運用まで決めることです。この3点を踏まえておけば、「端末は新しくなったのに、在庫の数が合わないまま」という事態を避けやすくなります。業務システムとのつなぎ方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

ハンディターミナルのシステム構築では、端末のアプリをAndroidのネイティブアプリで作るか、Webの画面をキオスクモードで開くかを、作業ごとの通信の条件から決めます。端末には未送信の記録を一時保存するSQLiteを置き、業務システムとはREST APIかCSVの取り込みでつなぎ、二重の登録を防ぐ作りにします。JAN・ITF・GS1-128・QRコードは読み取った形から判別します。運用ではMDMで設定とOSの更新の時間帯を配り、現場で試した結果から画面を見直します。

よくある質問

スマートフォンをハンディターミナルの代わりに使えますか

使えます。スマートフォンのカメラでもバーコードは読み取れます。ただし、1日に読む数が多い作業や、手袋をして作業する現場、端末を落としやすい現場では、読み取りの速さや丈夫さで業務用の端末が向くことがあります。現場で試してから決めるのが確実です。

いまの業務システムを残したまま端末だけ新しくできますか

業務システムは残せることがあります。ただし、端末のOSが変わると、端末のアプリは作り直しになります。受け取る口が古い形式の場合は、新しい端末から同じ形式で渡すか、受け取る口を作り直すかを比べて決めます。

開発にはどれくらいの期間がかかりますか

対象の作業の数、つなぐ業務システムの数、試す現場の数で大きく変わるため、一律には言えません。アプリを作る期間とは別に、現場で試して直す期間と端末に設定を配る期間を分けて見ておくと、予定がずれにくくなります。

ハンディターミナルと業務システムの連携のご相談

ハンディターミナルの業務アプリの開発から、WMS・基幹システムとのつなぎ込み、端末の管理と運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:国土交通省「荷主の貨物自動車運送役務の持続可能な提供の確保に資する運転者の運送及び荷役等の効率化に関する判断の基準の解説書」(2026年3月)(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001984869.pdf)。出典:検品の効率化(バーコード、RFタグ、専用タグ等を識別するハンディターミナルや商品読込みカメラ、バーコードラベルの印刷機の導入)の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:一般財団法人流通システム開発センター(GS1 Japan)「バーコード」(https://www.gs1jp.org/standard/barcode/)。出典:GS1標準バーコードの種類(JANシンボル、ITFシンボル、GS1-128シンボル、QRコードなど)を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Microsoft Learn「Windows Embedded Handheld 6.5 – Microsoft Lifecycle」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/windows-embedded-handheld-65)。出典:固定ライフサイクルポリシーと延長サポートの終了日を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Microsoft Learn「Windows Embedded Compact 2013 – Microsoft Lifecycle」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/lifecycle/products/windows-embedded-compact-2013)。出典:固定ライフサイクルポリシーと延長サポートの終了日を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Google for Developers「Dedicated devices」(Android Management API)(https://developers.google.com/android/management/policies/dedicated-devices)。出典:専用デバイスの定義(会社所有で在庫管理などの単一用途に使う端末)、キオスクモード、Webページのキオスクモード、OSの更新時間帯の設定の記述を参照(2026年10月確認)




View