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HULFT移行の5ステップ|サポート終了への備えと進め方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- HULFT移行は、サポート期限を迎える版を新しい版に上げるか、別の転送方式に置き換える作業です。
- 期限は製品元の一覧で確かめ、延長サポートでは問い合わせや提供物が減る点も踏まえて時期を決めます。
- 連携の一覧づくりと相手先との日程調整に手間がかかるため、まず連携の洗い出しから始めます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
保守の更新案内を見て、使っているHULFTのサポート期限が近いと知った。取引先ともつながっているので、どこから手を付ければよいか分からない——。HULFTを使う現場では、版が切り替わるたびにこうした悩みが起こりがちです。HULFT移行とは、サポート期限を迎える版のHULFTを新しい版に上げるか、別のファイル転送の方式へ置き換えて、システム間・企業間のファイルのやり取りを途切れさせずに引き継ぐ作業です。
早めに計画すれば、業務を止めずに進められます。ただし万能な手順はなく、相手先の都合や、HULFTが受け持っていた再送などをどう引き継ぐかで進め方が変わります。本記事では、ファイル連携を担当する情報システムの担当者に向けて、サポート期限の確かめ方、版上げと置き換えの違い、移行の5つのステップ、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
HULFT移行とは
HULFT(ハルフト)は、株式会社セゾンテクノロジーが提供するファイル連携のミドルウェア(OSと業務アプリの間で働くソフト)です。送る側と受ける側の両方にHULFTを入れ、相手と共通の「ファイルID」を決めて連携します。製品ページでは、受信したデータの欠落チェック、転送に失敗したときの再送、異なる機種間の文字コード変換をHULFTが受け持つと説明しています。*5
- 版上げ:HULFT7やHULFT8から、いまの版であるHULFT10へ上げる
- 置き場所の変更:サーバーの入れ替えやクラウドへの移設に合わせて、HULFTを入れ直す
- 別方式への置き換え:SFTPなどの汎用の転送方式や、クラウドの転送サービスに切り替える
どのやり方でも、自社のサーバーだけを変えれば終わるわけではありません。ファイル連携には相手がいるため、取引先や別部門のシステムと日程を合わせて切り替えることになります。
サポート期限の確かめ方
移行の時期を決める手がかりは、製品元が公開しているサポート終了日の一覧です。HULFT8以前の製品は、販売終了から5年間が通常のサポート、さらに5年間が延長サポートという決まりで、技術サポートの終了は原則として最低1年前に告知するとしています。*2

| 製品 | 販売終了 | 通常サポートの期限 | 延長サポートの期限 |
|---|---|---|---|
| HULFT7 | 終了 | 2021年3月 | 2026年3月 |
| HULFT8 | 2025年6月 | 2030年6月 | 2035年6月 |
| HULFT10 | 製品元の製品別リリース情報で確かめる | ||
表は製品元が2025年2月3日に改訂した一覧から抜き出したものです。*1 Windows・UNIX・Linux向けのHULFT7は延長サポートの期限が2026年3月で、すでに過ぎています。OSの種類で期限が違う製品もあるため、自社の製品名で一覧を確かめます。
延長サポートでは、料金が通常のサポートの1.5倍になり、*2 技術的な問い合わせへの回答は過去の事例の案内だけになります。OSを変えたときのライセンスの書き換えも受けられません。延長サポートが終わると、製品のモジュールの提供とプロダクトキー(製品を使うために必要な鍵)の発行も止まります。*3 なお、HULFT10には新しい決まりが適用され、スタンダード5年・メンテナンス2年・リミテッド3年の3段階になっています。*4
版上げと別方式への置き換えの違い
移行のやり方は大きく3つあり、相手先の数と、HULFTに任せていた仕事をどこで引き継ぐかで選びます。
| やり方 | 主に変わるもの | 相手先への影響 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| HULFT10への版上げ | 自社のHULFTの版と設定 | 相手先の版との組み合わせを確かめる | HULFTでつながる相手先が多いとき |
| HULFT10のコンテナ・クラウド向け製品 | HULFTを動かす場所 | 版上げと同じく相手先の版を確かめる | サーバーの入れ替えに合わせてクラウドへ移すとき |
| 別方式への置き換え | 転送の仕組みそのもの | 相手先も受け取り方を変える必要がある | 相手先が少なく、HULFTを使っていない相手が多いとき |
HULFT10には、AWSのMarketplaceから購入してコンテナとして使う製品や、Red Hat OpenShift上で使う製品も用意されています。*5 置き換えを選ぶ場合のクラウドの転送サービスの例として、AWS Transfer FamilyはSFTP・FTPS・FTP・AS2といった転送方式に対応しています。*7
置き換えでは、HULFTが受け持っていた欠落の確認・再送・文字コードの変換を、新しい仕組みのどこで行うかを先に決めておきます。転送の暗号化や記録の残し方はセキュアファイル転送(MFT)で扱っています。
HULFT移行の5ステップ
HULFTの移行は、サーバーを用意する前に、いまの連携を洗い出すところから始めます。次の5つの段階で進めると、切り替えの直前に連携の漏れが見つかる事態を避けやすくなります。
- ステップ1:連携の一覧を作る(相手先、ファイルID、送る時刻、相手先のHULFTの版)
- ステップ2:サポート期限から、移行を終える時期を決める
- ステップ3:版上げか置き換えかを選ぶ
- ステップ4:新しい環境に設定を移し、前の版との違いを確かめる
- ステップ5:相手先とテストをしてから切り替える
つまずきやすいのはステップ1です。長く使っているHULFTには、誰が登録したか分からない連携先や、いまは使っていないファイルIDが残っていることがあります。製品元は、登録済みの相手先のHULFTの版を確かめるツールと、HULFT10に上げたときに設定の変更が必要な項目を洗い出すサービスを用意しています。*6 一覧ができたら、使っていない連携を止めてから移すと、テストの量を減らせます。
ステップ5では、決まった時刻に動く連携を本番と同じ時刻で試します。ジョブ管理の仕組みからHULFTを呼び出している場合は、そちらの移行と時期を合わせます。考え方はジョブ管理・バッチ基盤の移行にまとめています。
外部に頼むときに確認しておきたい点
HULFTの移行は、サーバーの作業よりも連携の一覧づくりと相手先との調整に手間がかかります。外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:連携の一覧づくり、設定の移行、相手先との日程調整、切り替え当日の立ち会いのうち、どれを任せるか
- 一覧の照らし合わせ:移行の前と後で、連携の本数と送る時刻をどう突き合わせるか
- 置き換えるときの設計:欠落の確認・再送・文字コードの変換を、新しい仕組みのどこで行うか
- 戻す手順:切り替えで問題が出たとき、元のHULFTに戻す手順と、戻すかどうかを判断する人を決めているか
- 移行後の保守:次のサポート期限を誰が見て、版の更新をいつ行うか
特に戻す手順は、切り替えの前に手順書にして関係者で共有しておきます。新しい版にもまた期限があるので、次の期限を運用の予定に載せておきます。
まとめ:HULFT移行で確かめておきたい3つの点
HULFTの移行を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社の製品名で通常サポートと延長サポートの期限を確かめること。第二に、連携の一覧を作り、使っていない連携を止めてから移すこと。第三に、別方式へ置き換えるなら、欠落の確認・再送・文字コードの変換をどこで行うかを先に決めることです。この3点を踏まえておけば、「切り替えた翌朝、届くはずのファイルが来ていなかった」という事態を避けやすくなります。移行の進め方や相手先との調整に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
移行にはどのくらいの期間を見ておけばよいですか
連携の本数と相手先の数で大きく変わるため、一律には言えません。時間がかかるのは連携の一覧づくりと相手先との日程調整なので、通常サポートの期限を目安に計画を始めると余裕を持てます。
相手先がまだ古い版のHULFTを使っている場合はどうしますか
まず相手先の版を確かめ、自社が上げる版との組み合わせで問題がないかを製品元の情報で確認します。あわせて、切り替えの日程をそろえられるか相手先に相談します。
HULFTからクラウドのストレージへ直接ファイルを送れますか
HULFT10には、Amazon S3・Azure Blob Storage・Google Cloud Storageへ直接ファイルを送ったり受け取ったりするためのオプションがあります。*5
HULFT移行・ファイル連携の見直しのご相談
HULFTの版上げや別方式への置き換えについて、連携の洗い出しから切り替え後の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:株式会社セゾンテクノロジー「HULFT製品の技術サポートサービス終了日」(2025年2月3日改訂)(https://www.saison-technology.com/service/.assets/EOSS.pdf)。出典:HULFT7・HULFT8の販売終了、Standard Support期限、Limited Support期限、HULFT10は製品別リリース情報で確認する旨の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:株式会社セゾンテクノロジー「HULFT製品ライフサイクルポリシー」(https://www.saison-technology.com/service/product/support/new-productpolicy/hulft-productpolicy/)。出典:販売終了後5年間の通常サポートとさらに5年間の延長サポート、延長サポート料金が通常の1.5倍であること、技術サポート終了の告知時期の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:株式会社セゾンテクノロジー「HULFT製品 製品サポートポリシー」(https://www.saison-technology.com/service/product/support/new-productpolicy/hulft-techspport-policy/)。出典:延長サポートで問い合わせが過去事例の案内のみとなること、OS変更によるライセンス書き換えが無いこと、終了後のモジュール提供とプロダクトキー発行の終了の記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:株式会社セゾンテクノロジー「プロダクトライフサイクル」(https://www.saison-technology.com/service/product/support/new-productpolicy/)。出典:HULFT10を対象とする製品サポートライフサイクル(スタンダード5年・メンテナンス2年・リミテッド3年)の記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:株式会社セゾンテクノロジー「HULFT10」製品ページ(https://www.saison-technology.com/service/product/lineup/hulft-10/)。出典:ファイルIDによる連携、欠落チェック・再送・文字コード変換、コンテナ向け製品、Cloud Storage Optionの記述を参照(2026年10月確認)
- *6 参考:株式会社セゾンテクノロジー「HULFT10へのバージョンアップのご案内」(https://www.saison-technology.com/service/product/lineup/hulft-10/versionup/)。出典:バージョンアップ解析サービスとHULFTバージョン確認ツールの記述を参照(2026年10月確認)
- *7 参考:Amazon Web Services「What is AWS Transfer Family?」(https://docs.aws.amazon.com/transfer/latest/userguide/what-is-aws-transfer-family.html)。出典:対応する転送方式(SFTP・FTPS・FTP・AS2)の記述を参照(2026年10月確認)