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ELK Stackとは?ログ分析の仕組みと導入の進め方を解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- ELK Stackは、ログを集める・整える・ためる・見るを受け持つElasticの製品群の呼び名です。
- ログの中身で細かく検索や集計をしたい場合に向き、LokiやGraylogとはログの持ち方とライセンスが違います。
- 導入前に保存期間とライセンスを確かめ、すべての製品の版をそろえて更新する担当を決めておきます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
サーバーが止まった原因を調べたいのに、ログが何台ものサーバーに散らばっていて探しきれない。障害の連絡を受けてから、関係するログを集めるだけで時間がかかる——。サーバーやアプリケーションが増えてきた現場では、こうした悩みが起こりがちです。ELK Stack(エルクスタック)は、Elasticsearch・Logstash・Kibanaの頭文字をとった呼び名で、散らばったログを1か所に集めて検索し、グラフにして見るための製品の組み合わせです。
障害の原因調査に役立つ一方で、万能ではなく、ログの量や見たい内容によっては、ほかの仕組みのほうが合うこともあります。本記事では、ログの管理を任された情報システムの担当者に向けて、ELK Stackを構成する製品、ログが画面に出るまでの流れ、LokiやGraylogとの違い、導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
ELK Stackとは
開発元のElastic社は、Elasticsearch・Kibana・Beats・Logstashからなる製品群をElastic Stackと呼び、ELK Stackはその別名だと説明しています。*1 もとは3つの製品の頭文字をとった呼び名で、いまはログを送り出す小さなソフト(Beats)も含めて呼ばれています。

- Elasticsearch:ログを保存し、検索や集計をする中心の部分です。1台から複数台のサーバー(ノード)がまとまって動きます
- Logstash:いろいろな場所から届くログを受け取り、形をそろえて送り出す部分です
- Kibana:保存したログを検索し、グラフやダッシュボード(複数のグラフを並べた画面)で見る部分です
- Beats・Elastic Agent:各サーバーに入れてログを送り出すソフトです。多くの用途でBeatsはElastic Agentに置き換わっています*2
4つを全部そろえなくても使えます。Elastic Agentはログを集めてElasticsearchへ直接送れるので、保存する前にログを加工したいときだけLogstashを通す、という組み方ができます。
ログが画面に出るまでの流れ
ELK Stackの中で、ログは「集める」「整える」「ためる」「見る」の4つの段階を順に通ります。ログが画面に出てこないときも、どの段階で止まっているかを順に確かめれば原因を絞り込めます。
整える段階では、日時の書き方をそろえたり、1行のログを時刻・サーバー名・メッセージのような項目に分けたりします。項目に分けておくと、Kibanaで「このサーバーのエラーだけ」「この時間帯だけ」と絞り込めるようになります。
ためる段階のElasticsearchは、データを小さな単位(シャード)に分けて複数のサーバーに置き、1台が止まってもデータを使い続けられるようにしています。*2 見る段階のKibanaは、検索の画面のほか、ダッシュボードや通知の機能を備えています。
LokiやGraylogとの違い
ログを集めて検索する仕組みは、ELK Stackのほかにもあります。代表的なものに、Grafana LabsのGrafana Lokiと、Graylog社のGraylogがあります。どれが優れているかではなく、ログの持ち方とライセンスに違いがあります。
| 仕組み | ログの持ち方 | ライセンス |
|---|---|---|
| ELK Stack | ログの中身まで検索できるよう索引を作ってElasticsearchに保存し、Kibanaで見る | ElasticsearchとKibanaはElastic License 2.0・SSPL・AGPLv3から選ぶ |
| Grafana Loki | 索引はログに付けた目印(ラベル)だけにし、中身は圧縮してクラウドの保存領域(オブジェクトストレージ)に置く。画面はGrafanaを使う*7 | AGPLv3 |
| Graylog | ログの収集・検索・通知・可視化を1つの製品にまとめたログ分析基盤 | SSPL v1*8 |
ログの中身で細かく検索や集計をしたい場合はELK Stack、目印で絞り込めれば足り、保存の費用を抑えたい場合はLoki、検索と通知を1つの製品で済ませたい場合はGraylog、という分け方ができます。LokiはGrafana Lokiでログ基盤を外注構築、GraylogはGraylogの使い方入門で扱っています。
導入の進め方
ELK Stackは、ソフトを入れる前に決めておくことが多い仕組みです。次の4つの段階で進めます。
- ステップ1:集めるログ(どのサーバーの、どの種類のログか)と、保存しておく期間を決める
- ステップ2:ライセンスの条件を確かめる
- ステップ3:自社のサーバーに置くか、開発元のクラウド(Elastic Cloud)を使うかを決める
- ステップ4:すべての製品の版をそろえ、Elasticsearch、Kibana、Logstash、Elastic AgentまたはBeatsの順に入れる*2
ステップ2のライセンスは、何度か変わってきました。ElasticsearchとKibanaは、2021年の7.11の版でApache 2.0からSSPLとElastic Licenseの2つから選ぶ形に変わり、2024年9月にOSI(オープンソースの定義を定める団体)が認めるAGPLv3が選択肢に加わりました。*3 開発元が配る標準の版はElastic License 2.0で提供され、基本の機能は無料で使えます。
- ElasticsearchとKibanaのソースコード:AGPLv3・SSPL・Elastic License 2.0の3つから選べます*4
- LogstashとBeatsのソースコード:x-packと呼ばれる一部のフォルダを除き、Apache 2.0です*5
- Elastic License 2.0は、ソフトを第三者向けのホスト型・管理型のサービスとして提供することを認めていません*9
ログ分析の機能を他社向けのサービスに組み込む場合は、条文を読み、法務の専門家に確かめてから進めます。変更の経緯はElasticsearchの移行とOpenSearchの選択で詳しく扱っています。
外部に頼むときに確認しておきたい点
ELK Stackを自社のサーバーに置く場合、導入から運用・保守までを自社で受け持つことになります。*6 構築や運用を外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。

- どこまで頼むか:サーバーの用意、各製品の設定、ログの取り込み、ダッシュボードづくり、操作の説明のうち、どれを任せるか
- 保存期間とデータ量:どのログを何日分残すか、量が増えたときにサーバーやディスクをどう増やすか
- ログの整え方:どの項目に分けて保存するか。分け方を後から変えるときの手順
- 版の更新:すべての製品の版をそろえて上げる作業を、誰がいつ行うか
- 権限と通信の保護:誰がどのログを見られるか。証明書を使った通信の暗号化をどう設定するか
特に版の更新は、決めないまま運用に入りやすい点です。すべての製品で同じ版を使う決まりなので、更新の手順と担当を見積もりの段階で決めておきます。
まとめ:ELK Stackで確かめておきたい3つの点
ELK Stackでログ分析を始めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、集めるログの種類と保存しておく期間を先に決めること。第二に、Elastic License 2.0・SSPL・AGPLv3のどの条件で使うのかを確かめること。第三に、すべての製品の版をそろえて更新する担当と手順を、導入の前に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「ログは集めたが、ディスクが足りず更新も止まったまま」という事態を避けやすくなります。構築や運用の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
ELK Stackは無料で使えますか
開発元が配る標準の版はElastic License 2.0で提供され、基本の機能は無料で使えます。*3 有料の機能や開発元のクラウド(Elastic Cloud)を使う場合は費用がかかります。
ログ以外のデータも扱えますか
扱えます。開発元はElastic Stackの使い道として、ログのほかに、サーバーの稼働状況を表す数値(メトリクス)、アプリケーションの性能の監視、セキュリティの監視などを挙げています。*1
Beatsはもう使えないのですか
Beatsはいまも提供されていますが、開発元は多くの用途でElastic Agentに置き換わったと説明しています。*2 Elastic Agentは1つで複数の種類のデータを集められ、Fleetという仕組みでまとめて管理できます。新しく入れる場合は、Elastic Agentから検討するとよいでしょう。
ログ分析基盤の構築と運用のご相談
ELK Stackによるログ分析基盤の設計・構築から、保存期間の設定や版の更新を含む運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Elastic「Elastic Stack」製品ページ(https://www.elastic.co/elastic-stack)。出典:Elastic StackがElasticsearch・Kibana・Beats・Logstashからなり、ELK Stackとも呼ばれること、ログ・メトリクス・APM・SIEMなどの使い道の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:Elastic Docs「The Elastic Stack」(https://www.elastic.co/docs/get-started/the-stack)。出典:各製品の役割、ノードとシャード、Kibanaの機能、Elastic AgentとBeatsの関係、Logstashのプラグイン、全製品で同じ版を使うこと、導入の順序の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:Elastic「FAQ on Software Licensing」(https://www.elastic.co/pricing/faq/licensing)。出典:2021年の7.11でのSSPLとElastic Licenseへの変更、2024年9月のAGPLv3の追加、標準の配布版がElastic License 2.0であること、基本機能が無料であることの記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:elastic/elasticsearch(GitHub)LICENSE.txt(https://github.com/elastic/elasticsearch/blob/main/LICENSE.txt)。出典:ソースコードがAGPLv3・SSPL・Elastic License 2.0の3つのライセンスで提供されることの記述を参照(elastic/kibana のLICENSE.txtも同じ内容)(2026年10月確認)
- *5 参考:elastic/logstash(GitHub)LICENSE.txt(https://github.com/elastic/logstash/blob/main/LICENSE.txt)。出典:x-packフォルダの外のソースコードがApache License 2.0であることの記述を参照(elastic/beats のLICENSE.txtも同じ内容)(2026年10月確認)
- *6 参考:Elastic Docs「Elastic deployment options」(https://www.elastic.co/docs/get-started/deployment-options)。出典:Elastic Cloud Hosted、Elastic Cloud Serverless、セルフマネージドの違いの記述を参照(2026年10月確認)
- *7 参考:Grafana Labs「Loki overview」(https://grafana.com/docs/loki/latest/get-started/overview/)。出典:ログの中身ではなくラベルだけに索引を作ること、オブジェクトストレージへの保存、Grafanaでの表示の記述を参照。ライセンスはgrafana/lokiのLICENSE(AGPLv3)を参照(2026年10月確認)
- *8 参考:Graylog「What is Graylog?」・Graylog2/graylog2-server(GitHub)(https://go2docs.graylog.org/current/what_is_graylog/what_is_graylog.htm)。出典:検索・通知・可視化を備えたログ分析基盤であること、SSPL v1で公開されていることの記述を参照(2026年10月確認)
- *9 参考:Elastic License 2.0(elastic/elasticsearch リポジトリ内の全文)(https://github.com/elastic/elasticsearch/blob/main/licenses/ELASTIC-LICENSE-2.0.txt)。出典:ソフトを第三者向けのホスト型・管理型サービスとして提供してはならないとする制限の条文を参照(2026年10月確認)