LASSIC Media らしくメディア

2026.10.21 らしくコラム

NagiosとIcingaの違い|移行で引き継げるものと変わる点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ラックの新旧2台のサーバーの前で棚のノートPCを操作する担当者

この記事の結論

  • IcingaはNagiosから分かれたオープンソースの監視ソフトで、Nagios向けのプラグインをそのまま使えます。
  • 設定ファイルは形式が違うため、そのままでは移せず、Icinga 2の考え方に沿って書き直す必要があります。
  • 移行はプラグインの洗い出しから始め、共通の監視をルールにまとめてから並行稼働で切り替えます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

Nagiosの設定ファイルを書き足すたびに、どこで何を監視しているのか分からなくなる。設定を直して再読み込みするたびに、監視が止まらないか心配になる——。長く使ってきたNagiosの監視基盤では、こうした悩みが起こりがちです。Icinga(アイシンガ)は、Nagiosから分かれて生まれたオープンソースの監視ソフトウェアです。

Nagiosからの移行先として名前が挙がるのは、これまで使ってきたプラグインを引き継げるからです。ただし万能ではなく、設定ファイルはそのままでは動かないため、書き直しの手間がかかります。本記事では、Nagiosの監視基盤を運用している情報システムの担当者に向けて、NagiosとIcingaの違い、移行で引き継げるものと書き直すもの、移行の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Icingaとは

Icingaは2009年5月に最初の版が公開されたオープンソースのプロジェクトで、2014年には仕組みを作り直したIcinga 2が公開されています。*1 当初の版(Icinga 1.x)はNagiosのフォーク(元のソースコードを複製して別に開発したもの)でした。*3 いま新しく入れるのは、このIcinga 2です。

  • 監視を実行する本体(Icinga 2)と、状態を見るWebの画面(Icinga Web 2)を組み合わせて使います*2
  • 設定はIcinga専用の設定言語で書くほか、Webの画面から設定できる追加機能のIcinga Directorも使えます*11
  • ライセンスはGPL(ソースコードの公開を条件に自由に使えるライセンス)で、2.16.0以降の版はGPLv3以降です*8

開発はドイツのIcinga GmbHが続けています。自社のサーバーに入れて使う場合、Nagiosと同じく、構築と更新の手間は自社で持つことになります。移行先として考えるなら、誰がその手間を受け持つのかを最初に決めておく必要があります。

NagiosとIcingaの違い

IcingaはNagiosから分かれた経緯があるため、監視の考え方はよく似ています。違いが出るのは、設定の書き方と、監視する台数や拠点が増えたときの組み方です。主な違いを並べると次のとおりです。

窓際の机で新旧2台のノートPCの監視画面を指で見比べる手

Nagios CoreとIcinga 2の主な違い
比べる点 Nagios Core Icinga 2
監視の中身 プラグインに調べさせる 同じ。Nagios向けのプラグインがそのまま動く
設定の書き方 設定ファイルにホストやサービスを定義する*10 専用の設定言語。共通の監視はルールでまとめて当てる。Webの画面でも設定できる
設定の再読み込み 設定を確かめている間はチェックや通知が止まる 古い設定のまま監視を続けながら、新しい設定を確かめる
複数拠点の監視 追加の仕組み(NSCAなど)で結果を集める マスター・サテライト・エージェントの親子構成を標準で持つ
ライセンス GPL v2*9 GPLv3以降(2.16.0以降の版)

Icinga 2には、HTTPで設定や状態を操作できるREST API(外部のプログラムから操作する窓口)もあります。*7 どちらが優れているかではなく、何に困っているかで考えます。Nagiosを使い続けるか、Zabbixなど別の仕組みへ移るかの判断はNagiosの監視基盤を使い続けるか移行するかの判断ポイントで扱っています。

移行で引き継げるものと書き直すもの

Icingaの公式ドキュメントには、Icinga 1.xやNagiosから移る人向けの章があり、その内容はNagiosにも当てはまると書かれています。*3 そこから、そのまま使えるものと作り直すものを整理すると次のようになります。

  • 引き継げる:Nagios向けのプラグイン。公式ドキュメントは、既存のNagiosのプラグインはすべてIcinga 2で動くとしています*4
  • 書き直す:ホストやサービスの設定ファイル。設定の形式が変わるため、Icinga 2の考え方に沿って作り直すよう勧めています
  • 作り直す:Nagiosに組み込んでいた追加モジュール(ブローカーモジュール)。Icinga 2とは互換性がありません
  • 組み直す:複数拠点の監視。NSCAで結果を集めていた構成は、Icinga 2の分散監視の仕組みで組み直します

設定の書き直しは手間がかかりますが、監視を整理し直す機会にもなります。Icinga 2では、「アドレスが登録されたすべてのホストにpingの監視を付ける」といった決まりを1つ書けば、1,000台分の監視が自動で作られます。*5 ホストの一覧をCMDB(構成管理データベース)やCSVファイルで持っているなら、Directorで取り込む方法も案内されています。

移行の進め方

Nagiosからの移行では、新しい基盤を組む作業より、いまの設定とプラグインを洗い出す作業に時間がかかります。次の4つの段階で進めると、監視の漏れを出さずに切り替えられます。

  • ステップ1:プラグインを洗い出す。自作のものも含め、どのホストで何を調べているかを一覧にする
  • ステップ2:設定の管理方法を決める。設定ファイルで書くか、Directorで画面から管理するかを選ぶ
  • ステップ3:ルールにまとめて書き直す。同じ監視を1台ずつ書いていた部分を共通のルールに置き換える
  • ステップ4:並行稼働で通知を比べる。同じ機器を両方で監視し、通知が同じように届くかを確かめてから切り替える

NagiosからIcingaへの移行を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 プラグインを洗い出す、STEP2 設定の管理方法を決める、STEP3 ルールにまとめて書き直す、STEP4 並行稼働で通知を比べる。

つまずきやすいのはステップ3です。Nagiosの設定で「5」と書いていた監視の間隔は、Icinga 2では単位を付けない数字が秒として扱われるため、「5m」のように単位を付け直す必要があります。*3 書き写すだけでは、5分ごとのはずの監視が5秒ごとに動いてしまいます。一方で、Icinga 2は再読み込みの間も古い設定で監視を続け、新しい設定に誤りがあれば古い設定のまま動き続けます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Nagiosからの移行を外部に頼む場合、プラグインと設定の扱いを先に決めておかないと、見積もりと実際の作業がずれやすくなります。次の点を依頼の前に確かめておきます。

会議室で構成図の映るノートPCをペンでなぞる技術者と担当者

  • 棚卸しの成果物:ホスト・監視項目・プラグイン・通知先の一覧を、移行の前に文書で受け取れるか
  • 自作プラグインの扱い:社内で作ったプラグインが新しいサーバーでも動くかを確かめてもらえるか
  • 設定の管理方法:設定ファイルとDirectorのどちらで管理するか。移行後に社内で直せる形になっているか
  • 分散構成の設計:拠点やクラウドごとにサテライトを置くか、どの機器にエージェントを入れるか
  • 運用後の体制:Icinga 2とIcinga Web 2の更新を、誰がいつ行うか

特に設定の管理方法は、移行後の運用を左右します。Directorを使えば画面から監視を追加できますが、ルールの考え方を社内の誰も説明できない状態では、Nagiosのときと同じ悩みが残ります。移行の成果物として、ルールの一覧と直し方の手順を受け取っておきます。夜間や休日の監視まで任せたい場合はシステム24時間監視を外注する費用と体制の選び方も参考になります。

まとめ:Icinga移行で確かめておきたい3つの点

NagiosからIcingaへ移るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、プラグインは引き継げても、設定ファイルは書き直しになると見込んでおくこと。第二に、1台ずつ書いていた監視を共通のルールにまとめ、設定の管理のしかたを決めること。第三に、複数の拠点を監視しているなら、分散監視の構成を組み直す前提で計画することです。この3点を踏まえておけば、「プラグインが動くから設定もすぐに移せると思っていた」という事態を避けやすくなります。移行の段取りに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Icingaへの移行では、監視を実行するIcinga 2、状態を見るIcinga Web 2、設定を画面で管理するIcinga Directorの組み合わせを、監視する台数と社内で設定を直す人の有無から決めます。設計の段階では、Nagiosのホスト定義とサービス定義を洗い出し、共通の監視をapplyルールにまとめる単位、拠点ごとのマスター・サテライト・エージェントの配置、TLS証明書による通信の保護を決めます。移行では、自作のプラグインを新しいサーバーで実行して結果を確かめ、Nagiosと並行して動かしながら通知を突き合わせます。運用では、版の更新と設定の再読み込みの手順を文書にして引き継ぎます。

よくある質問

Icingaは無料で使えますか

Icinga 2はGPLのオープンソースとして公開されており、自社のサーバーに入れて使えます。*8 ただし、サーバーの費用や、構築・更新・バックアップの手間は自社で持つことになります。

Windowsのサーバーも監視できますか

できます。WindowsのサーバーにはIcinga 2をエージェントとして入れ、公式ドキュメントはIcinga for Windowsを使った導入を勧めています。*6 ただし、監視全体をまとめる親のサーバー(マスター)はWindowsでは動かせないため、Linuxなどで用意します。

Icinga 2の新しい版はどのくらいの頻度で出ていますか

公式のGitHubでは、2026年7月から8月にかけて、2.16系の修正版が3回(2.16.3〜2.16.5)公開されています。*8 修正版が出るたびに更新の作業が発生するため、更新を誰が受け持つかを移行の段階で決めておきます。

Nagiosからの監視基盤の移行のご相談

Nagiosの設定の棚卸しから、Icingaでの監視基盤の構築、並行稼働と切り替えまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:Icinga GmbH「About Us」(https://icinga.com/about/)。出典:2009年にオープンソースのプロジェクトとして始まったこと、2009年5月の最初の版、2014年6月のIcinga 2の公開の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Icinga 2 Documentation「About Icinga 2」(https://icinga.com/docs/icinga-2/latest/doc/01-about/)。出典:Icinga 2が監視サーバーでIcinga Web 2を組み合わせて使うこと、設定をIcinga Director・構成管理ツール・設定言語で管理できることの記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Icinga 2 Documentation「Migration from Icinga 1.x or Nagios」(https://icinga.com/docs/icinga-2/latest/doc/23-migrating-from-icinga-1x/)。出典:Icinga 1.xがNagiosのフォークであること、設定の作り直しの推奨、Directorの取り込み元(CMDB・CSV等)、間隔の単位、再読み込みの動作、ブローカーモジュールの非互換、分散監視の違いの記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Icinga 2 Documentation「Service Monitoring」(https://icinga.com/docs/icinga-2/latest/doc/05-service-monitoring/)。出典:既存のIcingaやNagiosのプラグインがIcinga 2で動くことの記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Icinga 2 Documentation「Monitoring Basics」(https://icinga.com/docs/icinga-2/latest/doc/03-monitoring-basics/)。出典:applyルール(1,000台のホストに1つのルールで監視を作る例)の記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Icinga 2 Documentation「Distributed Monitoring with Master, Satellites and Agents」(https://icinga.com/docs/icinga-2/latest/doc/06-distributed-monitoring/)。出典:マスター・サテライト・エージェントの役割、Windowsはマスターに非対応であること、WindowsのエージェントにIcinga for Windowsを勧める記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Icinga 2 Documentation「REST API」(https://icinga.com/docs/icinga-2/latest/doc/12-icinga2-api/)。出典:HTTPのリクエストで設定オブジェクトや状態を扱えることの記述を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Icinga/icinga2(GitHub)README・Releases(https://github.com/Icinga/icinga2/releases)。出典:ライセンス(2.16.0以降はGPLv3以降、それ以前はGPLv2以降)、v2.16.3(2026年7月1日)・v2.16.4(同7月16日)・v2.16.5(同8月18日)の公開を参照(2026年10月確認)
  9. *9 参考:Nagios Core Documentation「About Nagios Core」(https://assets.nagios.com/downloads/nagioscore/docs/nagioscore/4/en/about.html)。出典:GPL Version 2のライセンスの記述を参照(2026年10月確認)
  10. *10 参考:Nagios Core Documentation「Configuration Overview」(https://assets.nagios.com/downloads/nagioscore/docs/nagioscore/4/en/config.html)。出典:ホストやサービス等をオブジェクト定義ファイルに書く設定の仕組みの記述を参照(2026年10月確認)
  11. *11 参考:Icinga/icingaweb2-module-director(GitHub)(https://github.com/Icinga/icingaweb2-module-director)。出典:Icinga 2の設定の扱いを簡単にするために作られた追加機能であることの記述を参照(2026年10月確認)




View