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2026.06.24 らしくコラム

ネットワークエンジニア不足を受託・委託で補完する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

network server cables

この記事のポイント

  • ネットワークエンジニアの求人需要は高い水準にある一方、正社員採用には相応のリードタイムが必要で、即戦力確保が難しい状況が続いています
  • 不足を放置すると障害対応の遅延・セキュリティリスク・属人化という複合リスクが顕在化します
  • 受託・業務委託・フリーランス活用とネットワーク自動化を組み合わせた補完策と、委託先を選ぶ実務的な判断軸を解説します

ネットワークエンジニアの需給:運用・構築の重要性と採用難の実態

data center network

ネットワークエンジニア不足の補完策とは、LAN/WAN構築・クラウドネットワーク設計・運用監視といった領域で自社採用だけでは人材を確保しきれない場合に、受託・業務委託・フリーランス活用といった外部の技術力を組み合わせてインフラ運用を継続させる取り組みです。

STEP 1 現状把握 NW構成・体制 の棚卸し STEP 2 形態選定 受託/委託 /FL活用 STEP 3 委託先選定 運用実績 監視体制 STEP 4 引継ぎ設計 構成図・手順 書整備 STEP 5 自動化移行 Python/Ansible 省力化
ネットワークエンジニア不足の補完フロー:現状把握から自動化移行まで

ネットワークエンジニアは、企業の LAN(構内ネットワーク)/WAN(広域ネットワーク)の設計・構築・運用監視から、クラウドネットワーク(AWS VPC・Azure VNet 等)・VPN・ファイアウォール管理まで広範な領域を担います。近年はクラウドシフトやゼロトラストセキュリティ(境界型防御からID/デバイス単位の認証に移行するセキュリティ方式)の導入により、必要なスキルセットが拡張しています。

こうした需要の広がりに対し、経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)*1では、2030年にかけてIT人材全体の需給ギャップが高位シナリオで約79万人に達する見通しが示されています。ネットワーク・インフラ系エンジニアはこのギャップの中でも採用競争が厳しいカテゴリです。

求人需要の高まり:クラウドとセキュリティが牽引

クラウドサービスの普及により、オンプレミス機器の運用だけでなく AWS/Azure/GCP のネットワーク設計・コスト最適化・セキュリティ設定を担えるエンジニアへの需要が高まっています。ゼロトラスト導入やリモートワーク定着に伴うVPN拡張・SD-WAN(ソフトウェア定義型広域ネットワーク)移行など、新たな構成変更ニーズも継続的に発生しています。

こうした領域は経験者が限られるため、求人市場では売り手優位の状態が続く傾向があります。正社員採用では内定承諾まで半年から1年規模のリードタイムを要するのが実務上の目安であり、即戦力を急ぎ確保するには外部補完が現実的な選択肢となります。

中小企業を中心とした採用難の構造

大手企業に比べ、中小企業はネットワークエンジニアへの採用競争力が低い傾向があります。給与水準・キャリアパス・プロジェクトの規模感で大手に劣後しやすく、応募数自体が限られます。その結果、ネットワーク運用を1〜2名の担当者に集中させる「属人化」状態に陥りやすく、担当者の離職が即座に運用停止リスクに直結します。

フリーランスや業務委託でネットワーク運用を補う企業が増えているのは、このような採用難の構造と即戦力ニーズを背景としています。

不足を放置するリスク:障害対応遅延・セキュリティ・属人化

ネットワークエンジニアが不足した状態を放置すると、複合的なリスクが顕在化します。主要なリスクを3つの観点で整理します。

障害対応の遅延:ビジネス停止時間が長期化する

ネットワーク障害は業務全体に影響するため、対応が1時間遅れるだけで売上・顧客対応・社内業務が停止します。担当者が不足していると、障害発生時に即座に対応できる人員がおらず、復旧まで長時間を要するリスクが高まります。

特に24時間稼働のECサイト・コールセンター・製造ラインを支えるシステムでは、ネットワーク停止が直接的な損失につながります。障害対応を担える人員が不在の夜間・休日に問題が発生すると、復旧までに長時間を要する事態になります。

セキュリティリスク:脆弱性対応が後手に回る

ファイアウォール・ルーター・スイッチ・VPN機器には定期的なファームウェア更新とセキュリティパッチ適用が必要です。担当できるエンジニアが不足していると、既知の脆弱性を抱えたまま機器を運用し続ける状態が生じます。

2024年以降、VPN機器やネットワーク機器の脆弱性を悪用したサイバー攻撃(ランサムウェア・不正アクセス)が国内でも報告されています。JPCERT/CC(JPCERTコーディネーションセンター)*2は定期的に重大な脆弱性情報を公開しており、適時対応できる体制の維持が求められます。

属人化リスク:担当者離職で構成管理が失われる

ネットワーク構成図・設定ファイル・手順書が担当者の頭の中にしかない状態は、離職や長期休暇時に組織の致命的なリスクになります。後任者や委託先が構成を把握できず、変更対応・障害対応で大きな手戻りが発生します。

構成管理ツール(NetBox等)や手順書整備が進んでいない環境では、担当者交代のたびに重大な業務断絶リスクが発生します。属人化を解消しないまま外部委託を始めると、引き継ぎコストが委託メリットを上回る事態になりかねません。

補完の選択肢:受託・業務委託・フリーランスと内製・自動化の比較

ネットワークエンジニア不足への対応には、複数の補完手段があります。それぞれの特徴を整理し、自社の状況に合った組み合わせを選ぶことが大切です。

補完手段 向いているケース 留意点
受託(構築・設計) LAN/WAN構築・クラウドNW設計など仕様が固まったプロジェクト型の作業。
スポットの機器更改・移行対応。
仕様変更が多いと追加費用が発生しやすい。
要件定義の精度が品質を左右する。
業務委託(運用監視) 継続的な運用監視・障害一次対応・定常作業を長期委託したい場合。
24時間365日体制が必要なケース。
SLA(サービスレベル合意)と対応範囲を事前に合意する必要がある。
引き継ぎドキュメントの整備が前提。
フリーランス活用 特定スキル(クラウドNW・セキュリティ設計等)のスポット補強。
プロジェクト単位の短期強化。
個人依存のリスクがある。
機密情報管理や契約形態に注意が必要。
ネットワーク自動化 定型作業(設定変更・ログ収集・死活監視)の省力化。
内製チームの作業負荷を下げたい場合。
Python・Ansible等の自動化スキルが必要。
初期導入に工数を要する。
内製育成 長期的に自社内の技術力を高めたい場合。 成果が出るまでに相応のリードタイムが必要。
短期の人材不足解消には向かない。

緊急性が高い構築・移行プロジェクトには受託、継続的な運用監視には業務委託を選び、特定スキルが必要な局面ではフリーランスを活用するという組み合わせが、コストと品質のバランスを保ちやすくします。

なお、本記事で扱う「ネットワーク領域の補完」は、LAN/WAN・クラウドNW・運用監視・構築に特化しています。SRE(サイトリライアビリティエンジニアリング=アプリケーション信頼性・インシデント管理・SLO設計を担う役割)とは担当領域が異なります。SREの外部委託については別途ご検討ください。

受託・委託で補完する進め方:範囲定義から自動化導入まで

外注補完を成功させるには、委託前の準備と委託後の体制設計が重要です。5つのステップで進め方を整理します。

ステップ1:現状把握とネットワーク構成の棚卸し

まず自社のネットワーク環境を棚卸しします。物理構成図・論理構成図・機器リスト(型番・ファームウェアバージョン・保守期限)・VPN設定・クラウド側のサブネット設計を文書化します。どの業務がどのネットワーク経路に依存しているかを整理しておくと、委託範囲の定義が明確になります。

構成図や手順書が存在しない場合は、現状把握と同時に整備するか、ドキュメント化を込みで委託先に依頼する形を検討します。この初期整備を省くと、後工程で委託先との認識齟齬が頻発します。

ステップ2:委託範囲とSLA(サービスレベル合意)の定義

委託範囲を「運用監視のみ」「障害一次対応込み」「変更作業込み」のどのレベルで設定するかを決めます。SLAには、障害検知から通報までの時間・一次対応の開始時間・エスカレーション先・定例報告の頻度を盛り込みます。

SLAが曖昧なまま委託を開始すると、障害発生時に「どこまでが委託先の対応範囲か」が不明確になります。対応時間・対応範囲・責任分界点を契約書・SLAに明文化することが、後のトラブルを防ぐ前提条件です。

ステップ3:委託先選定と引き継ぎ設計

候補となる委託先に対し、ネットワーク運用・構築の実績・監視ツールの対応状況・セキュリティ管理体制・24時間対応の有無を確認します。RFP(提案依頼書)には「対象環境の概要・委託範囲・SLA要件・セキュリティ要件・報告形式」を盛り込みます。

委託開始前に、ネットワーク構成図・機器設定ファイル・手順書・監視設定を委託先と共同で整備します。引き継ぎセッションを設け、業務ロジックや過去の障害履歴を口頭で補足することも属人化解消に有効です。

ステップ4:運用監視体制の構築

委託先との監視体制を合意します。Zabbix・Nagios・Datadog等の監視ツールでアラート条件・通知先・エスカレーションフローを設定し、委託先が24時間365日アラートを受け取れる体制を整えます。定期レポート(日次・週次・月次)の形式と内容も事前に決めておきます。

自社側でもダッシュボードを参照できる権限を持ち、委託先任せにならない透明性を確保することが大切です。定例会(月次以上の頻度推奨)で課題・変更計画・セキュリティ情報を共有するサイクルを設けます。

ステップ5:ネットワーク自動化による省力化

定型の運用作業(設定変更・ログ収集・死活監視・レポート生成)をPython・Ansible・Terraform等で自動化することで、ネットワークエンジニアの稼働を高付加価値な業務に集中させることができます。自動化スクリプトの開発を委託先に依頼するか、フリーランスのネットワーク自動化エンジニアを活用するアプローチが現実的です。

自動化により定型作業の工数を削減できると、少ない人員でより広いネットワーク範囲をカバーできるようになります。長期的には、自動化を前提とした運用設計が人材不足への根本的な対応策となります。

委託先の選び方:運用実績・監視体制・セキュリティ・対応時間

ネットワーク運用・構築の委託先を選ぶ際に確認すべき判断軸を整理します。技術力だけでなく、体制・プロセスの信頼性が長期委託の成否を左右します。

ネットワーク運用・構築の公開実績と対応環境

LAN/WAN構築・クラウドNW設計・ファイアウォール管理の実績を、業種・規模・対応ベンダー(Cisco・Juniper・Fortinet・Palo Alto等)の具体性で確認します。AWS/Azure/GCPのVPC・VNet設計の経験があるかどうかも、クラウドシフトが進む環境では重要な判断軸です。

保守対象の機器・OS・クラウドサービスが委託先の対応範囲に含まれるかを、事前に技術スペックシートや過去実績で確認します。実績の具体性が乏しい場合は、POC(概念実証)やヒアリングで技術力を検証します。

24時間365日の監視・対応体制

ネットワーク障害は時間帯を選びません。24時間365日の監視体制・障害検知から一次対応開始までの時間・深夜休日の対応可否を契約前に確認します。オンコール体制の実態(専任か輪番か)と、一次対応担当者の技術レベルも重要な確認事項です。

SLAに「障害通報から30分以内に一次対応開始」等の具体的な数値目標が含まれているかを確認します。SLAの記載が曖昧な場合は、交渉して数値目標を明文化することを推奨します。

セキュリティ管理体制:情報セキュリティポリシーとISMS

ネットワーク機器の設定ファイルには機密情報が含まれます。委託先のセキュリティ管理体制として、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の有無・情報セキュリティポリシーの内容・アクセス権限管理・インシデント発生時の報告体制を確認します。

クラウド環境へのアクセス権限を委託先に付与する場合は、最小権限の原則に基づいたIAM設計と、アクセスログの定期監査を契約条件に含めることが望ましい状態です。

元請体制と窓口の一本化

元請(プライムベンダー)として窓口を一本化できる体制かどうかが、複数の協力会社が関与する環境でのコミュニケーションコスト管理の観点から大切です。自社とのやり取りを1社が取りまとめ、ネットワーク・セキュリティ・クラウド等の複数領域を統合的にサポートできる委託先を選ぶと、管理負荷を抑えやすくなります。

内製のみ(人材不足状態) 属人化・担当者過負荷 障害対応が遅延しやすい セキュリティ対応が後手 採用コスト・時間が高い 自動化が進まない VS 受託・委託で補完 24時間監視体制を確保 障害一次対応をSLA化 脆弱性対応を定例化 採用と並行して即時補完 自動化設計も委託可能
内製のみ(人材不足状態)と受託・委託補完の比較

まとめ:ネットワークエンジニア不足の補完を進める3つの判断軸

本稿では、ネットワークエンジニア不足の背景・放置リスク・補完手段の比較・進め方・委託先選定を整理しました。要点を3つに集約します。

第一に、補完手段は目的に応じて使い分けることです。スポットの構築・設計には受託、継続的な運用監視には業務委託、特定スキルの強化にはフリーランスと、自社の課題と緊急度に合った形態を選びます。定型作業の自動化(Python・Ansible)も、人材不足への中長期的な対応として組み合わせることを推奨します。

第二に、構成図・手順書の整備を委託前に進めることです。ネットワーク構成が属人化したまま委託を開始すると、引き継ぎコストが委託メリットを上回る事態になります。現状把握と文書化を先行させることが、委託品質を決める前提条件です。

第三に、SLA・セキュリティ管理・監視体制を契約前に合意することです。障害対応時間・対応範囲・責任分界点・情報セキュリティポリシーを明文化した委託先を選ぶことで、障害発生時の混乱を最小化できます。

よくある質問

ネットワークエンジニアの採用が難しい主な理由はなんですか?

求人需要の拡大に対して経験者の供給が追いついていないことが主な理由です。クラウドシフトやゼロトラスト導入により必要なスキルセットが広がる一方、新規参入エンジニアはアプリケーション開発側に集中する傾向があります。経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)*1では、2030年にかけてIT人材全体の需給ギャップが高位シナリオで約79万人に達する見通しが示されており、ネットワーク・インフラ系はこのギャップの中でも採用競争が厳しいカテゴリです。

受託(構築)と業務委託(運用監視)はどう使い分ければよいですか?

仕様が固まったプロジェクト型の作業(LAN/WAN構築・機器更改・クラウドNW移行など)は受託が向いています。一方、継続的な運用監視・障害一次対応・定常的な設定変更管理を長期委託したい場合は業務委託が適します。緊急性の高い構築は受託で対応しつつ、その後の運用フェーズを業務委託に移行するという組み合わせが実務上よく見られます。

ネットワーク運用の委託先に情報セキュリティ上の懸念はありますか?

懸念は適切な対策で管理できます。委託先のISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の有無・情報セキュリティポリシーの内容・アクセス権限管理の方針を選定時に確認することが重要です。クラウド環境へのアクセス権限を付与する場合は最小権限の原則に基づいたIAM設計と、アクセスログの定期監査を契約条件に含めることを推奨します。

ネットワーク自動化(Python・Ansible)は内製と外部委託のどちらで進めるべきですか?

自動化スキルを保有するエンジニアが社内にいない場合は、外部委託から始めるのが現実的です。委託先に初期スクリプトの開発・テスト・ドキュメント化を依頼し、運用フェーズで社内担当者が習熟していく体制設計が推奨されます。フリーランスのネットワーク自動化エンジニアを活用してスポット強化するアプローチも有効です。

委託先のSLAに含めるべき内容はどのようなものですか?

障害検知から通報までの時間・一次対応開始までの時間・エスカレーション先と対応時間・定例報告の頻度と形式・対応範囲の責任分界点を盛り込むことが基本です。24時間365日対応が必要な場合は深夜・休日の対応可否と対応レベルも明記します。SLAの数値目標(例:障害通報から30分以内に一次対応開始)が曖昧な場合は交渉で数値化することを推奨します。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

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LASSICは元請(プライムベンダー)として、ネットワーク運用監視・インフラ構築の受託から継続的な保守・運用サポートまで一貫して対応する体制を持っています。LAN/WAN・クラウドNW・VPN・ファイアウォール管理を含む幅広いネットワーク領域に対応しており、SLA設計から引き継ぎドキュメント整備まで含めた体制構築をご支援します。ネットワークエンジニア不足・運用体制の課題・委託先選定でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。


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  1. *1 出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査 調査報告書」(2019年公表)
  2. *2 出典:JPCERT/CC「注意喚起一覧」(随時更新)


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