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資格管理システムの選び方|更新期限と配置の見落としを防ぐ基準
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 資格管理システムは、社員の資格の有効期限と更新の講習、配置できる業務を1か所で管理する仕組みです。
- 期限の起点や講習の周期は資格ごとに違うため、自社の資格の決まりをそのまま登録できるかで選びます。
- 通知は申請や講習の締め切りより前に届け、資格の無い人を配置しない照合まで含めて運用します。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
誰の資格がいつ切れるのか、台帳を開いても分からない。更新の講習を受けたかどうかは、本人に聞くまで確かめられない——。社員の資格をExcelで管理している会社では、こうした食い違いが起こりがちです。資格管理システムは、社員が持つ資格と、その有効期限・更新に必要な講習・配置できる業務を1か所で管理し、期限が近づいたら知らせる仕組みです。
期限切れのまま業務に就かせてしまう事故を防ぐ助けになります。ただし万能ではなく、資格ごとに違う更新の決まりを最初に正しく登録しなければ、通知は役に立ちません。本記事では、社員の資格の管理を任された総務や情報システムの担当者に向けて、資格の期限と配置の要件、Excelの台帳や研修管理システムとの違い、選ぶときの5つの基準、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
目次
資格管理システムとは
資格管理システムが扱うのは、社外の試験や講習で得た資格です。社内研修の受講記録とは違い、資格には国や指定された機関が決めた有効期限や更新の条件が付いていることが多く、その条件を守れているかを会社として把握しておく必要があります。管理する主な項目は次のとおりです。
- 社員ごとの保有資格と、取得日・免状や登録証の交付日
- 有効期限、または次の講習を受けるべき期限
- 更新に必要な講習の受講状況と修了日
- その資格が無いと就けない業務と、いまの配置先
- 資格証の写しと、更新・失効の履歴
期限は資格ごとに数え始める日が違います。登録日から数える資格もあれば、前回の講習を受けた日から数える資格もあります。この起点を取り違えると、システムが出す通知の日付がずれてしまいます。仕組みを選ぶ前に、自社の社員が持つ資格の決まりを書き出しておくと進めやすくなります。
資格の期限と配置の要件
資格の更新や配置の決まりは、法令や所管の機関が定めています。IT部門に関わる資格と、現場の業務に関わる資格から代表的な3つを並べると、期限の付き方が資格ごとに違うことが分かります。

| 資格・業務 | 期限や講習の決まり | 会社として確かめること |
|---|---|---|
| 情報処理安全確保支援士 | 登録は3年ごとに更新*1。毎年の講習の受講が義務で、更新の申請は更新期限の60日前まで*2 | 講習をすべて修了しているか、申請の締め切りに間に合うか |
| 第一種電気工事士 | 免状の交付から5年以内に講習を受け、その後も同じく5年以内ごとに受ける*3 | 前回の講習日と、次の講習の期限 |
| クレーンの運転など就業制限のある業務 | 免許や技能講習の修了などの資格が無い人を就かせてはならない。従事するときは資格を証する書面を携帯する*4 | 配置する人が資格を持っているか、資格証を携帯しているか |
3つ目は、期限よりも配置の問題です。労働安全衛生法第61条は、クレーンの運転など政令で定める業務について、免許を受けた人や技能講習を修了した人などでなければ「当該業務に就かせてはならない」と定めています。*4 資格を持たない人を配置しない仕組みは、期限の通知と同じくらい大切です。情報処理安全確保支援士については、IPA(情報処理推進機構)が更新の手続きと講習を案内しています。
Excel台帳や研修管理システムとの違い
社員の資格は、Excelの台帳から管理を始めるのが手軽です。人数や資格の種類が増え、期限の確認が手作業で追いつかなくなったときに、専用の仕組みが候補に挙がります。似た仕組みに研修管理システムがありますが、扱う中身が違います。
| 選択肢 | 主に管理するもの | 向いている場面 |
|---|---|---|
| Excelの台帳 | 社員と資格の一覧 | 社員と資格の数が少なく、期限の確認を1人で回せるとき |
| 研修管理システム | 社内研修の計画、受講の記録、費用 | 社内の研修を計画どおりに実施し、受講の記録を残したいとき |
| 資格管理システム | 社外の資格の有効期限、更新の講習、配置の要件 | 期限の見落としや、資格の無い人の配置を防ぎたいとき |
両方の機能を持つ製品もありますが、選ぶときは「何を見落とすと困るのか」から考えると迷いません。期限切れや配置の誤りを防ぎたいなら資格管理、研修の実施と記録を整えたいなら研修管理が軸になります。法令で教育の記録が求められる業種の例は警備業の教育記録システムの選び方で扱っています。
資格管理システムの選び方
資格管理システムを選ぶときは、機能の数よりも、自社の資格の決まりをそのまま登録できるかを見ます。次の5つの基準で候補を比べると、導入した後にExcelの台帳へ戻ってしまう事態を避けやすくなります。
- 基準1:期限の付き方を資格ごとに設定できるか(登録日から数える、講習日から数える、期限が無い)
- 基準2:通知の時期を資格ごとに変えられるか
- 基準3:講習の受講状況を、期限とひも付けて記録できるか
- 基準4:配置先や勤務の割り当てと照らし合わせ、資格の無い人の割り当てを警告できるか
- 基準5:資格証の写しと更新の履歴を保管し、閲覧できる人を絞れるか
見落としやすいのは基準2です。情報処理安全確保支援士のように、更新期限の60日前までに申請が要る資格では、期限の当日に通知が届いても間に合いません。*2 資格ごとに「何日前に、誰に知らせるか」を決め、本人だけでなく上長や総務にも届くようにしておくと、申請の遅れを防ぎやすくなります。人事評価やスキルの情報と合わせて管理したい場合は、人事評価・タレントマネジメントシステムの開発も参考になります。
外部に頼むときに確認しておきたい点
資格管理システムは、市販の製品を入れる方法と、いまの人事システムに合わせて作る方法があります。どちらの場合も、構築や移行を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

- 資格の決まりの整理:資格ごとの期限の起点、講習の周期、申請の締め切りを誰が調べて登録するか
- 台帳の移行:Excelの重複や空欄を誰が直し、移す前と後の件数をどう照らし合わせるか
- 人事データとの連携:入社・退職・異動を社員の一覧にどう反映するか
- 通知の確認:期限の前後の日付で、通知が正しい相手に届くかをどう試すか
- 運用後の見直し:制度の改正で更新の決まりが変わったとき、誰が設定を直すか
特に最後の点は、導入時に決めないまま運用に入りやすいところです。情報処理安全確保支援士の登録の更新制も、令和元年の法改正(令和元年法律第67号)で導入されました。*1 更新の決まりは制度の見直しで変わることがあるため、所管の官庁や指定された機関の案内を定期的に確かめ、設定に反映する担当を決めておきます。
まとめ:資格管理システムで確かめておきたい3つの点
資格管理システムで社員の資格を管理するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、資格ごとの期限の起点と講習の周期を書き出し、それをそのまま登録できる仕組みを選ぶこと。第二に、通知は期限の当日ではなく、講習の申し込みや申請の締め切りより前に届くよう設定すること。第三に、資格の無い人を就業制限のある業務に配置しないよう、配置先との照らし合わせまで含めて運用することです。この3点を踏まえておけば、「システムを入れたのに更新を見落とした」という事態を避けやすくなります。仕組みの選定や構築に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
資格管理システムで管理する資格はどこまで含めるべきですか
まずは、期限切れのままや資格が無いまま業務に就くと困る資格から始めます。法令で配置の決まりがある資格や、更新しないと失効する資格が優先です。期限の無い資格は、保有の記録と資格証の写しがあれば足ります。
社員が自分で資格を登録する形でもよいですか
社員が登録し、総務が資格証の写しで確かめる二段階にすると、入力の手間と正確さの両方を保ちやすくなります。本人の入力だけに頼ると、取得日と交付日の取り違えのような誤りに気づけません。
更新の講習の受講料は会社がまとめて払えますか
資格によっては可能です。情報処理安全確保支援士の講習は、受講料を企業単位で申し込み、支払う方法がIPAから案内されています。*5 ほかの資格は、講習を行う機関ごとに確かめます。
資格管理の仕組みづくりのご相談
資格管理システムの選定や構築から、台帳の移行、人事データとの連携、期限の通知の設定まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「情報処理の促進に関する法律」(昭和45年法律第90号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000090)。出典:第12条第2項(登録は三年ごとの更新)、第23条(講習の受講義務)、附則(令和元年法律第67号)の更新に関する経過措置を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「登録セキスペ 更新について」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/riss/forriss/koushin.html)。出典:登録の有効期限(3年)、更新期限の60日前までの申請、毎年の講習の修了が更新の条件であることの記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:e-Gov法令検索「電気工事士法」(昭和35年法律第139号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000139)。出典:第4条の3(第一種電気工事士の講習・免状の交付から五年以内)を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(昭和47年法律第57号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057)。出典:第61条(就業制限・資格を証する書面の携帯)を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「企業・組織での資格活用を検討する方へ」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/riss/katsuyou/kigyou.html)。出典:講習受講料の企業単位での申込み・支払いの案内を参照(2026年10月確認)