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2026.06.26 らしくコラム

Scalaエンジニア不足を受託・委託で補完する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

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この記事のポイント

  • Scalaエンジニアの母数は限られており、求人数もJavaと比べると少ない水準にあります。
  • 社内育成・受託・準委任の3つの補完手段にはそれぞれ向き不向きがあり、目的や期間で使い分けが必要です。
  • 委託先を選ぶ際は、Scala実務・関数型ライブラリ・Akka/Play・Spark・JVMチューニングの実績を点検することが大切です。

Scalaの採用領域と需要

Scalaエンジニア不足とは、関数型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングを融合したJVM(Java仮想マシン)言語「Scala」を扱える技術者が市場全体で少なく、採用・確保が難しい状態を指します。Scalaは静的型付けによる型の堅牢性の高さと並行処理の強さから、特定の技術領域で需要が高まっています。

関数型+OOP 静的型付け・JVM Java互換 高い表現力 学習コスト高 並行処理 Akka ZIO Cats Effect 非同期処理 ビッグデータ Apache Spark Kafka連携 ストリーム バッチ処理 Webバックエンド Play Framework HTTP API マイクロサービス 高スループット 外部補完 受託・委託 準委任 社内育成 補完の選択
Scalaの主要採用領域と補完手段の流れ

Scalaが使われる領域は大きく4つに分かれます。一つ目は並行・非同期処理で、AkkaやZIO(純粋関数型エフェクトシステム)・Cats Effect(型クラスベースの関数型ライブラリ)が利用されます。高スループットなバックエンドサービスで採用される傾向があります。

二つ目はビッグデータ・データエンジニアリング領域です。Apache Sparkの標準APIがScalaで書かれており、データパイプラインやバッチ処理の構築に多く用いられます。三つ目はPlay Frameworkを使ったWebバックエンドで、マイクロサービスアーキテクチャとの親和性が高い点が評価されています。

四つ目は既存のJavaシステムからのScala移行です。JVM上で動作するため、JavaのライブラリをそのままScalaから呼び出せます。Javaの開発組織がScalaを段階的に導入するケースが国内でも見られます。

Scalaエンジニアが不足・採用が難しい理由

Scalaエンジニアが慢性的に不足している背景には、エンジニア母数の絶対的な少なさがあります。求人サービス各社の傾向を見ると、ScalaのIT求人数はJavaと比較して大幅に少ない水準にあることが各社サービスの検索件数から把握できます(時点により変動)。

母数が小さい理由は言語の特性にあります。ScalaはJavaを習得した上で関数型プログラミングの概念(モナド・高階型・型クラスなど)まで理解する必要があり、習得難度が高い言語です。国内でScalaを本番環境で使うプロジェクトがまだ多くないため、実務経験を積める機会自体が限られています。

転職市場でのScalaエンジニアの流動性も低い水準にとどまっています。Scala実務経験者はScala採用企業にとどまり続けることが多く、採用競争が激しくなりやすい特徴があります。

加えて、多くの企業が既存のJavaシステムをScalaへ移行することを検討する際、JavaとScalaの両方に精通した人材を求めます。この「両言語対応」という条件がさらに採用難度を押し上げています。

補完の選択肢:社内育成・受託委託・準委任の比較

Scalaエンジニア不足への打ち手は大きく3つあります。自社の状況(期間・予算・プロジェクト規模)に合わせて選択することが大切です。

手段 向いているケース メリット 留意点
社内育成(Java経験者のScala移行) 長期的にScalaを内製化したい。
Java経験者が社内にいる。
組織にScalaノウハウが蓄積される。
長期コストを抑えられる。
習得までの期間がかかる。
プロジェクトが急ぐ場合は間に合わないことがある。
受託開発 完成成果物を外部に任せたい。
要件が明確で仕様変更が少ない。
スコープと費用を事前に確定しやすい。
社内にScala知識がなくても発注できる。
仕様変更が発生した場合に追加費用が生じる。
細かい要件定義が必要。
準委任(SES型) 開発チームへの増員が目的。
仕様変更が多く柔軟性が必要。
自社チームと連携しながら進められる。
要件変更に柔軟に対応できる。
指揮命令は自社側が担う。
管理工数が発生する。

社内育成はJava経験者をScalaに移行させる方針が現実的です。JVMの動作原理やオブジェクト指向の素地があれば、Scalaの型システムや関数型の考え方を習得しやすいからです。ただし、実務レベルに達するまでには一定の期間が必要です。

急ぎのプロジェクトや体制増員には受託・委託が有効です。Scala実績のある外部パートナーに開発を依頼することで、立ち上げ速度を上げられます。プロジェクトの性質(スコープが固定か変動かなど)によって受託か準委任かを選ぶことが大切です。

受託・委託で進める手順

手順1:目的と開発スコープの整理

まず「何を外部に任せるか」を明確にします。新規Scalaシステムの開発なのか、既存JavaシステムへのScala混在移行なのか、データパイプラインのSpark活用なのかで、委託先に求めるスキルセットが異なります。スコープが曖昧なまま委託先探しを始めると、選定基準がブレる原因になります。

手順2:RFP(提案依頼書)の作成

委託先への提案依頼書には、採用するScalaのバージョン・使用予定ライブラリ(Akka/ZIO/Catsなど)・Java相互運用の有無・チームへの参画形態(受託か準委任か)を明記します。これにより、提案内容の比較がしやすくなります。

手順3:Scala実績の調査と評価

候補先の選定段階では、Scala実務経験の有無を具体的に調査します。単に「Scala対応可」と謳う企業でも、実績が数年前のものであったり、社内に精通したエンジニアが少ない場合があります。ポートフォリオやGitHubのコードなど、実際の成果物を照合できると信頼性が上がります。

手順4:技術要件のすり合わせ

契約前に技術要件のすり合わせをします。関数型スタイルの採用度合い(純粋関数型か一部活用か)・テスト戦略(ScalaTest/Specs2の使い分け)・JVMチューニングの対応範囲を事前に把握します。認識のズレがあると、稼働後に品質問題や追加費用が発生するリスクがあります。

手順5:フェーズ分割と段階的な発注

初期は小さなスコープで発注し、成果物の品質・コミュニケーションの円滑さを点検してから次のフェーズに進む方法が有効です。特にScala開発の委託先が初めての場合は、パイロット開発として一部機能の実装を依頼することを検討してください。

委託先の評価軸:Scala実績・関数型・Akka/Play・Spark・Java相互運用

Scala開発の委託先を評価する際は、以下の5つの軸で実績を精査することを推奨します。

評価軸1:Scala実務経験の深さ

Scala開発の本番運用経験があるかを調査します。特に「どのバージョンを使ったか」「チームに何名のScala専任エンジニアがいるか」を聞き取ります。Scala 2系とScala 3系(Dotty)では文法や機能が変わっており、対応バージョンの把握も重要です。

評価軸2:関数型ライブラリ(Cats/ZIO)の経験

Cats(Haskellの型クラスをScalaに移植したライブラリ)やZIO(非同期・並行処理を純粋関数型で扱うライブラリ)の実務経験があるかを調査します。これらの理解度が浅い場合、関数型スタイルのコードベースで保守性を維持することが難しくなります。

評価軸3:Akka/Play Frameworkの実績

Akka(アクターモデルによる並行処理・分散システム)やPlay Framework(Scalaベースの非同期Webフレームワーク)の開発経験を照合します。どちらも中〜大規模のバックエンドシステムで利用される技術であり、実務での使用経験が成果物の品質に直結します。

評価軸4:Apache Sparkの開発経験

ビッグデータ・データパイプラインを扱う場合は、Apache Spark(大規模データ処理フレームワーク)のScala APIでの開発経験が必要です。SparkはPythonからも使えますが、パフォーマンスの最適化や詳細な制御にはScala APIへの習熟が求められます。

評価軸5:JavaとのJVM上での相互運用経験

既存のJavaシステムにScalaを組み込む場合や、段階的な移行を進める場合は、JavaとScalaの相互運用(呼び出し方・型変換・コレクションの扱い)の実務経験が欠かせません。JVMチューニング(ガベージコレクション設定・ヒープメモリ管理)の対応範囲も聞き取っておきます。

これらの評価軸を点検するために、技術面接やコードレビューを契約前に実施することを推奨します。Scala開発に慣れた委託先は、自社のエンジニアが技術的な質問に答えられる体制を取っています。逆に回答が曖昧な場合は、実力が実績に見合わない可能性があります。

まとめ:Scala不足補完の3つの判断軸

本稿では、Scalaエンジニア不足の背景・補完手段の比較・受託委託で進める手順・委託先の評価軸を整理しました。要点を3つに集約すると次の通りです。

第一に、Scalaエンジニアの母数が小さい背景には言語の習得難度と国内プロジェクト数の少なさがあります。採用活動だけで解決を目指すのは時間がかかるため、外部補完との組み合わせが現実的です。

第二に、補完手段は「社内育成・受託・準委任」の3択です。スコープが固定で急ぎなら受託、チームへの増員なら準委任、中長期的な内製化なら社内育成を軸に考えます。

第三に、委託先の選定では「Scala実務・関数型ライブラリ・Akka/Play・Spark・JVM相互運用」の5軸で実績を点検することが大切です。技術面接やコードレビューを事前に実施することで、稼働後のリスクを抑えられます。

よくある質問

ScalaとJavaの違いは何ですか?

ScalaはJava仮想マシン(JVM)上で動作するため、既存のJavaライブラリをそのまま利用できます。Javaとの主な違いは、関数型プログラミングのスタイルをJavaよりも深くサポートしている点です。型推論・パターンマッチング・高階関数・型クラスなどの機能を活用することで、より簡潔で堅牢なコードを記述できます。一方で、関数型の概念を習得するための学習コストがJavaよりも高い傾向があります。

Scalaエンジニアの採用にはどれくらいの期間がかかりますか?

Scala実務経験者は採用市場での流動性が低い傾向があり、採用活動を開始してから内定承諾まで数ヶ月以上かかるケースも見られます。条件や企業の知名度によって変動するため一概には言えませんが、採用活動と並行して受託・委託での補完体制を構築しておくことが開発スケジュール遅延の防止につながります。

Java経験者がScalaを習得するにはどれくらいかかりますか?

Javaの実務経験があれば、Scalaの基本的な文法や型システムは比較的早く習得できます。ただし、CatsやZIOのような関数型ライブラリを実務で使いこなすレベルに達するには、基礎学習後も継続的な実践が必要です。社内育成を進める場合は、Scala経験者によるコードレビューや、関数型プログラミングの学習リソース(「Functional Programming in Scala」等)を活用することが効果的です。

受託と準委任(SES)はどちらを選ぶとよいですか?

仕様が固まっており成果物の納品を重視する場合は受託が向いています。一方、開発途中で要件変更が発生しやすい場合や、自社チームと密に連携しながら進めたい場合は準委任(SES)が適しています。準委任では指揮命令を自社側が担う必要があるため、プロジェクト管理の工数も見込んでおくことが大切です。

Scala開発の委託先を評価する際に調べるべきことは何ですか?

Scala実務経験の年数・使用バージョン(2系か3系か)・関数型ライブラリ(Cats/ZIO)の経験・Akka/PlayやApache Sparkの実績・JVMチューニングとJava相互運用の経験を調査することが大切です。また、契約前に技術面接やサンプルコードのレビューを実施することで、実力と実績の整合性をある程度把握できます。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

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  1. *1 出典:IT系求人サービス各社(Indeed・doda等)のScala/Java求人件数の比較(2024〜2025年時点の傾向として複数サービス上で把握。件数は時点により変動)


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