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2026.07.23 らしくコラム

薬機法の広告チェックを仕組み化|NG表現の審査システム

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

広告審査のイメージ

この記事のポイント

  • 薬機法第66条・第68条や医薬品等適正広告基準は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の広告について、効能効果を保証する表現や程度を誇張した表現を認めていません。
  • 広告審査を担当者の経験だけに頼る体制では、媒体数の増加とともにチェック漏れの可能性が高まるため、NG表現の検知と承認フローを仕組み化する必要があります。
  • 健康食品については景品表示法・健康増進法の観点も加わるため、薬事担当のレビューと記録・エビデンス管理を一体で運用できる審査体制の設計が求められます。

薬機法とは?医薬品等の広告を規制する第66条・第68条

薬機法チェックのイメージ

薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品を対象に、広告表現のあり方を定めた法律です*2。第66条は、これらの製品の名称・製造方法・効能・効果・性能について、明示的か暗示的かを問わず虚偽または誇大にあたる内容を広告・記述・流布することを禁じており、医師その他の者が効能効果を保証したものと誤認させる表現も同条の対象に含まれます*2。第68条は、承認や認証を受けていない医薬品・医療機器・再生医療等製品について、名称・製造方法・効能効果・性能に関する広告そのものを禁止する規定です*2。第66条・第68条のいずれに違反した場合も、罰則規定の対象となり得ます*2

化粧品・医薬部外品・健康食品を扱う通販ECサイトや広告代理店にとって、この規制は特定の疾患名や治療をうたう広告表現に限らず、日々作成する商品説明・バナー・LP(ランディングページ)・SNS投稿といった広告全般に及びます。媒体の種類や量が増えるほど、どの表現が規制に触れる可能性を持つかを毎回判断するコスト自体が大きくなっていきます。

医薬品等適正広告基準が示す効能効果表現の考え方

厚生労働省が定める医薬品等適正広告基準は、薬機法第66条から第68条の趣旨を踏まえ、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療用具の広告について「虚偽、誇大にわたらないようにするとともにその適正を図ること」を目的として示された基準です*1。承認を受けた医薬品については承認の範囲を超える効能効果を表示しないこと、承認を要しない医薬品については医学・薬学上認められている範囲を超えないことが求められます*1

同基準はまた、具体的な効能効果や身体への作用を示したうえで、その効果が伴うと断定的に受け取れるような保証表現を認めていません*1。加えて、程度が並外れて高いことを強調する表現やこれに類似する誇張表現も認められない対象として位置づけられています*1。こうした考え方は、広告表現をチェックする際の判断軸として、化粧品・医薬部外品・健康食品を扱う企業に共通して求められるものです。

図
図:広告表現チェック・審査ワークフローの流れ(入稿→自動検知→薬事担当レビュー→承認/差し戻し→媒体別に記録・保存)

化粧品・健康食品に固有の表現規制(景品表示法・健康増進法)

化粧品は医薬品のような治療効果を標榜できず、医薬品等適正広告基準に沿って認められた範囲の効能効果にとどめる必要があります*1。一方、いわゆる健康食品には薬機法に加えて、景品表示法と健康増進法という別の法律の視点も関わってきます。健康増進法第65条第1項は、食品として販売されるものについて、健康の保持増進効果等に関する虚偽誇大な表示を禁止しており、この規制は錠剤やカプセル形状に限らず、外観・形状から一般的な食品と分かるものにも及びます*3

消費者庁は「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を公表し、実際の効果を上回って誤認させる表示や、行政機関・研究機関等が効果を認めているかのように受け取られる表示など、複数の観点から留意点を整理しています*4。広告表現をチェックする担当者は、薬機法上の考え方に加え、この留意事項が示す景品表示法・健康増進法の観点も併せて確認する必要があり、確認すべき法令の数だけ審査の負荷は増えていきます。

広告審査が属人化しやすい現場の課題

広告表現のチェックは、これまで薬事担当者や広告制作の責任者が個人の知識と経験に基づいて行うケースが少なくありません。担当者ごとに判断基準にばらつきが生じたり、特定の担当者が不在の間はレビューが滞ったりする体制は、属人化のリスクを抱えていると言えるでしょう。

加えて、通販ECサイトや広告代理店が扱う広告媒体は、自社サイトの商品ページだけでなく、ECモール、SNS広告、動画広告、紙媒体のチラシ、店頭POPなど多岐にわたります。媒体ごとに担当部署や制作会社が分かれていると、どの表現がどの媒体で使われているかを一元的に把握できず、チェック漏れが生じやすくなります。修正が入った表現が別の媒体では反映されないまま残ってしまう、といった食い違いも起こりがちです。

広告表現チェック・審査システムの主な機能

NG表現の検知機能と辞書・ルールの整備

こうした課題に対応するため、広告表現のチェックと審査の流れを仕組み化するシステムやワークフローを導入する企業が増えています。中心となるのは、NG表現の検知機能です。薬機法・医薬品等適正広告基準・景品表示法・健康増進法の考え方に沿って社内で整理した禁止表現・要注意表現を辞書やルールとして登録し、広告原稿のテキストと突き合わせて自動的に検知する仕組みです。効能効果を保証する表現や程度を誇張した表現など、社内で判断基準が固まっている項目から辞書に反映していくことで、担当者の目視だけに頼らない一次チェックの土台が整います。

媒体別の管理と検知結果の可視化

自社サイト・ECモール・SNS広告・紙媒体など、媒体ごとに広告原稿とチェック結果をひも付けて管理する機能も欠かせません。同じ表現が複数の媒体でどう扱われているかを横断的に把握できれば、一方の媒体で手直しした表現が別の媒体に反映されないまま残る、といった食い違いを防ぎやすくなります。

薬事担当によるレビュー・承認ワークフローと記録・エビデンス管理

検知結果をレビューし承認する仕組み

NG表現の自動検知だけでは、文脈に応じた最終判断まではカバーできません。検知結果をもとに薬事担当者がレビューし、修正・承認・差し戻しを判断する承認ワークフローを組み合わせることが欠かせない仕組みです。誰がいつ何を確認し、どのような判断を下したかを記録に残す設計にしておくと、担当者が交代した場合でも過去の判断根拠をたどれるようになります。

記録・エビデンス管理という備え

広告原稿の版ごとの変更履歴、レビュー担当者のコメント、承認日時などを保存しておくことも重要な機能の一つです。行政からの照会や社内監査が発生した際に、どのような社内審査を経て広告表現が確定したかを説明できる状態にしておくことは、化粧品・健康食品メーカーや広告代理店にとって共通の備えと言えるでしょう。

内製構築と外部委託の判断軸

広告表現チェック・審査の仕組みを自社で構築するか、外部パートナーに委託するかでは、重視すべき観点が異なります。以下の表に主な違いを整理しました。

比較項目 内製構築 外部委託
辞書・ルールの整備 薬機法・景品表示法・健康増進法の解釈を自社の薬事担当が整理し、辞書へ反映します 法令解釈の整理から辞書設計までを専門パートナーと共同で進められます
承認ワークフローの設計 社内の稟議・承認権限に合わせて自由に設計できます 複数社の構築実績を踏まえた設計を提案してもらえます
システムの構築・保守 開発・保守を担う人員の確保が課題になりやすい領域です 構築から保守までを一括して任せられます
運用定着・辞書更新 法改正や新しい表現への追随を自社で継続します 法令動向の把握を含めて継続的な更新を依頼できます

導入の進め方

広告表現チェック・審査の仕組み化は、次のような順序で進めると全体像を把握しやすくなります。

第一に、現状の広告審査フローと広告媒体の棚卸しです。誰がどの媒体の広告表現を確認しているか、判断基準がどこまで明文化されているかを洗い出します。第二に、NG表現辞書・ルールの整理です。薬機法・医薬品等適正広告基準・景品表示法・健康増進法それぞれの観点で、自社が扱う商品カテゴリーに即した禁止表現・要注意表現を整理します。

第三に、承認ワークフローの設計です。レビュー担当・承認権限・差し戻し時の対応フローを整理し、記録として残す項目を決めます。第四に、システムの選定・構築です。既存の広告制作フローに組み込みやすいかどうかを軸に、内製で進めるか外部委託を活用するかを判断します。第五に、運用開始後の辞書更新体制です。法改正や新しい広告表現の登場に合わせて、辞書とルールを継続的に見直す担当を決めておく必要があります。

まとめ:広告審査を仕組み化する視点

本稿では、薬機法が定める広告規制の考え方と、化粧品・健康食品の広告審査を仕組み化する視点を、公式情報に基づき整理しました。要点は次の3つに集約されるでしょう。第一に、薬機法第66条・第68条や医薬品等適正広告基準は、効能効果を保証する表現や程度を誇張した表現を認めておらず*1*2、健康食品には景品表示法・健康増進法の観点も加わります*3*4。第二に、広告審査を担当者の経験だけに頼る体制は属人化のリスクを抱えており、NG表現の検知・辞書管理・承認ワークフローを仕組み化する必要があります。第三に、記録・エビデンス管理を含めた審査体制をどこまで内製し、どこから外部パートナーに委託するかは、自社の薬事人材と運用体制を踏まえて判断することが望まれます。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、薬機法・景品表示法・健康増進法に関わる広告表現チェック・審査ワークフローの構築を、元請(プライムベンダー)として支援しています。NG表現の辞書設計から薬事担当の承認フロー、記録・エビデンス管理の仕組みづくりまで、各社の運用体制に合わせて一貫して対応します。広告審査の属人化に不安がある企業様は、まずは現状の審査フローの棚卸しからご相談ください。

よくある質問

薬機法の広告規制は化粧品・健康食品にも及びますか。

はい。薬機法第66条・第68条は医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器を広く対象としており*2、化粧品は医薬品等適正広告基準に沿って認められた範囲の効能効果にとどめる必要があります*1。健康食品には薬機法に加え、景品表示法・健康増進法の観点も関わります*3

NG表現の自動検知だけで広告審査は完結しますか。

いいえ。自動検知は表現の候補を機械的に洗い出す一次チェックにとどまり、文脈に応じた最終判断には薬事担当者によるレビューと承認ワークフローの組み合わせが欠かせません。

健康食品の広告で確認すべき法律は薬機法だけですか。

いいえ。健康食品は薬機法に加え、健康増進法第65条が定める虚偽誇大な表示の禁止*3や、消費者庁が公表する景品表示法・健康増進法上の留意事項*4も併せて確認する必要があります。

広告表現チェック・審査システムは内製と外部委託のどちらが良いですか。

自社の薬事人材やシステム開発体制によって判断軸が異なります。辞書・ルールの整備やワークフロー設計を自社で継続できるかどうかを踏まえ、内製と外部委託を組み合わせて検討することが望まれます。

記録・エビデンス管理はどのくらいの期間保存すればよいですか。

保存期間は取り扱う商品カテゴリーや自社の文書管理規程によって異なるため、一律の基準はありません。社内規程や関連する法令の要件を踏まえ、公式情報で個別に確認することが望まれます。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:厚生労働省 法令等データベースサービス「医薬品等適正広告基準」(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6991&dataType=1&pageNo=1
  2. *2 出典:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第66条・第68条(https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145
  3. *3 出典:消費者庁「健康増進法(誇大表示の禁止)」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement
  4. *4 出典:消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/assets/representation_cms213_230131_01.pdf


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