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2026.10.30 採用支援コラム

業務委託の休暇の連絡ルール|精算と代わりの手当ての決め方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

開発フロアの予定表の前で外部エンジニアが休みの日を指して発注側の担当者に伝える

この記事の結論

  • 業務委託のエンジニアの休みは社員の休暇制度と切り離し、承認ではなく事前の連絡として受け取って日程の調整で応じます。
  • 休んだ月の報酬は契約の時点で算定方法として決め、1か月以上の委託では決めた額を後から差し引かないようにします。
  • 6か月以上の委託では育児や介護の申出に応じた配慮が義務で、申出だけを理由に契約を解除したり報酬を減らしたりしません。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

お盆の前になって、業務委託で開発に加わっているエンジニアから「来週は1週間休みます」と連絡が来た。社員なら休暇の申請と承認の流れがあるが、業務委託の相手にも同じ手続きを求めてよいのか。休んだ分の報酬はどうなるのか。年末年始や急な欠勤のたびに、発注側の担当者は迷いがちです。

本記事では、業務委託のエンジニアの休みを発注側がどう扱うかを、9つの問いに分けてQ&Aの形で整理します。社員の年次有給休暇の制度とは切り離し、厚生労働省などのガイドラインと、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)の条文で言えることを答えにしています。

業務委託の休暇の連絡で迷う点

業務委託のエンジニアの休みで迷う点は、手続き、報酬、作業の穴埋め、家庭の事情への配慮の4つに分かれます。どれも、社員の休暇制度を当てはめるのではなく、事業者どうしの取引として扱うところから考えます。

次の表で、自社の疑問がどの問いに当たるかを確かめてから、該当するQ&Aを読んでください。

業務委託のエンジニアの休みで迷う問いの種類
問いの種類 主な疑問 答えの決め手 Q&A
手続き 休みを承認制にしてよいか、誰にいつ連絡してもらうか 労働者性の判断基準と37号告示 Q1〜Q4
報酬 休んだ月の報酬をどう精算し、稼働の下限をどう扱うか フリーランス法の明示義務と減額の禁止 Q5・Q6
穴埋め 急な欠勤で作業が止まるときにどうするか 代わりの人を使えるかの考え方と契約 Q7
配慮 育児や介護で休みが増えるときにどう応じるか フリーランス法第13条と厚生労働省の指針 Q8・Q9

本記事は、個人のエンジニアや、エンジニアが所属する会社と業務委託契約を結ぶ発注側の対応に絞ります。稼働日数の決め方そのものは業務委託の稼働日数の決め方で、稼働が見込みに届かないときの確かめ方は外部人材活用の稼働不足トラブルで扱っています。

承認ではなく連絡にする理由のQ&A

最初に、休みを誰がどう決めるかを押さえます。業務委託では、作業する日や時間を相手が自分で決められることが、雇用と分かれる点の1つだからです。休みの連絡が届く経路は、契約の相手によって次の図のように変わります。

業務委託のエンジニアの休みの連絡が届く経路の図。個人と直接契約する場合は、エンジニア本人が発注側の窓口に休みの予定を連絡し、発注側は承認ではなく納期や打ち合わせの日程の調整で応じる。会社を通す場合は、エンジニアが所属する受注側の会社が休暇を管理し、受注側の管理責任者から発注側の窓口に予定が伝わる。発注側は予定の把握にとどめ、エンジニアに直接休みの指示をしない。

Q1. 業務委託のエンジニアにも夏季休暇や年末年始休暇はありますか

  • 答えの要点:発注側の就業規則にある夏季休暇や年末年始休暇、年次有給休暇の制度は、業務委託の相手にはかかりません。休む日は相手が事業者として自分で決め、発注側はそれを作業の予定に織り込みます。
  • 判断の根拠:公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスガイドライン」第6の3*1
  • ガイドラインは、服務規律や福利厚生を適用していることを、発注側が相手を自社の労働者と認識していると推認される補強要素に挙げています。労働者性が否定された例でも、受注者は発注者の就業規則と、それに基づく年次有給休暇の適用を受けていませんでした。

Q2. 休みを発注側の承認制にしてもよいですか

  • 答えの要点:勤務の時間を発注側が指定し管理していることは、指揮監督関係を示す基本的な要素とされています。休みを発注側が承認する形は、この管理に近づきます。休みは相手からの連絡として受け取り、発注側は納期や打ち合わせの日程の調整で応じます。
  • 判断の根拠:公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスガイドライン」第6の3(1)①c(拘束性の有無)*1
  • 工程の調整の必要性などを理由に時間を指定することは、指揮監督関係を肯定する要素とならない例とされています。日程を合わせる話と、休みを許すかどうかの話を分けて扱います。

Q3. 会社を通して来ているエンジニアの休みは誰に連絡してもらいますか

  • 答えの要点:エンジニアが受注した会社に雇われている場合、休日や休暇に関する指示その他の管理は、受注した会社が自ら行うものとされています。発注側に残るのは予定の単なる把握です。連絡は受注側の管理責任者を通して受け、管理責任者が休むときは代理の者を決めておいてもらいます。
  • 判断の根拠:37号告示 第2条第1号ロ(1)*2、37号告示に関する疑義応答集 問4*3
  • アジャイル型の開発でも、発注側の担当者が受注側のエンジニアに直接、労働時間等に関する指示を行うなど指揮命令があると認められる場合は、偽装請負と判断されます(疑義応答集 第3集 Q2*4)。

Q4. 休みの予定はいつまでに知らせてもらえばよいですか

  • 答えの要点:連絡の期限を日数で定めた一次情報は見当たりません。37号告示の判断基準は、作業する日時(休日等を含む)を前もって発注側と受注側で打ち合わせ、書面にしておく形を示しています。夏季や年末年始のように前から分かる休みは、定期の打ち合わせで共有してもらうのが本記事の整理です。
  • 判断の根拠:厚生労働省・都道府県労働局「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」の具体的判断基準*5
  • 連絡の方法と目安の時期は、契約を結ぶときに決めておきます。

稼働の下限と精算のQ&A

休みは報酬の計算に直接響きます。精算のしかたは休みが出てから決めるのではなく、契約の時点で算定のしかたとして決めておくのが基本です。ここでは、相手が従業員を使わない個人など、フリーランス法の対象になる場合を中心に整理します。

夕方の窓際の机でマネージャーが稼働の記録表をたどりながら電卓で精算を確かめる

Q5. 休んだ月の報酬はどう精算しますか

  • 答えの要点:フリーランス法は、業務委託をしたら直ちに、報酬の額などを書面か電磁的方法で示すよう求めています。金額を前もって決められないやむを得ない事情があれば、技術者の時間単価と実際の作業時間で報酬が決まるといった算定方法を示すことも認められます。休んだ月の扱いは、この算定方法の中で決めておきます。
  • 判断の根拠:フリーランス・事業者間取引適正化等法 第3条第1項*6、公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」*7

Q6. 稼働の下限を決めて足りない分を精算するときの注意は

  • 答えの要点:1か月以上の業務委託では、相手の責めに帰すべき事由がないのに、業務委託のときに決めた報酬の額を後から減らすことが禁じられています。あらかじめ合意があっても違反になります。月額を固定で決めておき、休んだことを理由に後から差し引く形は避け、稼働の下限に届かない月の計算も最初の算定方法に入れておきます。
  • 判断の根拠:フリーランス・事業者間取引適正化等法 第5条第1項第2号*6、同法の考え方
  • ガイドラインは、仕事をしなかった時間に応じて報酬が減額されることを、労働者性を補強する要素の例に挙げています(公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスガイドライン」第6の3(1)②)。時間で精算するなら、作業の進め方まで指示していないかもあわせて確かめます。

代わりの手当てと育児介護のQ&A

休みが急なときや長く続くときは、作業の穴をどう埋めるかと、相手の家庭の事情にどう応じるかが問われます。どちらも、休みを止めるのではなく、作業の段取りを組み直す方向で考えます。

自宅の書斎の窓際でエンジニアが電話で予定の変更を相談する

Q7. 急な欠勤で作業が止まるときの代わりの手当ては

  • 答えの要点:相手が自分の判断で代わりの人や補助者を使えることは、指揮監督関係にないことを示す要素とされています。ただし秘密情報を扱う開発では、代わりの人を入れてよいか、入れるなら前もって知らせるかを契約で決めておきます。会社を通している場合、代わりの人の配置は受注した会社が自ら決めることです。
  • 判断の根拠:公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスガイドライン」第6の3(1)①d(代替性の有無)*1、37号告示 第2条第1号ハ(2)
  • 発注側にできるのは、納期や作業の順番の見直しを相手と話し合うことです。

Q8. 育児や介護で休みが増えると言われたらどうしますか

  • 答えの要点:6か月以上の業務委託(更新で6か月以上続くものを含む)では、相手からの申出に応じて、育児や介護と両立して働けるよう必要な配慮をする義務があります。それより短い業務委託では努力義務です。指針は、子の急病で作業時間が取れないときに納期を短期間繰り下げる、介護のため特定の曜日をオンラインに切り替える、といった例を挙げています。
  • 判断の根拠:フリーランス・事業者間取引適正化等法 第13条*6、厚生労働省の指針 第3*8、同法Q&A 問94*9
  • 進め方は、申出の内容の把握、取り得る選択肢の検討、決めた内容の伝達と実施の順です。やむを得ず配慮できないときは、その旨と理由を分かりやすく説明します。

Q9. 休みが増えた相手の報酬や契約はどう扱いますか

  • 答えの要点:指針は、配慮の申出をしたことや配慮を受けたことだけを理由に、契約を解除したり報酬を減らしたりすることを望ましくない取扱いとしています。一方で、短い時間で働くことになり、実際に減った業務量に相当する報酬を減らすことは、これに当たらない例とされています。
  • 判断の根拠:厚生労働省の指針 第3の3*8、フリーランス・事業者間取引適正化等法 第16条第1項*6
  • 6か月以上の業務委託を解除する、または更新しないときは、少なくとも30日前までに予告する必要があります。

ここまでの答えは、ガイドライン・指針と条文から言えることに限っています。個別の契約や事情にどう当てはまるかは、都道府県労働局の窓口や弁護士に確かめてください。

外部人材に頼むときに確認しておきたい点

休みの扱いは、契約を結ぶ前に決めておくほど揉めにくくなります。業務委託の人材に頼む前に、次の点を書き出しておくと話が早く進みます。

  • 範囲:休みの間も止められない作業(障害の対応・リリースなど)があるか
  • 期間:契約が1か月以上か、6か月以上続くか(減額の禁止と配慮の義務がかかるか)
  • 体制:休みの連絡を受ける窓口と、会社を通す場合の管理責任者・代理の者
  • 費用の決まり方:月額か時間単価か、休んだ月や稼働が下限に届かない月の算定方法
  • 引き継ぎ:長い休みの前に残してもらう作業の記録と、休みの間の連絡の有無

休みの時期が重なりやすい年末年始などに1人の担当者だけで回す体制が不安なら、業務委託の人材とリモートで働く社員の候補を並べ、休みが重なっても作業が続く組み合わせを考える方法もあります。

まとめ:業務委託の休暇の連絡で確かめる点

業務委託のエンジニアの休みで確かめたい点は3つです。第一に、社員の休暇制度を当てはめず、休みは承認ではなく事前の連絡として受け取ること。会社を通す場合は、休暇の管理は受注した会社が行い、発注側は予定の把握にとどめます。第二に、休んだ月や稼働が下限に届かない月の報酬は、契約の時点で算定方法として決めておき、1か月以上の業務委託では決めた額を後から差し引かないこと。第三に、6か月以上の業務委託では育児や介護の申出に応じた配慮が義務になり、申出や配慮だけを理由に契約を解除したり報酬を減らしたりしないことです。

LASSICに相談するメリット

休みの間も止められない作業と、休みの連絡を受ける窓口が書き出せたら、条件に合う人材を探す段階です。1人に頼むか、業務委託の人材やリモートで働く社員も含めて体制を組むかを決めきれていなくても、候補を並べて比べられます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

業務委託のエンジニアに休日の作業を頼んでもよいですか

会社を通した契約では、37号告示が、休日に働かせる場合の指示その他の管理も受注した会社が自ら行うものとしています。急ぎの作業が出たら、納期の相談として受注側の窓口に伝えます。

休みの予定を共有のカレンダーに入れてもらうのは問題ですか

37号告示は、休日や休暇の管理から予定の単なる把握を除いています。カレンダーは承認の手段にせず、作業の段取りを共有する道具として使います。

フリーランス法の配慮義務は相手が会社でもかかりますか

代表者のほかに役員がなく従業員もいない法人は特定受託事業者に当たり、その代表者の育児や介護が配慮の対象になります。従業員を使う会社との契約にはかかりません。

業務委託で開発に加わる専門人材を探す

休みの間も止められない作業や、頼みたい開発の範囲と期間が決まっていれば、そのままご相談いただけます。体制の組み方を決めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省「フリーランスガイドライン」(令和3年3月26日策定・令和8年1月1日改定)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001318001.pdf)。出典:第6の3(労働基準法における「労働者性」の判断基準の具体的な考え方)の拘束性・代替性・報酬の労務対償性・補強要素と、労働者性を否定した例を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf)。出典:第2条第1号ロ(1)(2)・ハ(2)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関する疑義応答集」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001328443.pdf)。出典:問4(管理責任者の兼任・休暇等で不在の場合の代理の者)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「37号告示に関する疑義応答集(第3集)」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001704257.pdf)。出典:Q2(アジャイル型開発における指揮命令の考え方)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省・都道府県労働局「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001704200.pdf)。出典:労働時間等に関する指示その他の管理の具体的判断基準を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  6. *6 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:第2条(定義)、第3条(給付の内容その他の事項の明示等)、第5条(遵守事項)、第13条(妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮)、第16条(解除等の予告)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  7. *7 参考:公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001572556.pdf)。出典:報酬の額の算定方法の明示、報酬の減額の禁止(第5条第1項第2号)の説明を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  8. *8 参考:厚生労働省「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」(令和6年厚生労働省告示第212号)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001318005.pdf)。出典:第3(妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮)の配慮の例と望ましくない取扱いを参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  9. *9 参考:厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)Q&A」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001358289.pdf)。出典:問94(育児介護等の配慮の申出があった場合の対応)を参照(令和8年10月23日時点版・確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)




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