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2026.10.26 採用支援コラム

業務委託の稼働報告書テンプレート|9項目の書き方と記入の例

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

外部エンジニアの稼働報告書を机で読み、確かめた行に印を付ける発注担当者の手元

この記事の結論

  • 業務委託の稼働報告書には、期間・作業の概要・稼働時間の内訳・成果物・遅れと対応策など9項目を入れます。
  • 民法は求めに応じた報告と終了後の報告を定め、月ごとの報告の中身と点検期間は契約で決めます。
  • 稼働時間は把握にとどめ、時刻の指定や遅れたときの作業の指示はせず、受注者の窓口と協議します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

業務委託で来てもらっている外部のエンジニアから、月末に稼働報告書を受け取ることになった。ところが、何を書いてもらえばよいのか、時間をどこまで細かく聞いてよいのか、請求とどうつながるのかが分からない——。初めて準委任で外部人材を受け入れる企業では、ここで迷いがちです。

本記事は、外部のエンジニアを受け入れる開発マネージャーや情報システムの責任者に向けて、稼働報告書に入れる9つの項目をテンプレートの表にまとめます。民法の条文、IPAのモデル契約、厚生労働省の37号告示と疑義応答集をもとに、報告の根拠、報酬の精算との関係、指揮命令にならない書かせ方を整理します。

業務委託の稼働報告書とは

業務委託の稼働報告書(作業報告書とも呼ばれます)は、外部のエンジニアがある期間に行った作業の中身と使った時間を、発注する側にまとめて伝える書面です。法令で決まった名前や様式はなく、何をいつ報告するかは契約で決めます。

根拠になるのは準委任の報告の規定です。民法は、受任者は委任者の請求があるときはいつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終わった後は遅滞なくその経過と結果を報告しなければならないと定め、この規定は法律行為でない事務を頼む準委任にも準用されます。*1

  • 期間中:発注する側が求めたときに、処理の状況を報告する
  • 終了後:求めがなくても、遅滞なく経過と結果を報告する
  • 月ごとの定期報告:民法には書かれていないため、契約で頻度と中身を決める

IPA(情報処理推進機構)と経済産業省のアジャイル開発外部委託モデル契約は、受注者が当月に行った業務の概要や稼働時間数など、あらかじめ協議して決めた事項を翌月の決まった日までに報告する条文を置いています。*3 仕事の完成を約束する請負なら、確かめる中心は納められた成果物です。稼働報告書が要になるのは、準委任で頼む場合です。

稼働報告書テンプレートの9項目

次の表は、モデル契約の報告と協議の条文をもとに、稼働報告書に入れたい9つの項目をテンプレートにしたものです。*2*3 記入の例は伏せ字にしています。

報告書の表の1行に蛍光ペンで線を引く手元

業務委託の稼働報告書テンプレート(9項目のひな形。出典:IPA 情報システム・モデル取引・契約書 第二版、アジャイル開発外部委託モデル契約の報告と協議の条文をもとに作成。2026年10月24日確認)
項目 書く中身 記入の例 よくある抜け
①対象期間と契約 報告する期間と、どの個別契約の報告か 令和〇年〇月1日〜〇月末日/個別契約 第〇号 契約の番号がなく、どの契約の報告か後から分からない
②報告者と提出先 受注者の主任担当者と、発注者の主任担当者 提出:〇〇株式会社 〇〇/宛先:〇〇部 〇〇 様 作業者本人から現場の担当者へ直接送られる
③作業の概要 期間中に行った作業を、作業の単位ごとに 〇〇機能の詳細設計、〇〇画面の改修とレビュー対応 「開発作業」の一語で中身が読めない
④稼働時間 期間の合計と、作業ごとの内訳 合計〇〇時間(設計〇時間・実装〇時間・打ち合わせ〇時間) 合計だけで、何に使った時間か分からない
⑤成果物・提出物 期間中に渡したものと置き場所 詳細設計書 第〇版(共有フォルダ〇〇に格納) 版や置き場所がなく、どれを確かめるか分からない
⑥進み具合と遅れ 予定に対する実績、遅れの理由と対応策 予定〇件のうち〇件完了。〇件は仕様の確認待ちで、〇月〇日に完了見込み 遅れの理由だけで対応策がない
⑦課題・相談事項 発注者に決めてほしいこと、確認待ちのこと 〇〇の仕様について回答待ち(〇月〇日までの回答を希望) 発注者の側の待ちが書かれず、遅れの原因が見えない
⑧次の期間の予定 受注者が立てた次の期間の作業予定 〇〇機能の実装、〇月〇日にレビュー 発注者が日ごとの作業を割り振った表になっている
⑨確認欄 確認した日、確認した人、異議の有無 確認日:令和〇年〇月〇日/確認者:〇〇/異議:なし 点検期間を過ぎてから異議を伝えている

抜けやすいのは④の内訳と⑥の対応策です。モデル契約(第二版)は、受注者が連絡協議会に進捗管理報告を出し、遅延事項があるときはその理由と対応策などを協議すると定めています。*2 合計の時間と「遅れあり」だけでは、次に何を決めればよいかが読めません。

②の提出先も決めておきます。同じモデル契約は、相手方からの要請や指示の受け取り、日常の連絡や確認を、原則として主任担当者を通じて行うとしています。*2 稼働の日数の決め方は業務委託の稼働日数の決め方で扱っています。

報酬の精算と確認の流れ

稼働報告書は、報酬を払う前の確認書類にもなります。民法は、報酬を受けるべき受任者は委任事務を履行した後でなければ請求できないとし、期間によって報酬を定めたときは、その期間が過ぎた後に請求できるとしています。*1 成果に対して報酬を払う約束なら、成果の引渡しと同時に払います。*1

毎月の稼働報告書の確認の流れの図。受注者が当月分の業務の概要と稼働時間数を翌月の決まった日までに報告する。発注者は点検期間のうちに確かめ、異議がなければ確認を通知する。期間内に書面で異議を述べなければ確認したものとみなされる。異議があれば受注者が報告を直す。確認の後に単価と稼働時間で算定した委託料の請求書が出され、支払いへ進む。

アジャイル開発外部委託モデル契約は、毎月の確認を次の流れで定めています。*3

  • 受注者が当月分の業務の概要や稼働時間数を、翌月の決まった日までに報告する
  • 発注者は契約で決めた日数(点検期間)のうちに確かめ、異議がなければ確認したと通知する
  • 点検期間のうちに書面で具体的な理由を示して異議を述べなければ、確認したものとみなされる
  • 委託料は人員の単価と稼働時間で算定し、報告の確認後に請求書を出す(別紙の例)

稼働時間に単価を掛けて払う契約では、報告書の④が請求額の根拠になります。解説は、記載された業務の内容や稼働時間数が実態と異なる場合を、異議を述べる例に挙げています。*3 期限を過ぎるとみなし確認になるため、受け取ったら点検期間のうちに④と⑤を作業の記録と照らします。

契約の終わりには別の書面も要ります。モデル契約(第二版)は、準委任で行う支援業務の終了後に受注者が業務終了報告書を出し、発注者が確かめて業務終了確認書を渡す手順を置いています。*2 成果物の確かめ方は業務委託エンジニアの参画後の評価で扱っています。

指揮命令にならない書かせ方

稼働報告書で気をつけたいのは、報告を求めることと、働き方を指示することの境目です。厚生労働省の疑義応答集(第3集)は、準委任でも、実態として発注者と受注者側の労働者の間に指揮命令関係があれば、契約の形式を問わず労働者派遣事業に当たるとしています。*5

判断の基準になる37号告示(労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準)は、始業と終業の時刻、休憩、休日などの指示や管理を受注者が自ら行うことを求めつつ、これらの単なる把握は除いています。*4 稼働時間を報告で知ることと、時間の使い方を指示することは別に扱われています。

稼働報告書で求めてよいことと避けたい使い方(出典:37号告示、同告示に関する疑義応答集(第3集)、IPA モデル契約をもとに作成)
項目 報告で求めてよいこと 避けたい使い方
稼働時間 期間の合計と作業ごとの内訳を報告してもらう 発注者が始業・終業の時刻や休憩を決めて守らせる
進み具合 予定と実績、遅れの理由と対応策を報告してもらう 遅れたときに発注者が作業の割り付けや順序を直接指示する
次の予定 受注者が立てた予定を共有してもらう 発注者が日ごとの作業を割り振って書かせる
提出の経路 受注者の主任担当者から発注者の主任担当者へ出してもらう 作業者本人に発注者の様式で日々の報告を直接出させる

疑義応答集は、開発の進捗に遅れが出て仕事の割り付け、順序、緩急の調整などを指示する必要があるときは、受注者が管理責任者を選ぶなどして自ら指揮命令を行う必要があり、発注者側が直接行えば偽装請負と判断されるとしています。*5 遅れが報告されたら、受注者の窓口と対応を協議する形にします。個別の契約は専門家に確認してください。

外部に頼むときに確認しておきたい点

稼働報告書のテンプレートを使うには、頼む前に契約で決めておくことがあります。次の5つは、外部人材を探す相談の準備にもなります。

発注側が書類を押さえ受注側がノートに書き留める打ち合わせ

  • 範囲:任せる作業と、③⑤に書いてもらう作業や成果物の単位
  • 期間:報告の締め日と提出日、確かめる日数(点検期間)
  • 体制:双方の主任担当者と、遅れたときに協議する場と頻度
  • 費用の決まり方:単価と稼働時間で算定するか成果で払うか、請求は報告の確認後か
  • 引き継ぎ:終了時の報告に書く経過と結果、受け取る資料の置き場所

報告の項目を相手と先に合わせておくと、月末の確認と請求の手続きが止まりにくくなります。報告を受けて稼働が見込みに届かないときの確かめ方は外部人材活用の稼働不足トラブルで扱っています。

まとめ:業務委託の稼働報告書で押さえる3つの点

業務委託の稼働報告書で押さえたい点は3つです。第一に、対象期間、作業の概要、稼働時間の内訳、成果物、遅れの理由と対応策、次の予定など9項目をテンプレートに入れ、確認欄まで設けること。第二に、民法が定めるのは求めに応じた報告と終了後の報告なので、月ごとの報告の締め日、項目、点検期間、請求との関係を契約で決めること。第三に、稼働時間は把握にとどめ、時刻の指定や遅れたときの作業の指示は受注者の窓口を通して協議することです。

LASSICに相談するメリット

報告の項目と点検期間、費用の決まり方が決まっていれば、受け入れの準備はほぼ整っています。業務委託で頼むか社員で採るかを決めきれていなくても、両方の形で候補を比べられます。

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よくある質問

稼働報告書と作業報告書は違うものですか

法令で決まった名前ではないため、呼び方は契約ごとに違います。どちらも、期間中の作業の中身と使った時間をまとめて伝える書面として使われ、入れる項目は契約で決めます。

稼働報告書は毎月もらう必要がありますか

民法が定めるのは、求めたときの処理の状況の報告と、終了後の経過と結果の報告です。月ごとに受け取るなら、締め日、提出日、項目、点検期間を契約に書いておきます。

報告の内容が実態と違うときはどうしますか

モデル契約では、点検期間のうちに書面で具体的な理由を示して異議を述べ、受注者が報告を直すなどの対応をとります。期限を過ぎると確認したとみなされる定めがあるため、受け取ったら早めに作業の記録と照らします。

業務委託で開発に加わる専門人材を探す

任せる範囲と期間が決まっていれば、そのままご相談いただけます。報告の項目や進め方を固めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:民法(明治29年法律第89号・e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。出典:e-Gov法令検索。第624条第2項、第645条(受任者による報告)、第648条(受任者の報酬)、第648条の2(成果等に対する報酬)、第656条(準委任)を参照(確認日2026年10月24日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:独立行政法人情報処理推進機構「情報システム・モデル取引・契約書(受託開発(一部企画を含む)、保守運用)〈第二版〉」ひな型(https://www.ipa.go.jp/digital/model/model20201222.html)。出典:IPA。第10条(主任担当者)第3項、第12条(連絡協議会の設置)第4項、第18条・第32条(業務の終了・確認)を参照(確認日2026年10月24日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:独立行政法人情報処理推進機構・経済産業省「アジャイル開発外部委託モデル契約(解説付き)」(PDF)(https://www.ipa.go.jp/digital/model/ug65p90000001ldr-att/000081484.pdf)。出典:IPA。第10条(実施業務の確認)とその解説、別紙8項(委託料及び支払方法)を参照(確認日2026年10月24日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf)。出典:厚生労働省。第2条第1号ロ(労働時間等に関する指示その他の管理)を参照(確認日2026年10月24日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省「『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準』(37号告示)に関する疑義応答集(第3集)」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001704257.pdf)。出典:厚生労働省。Q1・A1(準委任の場合)、Q3・A3(進捗に遅れが生じた際の指示)を参照(確認日2026年10月24日)(2026年10月確認)




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