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2026.10.17 採用支援コラム

PM(プロジェクトマネージャ)中途採用の要件と経験の見極め方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

面接の丸テーブルでPMの候補者が横棒だけの工程表を指でなぞり、向かいの面接担当が手を組んで聞いている

この記事の結論

  • PMの経験は肩書きや年数ではなく、全体の責任者だったか、何回完了させたか、どの規模だったかの3点で測ります。
  • PMPやプロジェクトマネージャ試験は入り口の目安として歓迎条件に置き、必須条件は経験の言葉で書きます。
  • 続けて任せる役割は社員で採り、立ち上げ期など期間が決まった役割は外部のPMに頼む、と分けて考えます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

「PM(プロジェクトマネージャ)を中途採用したいが、求人票に何を書けばよいか分からない」「PMPを持っている人なら任せてよいのか」——。開発の案件が増え、プロジェクトを率いる人が足りなくなった企業では、こうした迷いが起こりがちです。PMは、システム開発のプロジェクトで計画から完了までを取り仕切り、品質・費用・納期に責任を持つ役割です。

PMの中途採用で難しいのは、肩書きや資格だけでは経験の中身が見えない点にあります。本記事では、情報システム部門の責任者や開発マネージャーに向けて、IPAのITスキル標準(ITSS)とプロジェクトマネージャ試験、PMI日本支部の公表資料をもとに、経験の測り方、資格の置き方、面接での確かめ方、社員で採るか外部のPMに頼むかの判断を整理します。

PMの仕事と4つの専門分野

ITSSは、プロジェクトマネジメントの職種を、プロジェクトの提案、立上げ、計画、実行、監視コントロール、終結を実施し、計画された納入物やサービスの品質、コスト、納期に責任を持つ仕事と説明しています。*1 同じPMでも、どんなプロジェクトを率いてきたかで経験の中身は変わります。ITSSはこの職種を次の4つの専門分野に分けています。*1

プロジェクトマネジメントの4つの専門分野(IPA「職種の概要と達成度指標(5)プロジェクトマネジメント」から要約)
専門分野 扱うプロジェクト
システム開発 ITシステムの提案、開発、保守
ITアウトソーシング 顧客の経営戦略を受け、外部の組織としてITシステムの企画から運用までを担う
ネットワークサービス データ、画像、映像などの通信環境の設計、導入、管理
ソフトウェア製品開発 不特定多数のユーザー向けのソフトウェア製品の企画から保守まで

社内の業務システムを作るなら「システム開発」、自社のサービスを作り続けるなら「ソフトウェア製品開発」が近くなります。求人票の最初に、率いてほしいプロジェクトの種類を書いておきます。DXを進める役割としてプロジェクトを率いる人を探す場合は、「デジタルスキル標準を採用に使う方法」も参考になります。

経験は立場・規模・難しさで測る

ITSSの達成度指標は、PMの経験を責任性(立場と回数)、サイズ(規模)、複雑性(難しさ)の3つの観点で書いています。*1 専門分野「システム開発」のレベル3〜6を比べると、次のようになります。

夜のサーバールームの通路でPMがクリップボードを持ってラックを指し、作業担当のエンジニア2人がその方向を見ている

システム開発のPMのレベル3〜6の主な条件(IPA「職種の概要と達成度指標(5)プロジェクトマネジメント」から要約)
レベル 立場と回数 規模(ピーク時の要員数または年間契約金額)
3 プロジェクトメンバとして、成果物を1回以上計画どおりに達成 特定しない
4 プロジェクト全体の責任者として、2回以上成功 10人未満または1億円未満
5 プロジェクト全体の責任者として、3回以上成功 10人以上50人未満または1億円以上5億円未満
6 全体の責任者としてステークホルダーもマネジメントし、3回以上成功 50人以上または5億円以上

採用で大事な線は、レベル3と4の間です。レベル3はメンバーとしての経験で、レベル4から「プロジェクト全体の責任者」としての成功が求められます。*1 職務経歴に「PM経験あり」とあっても、全体の責任者だったのか、PMの下で一部を担ったのかでレベルが分かれます。

難しさについて、達成度指標は8つの条件を挙げ、レベル4ではそのうち2つ以上に当たるプロジェクトの経験を求めています。*1 主な条件は次のとおりです。

  • 国際的なプロジェクト
  • 複雑な移行の要件
  • 複雑な契約の条件(品質、コスト、納期の厳しい制約など)
  • 複雑なシステム構築の要件(性能、セキュリティ、稼動や運用の要件など)
  • 複雑なプロジェクトの体制(顧客、協力会社、海外の拠点、関係部門など)

PMPとPM試験の置き方

資格では、IPAのプロジェクトマネージャ試験と、PMIのPMPがよく挙がります。2つの特徴は次のとおりです。

  • プロジェクトマネージャ試験:システム開発のプロジェクトで、責任をもってプロジェクトマネジメントの業務を担う人を対象者像とする試験。科目B-2は論述式で、2問から1問を選んで答える*3
  • PMP:PMI本部が認定するプロジェクトマネジメントの国際資格で、法的な資格や免許ではない*4
  • PMPの更新:3年ごとに60PDU(学習などの活動を時間で数えた単位)を取得して更新する。満たせないと資格が停止され、その間はPMPを名乗れない*4*5

プロジェクトマネージャ試験は、現行の制度での実施が2026年度で終わり、2027年度から新しい制度に移る予定です。*3

ITSSの概要編は、各レベルに対応する試験の合格を、そのレベルの入り口に立ったとみなすものとし、レベル4は高度試験の結果と達成度指標で測る業績の双方から評価する必要があるとしています。*2 資格は歓迎条件に置き、必須条件は経験の言葉で書くのがおすすめです。書き方の例は次のとおりです。

  • 仕事:社内の業務システムの開発プロジェクトを、計画から完了まで率いる
  • 必須:開発プロジェクトの全体の責任者として、計画から完了までを2回以上担った経験(ITSSレベル4相当)
  • 歓迎:プロジェクトマネージャ試験の合格、またはPMPの保有

ITSSのレベル全般の使い方は「ITSSのレベルを採用要件に使う方法」で扱っています。

面接で経験を確かめる質問

IPAは試験の「業務と役割」として、プロジェクト計画の作成、チームの編成、リスクへの対応、ステークホルダーとのコミュニケーション、計画と実績の分析・評価を挙げています。*3 面接ではこの流れに沿って、1つのプロジェクトを最初から最後まで話してもらうと、経験の深さが見えます。

  • 立場:プロジェクト全体の責任者だったか。誰に報告し、何を自分で決められたか
  • 規模:要員がいちばん多いときで何人いたか。予算はどのくらいだったか
  • 難しさ:移行、契約、体制など、難しかった条件は何で、いくつ重なっていたか
  • 計画と実績:計画とのずれはどこで生じ、どう立て直したか
  • 振り返り:終わったあと、次のプロジェクトに何を生かしたか

PMの中途採用で経験を確かめる流れの図。まず率いてほしいプロジェクトの種類を決め、必須条件を全体の責任者としての回数と規模で書く。面接では立場、規模、難しさの3つを聞き、計画と実績のずれをどう立て直したかを話してもらう。PMPやプロジェクトマネージャ試験は入り口の目安として添える。

PMPの保有を書いた候補者については、PMI本部のWebサイトの名簿(Online Registry)で氏名を確かめられます。資格が停止中の人は、この名簿に含まれません。*5 チームの人を育て、評価してきた経験の聞き方は「エンジニア中途採用の責任者候補のマネジメント経験」も参考になります。

社員で採るか外部PMに頼むか

PMは、1つのプロジェクトの間だけ必要になることもあれば、会社として何本ものプロジェクトを回し続けるために必要になることもあります。どちらに当たるかで、社員として採るか、業務委託で外部のPMに加わってもらうかの向き不向きが変わります。

夕方の会議室で社内の責任者と外部のPMが握手し、長机に座る開発チームの3人が2人の方を見ている

PMを社員で採る場合と外部のPMに頼む場合の比べ方
観点 社員として採る 業務委託の外部PM
向く場面 プロジェクトが続けて立ち上がる。進め方を社内に根づかせたい 立ち上げ期や大きな移行など、期間が決まっている
社内に残るもの 判断の経緯や社内の人脈が残る 契約が終わると抜けるため、引き継ぎを計画に入れる
先に決めること 等級、評価、育成の仕組み 任せる範囲、社内の意思決定者、報告の頻度、契約期間

外部のPMに入ってもらう場合も、予算や優先順位を最終的に決める責任者は社内に置いておくのが基本です。業務委託では、発注する側が細かな指示を出すと契約の形と合わなくなることがあります。任せる範囲と報告の方法は契約で取り決め、迷う点は専門家に確かめてください。PMの不足を外部委託で補う進め方は、らしくコラムの「ITプロジェクトマネージャー(PM)不足を外部委託で補う」でも扱っています。

まとめ:PMの中途採用で確かめたい3つの点

PMの中途採用で確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、率いてほしいプロジェクトの種類を決め、求人票の最初に書くこと。第二に、必須条件は全体の責任者としての回数と規模で書き、PMPやプロジェクトマネージャ試験は入り口の目安として歓迎条件に置くこと。第三に、面接では1つのプロジェクトを最初から最後まで話してもらい、立場・規模・難しさと、計画とのずれをどう立て直したかを聞くことです。あわせて、社員で採るか外部のPMに頼むかも検討してみてください。

LASSICに相談するメリット

率いてほしいプロジェクトの種類と、全体の責任者として求める経験の目安が書き出せたら、確保の方法を決める段階です。続けて任せたい役割はリモートワークの社員の採用で、立ち上げ期など期間の決まった役割は業務委託で加わるPMで探す、という分け方でご相談いただけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

PMの経験年数を必須条件にしてもよいですか

年数だけでは、全体の責任者だったのか、メンバーとして加わっていたのかが分かりません。ITSSの達成度指標も、年数ではなく立場と回数、規模、難しさで経験を書いています。年数を書く場合も、全体の責任者として完了させた回数を合わせて書くと、求める水準が伝わりやすくなります。

PMPとプロジェクトマネージャ試験はどちらを重視すべきですか

どちらも、知識や経験の入り口の目安として扱うのが無難です。PMPは3年ごとの更新が必要な国際資格で、プロジェクトマネージャ試験は論述式の科目を含む試験です。どちらの場合も、面接で実際の経験を確かめます。

PMの補佐役の経験者をPMとして採ってもよいですか

PMの下で計画や進捗の管理を担ってきた人は、メンバーとしての経験(ITSSのレベル3相当)を持っています。全体の責任者の経験が無い場合は、小さめのプロジェクトから任せる、経験のあるPMと組ませるなど、入社後の任せ方を決めたうえで採る方法があります。

PMを社員で採るか外部で探すか迷ったとき

率いてほしいプロジェクトの種類と、求める経験の目安が分かっていれば、そのままご相談いただけます。社員を採るか、業務委託で始めるかを決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:IPA「職種の概要と達成度指標(プロジェクトマネジメント)」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/ps6vr70000004x60-att/000024937.pdf)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011 職種の概要と達成度指標(5)プロジェクトマネジメント」(PDF)。職種の説明、4つの専門分野、システム開発のレベル3〜6の達成度指標(責任性・複雑性・サイズ)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:IPA「ITスキル標準V3 2011 1部:概要編」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/itss/ps6vr70000004x60-att/000024840.pdf)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構「ITスキル標準V3 2011 1部:概要編」(2018年8月27日改訂・PDF)。4.6 レベルの評価(情報処理技術者試験の位置づけ)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:IPA「プロジェクトマネージャ試験」(https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/pm.html)。出典:独立行政法人情報処理推進機構「プロジェクトマネージャ試験」(最終更新日2026年7月6日)。対象者像、業務と役割、試験時間・出題形式、試験制度の見直しを参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:PMI日本支部「PMP資格について」(https://www.pmi-japan.org/pmp_license/pmp/)。出典:一般社団法人PMI日本支部「PMP資格について」。PMPの位置づけ(法的な資格・免許ではない)、CCRサイクルと60PDUを参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:PMI日本支部「資格の更新について」(https://www.pmi-japan.org/pmp_license/renewal/)。出典:一般社団法人PMI日本支部「資格の更新について」。資格のサスペンド(停止)、PMP資格保有者の確認(Online Registry)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)




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