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2026.10.16 採用支援コラム

デジタルスキル標準を採用に使う方法|ロール別の募集要件の作り方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

木目の会議テーブルで、後ろ姿の2人が見開きの厚い冊子をのぞき込み、右の人がページを指で示す

この記事の結論

  • デジタルスキル標準を採用に使うときは、6つの類型ではなくその下のロールを募集の単位にします。
  • ロールごとに付いたスキルの重要度のうち、aを必須の候補、bを歓迎の候補にして要件を分けます。
  • 標準は全ての役割を最初からそろえる前提ではないので、ロールごとに社員で採るか外部に頼むかを決めます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

DX人材を募集したいが、求人票に何を書けばよいか決まらない。そこでIPAのデジタルスキル標準を開いてみたものの、類型・ロール・スキル項目が並んでいて、どこから募集の言葉にすればよいか分からない。デジタルスキル標準を採用に使うとは、標準が定める人材の区分とスキルの重要度を、募集するポジションの定義に置き換えることです。

結論を先に言うと、募集の単位は6つの類型ではなく、その下の「ロール」にすると使いやすくなります。本記事では、標準の構成、ロールの選び方、重要度から必須要件を作る方法、社員で採る役割と外部人材に頼む役割の分け方、外部に頼むときの確認点を順に整理します。

デジタルスキル標準とは

デジタルスキル標準(DSS)は、経済産業省とIPA(情報処理推進機構)が取りまとめた、DXに必要な知識やスキルの指針です。*1 全てのビジネスパーソン向けの「DXリテラシー標準」と、DXを推進する専門性を持った人材を確保・育成するための「DX推進スキル標準」の2つで構成されています。*2 採用に使うのは後者で、次の3つの層でできています。

  • 類型:DXの推進に必要な役割を6つに分けたもの(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、データマネジメント、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティ)
  • ロール:類型を業務の違いでさらに細かく分けたもの。1つの類型に2〜4つ
  • 共通スキルリスト:全てのロールに共通するスキル項目の一覧。ロールごとに重要度が付く

2026年4月にver.2.0が公表され、データマネジメントの類型が新設されました。*1 標準は、使う前の悩みの例に「どんな人を採用すればよいのかわからない」を挙げています。*2

デジタルスキル標準から募集ポジションを作る4つの手順を左から右へ示した図。1つ目は、6つの類型から任せたい役割に近いものを選ぶ。2つ目は、類型の中に2〜4あるロールから1つ選び、その責務を仕事の説明の下書きにする。3つ目は、スキルの重要度を見て、aを必須の候補、bを歓迎の候補にし、cとdは面談で聞く。4つ目は、長く関わる役割は社員で採り、作業と期間が決まる役割は外部人材に頼む。下の帯には、標準は細かなレベルの評価指標を定めていないので、求める水準は自社で決め、面談で過去の作業から確かめることが書かれている。IPAのデジタルスキル標準 ver.2.0(DX推進スキル標準)をもとに作成。

募集は類型ではなくロールで切る

類型は役割の大きな束です。同じソフトウェアエンジニアでも、画面の側を作る人とサーバの側を作る人では仕事が違います。標準も、1つの類型の中に、活躍する場面や業務の違いを想定したロールを定義しています。*2 募集の単位には、このロールのほうが向いています。

サーバールームで、扉の開いたラックのケーブルを指す作業着の担当者と、隣で見る人事担当の後ろ姿

DX推進スキル標準 ver.2.0の類型とロール
類型 定義されているロール
ビジネスアーキテクト ビジネスアーキテクト/ビジネスアナリスト/プロダクトマネージャー
デザイナー サービスデザイナー/UX/UIデザイナー/コミュニケーションデザイナー
データサイエンティスト データビジネスストラテジスト/データサイエンスプロフェッショナル
データマネジメント データスチュワード/データエンジニア/データアーキテクト
ソフトウェアエンジニア フロントエンドエンジニア/バックエンドエンジニア/クラウドエンジニア/SRE/フィジカルコンピューティングエンジニア
サイバーセキュリティ サイバーセキュリティマネージャー/サイバーセキュリティエンジニア

各ロールには「担うべき責務」と「主な業務」が書かれています。自社で任せたい仕事に近いロールを1つ選び、その責務を仕事の説明の下書きにします。

1つのロールを複数人で担うことも、1人が複数のロールを担うことも想定されています。*2 最初の1人に兼ねてもらうなら、主にどのロールで、どこまでを兼ねるのかを書き分けます。

重要度aを必須要件にする

ロールを決めたら、共通スキルリストで求めるスキルを拾います。共通スキルリストは5つのカテゴリーと13のサブカテゴリーで整理され、ロールごとに各スキル項目の重要度がaからdで付いています。*2 これを募集要件の強さに読み替えます。

重要度の定義と、募集要件での使い方の例
重要度 標準の定義 募集での使い方の例
a 高い実践力と専門性が必要 必須要件の候補
b 一定の実践力と専門性が必要 歓迎要件の候補
c 知識として説明可能なレベルでの理解が必要 面談で説明してもらう
d 体系として全体の中での位置づけや他項目との関連の理解が必要 募集要件には書かない

たとえば重要度aの項目は、バックエンドエンジニアではバックエンドシステム開発、ソフトウェア設計手法など8つ、クラウドエンジニア/SREではクラウドインフラ活用、SREプロセスなど4つです。*3 同じ類型でも、必須にする項目はロールで変わります。

注意したいのは、標準が細かなレベルの評価指標を設けていない点です。想定する水準は、独力で業務ができ、後進の育成もできる程度とされています。*2 この水準をaの全項目で求めると条件が重くなるので、必須は自社の仕事で毎日使う項目に絞ります。

社員で採る役割と外部に頼む役割

標準は、示した役割を最初から全てそろえる必要はなく、事業の規模やDXの進み具合に応じて一部の役割からそろえていくことを想定しています。*2 全てを社員で採ろうとせず、ロールごとに確保の手段を分けて考えられます。

西日の差す空いた席の机に、ヘッドセットを置き、無地の入館カードのホルダーを下ろす両手

ロールごとの確保の手段の分け方の例
確保の手段 向いている役割 ロールの例
社員で採る 事業の方向や業務の知識をもとに、長く関わる役割 ビジネスアーキテクト、データスチュワード
外部人材に頼む 作業の範囲と期間をはっきり決められる役割 フロントエンドエンジニア、クラウドエンジニア/SRE
組み合わせる 社内で判断し、専門の作業は外部と分ける役割 サイバーセキュリティマネージャー

表は責務の書き方から考えた目安です。ビジネスアーキテクトは組織や事業を俯瞰する立場から変革の道筋を立案し、データスチュワードは事業の知識に基づいてデータの運用を担うとされています。*2 どちらも自社の事業と切り離しにくい役割です。

標準自身も、サイバーセキュリティについて、内製化に取り組む企業でも異常の監視や原因の究明、ペネトレーションテスト(疑似的な攻撃による検査)などは外部の専門事業者に委託するのが現実的だと書いています。*2 社員として採るなら、リモートワークで働く人まで広げると探せる地域が広がります。

外部人材に頼むときの確認点

ロールで切った募集の言葉は、そのまま外部人材への依頼にも使えます。頼む前に、次の点を決めておきます。

  • 任せるロールと、その中のどの業務までか
  • 重要度aのうち、必須にするスキル項目
  • 社内の誰と、どの場面で一緒に進めるか
  • 成果物、期間、終わったときの引き継ぎの方法

標準は、類型どうしの関係を、どちらかが指示や依頼をする形ではなく、協働の関係を築いて連携するものとしています。*2 外部人材を入れるときも、社内で一緒に進める担当者を先に決めておきます。

スキルは書類だけでは分かりにくいので、面談では標準の言葉を使って過去の作業を聞きます。DX人材の採用全体の整理は「DX人材の採用要件の決め方|募集の前に整理すること」、資格の読み方は「DX推進パスポートとは?採用で分かる範囲と評価の仕方」、分野の絞り方は「スキルベースの人材育成から決める採用要件|分野の絞り方」で扱っています。

まとめ:デジタルスキル標準を採用に使う3つの手順

デジタルスキル標準を採用に使う方法は、3つの手順に整理できます。第一に、募集の単位を6つの類型ではなく、その下のロールにすることです。ロールには責務と主な業務が書かれているので、任せたい仕事に近いロールを1つ選べば、仕事の説明の下書きになります。第二に、共通スキルリストの重要度を要件の強さに読み替え、aを必須の候補、bを歓迎の候補にすることです。標準は細かなレベルを定めていないので、必須は自社の仕事で毎日使う項目に絞ります。第三に、標準は全ての役割を最初からそろえる前提ではないので、ロールごとに社員で採るか外部人材に頼むかを決めることです。外部に頼む場合も、社内の担当者と一緒に進める体制を先に決めておきます。

LASSICに相談するメリット

募集するロールと必須のスキルが決まったら、次は人を探す段階です。社員で採るロールと外部に頼むロールの分け方が固まっていなくても、条件の整理からご相談いただけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

類型やロールの名前を、そのまま求人票の職種名にしてよいですか

おすすめしません。標準は特定の産業や職種に依らない汎用的な表現にしてあり、使う側が自社の産業や事業に合わせて具体化することが求められると書いています。*2 職種名は求職者に通じる名前にし、仕事の説明の中でロールの責務を使います。

デジタルスキル標準には、スキルのレベルの定義がありますか

細かなレベルの評価指標は設けられていません。想定する水準は、独力で業務ができ、後進の育成もできる程度です。採用では、求める水準を自社で決め、面談で過去の作業から確かめます。

6つの類型を全てそろえる必要がありますか

ありません。標準は、事業の規模やDXの進み具合に応じて、一部の役割からそろえていくことを想定しています。まず今の課題に近いロールを1つ決め、社員で採るか外部人材に頼むかを選びます。

募集するロールが決まったら相談

デジタルスキル標準で募集するロールや必須のスキルを整理できていれば、そのままご相談いただけます。社員で採るか外部に頼むかを決めきれていない段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:経済産業省「デジタルスキル標準」(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/main.html)。出典:経済産業省とIPAがデジタルスキル標準を取りまとめたこと、2026年4月のver.2.0の公表とデータマネジメント類型の新設を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:IPA「デジタルスキル標準 ver.2.0(分冊版:DX推進スキル標準)」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/rcu1hd000000j76k-att/sep_dss-p.pdf)。出典:第Ⅰ部 デジタルスキル標準の概要(構成・汎用性・活用イメージ)、第Ⅲ部 第1章(策定のねらい・策定方針)、第2章(言葉の定義・類型間の連携・ロール一覧・共通スキルリストの全体像・スキルマッピングの考え方)、第3章 f.サイバーセキュリティを参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:IPA「デジタルスキル標準 ver.2.0(共通スキルリストExcel版)」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/rcu1hd000000j76k-att/dss-p_ver2.0_skilllist.xlsx)。出典:共通スキルリスト スキルマッピングのシートで、バックエンドエンジニアとクラウドエンジニア/SREの重要度を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)




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