2026年5月29日
リモートワークと年収のトレードオフに関する調査
記事の調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女
調査期間:2026年2月25日〜2月27日
リモートワークの可否は、転職活動においてどの程度重視されているのか。年収との関係に着目し、テレリモ総研は20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン1,005名を対象に、フルリモートで働ける仕事への転職時に許容できる年収減額の度合いを調査した。
フルリモート勤務のために年収減額を許容する層が38.0%
転職活動の目的はさまざまあるが、希望年収は現年収より高い金額を提示するのが一般的と言える。しかし今回の調査によって、「フルリモートで働ける仕事への転職」であれば、一概にそうとは言えないことが分かった。
20歳〜65歳のテレワーク/リモートワークを経験したことがあるワーキングパーソン男女1,005人を対象に、フルリモートで働ける仕事への転職時に許容できる年収減額の度合いを尋ねた。「もしフルリモートで働ける仕事に転職できるとしたら、現在の年収からどの程度の減額までなら許容できますか。」の回答分布を確認する(図表1)。
最大カテゴリは「年収が下がるなら転職しない」で51.4%(517人)であった。一方、何らかの年収減を許容する層の合計は38.0%(382人)に達した。フルリモート勤務という条件が加わることで、現年収より低い水準でも転職を選択する層が4割近く存在することが、本調査により明らかになった。
減額許容層38.0%の内訳をみると、最も多いのは「(現年収から)5%以内の減額なら許容できる」が18.6%(187人)で、次いで「10%以内の減額なら許容できる」が11.6%(117人)、「15%以内の減額なら許容できる」が3.3%(33人)、「20%以内の減額なら許容できる」が1.9%(19人)と続く。
特筆すべきは「20%超の減額でもリモートを選ぶ」を選択した層が2.6%(26人)存在した点である。年収500万円であれば最大100万円の減額に相当する水準であり、リモートワークという働き方に対する強い選好がうかがえる。
年収減額の許容度において、出社形態・年代・性別によってどのような傾向があるのか、続けて確認していく。なお、「働き方にこだわりはない」は10.5%(106人)であった。
図表1:年収減額の許容度に関する設問の全体構成比
n=1,005/単位:%
(出所)テレリモ総研「リモートワークと年収のトレードオフに関する調査」(2026年)/n=1,005
「20%超の減額」許容率はフルリモート勤務群がフル出社群の18倍
同設問(年収減額の許容度)の構成比を出社形態グループ別にみる(図表2)。フルリモート勤務群はn=166、ハイブリッド勤務群はn=433、フル出社群はn=406である。
まず、回答全体で最大カテゴリとなった「年収が下がるなら転職しない」を選択した割合は、フル出社群で58.1%(236人)、ハイブリッド勤務群で47.1%(204人)、フルリモート勤務群で46.4%(77人)であった。最高のフル出社群と最低のフルリモート勤務群との差は11.7ポイントである。出社頻度が高い群ほど、「年収を下げてまではリモートを選ばない」傾向が強くあらわれた。
一方、上記の裏返しとなる減額許容層(5%以内から20%超までのいずれかを選択した層)の割合をみると、ハイブリッド勤務群で44.6%(193人)、フルリモート勤務群で42.2%(70人)、フル出社群で29.3%(119人)の順となった。最高のハイブリッド勤務群と最低のフル出社群との差は15.3ポイントである。リモート勤務の経験がある2群と、出社のみの群との間に明確な差がある。
減額許容層の中で、群間の差が最も大きかったカテゴリは「10%以内の減額なら許容できる」である。ハイブリッド勤務群で15.9%(69人)、フルリモート勤務群で11.4%(19人)、フル出社群で7.1%(29人)となった。最高のハイブリッド勤務群と最低のフル出社群との差は8.8ポイントである。次に差が大きいのは「5%以内の減額なら許容できる」で、ハイブリッド勤務群で20.8%(90人)、フル出社群で17.5%(71人)、フルリモート勤務群で15.7%(26人)の順、最高と最低の差は5.1ポイントとなった。
そして、本章で最も注目すべきは、減額許容層の中で最も極端な「20%超の減額でもリモートを選ぶ」である。フル出社群で0.5%(2人)、ハイブリッド勤務群で2.1%(9人)、フルリモート勤務群で9.0%(15人)であり、フルリモート勤務群の割合はフル出社群の18倍となった。減額許容層の「総量」ではハイブリッド勤務群が最大であった一方、「極端な選好を持つ層」はフルリモート勤務群に集中していることが分かる。
なお、「働き方にこだわりはない」はフル出社群で12.6%(51人)、フルリモート勤務群で11.4%(19人)、ハイブリッド勤務群で8.3%(36人)の順となった。
図表2:年収減額の許容度 × 出社形態グループ別の構成比
単位:%
(出所)テレリモ総研「リモートワークと年収のトレードオフに関する調査」(2026年)/n=1,005(フルリモート勤務166/ハイブリッド勤務433/フル出社406)
出社形態を5区分の細分類でみると(図表3)、「年収が下がるなら転職しない」は「毎週1日は出社」群で36.0%(89人中32人)と最も低い水準である。一方、「フル出社」群では58.1%で最も高く、両者の差は22.1ポイントとなった。
図表3:年収減額の許容度 × 出社形態(5区分)別の構成比
単位:%
(出所)テレリモ総研「リモートワークと年収のトレードオフに関する調査」(2026年)/n=1,005
年代別では30代の減額許容傾向が高く、男女別では「転職しない」選択率に4.1ポイントの差
同設問の構成比を年代別にみる(図表4)。年代別のサンプルサイズは20代184人、30代205人、40代249人、50代272人、60代95人である。なお、60代はn=95と他年代と比べてサンプルサイズが小さい点に留意する必要がある。
まず、年代による差が最大となったのは「年収が下がるなら転職しない」である。60代で55.8%(53人)、40代で54.6%(136人)、50代で52.9%(144人)の順で高く、20代では49.5%(91人)、30代では45.4%(93人)となった。最高の60代と最低の30代との差は10.4ポイントである。若い世代ほど「年収が下がるなら転職しない」と回答する割合が低い傾向がうかがえる。
一方、上記の裏返しとなる減額許容層(5%以内から20%超までのいずれかを選択した層)の割合は、30代で43.9%(90人)、20代で41.8%(77人)、40代で36.9%(92人)、50代で34.6%(94人)、60代で30.5%(29人)の順となった。最高の30代と最低の60代との差は13.4ポイントである。年齢層が下がるほど、リモートのために年収減を受け入れる傾向が強くあらわれた。
減額許容層の内訳の中で、年代による差が最も大きかったカテゴリは「10%以内の減額なら許容できる」である。30代で16.1%(33人)、20代で13.0%(24人)、40代で11.6%(29人)、50代で8.8%(24人)、60代で7.4%(7人)の順となった。最高の30代と最低の60代との差は8.7ポイントである。次に差が大きいのは「5%以内の減額なら許容できる」で、30代で21.0%(43人)、20代で18.5%(34人)、50代で18.0%(49人)、60代で17.9%(17人)、40代で17.7%(44人)の順、最高の30代と最低の40代との差は3.3ポイントであった。
なお、最も極端な「20%超の減額でもリモートを選ぶ」の年代別構成比は、20代3.3%(6人)、60代3.2%(3人)、30代2.4%(5人)、40代2.4%(6人)、50代2.2%(6人)で、年代による差は限定的であった(最大差1.1ポイント)。年収減を「20%超」許容するような極端な選好は、年代に起因するものではないようだ。
図表4:年収減額の許容度 × 年代別の構成比
単位:%
(出所)テレリモ総研「リモートワークと年収のトレードオフに関する調査」(2026年)/n=1,005(20代184/30代205/40代249/50代272/60代95)
同設問の構成比を男女別にみる(図表5)。男性はn=527、女性はn=478である。
男女による差が最大となった「10%以内の減額なら許容できる」を選択した割合は男性14.0%(74人)、女性9.0%(43人)であった。男性は女性を5.0ポイント上回る。
次に差が大きい「年収が下がるなら転職しない」を選択した割合は女性53.6%(256人)、男性49.5%(261人)となった。女性は男性を4.1ポイント上回る。
上記の裏返しとなる減額許容層(5%以内から20%超までのいずれかを選択した層)は男性40.8%(215人)、女性34.9%(167人)で、男性が5.9ポイント上回った。「20%超の減額でもリモートを選ぶ」は男性2.3%(12人)、女性2.9%(14人)で、差は0.6ポイントとなった。
図表5:年収減額の許容度 × 男女別の構成比
単位:%
(出所)テレリモ総研「リモートワークと年収のトレードオフに関する調査」(2026年)/n=1,005(男性527/女性478)
まとめ)給与とリモート、優先順位は出社形態で異なる
今回の調査で、「年収が下がるなら転職しない」が51.4%で最大カテゴリであったものの、何らかの年収減額を許容してでもフルリモート勤務への転職を選ぶ層も38.0%(382人)いることがわかった。年収減額を許容する層を紐解くと、出社形態別ではハイブリッド勤務群で44.6%(193人)、年代別では30代で43.9%(90人)、男女別では男性で40.8%(215人)が、それぞれ最も高かった。
また、出社形態によって、フルリモート勤務への転職のために許容できる年収減額の度合いが大きく異なることも分かった。具体的には、「20%超の減額でもリモートを選ぶ」を選んだ割合は、フル出社群で0.5%に対し、フルリモート勤務群で9.0%と、18倍の割合であった。「年収が下がるなら転職しない」を選んだ割合はフル出社群で58.1%、フルリモート勤務群で46.4%となっている。
全体の38.0%を占める減額許容層が一定規模で存在することは、リモートワークが単なる労働条件の一つではなく、年収と比較されうる選好対象となっていることを示唆する。
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