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運用保守アウトソーシング費用相場と削減策|内訳を解説
LASSIC IT事業部|プライムベンダーとしてシステム保守・運用を受託

この記事のポイント
- 運用保守アウトソーシングの費用は「委託範囲」「SLA水準」「体制」「対応難易度」の4要素で決まる構成にあたる
- 月額費用の相場感は委託範囲とSLAで変動し、定量比較には公的データと自社の業務範囲整理が前提となる
- コスト削減はSLA緩和・運用標準化・ニアショア活用の3軸で具体的に検討できる
目次
運用保守アウトソーシング費用相場とは — 委託範囲とSLAで決まる月額モデル
運用保守アウトソーシング費用相場とは、自社のシステム監視・障害対応・パッチ適用・問い合わせ対応などの運用業務を外部事業者に委託する際の月額・年額費用について、市場全体での目安水準を指す。費用は単一の固定額ではなく、委託範囲・SLA水準・体制構成・対応難易度の組み合わせで決まる。矢野経済研究所の調査では、システム運用管理業務の代行を含むIT系BPO市場は2024年度に3兆1,220億円と推計され、前年度比5.9%の伸びが報告されている*1。
費用を構成する4要素 — 範囲・SLA・体制・難易度の内訳

運用保守アウトソーシングの月額費用は、4つの要素が掛け合わさって決まる。発注前にこの4要素を分解して把握しなければ、見積もりの比較が成立しない。
委託範囲:監視のみか、障害対応・改修まで含むか
委託範囲は費用を最も左右する要素である。サーバー・ネットワークの稼働監視のみを委託する場合と、障害発生時の一次対応・恒久対応・小規模改修までを含む場合とでは、必要な工数規模が異なる。範囲の確定段階で「監視」「一次対応」「恒久対応」「改修対応」「ユーザー問い合わせ対応」のどこまでを含めるかを定義する必要がある。
SLA水準:稼働時間・応答時間・復旧時間の組み合わせ
SLA(Service Level Agreement、サービス品質保証)は提供する運用品質を契約上で定めた指標である。具体的には「監視・対応の稼働時間(平日日中/24時間365日)」「障害発生から一次応答までの時間」「障害発生から復旧までの目標時間」が中心となる。24時間365日対応や高可用性を求めるほど費用は上昇する。
体制構成:専任・共有・夜間オンコール
体制構成も費用を左右する。専任エンジニアを配置する場合と、複数顧客で共有する運用センターを利用する場合とではコスト構造が変わる。夜間・休日対応をオンコール体制で行うか常駐体制で行うかも判断要素となる。
対応難易度:基幹システム・クラウド・レガシー
対応対象の難易度も費用に影響する。一般的な業務システムよりも、基幹システム・金融系・医療系のミッションクリティカルなシステムは高度な専門性と冗長体制を要する。レガシーシステムの保守では対応可能な技術者の希少性が費用に反映される。
月額相場の参考レンジ — 公的データ・業界調査が示す目安
運用保守アウトソーシングの月額費用には絶対的な相場は存在しないが、業界の参考データから複数のレンジが提示されている。ただし、これらは委託範囲・対象システム規模によって大きく振れるため、自社見積もりの判断材料として参照することが前提となる。
| 委託モデル | 月額費用目安 | 主な含有業務 | 出典 |
|---|---|---|---|
| サーバー保守・運用(小規模) | 構築費用の10〜15%程度 | 死活監視・パッチ適用 | レバテック*2 |
| システム運用全般(中規模) | 月額20万〜90万円程度 | 監視・一次対応・問い合わせ対応 | ITボランチ*3 |
| サービス委託(中堅企業) | 月額20万〜50万円 | 運用代行・定期報告 | 日立社会情報サービス*4 |
| 運用コスト全体に占める比率 | システム運用コストはIT予算の5〜15% | 運用保守費の全社割合 | システム幹事*5 |
これらの参考値はあくまで「平均的な業務システム」を前提とした目安である。表中の各値は前提が異なり、レバテックは構築費に対する割合、ITボランチ・日立社会情報サービスは月額の実額、システム幹事はIT予算に占める比率を示すため、単純な横並び比較はできない点に留意する。金融・医療・製造業基幹系などは別レンジで見積もる必要がある。
費用を押し上げる要因 — 24時間365日・高可用性SLAの追加コスト

同じシステムでも、SLA水準次第で費用は変わる。日立社会情報サービスは「ITアウトソーシングの費用は委託範囲・SLA水準・体制・難易度によって大きく変動する」と整理している*4。24時間365日の監視体制や高い可用性を求めるSLAを設定すれば、当然ながらコストは上昇する。
SLA水準別の費用変動要因
具体的にどのSLA設定が費用を押し上げるかを整理する。
- 稼働時間:平日日中(9:00-18:00)と24時間365日では、夜間・休日要員確保のための工数が増える
- 応答時間:1営業日以内と15分以内では、待機体制の人数が変わる
- 復旧時間:翌営業日と2時間以内では、冗長体制・即応エンジニアの配置が必要となる
- 復旧成功率:99%と99.99%では、冗長構成・代替系の準備コストが加算される
SLA過剰設計の見直し
すべてのシステムに上位水準のSLAを設定する必要はない。基幹システムと社内向け情報共有システムでは事業影響度が違うため、SLAは事業影響度に応じてシステムごとに設計することが妥当である。SLA過剰設計を見直すだけで、月額費用が削減できる場合がある。
内製と外注のコスト比較 — IT人材不足が高めるアウトソース優位性
運用保守を内製するか外注するかは、人材確保コストと固定費リスクで判断する。経済産業省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査」では、2015年時点のデータをもとに2030年のIT人材の需給ギャップが試算されており、生産性の上昇シナリオに応じて41万人〜79万人(中位58.7万人、高位シナリオで最大約79万人)と幅を持って示されている*6。運用人材の採用・育成は中長期で難度が上がる方向にある。
内製コストの構成要素
内製運用のコストは、エンジニア人件費だけでは捉えられない。以下の費目を全て積み上げて比較する必要がある。
- 人件費:常用雇用者の給与・賞与・社会保険料・福利厚生
- 採用コスト:求人広告・人材紹介手数料・選考工数
- 教育コスト:技術研修・OJT工数・資格取得支援
- 設備コスト:監視ツール・運用環境・セキュリティ機器
- 離職リスク:欠員時の業務継続コスト・代替確保コスト
外注の固定費圧縮効果
外注は月額固定費として処理できるため、採用・離職に伴う変動リスクを移転できる。需要が変動する場合や、特定の技術領域に限定して支援を受けたい場合は、外注のほうが総コストを抑えられる。
コスト削減の3アプローチ — SLA緩和・標準化・ニアショア活用
運用保守アウトソーシング費用を削減する場合、削減アプローチは3つの軸で検討する。データセンター運用業務のアウトソーシング事例では54%のコスト削減が報告されており*7、夜間・休日対応のアウトソーシングで運用コストを30%削減した事例も提示されている*7。いずれもDCSが公表した個別事例であり、業界平均値ではない点に留意が必要だが、削減の余地が実在することを示している。
SLA緩和:事業影響度に応じた品質設計
すべてのシステムに上位水準のSLAを適用していないか、棚卸しから始める。事業影響度の小さいシステムについてはSLAを緩和する。ただし、SLA緩和は障害発生時の影響を許容することと等しい。事業継続計画との整合をとってから実施する。
運用業務の標準化:作業手順・自動化・ナレッジ蓄積
運用業務が属人化していると工数が膨らみ、委託費用も増す。手順書整備・ジョブ自動化・障害対応ナレッジの蓄積で、委託先が効率的に業務を実行できる状態を作る。標準化は内製でも外注でも費用削減に効く。
ニアショア活用:国内地方拠点のコスト優位
ニアショア(国内地方拠点での開発・運用業務委託形態)は、首都圏体制と比較してコストが抑えられる傾向にある。日本語・同タイムゾーン・国内法準拠というオフショアにない利点を持つ。運用保守のように同期コミュニケーションが多い業務領域では、ニアショアの優位性が高い。
見積もりで確認すべき項目 — 範囲定義・除外条件・追加料金体系

運用保守アウトソーシングの見積もりは、提示された月額だけで比較できない。同じ月額でも「含まれる業務」と「含まれない業務」が異なれば、実質コストは変わる。発注前に以下を確認する。
含有業務の範囲定義
監視・一次対応・恒久対応・改修対応・ユーザー問い合わせ対応のそれぞれをカバーするかを明確にする。「監視のみ」と書かれた見積もりに障害対応を期待すると、実際の障害発生時に追加費用が発生する。
除外条件と追加料金
「対応時間外の障害は別料金」「特定ベンダーのソフトは保守対象外」のような除外条件は見積もり書の細部に記載される。除外条件の存在は契約後に判明することが多い。
体制変更・規模変更時の費用条件
システム規模が拡大した際の費用条件、SLA変更時の費用条件、契約期間中途解除時のペナルティ条件を確認する。長期契約では契約期間中のシステム成長を織り込んでおく必要がある。
内製運用の失敗コスト — セキュリティ・障害対応の専門性不足リスク
見積もり項目を確認したうえで、内製と外注の総コストを比較する必要がある。内製運用には固有の失敗コストが伴うため、本節で整理する。運用保守を内製で行う場合、特定の専門性が不足することによる失敗コストが発生し得る。IPA「情報セキュリティ10大脅威 2025(組織編)」では、ランサム攻撃・サプライチェーン攻撃・システム脆弱性攻撃が上位に位置し、運用フェーズでのセキュリティ専門性が継続的に問われている*8。
失敗コストの定量化
運用保守の失敗が事業に与える影響を整理する。
- セキュリティパッチ未適用:脆弱性悪用による情報漏えい・ランサム被害の発生リスク
- 障害一次対応の遅延:基幹システム停止時間の長期化による業務影響
- 復旧手順の未整備:バックアップからの復旧失敗による事業継続障害
- 運用担当者の離職:手順書未整備による業務継続コスト発生
必要スキルの広域化
運用保守を内製するには、OS・ミドルウェア・ネットワーク・セキュリティ・クラウド・自動化ツールの複数領域にまたがる技術知識が必要である。これに加えて24時間体制を維持するには、複数人員の確保が前提となる。SLAを維持する観点では、一人体制での内製運用は実務上難しい。
専門家との差分
運用保守を専門事業者に依頼する場合、複数顧客で蓄積されたインシデント対応ナレッジ・最新のセキュリティ動向・標準化された運用プロセスを活用できる。内製で同等の知見を蓄積するには相応の時間を要する。リスクを最小化する観点では、専門事業者の活用が現実的な選択肢となる。
まとめ:運用保守アウトソーシング費用判断の3軸
運用保守アウトソーシングの費用相場を、4要素分解・参考レンジ・削減アプローチの観点で整理してきた。判断の要点は3点である。月額費用は「委託範囲」「SLA水準」「体制」「対応難易度」の組み合わせで決まり、単一の相場は存在しない。参考レンジ(月額20万〜90万円規模/構築費の10〜15%/IT予算の5〜15%)は業界調査で示されているが、自社の対象システム規模と委託範囲に合わせて補正する。そして削減はSLA緩和・運用標準化・ニアショア活用の3軸で具体化でき、内製と外注の総コスト比較では採用・離職・教育の隠れコストを含めることが判断軸となる。
ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
- *1 出典:矢野経済研究所「国内BPO市場に関する調査」(2025年)
- *2 出典:レバテック「サーバー構築・保守の相場を解説」(2025年)
- *3 出典:ITボランチ「システム運用にかかるコストの内訳・相場・削減方法」(2025年)
- *4 出典:日立社会情報サービス「ITアウトソーシングの完全ガイド」(2025年)
- *5 出典:システム幹事「システム運用コストの相場」(2025年)
- *6 出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)
- *7 出典:DCS「運用業務アウトソーシングサービス事例」(2024年)
- *8 出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2025 組織編」(2025年)