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2026.06.26 らしくコラム

GCP確約利用割引(CUD)でコストを最適化する外注

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

cloud,billing,server

この記事のポイント

  • GCPの確約利用割引(CUD)は1年または3年のリソース利用を事前に確約することで、オンデマンド料金より大幅に割り引かれる仕組みです。リソースベースと費用ベース(Flexible CUD)の2種類があり、それぞれ特性が異なります。
  • 割引率はコミットメントの種類と期間によって異なり、Google Cloudは費用ベースで1年28%・3年46%、リソースベースでは多くのリソースで55%(リソースにより上限)(メモリ最適化マシンタイプは70%(メモリ最適化の上限))の割引を公表しています。
  • 購入前に使用量を分析し、増分のみをコミットする計画が過剰購入リスクを避ける鍵です。内製と外注それぞれの判断軸も整理しています。

GCP確約利用割引(CUD)とは——使う分を先に約束して割り引く仕組み

GCP確約利用割引(CUD:Committed Use Discounts)とは、Google Cloud上でCompute Engineなどのリソースを1年または3年にわたって一定量使い続けることを事前に確約する代わりに、オンデマンド料金より割り引かれた価格でリソースを利用できる仕組みです*1

使用量分析 実績から 増分を把握 種類を選択 リソースベース or 費用ベース 期間を決定 1年 or 3年 コミット 割引適用・運用 毎月割引料金で 自動更新も設定可
GCP CUD購入の基本フロー:使用量分析からコミットメント適用まで

オンデマンド料金は使った分だけ後払いできる反面、稼働時間に応じた料金が積み上がります。常時稼働しているサーバーや、長期間継続するワークロードがある場合は、オンデマンドのままでは割高になりがちです。CUDはこの「常に動かすリソース」に対して先払いの約束をすることでコストを下げる考え方です。

支払い方法は月払い(毎月発生)であり、一括前払いではありません*1。Savings Plans(AWS)などと同様に定期的なコストとして管理できるため、会計上の見通しを立てやすいのが特徴です。

2種類のCUD——リソースベースと費用ベース(Flexible CUD)の違い

CUDには「リソースベースのコミットメント」と「費用ベースのコミットメント(Flexible CUD)」の2種類があります*1。それぞれ確約する内容と適用されるワークロードが異なります。

リソースベースのコミットメント——vCPU・メモリ量で確約する

リソースベースのコミットメントは、vCPU数・メモリ容量・GPU数などのリソース量を指定して確約します。Compute Engineの仮想マシンを特定のリソース構成で長期間稼働させる計画がある場合に向いています。

Google Cloudが公表する割引率は、多くのリソースで55%(リソースにより上限)、メモリ最適化マシンタイプでは70%(メモリ最適化の上限)です*1。特定の仮想マシンタイプに縛られるのではなく、リージョン内であれば同じリソース量を満たす範囲でインスタンスを柔軟に割り当てられます。

費用ベースのコミットメント(Flexible CUD)——金額で確約する

費用ベースのコミットメント(Flexible CUD)は、特定のリソース量ではなく「月あたりいくら使うか」という金額で確約します。対象サービスの幅が広く、Cloud Run・GKE(Google Kubernetes Engine)・Cloud SQLなど複数サービスをまたいで割引を受けられます。

Google Cloudが公表する割引率は1年コミットで28%、3年コミットで46%です*1。リソースベースより割引率は低めですが、ワークロードのリソース構成が変わりやすい場合や、複数サービスを組み合わせて使っている場合に柔軟性が高い選択肢です。

2種類の比較——どちらを選ぶか

比較軸 リソースベース 費用ベース(Flexible CUD)
確約する内容 vCPU数・メモリ容量・GPU数など 月あたりの費用金額
主な対象サービス Compute Engine(仮想マシン) Compute Engine・GKE・Cloud Run・Cloud SQLなど複数サービス
割引率(Google Cloud公表値) 多くのリソースで55%(リソースにより上限)、メモリ最適化マシンタイプは70%(メモリ最適化の上限) 1年28%・3年46%
向いているケース 特定のVM構成を長期間稼働させる計画がある リソース構成が変わりやすい、または複数サービスを組み合わせている
留意点 確約したリソース量に対して料金が発生する。
使わない分も課金対象になる点に注意。
割引率はリソースベースより低め。
金額確約なのでサービス間の融通が利く。

迷う場合は、まず費用ベース(Flexible CUD)で小さな金額から試し、使用量の安定度を確認してからリソースベースに移行するという進め方も実務では取られます。いずれも「使うと見込める増分のみ確約する」という原則が大切です。

1年コミットと3年コミット——割引率と柔軟性のトレードオフ

CUDには1年コミットと3年コミットの2つの期間オプションがあります。3年コミットの方が割引率は高く、費用ベース(Flexible CUD)の場合は1年28%に対して3年46%とGoogle Cloudが公表しています*1。ただし、期間が長いほど事業環境の変化への対応が難しくなります。

1年コミットが向いている場面

ビジネスの成長フェーズや移行プロジェクトの途中など、1〜2年後のリソース需要が読みにくい状況では1年コミットが向いています。割引率はやや低くなりますが、更新時に量を調整できるため過剰コミットのリスクを抑えられます。

新たなサービスラインを立ち上げた直後や、GCPに移行したばかりのケースでは、まず1年コミットで実績を積み、使用量が安定してから3年コミットに切り替えるアプローチが判断しやすいです。

3年コミットが向いている場面

基幹業務システムや常時稼働する本番環境など、3年以上同等のリソースを使い続けることが想定できる場合は3年コミットで割引幅を広げる選択肢があります。費用ベースで46%の割引は、月次費用の削減効果として数字に現れやすくなります。

ただし、3年間の途中でサービスの縮小や技術スタックの変更が生じても、コミットメントは途中解約できません。3年先の事業計画が一定程度見通せる場合に限って検討することが実務上の原則です。

CUD購入の進め方——使用量分析→増分確約→自動更新設定

CUDの購入は、Google Cloud ConsoleまたはAPIを通じて行います*2。購入前に以下のステップで準備することで、過剰コミットを避けながら割引効果を引き出せます。

ステップ1——現在の使用量を分析する

Cloud BillingのCUDアナリシスレポートを使い、過去数週間〜数ヶ月のリソース使用量と費用を確認します*2。実際に継続して使用しているリソース量(ベースライン)を把握することが出発点です。

ピーク時の使用量とベースラインには差があります。CUDはベースラインの部分にのみ適用し、変動する増分はオンデマンドやSustained Use Discount(SUD、継続利用割引)でカバーする考え方が過剰購入を防ぐ基本です。

ステップ2——増分のみを確約する

分析で把握したベースラインをもとに、「使うと見込める増分」のみをCUDの対象とします。全使用量をCUDでカバーしようとすると、使用量が予想より減った月でも確約した分の料金が発生します。

コンソールのCUD購入画面では、推奨コミットメント量がレコメンドされることもありますが、あくまで参考値です。自社の事業計画と使用量トレンドを照合したうえで量を決めることが重要です。

ステップ3——自動更新を設定して管理負荷を下げる

CUDには自動更新(Auto-renewal)の設定が可能です*1。コミットメント期間が終了した際に手動で更新手続きをしなくても、同条件で自動的に続く設定です。更新を忘れてオンデマンド料金に戻ってしまうリスクを避けられます。

ただし、自動更新を有効にする場合は、更新前に使用量の再確認を行うリマインダーをカレンダー等に登録しておくことを推奨します。使用量が変化していても自動で同量が確約されるため、過剰コミットにつながる場合があります。

AWSのSP/RIとの考え方の違い——設計思想を比較する

AWSにはSavings Plans(SP)とReserved Instances(RI、リザーブドインスタンス)というコスト削減の仕組みがあります。GCPのCUDとは制度の設計思想に違いがあるため、AWSからの移行やマルチクラウド環境を管理している場合は整理が役立ちます。

GCP CUDとAWS SP/RIの主な違い

AWSのRIは特定のインスタンスタイプ・リージョン・テナンシーを指定して確約します。一括前払い・一部前払い・前払いなしの支払いオプションがあり、前払いするほど割引率が高くなります。

一方、GCPのCUDは前述のとおり毎月払いのみです。「前払いで割引率を上げる」という選択肢がない代わりに、管理する支払いパターンがシンプルです。AWSのSavings Plansに近い柔軟性を持つのがFlexible CUDですが、対象サービスや割引率はプラットフォームごとに異なります。

また、GCPにはSustained Use Discount(SUD)という、月内の継続稼働時間に応じて自動的に割引が入る仕組みもあります*1。CUDを購入しなくても一定の割引が自動適用されるため、CUDはSUDの上にさらに積み上げるコスト最適化の手段として位置付けられます。

どちらのクラウドでも「使うと見込めるリソースを事前に確約する」という基本的な考え方は共通しています。プラットフォームが変わっても、使用量の分析と増分確約の原則は同様に適用できます。

外注でGCPコスト最適化を進める場合——委託先の選定ポイント

GCPのコスト最適化をCUDも含めて進めるには、Billing分析・コミットメント設計・使用量モニタリングの継続的な運用が必要です。GCP専任のエンジニアが社内にいない場合や、コスト管理の工数を他の開発業務に充てたい場合は、外注によって進めることができます。

委託先に確認すべきポイント

  • GCPのCUD・コスト最適化の実績があるか:CUDの設計・購入支援に加えて、Cloud Billingの分析レポート活用やSUDとの組み合わせ設計の経験があるかを確認します。AWSの経験のみの場合、GCP固有の料金体系の把握が不十分な場合があります。
  • 元請(プライムベンダー)として直接対応する体制か:再委託が主体の場合、情報連携の遅延や責任の所在が曖昧になるリスクがあります。自社エンジニアが直接担当するかを確認することが大切です。
  • 使用量分析からコミットメント設計まで一貫して対応できるか:CUD購入だけを切り取って依頼しても、過剰コミットのリスクは排除できません。使用量の継続監視と定期レビューを含めた支援を提供できる委託先を選ぶことが割引効果を安定させます。
  • マルチクラウド環境への対応実績があるか:GCPとAWSを並行して運用している場合、CUDとSP/RIを横断したコスト最適化の設計が求められます。両クラウドを扱える体制かどうかも判断材料になります。

外注前に準備しておくと提案精度が上がる情報

Cloud Billingの過去3〜6ヶ月分のレポートと、現在稼働中のGCPサービス一覧(プロジェクト・リージョン・主要サービス名・月次費用)を整理しておくと、委託先の分析・提案が早まります。

どのサービスが費用の大半を占めているか(Compute Engine比率・Cloud SQL比率など)を事前に把握しておくと、リソースベースと費用ベースのどちらが適切かの判断も委託先と共有しやすくなります。

内製と外注の比較——必要スキルとリスク管理の違い

GCPのCUDを含むコスト最適化を内製で進めるか外注するかは、社内のGCP習熟度と継続運用のリソースによって変わります。双方の特徴を整理します。

比較軸 内製 外注
必要スキル Cloud Billing分析・CUDとSUDの仕組み理解・コミットメント設計・継続的な使用量モニタリング体制の構築 社内は窓口担当者(現状データ共有・承認対応)のみで対応可能
過剰コミットのリスク 使用量分析が不十分だと、コミットした分が余剰になり割引効果より損失が上回る場合がある 分析・設計を委託先が担うため、過剰購入リスクを低減できる
対応スピード GCP料金体系の学習コストと分析工数が生じ、着手まで時間を要する場合がある GCPコスト最適化の実績がある委託先であれば、分析から設計まで早期着手できる
継続管理 社内にノウハウが蓄積され、更新時の自走対応が可能になる 継続監視を委託する場合は委託先依存になる。
内製化計画をセットで設計することが望ましい。
向いているケース GCP専任または兼任でCloud Billing管理の経験があるエンジニアが在籍している クラウド担当が兼務で分析工数を確保しにくい、またはGCP運用経験が浅い

内製で進める場合に必要なスキルと工数の目安

内製でCUD設計を進めるには、Cloud Billing Accountの管理権限・BigQueryへのエクスポート分析の知識・SUDとCUDの相互作用の理解・コミットメント期間中の使用量モニタリング運用が必要です。

これらを未経験から進める場合、使用量分析と設計だけで相応の工数が発生します。外注先にCUD設計を依頼する場合は、GCPプロジェクト構成・サービス一覧・過去のBillingエクスポートデータを事前に共有しておくと提案精度が高まります。

注意点——過剰コミットのリスクと解約不可の原則

CUDはコスト削減に有効な手段ですが、適切に設計しないと逆にコストが増える場面もあります。購入前に押さえておくべき注意点を整理します。

過剰コミットは割引効果を相殺する

CUDで確約したリソース量または費用は、実際の使用量が下回った場合でもコミットした分の料金が発生します。例えば、月100万円の費用ベースCUDを購入したのに実際の使用が70万円であれば、30万円分の割引を受けられないまま支払いが続きます。

過剰コミットが発生しやすいのは、使用量が減少フェーズにある場合(サービスの縮小・移行完了後など)や、ピーク時の使用量を基準にコミット量を設定した場合です。「使用量が増えてから確約する」という原則を守ることが損失を防ぐ実務上の基本です。

コミットメントは途中解約できない

CUDは一度購入すると、1年または3年のコミットメント期間中に途中解約することはできません*1。事業撤退・サービス終了・大幅なリソース削減が生じても、コミットした期間分の費用は発生し続けます。

この点はAWSのReserved Instancesのマーケットプレイスで中途売却できる仕組みとは異なります。GCPでは途中売却の仕組みは提供されていないため、コミット量の設定は保守的な見積もりを採用することが実務上のリスク管理につながります。

使用量の継続モニタリングが割引効果を維持する

CUDを購入した後も、Cloud BillingのCUDアナリシスレポートや使用量グラフを定期的に確認することを推奨します*2。コミットした量が実際の使用量と乖離していないかを確認し、次回更新時のコミット量の参考データとして活用できます。

自動更新を設定している場合は、更新の1〜2ヶ月前に使用量トレンドを再確認するタイミングをスケジュールとして設けると、過剰・過小のコミットを防ぎながら割引を継続できます。

まとめ——CUD活用を判断する3つの軸

本稿では、GCP確約利用割引(CUD)の仕組み・2種類(リソースベース/費用ベース)の違いと割引率・1年と3年の選び方・購入の進め方・AWSとの考え方の違い・外注時の選定ポイント・注意点を整理しました。要点を3つに集約すると次のとおりです。

第一に、CUDは「使うと見込める増分のみ確約する」という原則が前提です。使用量の分析なしに購入すると過剰コミットになり、割引効果よりも損失が上回る場合があります。Cloud BillingのCUDアナリシスレポートで実績を確認してから設計することが出発点です。

第二に、リソースベースと費用ベース(Flexible CUD)は確約内容と対象サービスが異なり、ワークロードの特性に応じて使い分けることが割引効果を引き出します。Google Cloudはリソースベースで多くのリソース55%(リソースにより上限)・メモリ最適化で70%(メモリ最適化の上限)、費用ベースで1年28%・3年46%の割引をそれぞれ公表しています*1

第三に、CUDは途中解約できないため、購入後も継続的なモニタリングが割引効果を維持する条件です。GCPコスト最適化の実務経験が社内にない場合は、外注によって分析から設計・運用までを担ってもらうことで、過剰コミットのリスクを抑えながら進めることができます。

よくある質問

GCP CUDはCompute Engine以外のサービスにも適用できますか?

費用ベースのコミットメント(Flexible CUD)であれば、Compute Engineに加えてCloud Run・GKE(Google Kubernetes Engine)・Cloud SQLなど複数サービスを対象に割引を受けられます*1。リソースベースのコミットメントは主にCompute EngineのvCPU・メモリ・GPUが対象です。複数サービスをまたいでコスト最適化を図りたい場合は費用ベースを選択する方が柔軟性が高くなります。

GCPのSustained Use Discount(SUD)とCUDは併用できますか?

SUD(継続利用割引)は月内の稼働時間に応じてCompute Engineへ自動適用される割引で、CUDとは別の仕組みです*1。ただし、CUDを購入したインスタンスにはSUDは適用されません。CUDとSUDはどちらか一方が適用されます。使用量の多いリソースはCUDで確約し、変動するワークロードはSUDに任せるという使い分けが基本的な考え方です。

CUDを購入した後、使用量が予想より減った場合はどうなりますか?

コミットメント期間中に途中解約することはできないため、確約した分の料金は継続して発生します*1。使用量が下回った月でも、コミットした量に対する料金を支払う必要があります。この点が過剰コミットのリスクとなるため、購入前に使用量分析を行い、保守的な見積もりで確約量を設定することが損失を防ぐ基本的な考え方です。

費用ベース(Flexible CUD)の1年と3年、どちらから始めるのが現実的ですか?

GCPの利用開始から間もないフェーズや、ワークロードの使用量がまだ変動している段階では1年コミットから始めることが一般的です。1年間の実績をもとに使用量の安定度を確認し、事業計画と照合したうえで3年コミットへの移行を検討する流れが、過剰コミットのリスクを段階的に下げながら割引効果を高める進め方です。

GCPのコスト最適化を外注する場合、何を準備してから相談すればよいですか?

Cloud Billingの過去3〜6ヶ月分のエクスポートデータ(またはBillingレポート)と、現在稼働中のGCPプロジェクト・サービス一覧・月次費用の概算を準備しておくと、委託先の分析と提案精度が高まります。費用の内訳(Compute Engine比率・Cloud SQL比率など)を事前に把握しておくと、リソースベースと費用ベースのどちらが適切かの判断も委託先と共有しやすくなります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

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  1. *1 出典:Google Cloud「Committed use discounts (CUDs) for Compute Engine」(Google Cloud公式ドキュメント)
  2. *2 出典:Google Cloud「Optimize costs with Committed Use Discounts」(Google Cloud公式ドキュメント)


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