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2026.07.22 らしくコラム

SSRSレポート基盤の移行を外注

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

レポート基盤のイメージ

この記事のポイント

  • SSRS(SQL Server Reporting Services)のサポート期間はSQL Server本体のライフサイクルに準拠しており、SQL Server 2016は2026年7月に延長サポートが終了しました。
  • SQL Server 2025以降、Microsoftはオンプレミスのレポーティング機能をPower BI Report Server(PBIRS)に一本化する方針を示しており、SSRSの新バージョンは提供されません。
  • SSRSからPBIRSへの移行、さらにPower BIサービス(クラウド)への移行はいずれも自動アップグレードではなく計画的な移行作業が必要なため、内製と外注のどちらで進めるかを早めに検討する必要があります。

SSRSとPower BI Report Serverとは?帳票基盤の現在地

データ分析のイメージ

SSRS(SQL Server Reporting Services)とは、Report Definition Language(RDL)を用いた帳票(ページ区切りレポート)の作成・配置・管理を行うMicrosoftのレポーティングプラットフォームです。2004年からSQL Serverに同梱されており、業務システムの定型帳票を出力する基盤として長く利用されてきました*1

図
図:SSRSからPower BI Report Server(PBIRS)を経てPower BIサービス(クラウド)へ至るレポーティング基盤の移行経路

一方、Power BI Report Server(PBIRS)は、RDLによるページ区切りレポートに加え、PBIX形式のインタラクティブなPower BIレポートにも対応するオンプレミス型のレポーティング基盤です。Microsoftの公式FAQでは、PBIRSは「SSRSのすべての機能に加えてPower BIレポートのサポートなどを提供する上位互換」と位置づけられています*1。両者は似た名前を持ちますが、対応できるレポート形式とライフサイクルポリシーが異なるため、情シス・データレポート担当者は自社がどちらの基盤をどのバージョンで運用しているかをまず確認する必要があるでしょう。

SSRSのサポートライフサイクル:SQL Serverのバージョンに準拠する仕組み

SQL Server 2016は2026年7月に延長サポートが終了

SSRSは単独の製品としてライフサイクルが管理されているわけではなく、同梱されるSQL Server本体のサポート期間にそのまま従います。Microsoft Lifecycleの公式情報によると、SQL Server 2016はFixed Lifecycle Policy(固定ライフサイクルポリシー)が適用されており、メインストリームサポートは2021年7月13日に、延長サポートは2026年7月14日(米国太平洋時間)に終了しました*2。本稿執筆時点でこの延長サポート終了日をすでに経過しており、SQL Server 2016に同梱されたSSRS 2016を稼働させたままの環境は、原則としてセキュリティ更新の提供対象外に入っている状態です。

延長セキュリティ更新プログラム(ESU)を契約すれば追加で数年分のセキュリティ更新を受けられる仕組みもありますが*2、あくまで延命措置であり、恒久的な解決にはなりません。老朽化した帳票基盤を放置する期間が長くなるほど、脆弱性対応や後継製品への移行に要する工数は増える傾向にあります。

最新のSSRS 2022は2033年まで、しかし新バージョンはもう出ない

比較的新しいSQL Server 2022(16.x)に同梱されたSSRS 2022は、SQL Server 2022の対応ライフサイクルに沿って2033年1月11日までセキュリティ更新とサポートが継続します*3。ただし公式FAQは「SSRS 2022を超える新しいバージョンはリリースされない」と明記しており*3、これはバージョン単位の期限切れというより、SSRSという製品ライン自体がSSRS 2022を最後に更新を止めるという方針転換を意味します。

SQL Server 2025からの転換:SSRSはPower BI Report Serverへ全面統合

Microsoftの公式FAQは、「SQL Server 2025から、Microsoftはオンプレミスのレポーティング機能をすべてPower BI Report Server(PBIRS)に統合する。SSRSの新バージョンはリリースされない」と明言しています*3。PBIRSはSQL Server 2025において既定のオンプレミスレポーティングソリューションと位置づけられました*3

ライセンス面では、SQL Server 2025のEnterprise・Standardエディションを利用する顧客はPBIRSを利用できます*3。SQL Server 2022以前のEnterprise Editionを利用している場合は、ソフトウェアアシュアランス(SA)が有効なコアライセンスに限りPBIRSの利用権が付与され、SAの契約が切れると同時にその権利も失効します*3。SA契約の有無と有効期限を確認しないまま移行計画を後回しにすると、想定していたレポーティング基盤が使えなくなるという事態も起こり得るでしょう。

公式FAQはこの方針転換の理由について、「SSRSはPBIRSの一部機能(RDLのみ)を提供するにすぎず、PBIRSへの移行によって顧客はPBIXレポートなどより高度な機能にアクセスできるようになる」と説明しています*3。既存のRDLレポートはPBIRSと完全な互換性があり、SSRSからPBIRSへの移行ガイドを使って移行を支援する体制も用意されています*1

Power BI Report Server(PBIRS)の特徴とライフサイクルの違い

公式FAQが示す比較表では、SSRSとPBIRSの対応機能の違いが整理されています。RDLによるレポート作成・行レベルセキュリティ・ページ区切りレポートは両者とも対応する一方、PBIXレポート・データモデリング・ビジュアルの対話性・カスタムビジュアルはPBIRSのみが対応します*1

見逃せないのはライフサイクルポリシーの違いです。SSRSはFixed(固定)ライフサイクルである一方、PBIRSはModern Lifecycle Policy(最新のライフサイクルポリシー)に従います*1。公式ドキュメントによると、PBIRSは年に数回リリースされ、次のリリースが一般提供(GA)されるまではセキュリティ更新と重要な更新プログラムの両方を受け取れますが、新しいバージョンがリリースされた後は、旧バージョンへの提供は12か月間のサポート期間が終わるまでセキュリティ更新のみに縮小されます*4

つまりPBIRSでは、SSRSのように一度導入すれば長期間ほぼ手を入れずに使い続けられる運用は想定されておらず、年数回のリリースサイクルに追随してバージョンアップを継続する体制が前提になります。情シス部門にとっては、パッチ適用や検証作業の頻度が増えるという運用面の変化として捉えておく必要があるでしょう。

オンプレミスでのSSRSからPBIRSへの移行手順

公式ドキュメントは、SSRSからPBIRSへの移行について「既存のSQL Server Reporting Servicesのインプレースアップグレードは存在せず、移行作業が必要」と明記しています*5。つまりインストーラーを上書き実行するだけでは完了せず、計画的な移行手順を踏む必要があります。

ネイティブモードのSSRSからPBIRSへ移行する標準的な手順は、次の6段階で構成されます*5。第一に暗号化キーをバックアップし、第二にレポートサーバーのカタログデータベース(ReportServer)と一時データベース(ReportServerTempDB)をバックアップします。第三に移行先のSQL Serverインスタンスへデータベースを複製し、第四にPBIRSをインストールします(インスタンス名は「PBIRS」に固定されます)。第五にレポートサーバー構成マネージャーで複製済みのデータベースへ接続し、第六に旧SSRSインスタンスの後片付けを行う流れです*5

公式ドキュメントは「SQL Server 2022 Reporting Services以降からの移行にはPBIRS(2025年5月版)以降が必要」であり、「SQL Server 2008 Reporting Services以降のバージョンが移行対象としてサポートされる」と補足しています*5。SharePoint統合モードで運用している場合はさらに複雑で、rs.exeコマンドを使ったスクリプトでコンテンツを個別に移行する作業が発生します*5。データベースのバックアップ・複製、暗号化キーの管理、SharePoint連携部分の洗い出しなど、専門知識を要する工程が連続する点は理解しておく必要があるでしょう。

Power BIサービス(クラウド)への移行:Paginated Reportsの仕組み

RDLレポートはPower BIでは「Paginated Reports」と呼ばれる

オンプレミスのPBIRSにとどまらず、クラウドのPower BIサービスまで移行を進める企業も少なくありません。Power BIの用語では、RDL形式のレポートは「Paginated Reports(ページ区切りレポート)」と呼ばれます*6。公式ガイダンスは、この移行がオンプレミスのレポートサーバーを停止させることなく、利用者に影響を与えずに実施できると案内しています*6

移行対象としてサポートされるバージョンは、SQL Server Reporting Services 2012・2014・2016・2017・2019・2022、およびPower BI Report Serverです*6。オンプレミスまたはAzureなどのクラウド上の仮想マシンで稼働するレポートサーバーインスタンスからの移行に対応します*6

組み込みツールとRDL Migration Toolの使い分け

SQL Server 2016より後のSSRS、またはPBIRSを利用している場合は、レポートサーバーのポータルに組み込まれた「発行」機能を使ってPower BIサービスへ直接移行できます*7。このツールは、Power BIへのアップロード時に未対応のデータソースやレポート機能がないかを自動でチェックし、条件を満たしたファイルを指定したPower BIワークスペースへ変換・保存したうえで、移行に成功した項目・失敗した項目の要約を出力します*7

それより前のバージョンのSQL Server Reporting Servicesを使っている場合は、Microsoftが開発したオープンソースの「RDL Migration Tool」を使うことが推奨されています*6。共有データソースや共有データセットを埋め込み型のデータソース・データセットへ自動変換する処理も、このツールが担います*6。いずれの方法でも既存のレポートは変更・削除されないため、移行を試しながら旧環境を並行稼働させる進め方も可能です*6

移行前に確認すべき技術的な注意点

Power BIサービスへの移行では、見落としやすい仕様変更がいくつかあります。まず、KPI・モバイルレポート(廃止)・レポートモデル(廃止)・レポートパーツ(廃止)・画像などのリソースファイルは移行対象外です*6*7。リンクレポートは、リンク元の親レポートを移行対象に選んでいなくても移行され、Power BIサービス上では通常のRDLレポートとして扱われます*6

もう一つ注意したいのが組み込みフィールドの挙動変化です。レポート内でセキュリティ制御に使う「UserID」フィールドは、Power BIサービスでホストされる場合、NTアカウント名(例:AW\\adelev)ではなくUPN形式(例:adelev@adventureworks.com)を返す仕様に変わります*6。データセット定義や権限テストを見直さずに移行すると、想定した権限制御が機能しない恐れがあるため、移行後は権限まわりの動作確認を徹底することが欠かせません。

「ExecutionTime」フィールドについても、Power BIサービスでは協定世界時(UTC)を返すよう変更されており、レポートパラメーターの既定値やフッターの実行時刻表示に影響します*6。さらにPower BIへアップロードするワークスペースには、Power BI ProまたはPremium Per Userのライセンスが必要である点も事前に確認しておく必要があります*7。ページ区切りレポートは印刷やPDF出力に最適化されている一方、通常のPower BIレポートは探索的な操作や対話性に最適化されているという住み分けも押さえておくとよいでしょう*6

内製移行と外注委託のコスト構造比較

SSRS・PBIRSの移行を進める場合、内製と外部パートナーへの委託では、必要な専門知識と作業の重心が大きく異なります。以下の表に主な違いを整理しました。

比較項目 内製での移行 外注委託
現状棚卸し・移行対象の洗い出し レポートサーバーの調査・未対応機能の判定を自社で行います*6 複数の移行案件で培った知見をもとに調査を代行できます
データベース・暗号化キーの移行作業 ReportServer・ReportServerTempDBのバックアップと複製をDBA主導で実施します*5 DB移行・暗号化キー管理を含めて一括で任せられます
権限・UPN・タイムゾーンの検証 UserID/ExecutionTimeの仕様変化を洗い出し、個別に動作確認します*6 既知の注意点を踏まえた検証手順であらかじめ対応できます
ライセンス・SA契約の管理 PBIRS利用権とSA契約期限の突き合わせを自社で継続します*3 契約状況の確認を含めた移行計画の提案を受けられます

いずれの選択肢でも、ソフトウェア自体のライセンス構造はSQL Serverの契約に紐づくため大きくは変わりません。差が出るのは、バックアップ・複製・検証といった作業を担う人的リソースをどう確保するかという点です。

まとめ:SSRS・PBIRS移行の3つの判断軸

本稿ではSSRSとPower BI Report Serverのライフサイクル、そしてPower BIサービスへの移行について、Microsoft公式ドキュメントに基づいて整理しました。要点は次の3つに集約されるでしょう。第一に、SSRSのサポート期間はSQL Server本体のライフサイクルに準拠しており、SQL Server 2016は2026年7月に延長サポートを終えています*2。第二に、SQL Server 2025からはPBIRSへの全面統合が進み、SSRSの新バージョンは提供されないため、PBIRSが採用するModern Lifecycle Policyへの理解が今後の運用で必須になります*1*4。第三に、SSRSからPBIRSへの移行、さらにPower BIサービスへの移行はいずれもインプレースアップグレードではなく計画的な移行工程を伴うため、専門知識を要する作業を内製で担うか外部委託するかを早い段階で判断する必要があります*5*6

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、SQL Server/Power BI基盤の構築・保守・運用を元請(プライムベンダー)として受託しています。SSRSからPower BI Report Serverへの移行計画の策定から、データベース・暗号化キーの移行作業、Power BIサービスへのレポート移行と権限検証まで一貫して対応する体制を整えています。老朽化したレポーティング基盤への対応にお悩みの企業様は、まずは現行環境の稼働バージョンとサポート期限の確認からご相談ください。

よくある質問

SSRSはもう使えなくなるのでしょうか。

SSRS 2022はSQL Server 2022のライフサイクルに準拠し、2033年1月11日までセキュリティ更新とサポートが継続します*3。ただしSQL Server 2025以降、新しいバージョンのSSRSはリリースされず、Power BI Report Server(PBIRS)への統合が進む方針です*3

SSRSからPBIRSへはそのままアップグレードできますか。

できません。公式ドキュメントは、SSRSからPBIRSへのインプレースアップグレードは存在せず、暗号化キーとデータベースのバックアップ・複製を伴う移行作業が必要と明記しています*5

PBIRSのサポート期間はSSRSと同じ考え方ですか。

異なります。SSRSは固定(Fixed)ライフサイクルですが、PBIRSはModern Lifecycle Policyに従い、年数回のリリースに合わせてセキュリティ更新の提供範囲が変わります*1*4。継続的なバージョン追随が前提になる点に注意が必要です。

Power BIサービスへ移行するとRDLレポートはどう扱われますか。

Power BIでは.rdlレポートを「Paginated Reports(ページ区切りレポート)」と呼び、移行後もPDF出力や印刷向けの帳票として利用できます*6。ただしUserIDフィールドがUPN形式に変わるなど、仕様面の差異を移行前に確認しておくことが重要です*6

古いバージョンのSSRSでもPower BIサービスへ移行できますか。

SQL Server Reporting Services 2012・2014・2016・2017・2019・2022が移行対象としてサポートされています*6。SQL Server 2016以前の環境では、Microsoft製のオープンソースツール「RDL Migration Tool」の利用が推奨されています*6

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Microsoft Learn「Reporting Services Consolidation FAQ」(https://learn.microsoft.com/en-us/sql/reporting-services/reporting-services-consolidation-faq?view=sql-server-ver17
  2. *2 出典:Microsoft Learn「SQL Server 2016 – Microsoft Lifecycle」(https://learn.microsoft.com/en-us/lifecycle/products/sql-server-2016
  3. *3 出典:Microsoft Learn「Reporting Services Consolidation FAQ」(https://learn.microsoft.com/en-us/sql/reporting-services/reporting-services-consolidation-faq?view=sql-server-ver17
  4. *4 出典:Microsoft Learn「Support timeline for Power BI Report Server」(https://learn.microsoft.com/en-us/power-bi/report-server/support-timeline
  5. *5 出典:Microsoft Learn「Migrate a report server installation」(https://learn.microsoft.com/en-us/power-bi/report-server/migrate-report-server
  6. *6 出典:Microsoft Learn「Plan to migrate .rdl reports to Power BI」(https://learn.microsoft.com/en-us/power-bi/guidance/migrate-ssrs-reports-to-power-bi
  7. *7 出典:Microsoft Learn「Publish .rdl Files to Power BI from Power BI Report Server and Reporting Services」(https://learn.microsoft.com/en-us/power-bi/guidance/publish-reporting-services-power-bi-service


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