LASSIC Media らしくメディア

2026.09.09 らしくコラム

電力系統機器の調達制限、大統領令14421が挙げた7つの措置




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 対象は機器そのものに限らない:ソフトウェアと遠隔アクセスも入ります*1。
  • 設置済みでも条件が付き得る:特定から撤去まで7つの措置です*1。
  • 120日以内に規則が出る:調達規則の見直しは180日以内です*1。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。

設備の制御系を受託していると、その中に外国製の装置が何台入っているかを正確に答えられない場面が出てきます。装置は把握していても、動いているファームウェアの供給元や、保守のために開いている遠隔の口までは台帳に載っていないことがあります。この見えていない部分を規制の対象に据えた命令が出ました。

米国の大統領は2026年8月26日、米国のバルクパワーシステムを保護するための国家緊急事態の宣言と題する大統領令14421に署名しました*1。国際緊急経済権限法と国家緊急事態法にもとづき、外国で製造されたバルクパワーシステムの電気機器の取得・輸入・移転・設置を、一定の判定を経て禁じる枠組みです*1。連邦官報では2026年8月31日に公示されました*1。

電力の話に見えますが、条文を読むと射程は制御系の実装に届きます。確かめたい点は4つあります。何が対象の機器なのかどういう判定で禁じられるのかすでに入っている機器はどうなるのかいつ何が出てくるのか。順に見ていきます。

変電所に据えられた計器用変圧器の上部で、褐色の磁器がいしが幾重にも積み重なっている様子

対象の機器に、ソフトウェアと遠隔アクセスが並ぶ

まず、範囲の定義から確認します*1。

米国大統領令14421が2026年8月26日に署名され外国で製造されたバルクパワーシステムの電気機器の取得・輸入・移転・設置を禁じる枠組みを作ったこと、第5節(a)がバルクパワーシステムを相互接続された送電網の運用に必要な設備と制御システムおよび信頼度の維持に必要な発電と定義し6万9000ボルト以上の送電線を含むが配電の設備は含まないとすること、第5節(b)の機器の列挙に変電所用変圧器・系統連系インバータ・蓄電池システム・無停電電源装置・保護リレー・計測機器・高圧遮断器・発電タービンおよび遠隔端末装置とプログラマブルロジックコントローラと知的電子デバイスを含む産業用制御システムと分散制御システムが並び付随するソフトウェアとファームウェアと遠隔アクセス機能と生涯にわたる保守や更新の仕組みも考慮され得ること、第2節(a)が対象となる主体を対象外国主体の管轄下にある者が設計・開発・製造・供給した機器であることと妨害破壊や不正アクセスや悪意ある遠隔操作や供給の途絶の恐れがあることの2段階で判定すること、第2節(b)が命令日より前に取得または設置された機器についても特定・隔離・監視・保護・切断・交換・撤去の7つの措置を条件として課し得るとし信頼度と保安への影響と代替品の入手可能性と役務の継続を考慮して段階的な適合を定め得るとすること、ならびに第3節(b)の120日以内の規則の公表と第4節の180日以内の連邦調達規則の改正案の提出および受領から90日以内の連邦調達規則協議会の検討という期限を整理した図

第5節(a)はバルクパワーシステムを、(i)相互接続された電気エネルギーの送電網(またはその一部)の運用に必要な設備および制御システムと、(ii)電力系統の信頼度を維持するために必要な発電設備からの電気エネルギー、と定めます*1。この命令の目的においては6万9000ボルト(69キロボルト)以上に定格された送電線を含み、電気エネルギーの配電に用いられる設備は含まないとされました*1。上流の送電と発電が対象で、末端の配電は外れる建て方です*1。

問題は第5節(b)のバルクパワーシステムの電気機器の定義です*1。バルクパワーシステムの変電所、制御室または発電所で使用される品目として、次のものが列挙されました*1。

表1:列挙された機器の類型(第5節(b))
区分 列挙されたもの
変換・貯蔵 リアクトル、コンデンサ、変電所用変圧器、系統規模その他の系統連系インバータ、蓄電池によるエネルギー貯蔵システム
電源 重要インフラを支える無停電電源装置、大型発電機、小型発電機、非常用発電機、発電タービン
系統・計測 結合コンデンサ、変電所用電圧調整器、分路コンデンサ設備、自動再閉路器、計器用変成器、結合コンデンサ形計器用変圧器、高圧遮断器、保護リレー、計測機器
制御系 産業用制御システム(遠隔端末装置、プログラマブルロジックコントローラ、知的電子デバイスを含む)、分散制御システム、異常時に設備を止める計装系

制御系の行が、この命令をIT実務の話にしています*1。遠隔端末装置(RTU)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、知的電子デバイス(IED)が産業用制御システムの例として条文に書き込まれ、分散制御システムも並びました*1。現場の盤の中身が、そのまま規制の単位になっています*1。制御系そのものの守り方はOT・制御システムセキュリティ入門で扱っています。

さらに条文は続けます*1。機器がこの命令の範囲に入るかを判断するにあたり、各省庁は、付随するソフトウェアおよびファームウェア、遠隔アクセス機能、生涯にわたる保守および更新の仕組み、ならびにバルクパワーシステムに受け入れがたいリスクをもたらし得るその他のサプライチェーン上の依存関係も考慮することができる*1。

ここが実務上の要点です*1。判断の対象がハードウェアの原産国だけで終わらず、その機器に入っているソフトウェアとファームウェア保守のために開いている遠隔の口更新を配信する仕組みまで及びます*1。組込みの実装を外に出している場合、供給の連なりをどこまで説明できるかが問われる形になります。この整理の仕方はソフトウェアサプライチェーンのセキュリティで扱う考え方と重なります。

範囲を絞る一文も置かれました*1。前記の一覧に含まれない品目、またはこの命令が示す懸念とは無関係にバルクパワーシステムを超えて広く用いられる品目は、この命令の範囲外である*1。汎用の情報機器まで無限に広がる読み方は、条文の側で閉じられています*1。

禁じられる取引は、2段階の判定で決まる

次に、何が禁じられるのかを見ます*1。

第2節(a)は外国で製造されたバルクパワーシステムの電気機器の取得、輸入、移転または設置(以下「取引」)を禁止の対象に置きます*1。主体は米国の管轄に服するあらゆる者、または米国の管轄に服するあらゆる財産に関してとされ、外国またはその国民が何らかの利益を有する財産(機器の提供に関する契約上の利益を通じる場合を含む)が関わる取引で、この命令の日付より後に開始されたものが対象です*1。外国で製造されたとは米国内で製造、生産または組立てがされていない物品を指します*1。

ただし、この段階では禁止は自動的に発生しません*1。エネルギー長官が、行政管理予算局長との調整のうえ、戦争長官・商務長官・国土安全保障長官・国家情報長官らと協議して、次の2つをともに認定した場合に禁止が及びます*1。

表2:禁止が及ぶための2段階の判定(第2節(a))
段階 認定される内容
(i) 供給元 取引が、対象外国主体に所有され、支配され、またはその管轄もしくは指示に服する者が設計・開発・製造または供給した、バルクパワーシステムの電気機器(あるいはこれに付随する重要な構成部品、ソフトウェア、ファームウェア、デジタルサービス、保守サービスまたは遠隔アクセス機能)に関わること
(ii)(A) 系統への影響 米国のバルクパワーシステムの設計・完全性・製造・生産・流通・設置・運用または保守に影響する、妨害破壊、転覆、不正アクセス、悪意ある遠隔操作または供給の途絶の過度なリスクをもたらすこと
(ii)(B) 重要インフラ 米国の重要インフラのセキュリティもしくはレジリエンス、または米国経済に破滅的な影響を及ぼす過度なリスクをもたらすこと
(ii)(C) その他 その他、米国の国家安全保障または米国人のセキュリティおよび身体の保護に受け入れがたいリスクをもたらすこと

(i)にデジタルサービス保守サービスが並んでいる点は見落とせません*1。装置を売る取引だけでなく、クラウド側の機能提供や保守の役務そのものが判定の対象に入る書き方です*1。(ii)は(A)(B)(C)のいずれか1つに当たれば足ります*1。

対象外国主体の定義は第5節(e)にあります*1。国、または、国際武器取引規則(連邦規則集第22編第126.1条)にもとづく米国の武器禁輸もしくは制裁の対象である外国の政府に所有・支配され、もしくはその管轄・指示に服する者、あるいは長官が、米国の国家安全保障または外交政策に有害な行為に及んでいると認定した者です*1。第126.1条は、国連安全保障理事会の制裁措置やテロ支援国家の指定などに由来する禁止国・地域・者を定める規定で、名指しの一覧は同条の側で更新されます*2。

契約が先に結ばれていても逃れられません*1。第2節(d)は、この命令の禁止がこの命令の日付より前に締結された契約、または付与された免許もしくは許可にかかわらず適用されるとします*1。既存の発注残や長期の保守契約が、後からの認定で止まり得る構造です*1。第2節(f)は、禁止を回避し、または回避しようとする取引と、そのための共謀も禁じます*1。

すでに入っている機器に及ぶ7つの措置

ここが、運用中の設備にとって最も重い部分です*1。

第2節(b)は、第2節(a)の認定を行ったうえで、長官がこの命令の日付より前に取得または設置された、外国で製造され、または外国で運用されているバルクパワーシステムの電気機器について、継続的な使用、運用、保守、点検整備または更新に条件を課すことができると定めます*1。課し得る条件として挙げられたのが次の7つです*1。

表3:設置済みの機器に課し得る条件(第2節(b))
措置 求められること
特定 該当する機器がどこに何台あるかを洗い出す
隔離 他の系統から切り離した区画に置く
監視 通信と動作を継続的に見る
保護 アクセスと構成を保護された状態にする
切断 接続を断つ
交換 別の機器に置き換える
撤去 取り外す

ただし、後半の重い措置には歯止めが付きました*1。隔離、切断、交換または撤去を指示する前に、長官は、信頼度と保安への影響、保護された代替品の入手可能性、および不可欠な役務の継続を考慮しなければならず、段階的な適合を定めることができる*1。いきなり止めるのではなく、代わりが手に入るかと、供給が続くかを見たうえで期間を切る建て方です*1。

この7つのうち、前半の3つ(特定・隔離・監視)は事前に手当てできます*1。どの盤にどの装置が何台入っていて、その装置がどの通信路につながっているかを、機器の型式と供給元まで含めて台帳に持てているかどうかで、求められたときの作業量が変わります*1。資産の台帳を作る側の話はIT資産管理で扱っています。

ソフトウェアの側の棚卸しも同じ形です*1。判断が付随するソフトウェアとファームウェアに及ぶため、装置ごとの構成部品の一覧を持っているかどうかが、説明の速さを分けます*1。部品表を作って回す実務はSBOMの作成と管理、同じ要求が通信機器の側で起きている例はFCC機器認証改革で扱っています。

遠隔アクセスの口も棚卸しの対象になります*1。保守のために常時開いている経路と、必要なときだけ開ける経路を分け、誰がいつ使ったかを残せているかどうかが、隔離や監視を求められたときの出発点になります*1。権限の絞り込みそのものは特権ID管理とPAMの導入、境界を前提にしない設計はゼロトラストの導入で扱っています。

逃げ道も条文にあります*1。第2節(c)は、長官がこの命令で特定された懸念を緩和する措置を設計し、または交渉することができるとし、その措置を、本来なら禁じられる取引または取引の類型を承認するための前提条件とすることができるとします*1。緩和策を示せば通る余地が残された形です*1。

第2節(e)は、もう1つの経路を用意します*1。長官は特定の機器および特定のベンダーを将来の取引について事前資格を有するものとして認める基準および手続を定め、その一覧を作成し、公表することができる*1。認められれば第2節(a)の禁止から外れます*1。ただし条文は、この規定が、資格を得た機器や供給者が関わる取引を規制する長官の権限を制限しないと続けます*1。

120日と180日:これから出てくるもの

命令そのものは枠組みで、中身は後から出ます*1。期限は3つ書かれました*1。

表4:条文に置かれた期限(起算日は2026年8月26日)
条項 期限 出てくるもの
第3節(b) 120日以内 長官が、この命令で委任された権限を実施する規則または規制を、必要に応じて公表する
第4節(a) 180日以内 長官が、エネルギー基盤の連邦調達で国家安全保障上のリスクを考慮させ、米国製の取得を優先させるための連邦調達規則の改正案を提出する
第4節(b) 上記の受領から90日以内 連邦調達規則協議会が、その改正を意見公募に付すことを検討する

第3節(b)の規則には、内容の方向も書かれています*1。特定の国または者をこの命令の目的にかぎり対象外国主体と定めることその管轄・指示に服する者を特定すること特に精査を要する特定の機器または国を特定すること、および本来なら禁じられる取引を許可する手続を設けることです*1。名指しの一覧と、個別許可の窓口が、この規則で形になります*1。

第3節(c)は別の作業を命じます*1。長官は実行可能なかぎり速やかに、過度なリスクをもたらす機器を特定し、それらの品目を特定し、棚卸しし、隔離し、監視し、または交換する方法についての勧告を、国家安全保障問題担当大統領補佐官を通じて大統領に提出します*1。ここでも動詞は棚卸しと隔離と監視です*1。

第4節が向いている先は連邦調達です*1。エネルギー基盤に関する連邦の調達で国家安全保障上のリスクを考慮させ、米国製を優先させる方向で、連邦調達規則そのものを書き換える流れが用意されました*1。連邦調達規則は全面改訂の作業が並行して進んでおり、その動きは連邦調達規則第24部の全部改訂案で扱っています。

命令の位置づけも確認しておきます*1。第7節(c)は、この命令がいかなる当事者に対しても法律上または衡平法上執行可能な、実体的または手続的な権利または利益を創設しないと定めます*1。事業者が直接この命令を根拠に何かを請求できる建て方ではありません*1。

受託側・発注側が先に決めておくとよい4点

ここまでを、設備と契約の作業に落とします。

1点目は、台帳の粒度です*1。求められ得る措置の先頭は特定と棚卸しです*1。装置名と設置場所だけでは足りず、製造者製造国搭載しているファームウェアの版と供給元接続している通信路まで1レコードに揃えておくと、照会に対して集計だけで答えられます。今の台帳がどの列を持っているかを数えるところから始めるのが早道です。

2点目は、遠隔の口の一覧です*1。付随する遠隔アクセス機能が判断の材料に入るため、保守のために開いている経路を、常時か随時か、経由する事業者はどこか、認証は何かで分類しておきます。切断や隔離を求められたときに、どの業務が止まるかを事前に紐づけておくと、代替の運用を先に設計できます。

3点目は、契約の側の手当てです*1。第2節(d)は、命令の日付より前に結ばれた契約にかかわらず禁止が適用されるとします*1。長期の保守契約や複数年の調達で、供給元の変更を求められたときに誰が費用を負うかを決めていないと、そこで止まります。供給元の交代を想定した条項と、代替品への切り替えに要する期間の見積りを、契約の更新時に用意しておくと動けます。委託先を含めた供給の連なりの見方はサプライチェーンセキュリティで整理しています。

4点目は、代替の見通しです*1。第2節(b)は、隔離・切断・交換・撤去を指示する前に保護された代替品の入手可能性を考慮すると定めます*1。裏を返せば、代替品を先に見つけている側ほど、段階的な適合の期間が短く設定され得ます。主要な装置について、同等の機能を持つ別系統の候補を1つずつ挙げておくと、判断の材料になります。保守の期限が切れた機器の扱い方は保守期限切れ機器の第三者保守で扱っています。

日本国内の設備に米国の命令が直接及ぶわけではありません*1。禁止の主体は米国の管轄に服する者と財産です*1。それでも、米国に納める設備を作る側や、米国の系統向けの制御系を受託する側には、供給元の説明を求められる場面が出てきます。制御系の運用と監視の設計は予知保全と状態基準保全で扱っており、120日以内に出る規則を待つより、台帳の列を今のうちに揃えておくほうが手戻りが少なくなります。

まとめ:電力系統機器の調達制限で押さえる3つの視点

米国の大統領は2026年8月26日、大統領令14421に署名し、外国で製造されたバルクパワーシステムの電気機器の取得・輸入・移転・設置を、エネルギー長官の認定を前提として禁じる枠組みを作りました。押さえたい視点は三つあります。第一に、対象の広さ。バルクパワーシステムは6万9000ボルト以上の送電線を含み配電の設備は含まないと定義され、機器の側には変電所用変圧器や保護リレーに加えて、遠隔端末装置とプログラマブルロジックコントローラと知的電子デバイスを含む産業用制御システム、分散制御システムが列挙されました。判断にあたっては、付随するソフトウェアとファームウェア、遠隔アクセス機能、生涯にわたる保守および更新の仕組みも考慮され得ます。第二に、判定の構造。供給元が対象外国主体に連なることと、妨害破壊・不正アクセス・悪意ある遠隔操作・供給の途絶などの過度なリスクがあることの二段階を認定して初めて禁止が及び、この命令の日付より前に締結された契約にかかわらず適用されます。第三に、設置済みの機器への波及。特定・隔離・監視・保護・切断・交換・撤去という7つの措置が条件として課され得ますが、重い措置の前には信頼度と保安への影響、代替品の入手可能性、不可欠な役務の継続が考慮されます。実施の規則は120日以内、連邦調達規則の改正案は180日以内という期限が置かれました。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は元請(プライムベンダー)として、製造・エネルギー分野を含む制御系と業務系の連携部分の構築と運用を受託しています。設備側の資産台帳は、装置の型式と設置場所だけでなく、製造者・搭載ファームウェアの版・接続する通信路を同じレコードに持たせ、変更のたびに版が積み上がる形で設計します。遠隔保守の経路は、常時接続と申請のうえで開ける一時接続を分け、踏み台をまたぐ操作をセッション単位で記録して、利用者と時刻と対象機器で照合できるようにします。制御系と情報系の境界には、通信の向きと宛先を明示した規則を置き、産業用プロトコルを扱う区画では、想定外の書き込み要求を遮断する構成を取ります。供給元の切り替えに備えて、装置ごとの代替候補と切り替えに要する停止時間を一覧で保持します。

よくある質問

日本国内で電力設備の制御系を受託している場合も、この命令の対象になりますか。

第2節(a)は、禁止の対象を米国の管轄に服するあらゆる者、または米国の管轄に服するあらゆる財産に関する取引と定めています。日本国内の設備がそのまま対象になる建て方ではありません。ただし、米国のバルクパワーシステム向けに納める機器や制御系を供給する立場では、供給元の説明を求められる場面が想定されます。第4節はエネルギー基盤の連邦調達で米国製を優先する方向の改正を求めており、米国政府向けでは条件が変わり得ます。

対象になるのはハードウェアだけですか。

第5節(b)は、機器が範囲に入るかを判断するにあたり、各省庁が、付随するソフトウェアおよびファームウェア、遠隔アクセス機能、生涯にわたる保守および更新の仕組み、その他のサプライチェーン上の依存関係も考慮できると定めています。第2節(a)(i)の側でも、重要な構成部品、ソフトウェア、ファームウェア、デジタルサービス、保守サービス、遠隔アクセス機能が明記されています。装置の売買にかぎらず、保守の役務も判定の材料に入ります。

すでに設置している機器は、そのまま使えますか。

第2節(b)は、第2節(a)の認定を行ったうえで、命令の日付より前に取得または設置された機器についても、継続的な使用・運用・保守・点検整備・更新に条件を課すことができるとしています。条件として挙げられているのは、特定、隔離、監視、保護、切断、交換、撤去の7つです。ただし隔離・切断・交換・撤去を指示する前には、信頼度と保安への影響、保護された代替品の入手可能性、不可欠な役務の継続を考慮しなければならず、段階的な適合を定めることができるとされています。

対象外国主体は、どこで確認できますか。

第5節(e)は、対象外国主体を、国際武器取引規則(連邦規則集第22編第126.1条)にもとづく米国の武器禁輸または制裁の対象である外国の政府に所有・支配され、もしくはその管轄・指示に服する者、あるいはエネルギー長官が国家安全保障または外交政策に有害な行為に及んでいると認定した者と定義しています。名指しの一覧は、第3節(b)が120日以内の公表を求める規則の側で形になります。

制御系の資産台帳と遠隔保守経路の棚卸しはLASSICへ

元請(プライムベンダー)として、装置と部品表の一覧化から遠隔アクセスの整理、切り替え計画の設計まで一体でご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:米国連邦官報 91 FR 55995「Declaring a National Emergency To Secure the United States Bulk-Power System」(大統領令14421・2026年8月26日署名・2026年8月31日公示)(https://www.federalregister.gov/documents/2026/08/31/2026-17843/declaring-a-national-emergency-to-secure-the-united-states-bulk-power-system)。大統領令の一次情報として。全文テキスト(federalregister.gov の full_text/text/2026/08/31/2026-17843.txt)で条文を確認した。第1節の国家緊急事態の宣言、第2節(a)の禁止と2段階の認定、(b)の既設機器への7つの条件と段階的な適合、(c)の緩和措置、(d)の既存契約への適用、(e)の事前資格の一覧、(f)の回避の禁止、第3節(b)の120日以内の規則、第4節(a)の180日以内のFAR改正案、第5節のバルクパワーシステム・機器・対象外国主体・調達の各定義、第6節の議会への報告、第7節(c)の権利を創設しない旨を確認した。確認日は2026年9月9日。(2026年9月確認)
  2. *2 参考:米国連邦規則集 第22編第126.1条「Prohibited exports, imports, and sales to or from certain countries」(国際武器取引規則・現行条文)(https://www.ecfr.gov/current/title-22/chapter-I/subchapter-M/part-126/section-126.1)。大統領令14421 第5節(e)が対象外国主体の定義で引用する条文の確認として。電子版連邦規則集のAPIから本文を取得し、(a)一定の国を仕向地・原産地とする防衛物品等の輸出入に免許を与えない政策、(b)禁止国等の輸送手段による輸送の禁止、(c)(1)国連安保理の制裁にもとづく禁止、(c)(2)テロ支援国家への輸出等の禁止という構成を確認した。名指しの一覧は同条の側で更新される。確認日は2026年9月9日。(2026年9月確認)




View