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2026.10.20 らしくコラム

Odoo導入の進め方と費用の考え方|無償版と有償版の違い

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

会議室の机でノートPCの表と見積もりの書類を見比べながら電卓をたたいている手元

この記事の結論

  • Odooは業務ごとのアプリを組み合わせて使う業務管理のソフトで、無償のCommunity版と有償のEnterprise版があります。
  • 費用はライセンスの料金だけでなく、導入支援・作り込みとその保守・サーバーの運用を合わせて見積もります。
  • 作り込みが多いほど版の更新が重くなるため、標準の機能を先に試し、保守の担当を契約で決めておくことが大切です。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

販売・在庫・会計がそれぞれ別の表計算ファイルで管理されていて、月末の集計に何日もかかる。パッケージのERP(基幹業務システム)も検討したが、費用の見当がつかない——。業務システムの見直しを任された担当者のあいだでは、こうした悩みが起こりがちです。Odoo(オドゥー)は、販売・在庫・会計・CRMなどの業務アプリを1つのデータベースの上でまとめて使える、オープンソースを土台にした業務管理のソフトウェアです。

必要なアプリから使い始めて、あとから範囲を広げられる点が使いどころです。ただし万能ではなく、無償版と有償版で使える機能やサポートが異なり、作り込みを重ねるほど版の更新の手間も増えます。本記事では、ERPの導入を検討する情報システムの担当者に向けて、Odooの2つの版の違い、導入の進め方とアプリの選び方、費用の考え方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Odooとは

Odooは、業務ごとのアプリを組み合わせて使う業務管理のソフトウェアです。公式のGitHubのリポジトリは、Odooを「Webで動くオープンソースの業務アプリ群」と説明しています。*6 各アプリが同じ取引先や品目のデータを使うため、ファイル間の転記を減らせます。

  • 販売、CRM(顧客管理)、在庫、購買、製造、会計、従業員管理、Webサイトなど、業務ごとのアプリから必要なものを選んで使います
  • 無償の「Community版」(オープンソース)と、有償ライセンスの「Enterprise版」の2つの版があります*1
  • Community版はLGPLv3(改変や再配布を認めるオープンソースのライセンス)、Enterprise版は「Odoo Enterprise Edition License v1.0」で提供されます*3
  • 置き場所は、Odoo社のクラウド(Odooオンライン)、開発・テスト環境つきのクラウド(Odoo.sh)、自社のサーバー(オンプレミス)から選びます

Enterprise版はCommunity版を土台に作られていて、公式サイトはいつでも版を切り替えられると案内しています。ただしEnterprise版は、利用者数に見合った有効なサブスクリプション契約がある場合にだけ使えるライセンスです。まず無償の版やプランで操作を試してから契約する順番も取れます。

無償版と有償版の違い

公式の比較表では、Community版とEnterprise版で使えるアプリと受けられるサービスがはっきり分かれています。販売・在庫・購買・CRMのように両方の版にあるアプリもあれば、会計の本格的な機能のようにEnterprise版にしか無いものもあります。自社に要るアプリがどちらの版にあるかを先に確かめます。

Odooの2つの版の主な違い(公式の比較表から抜き出して作成)
項目 Community版(無償) Enterprise版(有償)
販売・在庫・購買・CRM 使える 使える
会計 請求書の発行まで 総勘定元帳や銀行明細の照合を含む会計まで
ヘルプデスク・承認・ナレッジ 無し 有り
画面から項目や画面を作り変える機能(Studio) 無し 有り
スマートフォン用のアプリ 無し 有り
機能についての問い合わせ 含まれない 回数の制限なく受けられる
版の更新とホスティング 含まれない 含まれる

販売や在庫の管理から始めるなら、Community版で足りる場面もあります。一方、本格的な会計や画面からの項目追加はEnterprise版の範囲です。Community版では、サーバーの運用や版の更新を自社か委託先で受け持つことになります。

導入の進め方とアプリの選び方

Odooの導入で時間がかかるのは、ソフトウェアを入れる作業よりも、どの業務をどのアプリで回すかを決める作業です。次の4つのステップで進めると、設定のやり直しを減らせます。

ホワイトボードに並んだ付箋の列を貼り替えて業務の流れを整理している手

  • ステップ1:いまの業務の流れを書き出し、最初に使うアプリを少数に絞る
  • ステップ2:版(Community版かEnterprise版か)と置き場所(Odooオンライン・Odoo.sh・オンプレミス)を決める
  • ステップ3:取引先や品目などのデータを整えて取り込み、試験用のデータベースで業務の流れを最後まで通して確かめる
  • ステップ4:本番に切り替え、操作の説明と版の更新の段取りを決めて運用に入る

Odoo導入を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 業務の流れとアプリを決める、STEP2 版と置き場所を決める、STEP3 データを取り込み試す、STEP4 本番と更新の段取り。

アプリは、困りごとの大きい業務から選ぶと効果を確かめやすくなります。アプリにはほかのアプリを前提にするものがあり、たとえばeコマースはWebサイトと請求のアプリを前提にしています。*2 標準の機能で回せるかを先に試し、合わない部分だけを作り込みの候補にします。

Odoo導入の費用の考え方

Odooの費用は、ライセンスの料金だけでは決まりません。公式の料金ページは、1つのアプリだけを使う無料のプランと、ユーザー1人あたりの月額で決まる2つの有料プランを示しています。*2 金額は見積もりの前に公式の料金ページで確かめます。

Odooの3つのプランの区分(公式の料金ページをもとに作成)
プラン 使えるアプリ 置き場所
シングルアプリ無料プラン 1つのアプリ(ユーザー数は無制限) Odooオンライン
スタンダードプラン すべてのアプリ Odooオンライン
カスタムプラン すべてのアプリに加え、Studio・複数の会社の管理・外部API Odooオンライン・Odoo.sh・オンプレミス

作り込みやほかのシステムとの連携が要るならカスタムプランが前提です。ライセンス以外の費用も見積もりに入れます。

  • 導入支援:業務の分析、データの取り込み、設定、操作の研修。どのプランにも含まれていません*2
  • カスタム開発と、そのコードの保守:これもプランに含まれていません
  • Odoo.shのホスティング費用:カスタムプランの料金とは別にかかります
  • 自社のサーバーに置く場合のサーバー代と、更新やバックアップの運用の手間

ユーザーの数え方も金額に効きます。Odooの画面に入って作業する社員は有料ユーザーですが、ポータル(取引先向けの閲覧画面)から請求書を見る顧客や仕入先は有料ユーザーに含まれません。*2 誰がどの画面を使うかを先に決めておくと、ユーザー数を見積もりやすくなります。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Odooの導入を外部に頼むときは、標準の機能、作り込んだ部分、サーバーの運用を、それぞれ誰が受け持つかを先に決めておきます。公式ドキュメントは、カスタムモジュール(自社向けに作った追加の機能)が入ったデータベースは、そのモジュールが新しい版に対応するまで更新できないとしています。*4

西日の入る机で2台のモニターの表を指さし、手元の確認表に印を付けている

  • 標準の機能:Odoo社のメールサポートの言語は英語・フランス語・スペイン語・オランダ語です*2。日本語での問い合わせ窓口を誰が受け持つかを決めます
  • 作り込んだ部分:カスタムモジュールを版の更新に合わせて誰が直すかを、契約に書いておきます
  • 版の更新:大きな版はそれぞれ3年間サポートされます*4。更新の前に試験用のデータベースで業務の流れを確かめる段取りを決めます
  • 置き場所:Odooオンラインは標準外のアプリに対応していません*5。作り込みが増えそうならOdoo.shかオンプレミスを前提にします
  • データの移行:ほかのERPからOdooへの移行は、Odoo社の版の更新サービスの対象外です*4。移行の作業と件数の照合を誰が行うかを決めます

作り込みを本当に必要な部分に限ると、版の更新で直す箇所が減り、保守の費用を読みやすくなります。ほかの基幹システムとつなぐ考え方は基幹システムのAPI連携を外注で進める方法で、既存のERPを入れ替えるときの選択肢はOracle EBS刷新とERP移行の進め方で扱っています。

まとめ:Odoo導入で確かめておきたい3つの点

Odooの導入を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社の業務に要るアプリがCommunity版とEnterprise版のどちらに入っているかを、公式の比較表で確かめること。第二に、ライセンスの料金に加えて、導入支援・作り込みとその保守・サーバーの運用を合わせて費用を見積もること。第三に、作り込んだ部分を版の更新に合わせて誰が直すかを、導入の前に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「作り込みが重くて版の更新ができない」という事態を避けやすくなります。アプリの選び方や作り込みの線引きに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Odooの構築では、Python製のアプリケーションとPostgreSQLのデータベースを、Odoo.shかオンプレミスのLinuxサーバーに置き、通信をHTTPSに限ったうえで公開します。設計の段階では、Community版とEnterprise版のどちらを使うか、どのアプリを最初に入れるか、標準の設定で回す部分とカスタムモジュールで作り込む部分の線引きを、お客様の業務の流れを見ながら決めます。移行では、取引先・品目・残高のデータを整えて取り込み、取り込む前と後で件数と金額を照らし合わせます。運用では、試験用のデータベースで版の更新を先に試す手順と、カスタムモジュールの改修の担当を文書にして引き継ぎます。

よくある質問

Odooオンラインから自社のサーバーへ移せますか

移せます。Odooオンラインではデータベースのバックアップをいつでもダウンロードでき、Odooオンラインと自社のサーバーに置くEnterprise版は同じソフトウェアです。*2 公式の料金ページは、切り替えに適した時期を新しい版が出た直後としています。

古い版のまま使い続けられますか

置き場所によって変わります。Odooオンラインでは大きな版の更新が2年ごとに必須です。*4 自社のサーバーに置く場合は同じ版を使い続けることもできますが、公式ドキュメントは勧めていません。版の差が小さいほど更新は楽になります。

休暇の申請や経費の入力だけをする社員にも料金はかかりますか

Odooには、使える機能を自分の休暇・経費・勤怠などに限った「ライトユーザー」という区分があります。*2 通常のユーザーとは料金が異なるため、どの社員がどこまで使うかを整理したうえで見積もりを取るとよいでしょう。

Odoo導入のご相談

Odooの版とアプリの選定から、データの移行、カスタムモジュールの保守と版の更新まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Odoo S.A.「Compare Editions」(エディションを比較)(https://www.odoo.com/page/editions)。出典:Community版(オープンソース)とEnterprise版(ライセンス)の2つの版、版の切り替え、機能・サポート・版の更新・ホスティングの有無の比較表を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Odoo S.A.「Odoo料金」(https://www.odoo.com/ja_JP/pricing)。出典:シングルアプリ無料プラン・スタンダードプラン・カスタムプランの区分、プランに含まれないもの、有料ユーザーとライトユーザーの定義、サポートの言語、アプリの依存関係、置き場所の切り替えについての記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Odoo 18.0 documentation「Licenses」(https://www.odoo.com/documentation/18.0/legal/licenses.html)。出典:Community版のLGPLv3、Enterprise版のOdoo Enterprise Edition License v1.0の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Odoo 18.0 documentation「Upgrade」(https://www.odoo.com/documentation/18.0/administration/upgrade.html)。出典:大きな版のサポート期間、置き場所ごとの更新の扱い、カスタムモジュールがある場合の更新、更新サービスの対象外となるものの記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Odoo 18.0 documentation「Hosting」(https://www.odoo.com/documentation/18.0/administration/hosting.html)。出典:Odooオンラインが標準外のアプリに対応しないことの記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:odoo/odoo(GitHub)(https://github.com/odoo/odoo)。出典:リポジトリの説明とライセンス(LGPLv3)を参照(2026年10月確認)




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