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認定職業訓練とは|自社の研修を認定に変える要件
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 認定するのは都道府県知事:職業能力開発促進法に定める基準に合うものとして認定を受けます*1。
- 短期課程は12時間から:6か月以下・12時間以上が短期課程の目安として示されています*2。
- 訓練生数にも下限がある:普通課程は事業主の場合、総数で3人以上が必要です*2。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
新人研修も、リーダー研修も、多くの会社が自前で回しています。その研修に、公的な認定を受けられる枠があります。
厚生労働省の説明はこうです。認定職業訓練とは事業主等が雇用する従業員等に対して行う職業訓練のうち、職業能力開発促進法に定める教科、訓練期間、設備などの基準に合うものとして、都道府県知事が認定した訓練をいいます*1。
対象の職種は広く取られています。建築、金属・機械加工をはじめ、情報処理、和洋裁、調理等様々な職種で実施されておりとされ、訓練期間は普通課程は1年、短期課程は6月以下です*1。
本記事では、認定の3要件、訓練の種類と期間、公開されている訓練の実例、そして補助金と窓口を整理します。個別の認定可否は都道府県の判断ですが、相談に行く前に確認できる前提は先に固められます。
目次
認定するのは都道府県知事
まず、誰が何を認定する制度なのかを確認します。
認定の対象は限定されています。要件の資料は認定の対象となる職業訓練は、事業主等が主としてその雇用する労働者に対して行う職業訓練であって、法に定める基準に適しているものであるとしています*2。外部に売る研修ではなく、自社の従業員に行う訓練が前提です。
実施できる主体も列挙されています。事業主、事業主の団体及びその連合体、職業訓練法人、一般社団法人等(民法34条の規定により設立された法人)の4つです*2。
制度ページの注記でも同じ範囲が示されています。事業主等:事業主、事業主の団体又は連合団体、職業訓練法人、一般社団法人又は一般財団法人*1。1社単独でも、業界団体でも申請できる形です。
経費の助けも用意されています。また、要件を満たせば訓練経費の一部について都道府県から補助が受けられる場合があります*1。
研修をどの水準から「実施している」と言えるかは研修ありと書けるのは、どの水準からかで扱いました。認定職業訓練は、その水準を外から示す手段のひとつになります。
種類は「程度」と「期間」で分かれる
次に、どの枠に自社の研修が入るのかを見ます。
資料は分け方を明示しています。職業訓練の種類は、習得させようとする技能及び知識の「程度」と「期間」に基づき分けられている*2。程度で普通職業訓練と高度職業訓練に、期間で長期間と短期間に分かれます。
| 職業訓練の種類 | 長期間の訓練課程 | 短期間の訓練課程 |
|---|---|---|
| 普通職業訓練 | 普通課程 | 短期課程 |
| 高度職業訓練 | 専門課程/応用課程 | 専門短期課程/応用短期課程 |
期間の目安も示されています。普通課程……原則として1年。1,400時間以上、短期課程……6ヶ月以下。12時間以上*2。
下限が12時間というのは、2日間の集合研修でも枠に入りうるということです。1年間の訓練校だけを想像していると、この幅を取りこぼします。
制度ページも同じ区分で説明しています。訓練期間については、普通課程は1年、短期課程は6月以下となっています*1。
訓練の中身をどう定義するかという話は、社内の資格制度とも重なります。社内検定が認定されない6つのパターンもあわせて見ておくと、認定という仕組みの共通点が見えます。
認定の要件は3つに整理されている
ここが、申請できるかどうかの分かれ目です。
資料は2.認定の要件として3つを挙げています*2。1つ目が実施主体で、前述の4区分に当たることが条件です。
2つ目は訓練の中身です。認定を受けようとする職業訓練が厚生労働省令に定める基準に適合していることとされ、例として訓練の対象者、教科の科目など訓練内容、訓練時間、指導員、施設等が挙げられています*2。
3つ目は続けられるかどうかです。事業主等が職業訓練を的確に実施する能力を有すると認められることが必要とされ、その内訳として事業主の場合にあっては、当該事業の内容から勘定して職業訓練の永続性があると認められることが示されています*2。
人数の下限も具体的です。普通課程の普通職業訓練の訓練生数は、事業主の場合は総数で3人以上、事業主以外の団体の場合は1訓練科につき3人以上であること*2。
1人だけを対象にした訓練では、普通課程の認定は取れないということです。単発の個別指導ではなく、科として成立する規模が求められます。
制度ページも要件を職業能力開発促進法に定める教科、訓練期間、設備などの基準と要約しています*1。教科と期間だけでなく、設備まで見られる点は押さえておく必要があります。
12時間の研修が認定されている例もある
実際にどんな訓練が認定されているかは、公開資料で確かめられます。
厚生労働省は認定職業訓練施設の訓練概要を公開しており、ここでは、人材確保・育成に認定職業訓練を活用している事業主等の実施例を紹介しますとしています*1。建築や機械加工から情報処理、調理まで、100件を超える施設の資料が並んでいます*4。
そのうちの1つ、職業訓練法人TMCが運営するTMC職業訓練校のキャリアデザイン科は、2つのコースで構成されています。仕事に対する使命感やコミュニケーション能力向上を目指す「新入社員訓練コース」と、主体性やリーダーシップを学び、自らの役割を自覚し、チームを導く力を身に付ける「リーダーシップ訓練コース」です*4。
訓練時間は短く設定されています。新入社員訓練コースは12h、リーダーシップ訓練コースは20hで、いずれも普通職業訓練・短期課程として位置づけられています*4。
中身も一般的な社内研修と重なります。新入社員訓練コースは社会人としての基本姿勢やビジネスマナー、仕事に対する不安・悩みの解消と自身の強化等のカリキュラムを構成し、報告・連絡・相談、コミュニケーション、メンタルヘルスなどのカリキュラムを含みます*4。
リーダーシップ訓練コースはリーダーの責任と役割、ハラスメント対策、部下への指導のポイント、メンタルヘルス(セルフケア)等、すぐに実践できるカリキュラムを構成し、人事考課の意義と基本スキル、目標達成に向けたマネージメント、コーチング手法などを扱うとされています*4。
受講した側の記述も載っています。コミュニケーションの重要性を改めて感じた、グループワークは大変苦手でしたが、苦手意識を克服できましたといった声です*4。掲載内容は令和7年5月1日時点のものと注記されています*4。
多くの会社が自前でやっている研修と、内容そのものは大きく変わりません。違いは、教科や時間、指導員、施設を基準に沿って整理し、認定を受けているかどうかです。
情報処理分野の訓練も認定されている
IT分野にも認定を受けた訓練があります。
仙台ITトレーニングセンターは3つのコースを公開しています。20日間プログラミング基礎コースはITの基礎知識及びシステムが動作するアルゴリズムを理解した上で、個人単位でシステムを構築する内容で、習得技術は理系クラスがJavaとSQL、文系クラスがJavaです*4。
次の段階もあります。20日間Java実習コースはアプリケーションの仕組みを理解した上で、グループ単位でシステムを構築する内容で、理系クラスはJava、JSP/サーブレット、SQLを扱います*4。
3つ目は実践に寄せた構成です。20日間システム構築演習コースはシステム開発現場で使われるより実践的な技術を使ってグループ単位でシステムを構築するとされ、理系クラスの習得技術にJavaScriptが加わります*4。
時間数はいずれも同じです。3コースとも訓練時間は160時間(1日8時間×20日間)です*4。短期課程の範囲に収まる規模で、実務に直結する内容が組まれています。
設計の考え方も示されています。理系クラスと文系クラスを準備し、それぞれの前提知識にあった内容の研修を受講することが可能ですとされ、システム開発の現場で使えるプログラミングスキルの習得はもちろん、社会人として必要なコミュニケーション力の養成、社会人マインドの定着も大切にしていますと説明されています*4。
受講生の声には、自社単独の研修にはない要素が挙げられています。他企業の同世代メンバーと刺激しあい、切磋琢磨できる環境、システム開発現場の第一線で活躍しているエンジニアが講師と務める為、現場で使える技術を教えてもらえる、分からない部分は、理解できるまで講師がサポートしてくれるという3点です*4。掲載内容は令和7年5月31日時点のものとされています*4。
中途で入った人が早期に離れる要因はなぜ中途エンジニアは早期に離職するのかで扱いました。入口の訓練を外部の枠に乗せるかどうかは、受け入れ設計の選択肢のひとつです。
補助金の流れと、相談する窓口
最後に、お金と手続きの経路を確認します。
補助金は認定訓練助成事業費補助金です。運営費については、助成対象者が中小企業事業主又は中小企業主団体、若しくは職業能力開発促進法第13条に規定する職業訓練法人等で、対象は左記の者が単独又は共同して行う認定職業訓練の運営に要する経費とされています*3。
負担割合も示されています。運営費は国 1/3、都道府県 1/3です*3。施設や設備の側では、認定職業訓練のための職業訓練共同施設の設置及び職業訓練共同設備の設置又は整備に要する経費が対象になります*3。
設置主体によって割合が変わります。都道府県が設置する場合は国 1/3、市町村、職業訓練法人等が設置する場合は国 1/3と都道府県 1/3です*3。
お金の流れは直接ではありません。補助金の体系(間接補助)として、認定職業訓練を行う中小企業事業主等が都道府県へ申請し、都道府県(補助対象経費の2/3)が交付し、厚生労働省(都道府県の補助額の1/2)が都道府県へ交付する構造が図示されています*3。窓口は国ではなく都道府県だということです。
相談先も明記されています。事業所の所在地、または訓練を行う施設がある都道府県庁の窓口へご相談くださいとされ、都道府県庁の問い合わせ一覧が公開されています*1。厚生労働省側の担当は人材開発統括官 企業内人材開発支援室 認定訓練係です*1。
公開資料には各施設の所在地と連絡先も載っています*4。近い職種で認定を受けている施設に、どんな教科構成で認定を取ったのかを聞きに行けるということです。制度ページからは各都道府県の認定情報も辿れます*1。
育成の枠組みづくりと採用を並行させたいときのご相談
訓練を基準に合わせて整えるには、現場の手が要ります。任せたい職責と必要な稼働の形から、担当が一緒に整理できます。
最後に訓練の整備が採用に間に合わないと判断したときの分岐を1つだけ挙げておきます。教科、訓練時間、指導員、施設を基準に合わせ、都道府県と調整して認定を受けるまでには時間がかかります。その間の実務を業務委託で回し、訓練の枠が固まってから正社員の採用と育成に戻すという順番も現実的な選択肢です。育成の器がないまま採用を積み増す前の検討として有効でしょう。
まとめ:相談前に決める3点
第一に、何を認定する制度かです。認定職業訓練は、事業主等が雇用する従業員等に対して行う職業訓練のうち、職業能力開発促進法に定める教科、訓練期間、設備などの基準に合うものとして都道府県知事が認定した訓練をいいます。実施できるのは事業主、事業主の団体およびその連合体、職業訓練法人、一般社団法人等で、対象となるのは主としてその雇用する労働者に対して行う訓練です。建築や金属・機械加工から情報処理、和洋裁、調理まで幅広い職種で実施されています。第二に、枠と要件です。訓練の種類は習得させる技能・知識の程度と期間で分かれ、普通職業訓練には普通課程と短期課程、高度職業訓練には専門課程・応用課程と専門短期課程・応用短期課程があります。普通課程は原則1年で1,400時間以上、短期課程は6か月以下で12時間以上が目安です。認定の要件は実施主体、訓練基準への適合、職業訓練を実施する能力の3つで、普通課程の訓練生数は事業主の場合で総数3人以上が求められます。第三に、お金と窓口です。認定訓練助成事業費補助金は運営費で国3分の1・都道府県3分の1という負担割合で、都道府県が交付し国が都道府県に交付する間接補助の形です。相談先は事業所または訓練施設のある都道府県庁になります。まずは自社の研修の時間数と対象人数を並べ、短期課程の枠に収まるかを確かめてください。
よくある質問
認定職業訓練とは何ですか。
事業主等が雇用する従業員等に対して行う職業訓練のうち、職業能力開発促進法に定める教科、訓練期間、設備などの基準に合うものとして、都道府県知事が認定した訓練をいいます。建築、金属・機械加工をはじめ、情報処理、和洋裁、調理などさまざまな職種で実施されています。訓練期間は普通課程が1年、短期課程が6か月以下です。要件を満たせば、訓練経費の一部について都道府県から補助を受けられる場合があります。
どのような主体が認定を受けられますか。
4区分が挙げられています。事業主、事業主の団体およびその連合体、職業訓練法人、一般社団法人等(民法34条の規定により設立された法人)です。認定の対象となるのは、事業主等が主としてその雇用する労働者に対して行う職業訓練であって、法に定める基準に適しているものとされています。制度ページの注記では、事業主等の範囲として一般社団法人または一般財団法人も示されています。
短い研修でも認定されますか。
短期課程であれば、6か月以下・12時間以上が目安として示されています。厚生労働省が公開している訓練概要には、新入社員訓練コースを12時間、リーダーシップ訓練コースを20時間で実施し、いずれも普通職業訓練・短期課程として位置づけている例が掲載されています。一方、普通課程は原則として1年、1,400時間以上とされており、枠によって規模が大きく異なります。
認定の要件は何ですか。
3つに整理されています。実施主体が定められた4区分に当たること、認定を受けようとする職業訓練が厚生労働省令に定める基準(訓練の対象者、教科の科目など訓練内容、訓練時間、指導員、施設等)に適合していること、そして事業主等が職業訓練を的確に実施する能力を有すると認められることです。3つ目には、事業主の場合に職業訓練の永続性が認められること、普通課程の訓練生数が事業主の場合は総数で3人以上であることが含まれます。
補助金や相談窓口はありますか。
認定訓練助成事業費補助金があります。運営費については、中小企業事業主または中小企業主団体、職業能力開発促進法第13条に規定する職業訓練法人等が単独または共同して行う認定職業訓練の運営に要する経費が対象で、負担割合は国3分の1、都道府県3分の1です。補助金は都道府県が交付し、厚生労働省が都道府県の補助額の2分の1を交付する間接補助の形をとります。相談は、事業所の所在地または訓練を行う施設がある都道府県庁の窓口へ行います。
出典
- *1 参考:厚生労働省「認定職業訓練」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/training_employer/nintei/index.html)。認定職業訓練の定義(事業主等が雇用する従業員等に対して行う職業訓練のうち、職業能力開発促進法に定める教科、訓練期間、設備などの基準に合うものとして都道府県知事が認定した訓練である旨)、実施されている職種の広がり、普通課程は1年・短期課程は6月以下という訓練期間、要件を満たせば訓練経費の一部について都道府県から補助が受けられる場合がある旨、事業主等の範囲(事業主、事業主の団体又は連合団体、職業訓練法人、一般社団法人又は一般財団法人)、人材確保・育成に活用している事業主等の実施例を公開している旨、相談窓口が事業所の所在地または訓練施設がある都道府県庁である旨、厚生労働省側の担当が人材開発統括官 企業内人材開発支援室 認定訓練係である旨の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:厚生労働省「認定職業訓練の要件」(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001310299.pdf)。認定の対象となる職業訓練の範囲(事業主等が主としてその雇用する労働者に対して行う職業訓練であって法に定める基準に適しているもの)、職業訓練の種類が習得させようとする技能及び知識の程度と期間に基づき分けられる旨と普通職業訓練(普通課程・短期課程)/高度職業訓練(専門課程・応用課程・専門短期課程・応用短期課程)の区分表、普通課程が原則1年・1,400時間以上、短期課程が6ヶ月以下・12時間以上という例示、認定の要件3項目(実施主体の4区分、厚生労働省令に定める訓練基準への適合とその例示、職業訓練を的確に実施する能力としての永続性および普通課程の訓練生数が事業主は総数3人以上・事業主以外の団体は1訓練科につき3人以上であること)の一次情報として(2026年8月確認)
- *3 参考:厚生労働省「認定訓練助成事業費補助金」(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001310300.pdf)。認定訓練助成事業費補助金の助成対象者(運営費は中小企業事業主又は中小企業主団体、職業能力開発促進法第13条に規定する職業訓練法人等/施設・設備は都道府県、市町村を含む)、助成の要件等(単独又は共同して行う認定職業訓練の運営に要する経費、職業訓練共同施設の設置および職業訓練共同設備の設置又は整備に要する経費)、助成者および負担割合(運営費は国3分の1・都道府県3分の1、施設設備は都道府県が設置する場合は国3分の1、市町村・職業訓練法人等が設置する場合は国3分の1・都道府県3分の1)、間接補助の体系(都道府県が補助対象経費の3分の2、厚生労働省が都道府県の補助額の2分の1)の一次情報として(2026年8月確認)
- *4 参考:厚生労働省「認定職業訓練施設訓練概要」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/nintei/20.html)。認定職業訓練施設ごとの訓練概要が職種別に多数公開されていることの確認先として。またTMC職業訓練校(職業訓練法人TMC)キャリアデザイン科の新入社員訓練コース12時間・リーダーシップ訓練コース20時間という訓練期間と普通職業訓練・短期課程という区分、両コースのカリキュラム内容、仙台ITトレーニングセンターの20日間プログラミング基礎コース・20日間Java実習コース・20日間システム構築演習コースの内容と習得技術および各160時間(1日8時間×20日間)という訓練時間、理系クラスと文系クラスを分けた設計の考え方の一次情報として(2026年8月確認)