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2026.10.20 らしくコラム

AWS運用代行とは?任せられる範囲と月額の決まり方を解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

運用監視席で3台のモニターの赤く跳ねたグラフを指しながら受話器を取る担当者の手元

この記事の結論

  • AWS運用代行は、責任共有モデルで利用者側に残る監視やパッチなどの作業を、外部の会社に月額で任せる形です。
  • 自社運用・運用代行・保守込みの受託は、社内でアプリを直せるかと夜間の対応を回せるかで選び分けます。
  • 毎月の支払いはAWSの利用料・サポートの料金・代行の月額の合計で、代行の月額は範囲・台数・時間帯で決まります。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

AWSに載せたシステムの夜間のアラートに、朝まで誰も気づかなかった。OSの更新を後回しにしているうちに、どのサーバーまで当てたのか分からなくなった——。少人数でAWSを運用している情報システム部門では、こうした悩みが起こりがちです。AWS運用代行は、AWS上のシステムの監視・障害対応・パッチ適用・バックアップ・コスト管理といった日々の運用を、外部の会社に月額の契約で任せる形です。

ただし万能ではなく、AWSが受け持つ範囲、代行会社が受け持つ範囲、社内に残る判断を分けておかないと、障害のときに誰も動かない隙間が生まれます。本記事では、AWSでシステムを運用する情報システムの担当者に向けて、AWSと利用者の責任の分かれ目、自社運用・運用代行・保守込みの受託の違い、任せる範囲と月額の決まり方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

AWS運用代行とは

AWSは、セキュリティと運用の責任をAWSと利用者で分け合う考え方を「責任共有モデル」として公開しています。AWSが受け持つのは、サービスを動かす機器・ネットワーク・施設といった基盤で、AWSはこれを「クラウドのセキュリティ」と呼んでいます。*1 一方で利用者には「クラウドにおけるセキュリティ」の責任があり、仮想サーバーのAmazon EC2を使う場合は、次の作業が利用者の側に残ります。*1

  • ゲストOS(仮想サーバーの上で動くOS)の管理。更新やセキュリティパッチの適用を含みます
  • サーバーに入れたアプリケーションやツールの管理
  • セキュリティグループ(サーバーごとの通信の許可設定)の構成
  • データの管理と、IAM(AWSの利用者と権限を管理する仕組み)での権限の付与

AWS運用代行は、この利用者側に残る作業のうち日々の運用にあたる部分を、外部の会社に月額の契約で任せる形です。どの作業がどちらの責任になるかは、使うサービスによって変わります。*1 責任共有モデルの考え方はクラウドセキュリティと責任共有モデルで、使い始めの土台づくりはAWS導入支援の範囲と支援会社の選び方で扱っています。

自社運用・運用代行・保守込み受託の違い

動いているAWSのシステムを誰が運用するかには、大きく3つの形があります。違いは、誰が手を動かすかと、アプリの中身まで直せるかにあります。

AWSの運用を受け持つ3つの形の違い
形 費用の払い方 受け持つ範囲 向いている場面
自社運用 社員の人件費。夜間・休日は当番や手当で対応する 監視から設定の変更、アプリの修正まで社内で行う AWSに詳しい担当が複数いて、夜間も交代で対応できるとき
運用代行 月額の契約。範囲・台数・対応の時間帯で決まる 契約で決めた運用作業(監視・障害の一次対応・パッチ・バックアップ・コスト管理) アプリの修正は社内でできるが、日々の運用と夜間の対応が回らないとき
保守込みの受託 開発費に加えて保守の月額 システムを作った会社が、アプリの不具合の修正や改修まで続けて受け持つ 社内に開発の担当がおらず、アプリも含めてまとめて任せたいとき

どれがよいかは、社内に何が残っているかで変わります。アプリを社内で直せるなら運用代行で間に合いますが、アプリの中身を知る人が社内にいなければ、障害の原因がアプリにあったときに運用代行だけでは復旧まで進めません。逆に保守込みの受託は、運用まで開発した会社に寄るため、後から別の会社へ移すときの引き継ぎが重くなります。クラウド全般の運用代行の考え方はクラウド運用代行(マネージドサービス)を外注で任せるにまとめています。

任せられる範囲と自社に残すこと

AWS運用代行で任せる作業は、主に監視・障害対応・パッチ・バックアップ・コスト管理の5つに分けられます。どれもAWSに専用の仕組みがあります。

ノートPCの監視一覧の行を指でなぞりながら運用手順書の確認欄に印を付ける手元

AWS運用代行で任せる作業と自社に残す判断
作業 使うAWSの仕組み 代行に任せやすいこと 自社に残すこと
監視 Amazon CloudWatch(リソースとアプリをリアルタイムで監視し、アラームを出す)*2 アラームの設定と、鳴ったときの確認 どの止まり方を重大とみなすかの基準
障害対応 AWS Health(AWS側の障害や予定された作業を通知する)*3 一次対応、原因の切り分け、AWSへの問い合わせ 利用者への告知と、業務を止めるかの判断
パッチ AWS Systems Manager Patch Manager(サーバーへの更新の適用を自動化する)*4 適用の計画と実施、適用状況の確認 適用してよい時間帯と、アプリの動作確認
バックアップ AWS Backup(データの保護を一か所で自動化する)*5 バックアップの設定と、戻せるかの確認 何をどれだけの期間残すかの決定
コスト管理 AWS Budgets(予算を決め、実績と予測で通知する)*6 使われていない資源の洗い出しと報告 予算の金額と、削減策を採るかの判断

表の右の列は、契約で任せても社内に残る判断です。代行会社は手を動かせますが、業務を止めてよいか、予算をいくらにするかは事業の判断なので、社内の誰が決めるかを先に決めておきます。特にパッチは、更新後にアプリが動くかの確認を、社内の開発担当とつないでおきます。

月額の決まり方

AWS運用代行を使うときの毎月の支払いは、運用代行の月額だけではありません。AWSの利用料、AWSサポートの料金、運用代行の月額の3つを合わせた額になります。

AWS運用代行を使うときの毎月の支払いの内訳を示した図。AWSの利用料、AWSサポートの料金、運用代行の月額の3つを足したものが毎月の支払いになり、運用代行の月額は範囲・台数・対応の時間帯で決まる。

AWSサポートは、AWSへ技術的な問い合わせをするための有料の契約で、料金はAWSが公開しています。例えばビジネスサポート+は、アカウントあたり月29ドルと、月額のAWS使用料に応じた割合(10,000ドル以下の部分は9%)のどちらか大きい方です。*7 長期の契約は要らず、最低30日間の契約で毎月請求されます。*7

運用代行の月額は、見積もりで決まります。金額より先に、何で増減するかを確かめます。

  • 対象の量:AWSアカウントの数、サーバーやデータベースの台数
  • 対応の時間帯:平日の日中だけか、夜間・休日も含むか
  • 障害のときの範囲:通知して終わりか、一次対応や復旧の作業まで含むか
  • 作業の範囲:監視だけか、パッチ・バックアップ・コスト管理まで含むか
  • 報告:月次の報告書や定例の打ち合わせがあるか

見積もりを比べるときは、総額よりも月額が何に連動するかをそろえて見ます。台数で決まる契約なら、サーバーを増やしたときに月額も上がります。運用保守の費用の内訳はシステム運用保守の費用相場と内訳も参考になります。

外部に頼むときに確認しておきたい点

AWS運用代行を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。そのまま相談のときの準備にもなります。

会議室で代行会社の技術者がタブレットの連絡の流れ図を示し担当者が資料を開く

  • 範囲:監視・障害対応・パッチ・バックアップ・コスト管理のどこまでを任せ、どの判断を社内に残すか
  • 期間:契約の最低期間と、途中で範囲を広げたり狭めたりできるか
  • 体制:夜間・休日に誰が対応し、障害のときに誰へどの順で連絡が来るか
  • 費用の決まり方:月額が台数・時間帯・作業の範囲のどれに連動するか。AWSの利用料とサポートの料金を誰の名義で払うか
  • 引き継ぎ:手順書や設定の記録を誰が持ち、契約を終えるときに自社や別の会社へ渡せるか

特に権限の渡し方は、契約の前に決めておきたい点です。代行会社にAWSの管理者の権限をそのまま渡すと、誰が何を変えたのかを追いにくくなります。代行会社用の権限を作業に必要な分だけに絞り、操作の記録を残す形にしておきます。

まとめ:AWS運用代行で確かめておきたい3つの点

AWS運用代行を検討するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、責任共有モデルで利用者側に残る作業のうち、どこまでを任せ、どの判断を社内に残すかを決めること。第二に、自社運用・運用代行・保守込みの受託のどれが、社内に残っている技術と合うかを見ること。第三に、AWSの利用料とサポートの料金を含めた毎月の支払いを、月額が何に連動するかをそろえて比べることです。この3点を踏まえておけば、「任せたはずの作業が、障害のときに誰の担当でもなかった」という事態を避けやすくなります。範囲の切り分けや見積もりの比べ方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

AWS運用代行の立ち上げでは、Amazon CloudWatchのアラームを止まり方の重さごとに分け、通知先と連絡の順番を運用手順書に書き込みます。パッチはAWS Systems Manager Patch Managerで適用の時間帯と対象を決め、適用後のアプリの動作確認をお客様の開発担当とつなぎます。バックアップはAWS Backupのバックアッププランで保存期間を決め、定期的に戻す試験をして実際に戻せることを確かめます。代行会社が使う権限はIAMのロールで作業に必要な分だけに絞り、AWS CloudTrailで操作の記録を残します。費用はAWS Budgetsで実績と予測の両方に通知を設定し、月次の報告で使われていない資源を洗い出します。

よくある質問

AWSサポートを契約していれば運用代行は要りませんか

役割が違うため、片方だけで済むとは限りません。AWSサポートはAWSに技術的な問い合わせをするための契約です。ゲストOSの更新やセキュリティグループの設定のように、責任共有モデルで利用者側に残る作業を誰が行うかは、別に決める必要があります。*1

運用代行に切り替えるまでどのくらいかかりますか

対象の台数と、いまの手順書がそろっているかで変わります。最初に構成と監視の設定を棚卸しし、手順書を整えてから引き継ぐ流れになるため、見積もりの段階で引き継ぎの期間と作業の中身を確かめておきます。

一部のシステムだけを任せることはできますか

任せる範囲は契約で決めるため、本番環境だけ、夜間の監視だけといった切り方を相談できます。その場合は、任せた部分と社内で見る部分の境目で連絡が途切れないよう、アラームの通知先と連絡の順番をそろえておきます。

AWSの運用代行のご相談

AWS上のシステムの監視・障害対応・パッチ適用・バックアップ・コスト管理の運用設計から日々の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Amazon Web Services「責任共有モデル」(https://aws.amazon.com/jp/compliance/shared-responsibility-model/)。出典:AWSの責任「クラウドのセキュリティ」とお客様の責任「クラウドにおけるセキュリティ」、Amazon EC2で利用者が担う作業、責任は使うサービスによって異なることの記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Amazon CloudWatch User Guide「What is Amazon CloudWatch?」(https://docs.aws.amazon.com/AmazonCloudWatch/latest/monitoring/WhatIsCloudWatch.html)。出典:AWSのリソースとアプリケーションをリアルタイムで監視し、メトリクス・アラーム・ダッシュボードを提供するという説明を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:AWS Health User Guide「What is AWS Health?」(https://docs.aws.amazon.com/health/latest/ug/what-is-aws-health.html)。出典:AWSのリソースの状態の変化や予定された作業についてアラートと通知を届けるという説明を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:AWS Systems Manager User Guide「AWS Systems Manager Patch Manager」(https://docs.aws.amazon.com/systems-manager/latest/userguide/patch-manager.html)。出典:管理対象のサーバーへのセキュリティ関連の更新などの適用を自動化するという説明を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:AWS Backup Developer Guide「What is AWS Backup?」(https://docs.aws.amazon.com/aws-backup/latest/devguide/whatisbackup.html)。出典:データ保護を一元化し自動化するフルマネージドのサービスという説明を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:AWS Cost Management User Guide「Managing your costs with AWS Budgets」(https://docs.aws.amazon.com/cost-management/latest/userguide/budgets-managing-costs.html)。出典:月次の予算を設定し、実績と予測の両方で通知を受けられるという記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Amazon Web Services「AWS サポート料金」(https://aws.amazon.com/jp/premiumsupport/pricing/)。出典:ビジネスサポート+の最低利用金額(アカウントあたり月29ドル)と月額使用料に応じた割合、どちらか大きい方が適用されること、長期契約が不要で最低30日間の契約であることの記述を参照(2026年10月確認)




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