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2026.10.20 らしくコラム

Railsの保守会社の選び方|開発元以外に引き継ぐときの確認点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

会議室の机で閉じたノートPCと外付けSSDを新しい保守会社の技術者に両手で手渡す場面

この記事の結論

  • Railsの保守会社を選ぶ前に、いまのRailsとRubyの版と、保守に含める作業を書き出しておきます。
  • Railsのセキュリティの修正は8.1系と8.0系だけが対象なので、古い版なら版上げの計画も一緒に相談します。
  • 作った会社以外に頼むときは、コード、権限、残っている不具合を渡し、並んで対応する期間を設けます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

Railsで作った社内システムについて、作った会社から保守を続けられないと言われた。担当者が辞めてから、不具合が出ても誰に聞けばよいか分からない——。開発から年数が経った業務システムでは、こうした事態が起こりがちです。Railsの保守は、Ruby on Rails(Webアプリを作るための枠組み)で動いているシステムを、修正と更新を続けながら使える状態に保つ仕事です。

保守会社を替えると、止まっていた版上げを進めるきっかけにもなります。ただし万能ではなく、引き継ぎの準備が足りないと、新しい保守会社が中身を把握するまでに時間がかかります。本記事では、作った会社以外にRailsの保守を頼みたい情報システムの担当者に向けて、保守で頼む範囲、頼み先の違い、RailsとRubyのサポート期限、引き継ぎで渡すもの、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Railsの保守で頼む範囲

保守で頼む作業は、会社ごとに違います。見積もりを比べる前に、いま続けている作業を書き出し、どこまでを保守会社に任せるかを決めておきます。Railsのシステムで保守に含めることが多いのは、次の作業です。

夜のオフィスで技術者がモニター2台の一点を指しながらキーボードで保守作業をする手元

  • 不具合の調査と修正:利用者からの問い合わせを受けて原因を調べ、直す
  • セキュリティ修正の適用:RailsやRubyの修正版が出たら影響を調べ、当てる時期を決める
  • 部品の更新:gem(Rubyの追加部品)の版を上げ、動きを確かめる
  • 版上げ:修正が続いている版へ、RailsとRubyを上げる
  • サーバーの監視と障害の対応:止まったときの連絡と復旧の手順を持つ
  • 小さな改修:画面の項目の追加など、あらかじめ決めた量までの変更

見落としやすいのは、セキュリティ修正の適用と版上げです。修正版の適用は、誰かが告知を見ていないと始まりません。Railsの開発チームは、セキュリティの修正を、修正が続いている版すべてに向けて用意し、公式ブログで告知すると公表しています。*3 告知を見て当てるまでを毎月の保守に含めるかは、契約の前に決めます。

保守の頼み先の違い

Railsの保守の頼み先は、大きく3つに分けられます。どれがよいかはシステムの状態と社内の体制で変わるため、次の表の軸で比べます。

Railsの保守の頼み先の違い
頼み先 引き継ぎの手間 費用の決まり方 向いている場面
作った会社に続けて頼む ほとんど無い。中身を知る人がそのまま受け持つ 開発のときの契約を延ばす形で決める 作った会社の体制が続いていて、版上げも続けて頼めるとき
別の保守会社に切り替える 現状の調査と、引き継ぎの期間が要る 現状の調査・引き継ぎの費用と、毎月の保守の費用に分かれる 作った会社が保守をやめるとき。版上げが長く止まっているとき
社内で受け持つ 社内の担当者に知識を移す期間が要る 担当者の人件費と、外部の手を借りる分の費用 RubyとRailsが分かる社員がいて、改修も社内で進めたいとき

作った会社以外に頼む場合、最初にかかる費用は毎月の保守の費用だけではありません。新しい保守会社が中身を把握するまでの調査が加わります。見積もりでは、現状の調査と引き継ぎの費用を、毎月の保守の費用と分けて出してもらいます。保守会社を選ぶときの一般的な確認点はシステム保守会社の選び方で扱っています。

RailsとRubyのサポート期限

保守会社を探す前に、いまのRailsとRubyの版を確かめます。どちらも版ごとに修正が届く期間が決まっているからです。Railsの方針では、各版の不具合の修正は最初のリリースから1年、セキュリティの修正は2年とされています。*1 Rubyは、不具合も直す時期、脆弱性(セキュリティ上の弱点)だけを直す時期、どんな修正も行わないEOL(修正の提供の終了)の3つの段階に分けて保守されています。*2

修正が続いている主な版の期限(2026年10月時点の公式サイト)
対象 いまの段階 期限
Rails 8.1系 セキュリティの修正が続く 2027年10月10日まで
Rails 8.0系 セキュリティの修正が続く 2026年11月7日まで
Ruby 4.0・3.4 不具合も直す時期 終わる日は未定
Ruby 3.3 脆弱性だけを直す時期 2027年3月31日まで(見込み)
Ruby 3.2 EOL 2026年4月1日に終了

Railsの公式サイトで、セキュリティの修正の対象に挙がっているのは8.1系と8.0系だけです。*1 それより古い版では、不具合やセキュリティの問題は利用者自身の責任で扱うことになり、修正を入れた新しい版は出ないと説明されています。*1 Rubyの期限は、公式サイトに予定として載っている日付です。*2

いまのシステムが古い版のままなら、保守会社には毎月の保守とは別に、版上げの計画も相談することになります。Rails 7.2から上げる場合の進め方はRails 7.2のEOLとバージョンアップで扱っています。

引き継ぎで渡すもの

作った会社から新しい保守会社へ移るときは、コードだけを渡しても保守は始められません。サーバーへの入り方や外部のサービスとの契約、残っている不具合まで渡して、新しい会社が問い合わせに答えられる状態になります。次のものを、引き継ぎの前にそろえます。

構成図を映したモニターを前に作った会社の技術者が説明し新しい保守担当がノートに書き取る

  • ソースコード一式と、変更の履歴(Gitなどで残した記録)
  • サーバー、データベース、ドメインの管理画面に入るための権限と、その一覧
  • 外部のサービス(メールの送信や決済など)の契約者と、つなぎ方の説明
  • 残っている不具合の一覧と、過去の問い合わせの記録
  • 本番に変更を反映する手順と、障害が起きたときの連絡先の一覧

権限が作った会社の担当者の名前のままなら、自社の名義へ移し、引き継ぎが終わった時点で作った会社の権限を止めます。開発の段階から受け取るものを決めておく考え方はRuby on Rails受託開発会社の選び方にまとめています。引き継ぎそのものは、次の4つの段階で進めます。

Railsの保守を別の会社へ引き継ぐ流れを4つの段階で左から順に並べた図。STEP1 現状を調べる、STEP2 渡すものをそろえる、STEP3 並んで対応する、STEP4 保守を切り替える。

ステップ1では、新しい保守会社がRailsとRubyの版、gemの一覧、自動テスト(機能を自動で確かめるプログラム)の有無を確かめます。ステップ3では、両社が同じ問い合わせを一緒に見る期間を設けます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Railsの保守会社に見積もりを頼む前に、次の点を整理しておくと、各社の提案を同じ条件で比べられます。そのまま相談の資料にもなります。

  • 範囲:不具合の調査、セキュリティ修正の適用、部品の更新、版上げ、小さな改修のうち、どれを毎月の保守に含めるか
  • 期間:現状の調査と、作った会社と並んで対応する期間をどのくらい取るか。保守の契約を何か月ごとに見直すか
  • 体制:問い合わせの窓口と受け付ける時間、障害のときの連絡の順番、RubyとRailsの技術者が何人関わるか
  • 費用の決まり方:毎月の固定の費用に含まれる作業と、作業ごとに見積もる作業の分け方
  • 引き継ぎ:作った会社から何を受け取れるか。将来また別の会社へ移るとき、何を渡してもらえるか

Rubyの技術力を外から確かめる材料の一つに、Rubyアソシエーションの認定システムインテグレータがあります。Goldは同財団のGold資格を持つ人、SilverはSilverまたはGold資格を持つ人が、それぞれ正社員として5名以上所属していることが条件です。*4 保守に入る技術者の版上げの経験は、面談で別に確かめます。

まとめ:Rails保守で確かめておきたい3つの点

Railsの保守会社を選ぶうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、どこまでを毎月の保守に含めるかを決めること。第二に、RailsとRubyの版が修正の続いている版かを確かめ、古ければ版上げも一緒に相談すること。第三に、コード、権限、残っている不具合を受け取り、並んで対応する期間を設けることです。この3点を踏まえておけば、「保守会社を替えたのに、何を直せばよいか誰も分からない」という事態を避けやすくなります。引き継ぎの進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Railsの保守の引き継ぎでは、最初に Gemfile.lock でgem(Rubyの追加部品)の版を確かめ、bundler-audit のような脆弱性の照合ツールで、修正が出ている部品を洗い出します。自動テストは RSpec や Minitest の有無と範囲を見て、足りなければ版上げの前に重要な画面から補います。設計の段階では、RubyとRailsを上げる順番と、毎月の保守と版上げの作業を分ける線を、お客様と決めます。運用では、Railsのセキュリティの告知を購読して影響を判断する手順を文書にし、GitHub Actions などのCI(変更のたびにテストを自動で流す仕組み)で確かめてから本番に反映します。

よくある質問

引き継ぎにはどのくらいの期間がかかりますか

システムの大きさ、自動テストの有無、作った会社から受け取れる資料の量で変わります。現状を調べてもらった結果を見てから、期間を出してもらうのが確実です。

古い版のRailsのままでも保守を頼めますか

頼むことはできます。ただし、修正の対象から外れた版には、修正を入れた新しい版は出ません。*1 毎月の保守とは別に、版上げの計画を保守会社と立てておきます。

作った会社が引き継ぎに協力してくれない場合はどうなりますか

コードとサーバーの権限が自社の手元にあれば、新しい保守会社がコードを読んで中身を調べることはできます。コードや権限が誰のものかは開発のときの契約で決まるので、契約書を確かめ、必要なら専門家に相談します。

Railsの保守と引き継ぎのご相談

既存のRailsシステムの現状調査から、引き継ぎ、セキュリティ修正の適用と版上げを含む保守まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Ruby on Rails「Maintenance policy」(https://rubyonrails.org/maintenance)。出典:不具合の修正は1年・セキュリティの修正は2年、サポート中の版の一覧(8.1系・8.0系)と期限、サポート外の版は利用者の責任で扱い新しい版は出ないことを参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Ruby公式サイト「Ruby ブランチごとのメンテナンス状況」(https://www.ruby-lang.org/ja/downloads/branches/)。出典:ノーマルメンテナンス・セキュリティメンテナンス・EOLの3段階、各ブランチの状況とEOLの日付(予定を含む)を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Ruby on Rails「Security policy」(https://rubyonrails.org/security)。出典:サポート中のすべての版に向けた修正の用意と、Railsの公式ブログでの告知についての記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Rubyアソシエーション「Rubyアソシエーション認定システムインテグレータプログラム」(https://www.ruby.or.jp/ja/certification/sier/overview)。出典:GoldとSilverの2つの種別と認定の条件を参照(2026年10月確認)




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