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2026.10.22 らしくコラム

運用手順書のテンプレート|書くべき項目と記入例をわかりやすく解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

機器室で開いた手順書を持った担当者がサーバーのランプへ指を伸ばす

この記事の結論

  • 運用手順書は、運用計画書や実施要領で決めた作業を、誰が行っても同じ結果になるよう操作の単位で書く文書です。
  • ひな形には目的・準備・手順だけでなく、結果の確認と異常時の連絡先、戻し方まで入れておくと抜けを防げます。
  • 書いた人とは別の人が手順書だけで作業して直し、承認と連絡先の判断は社内に残したうえで外部に頼みます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

毎朝の確認作業が、担当者の頭の中にしかない。手順書はあるものの古く、書いてあるとおりに操作すると画面が違う——。システムの運用を社内で受け持っている現場では、こうした食い違いが起こりがちです。運用手順書は、定常の運用作業を誰が行っても同じ結果になるよう、作業の目的・準備・操作・確認・戻し方までを書き残した文書です。

テンプレート(ひな形)があれば、作業ごとに書く項目がそろい、抜けにも気づきやすくなります。ただし万能ではなく、ひな形を埋めただけでは、その手順で本当に作業できるかまでは分かりません。本記事では、情報システムの運用担当者に向けて、運用手順書の位置づけ、項目のひな形と記入の例、作る順番、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

運用手順書とは

運用の文書には、いくつかの段階があります。デジタル庁の解説書(デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書、2026年6月版)は、運用の管理方法やルールを定めた運用実施要領とは別に、運用業務の具体的な方法を示す作業手順書を作るよう求めています。*1 運用手順書は、この作業手順書にあたる文書です。解説書には、手順書を作る対象として次のような例が挙がっています。

  • 入退室の管理や、データの授受・廃棄の手順
  • オペレーター(運用の作業を受け持つ人)への作業依頼と、オペレーターの作業の手順
  • 約束したサービスの水準に届かなかったときの対応の手順
  • ヘルプデスクやコールセンターでの作業の手順
  • 障害が起きたときの対応をまとめた障害対策マニュアル

どの手順書にも共通して求められるのは、読めばそのまま作業できることです。同じ解説書は移行手順書について、作業の経験や担当者のスキルに頼らず「誰が実施しても間違えずに作業や確認を行えるような記述」が必要だとしています。*1 運用手順書も、担当者の頭の中にある作業をほかの人が再現できる形に書き出す文書です。

運用計画書や実施要領との違い

手順書を書き始める前に、上位の文書と役割を分けておくと、同じことを何度も書かずに済みます。デジタル庁の解説書では、運用計画書と運用実施要領を作ったうえで、具体的な手順は作業手順書として別に作る構成になっています。*1

運用の文書の役割の違い
文書 決めること 書く内容の例
運用計画書 運用の作業内容とスケジュール 年次・月次・週次・日次で行う作業と予定
運用実施要領 運用業務の管理方法や手順、遵守事項 連絡の取り方と会議、変更の管理、情報セキュリティ対策
運用手順書(作業手順書) 1つの作業の具体的な進め方 バックアップの確認、データの受け渡し、ヘルプデスクの対応

表の上の2つは「何を・どんなルールで」行うかを決める文書で、運用手順書は「どう操作するか」を書く文書です。日次や月次の運用計画は、経済産業省のシステム管理基準でも運用計画の例として挙げられています。*2 一方、インシデント(障害などの予定外の出来事)が起きたときの連絡手段や報告の仕方は、運用実施要領に書く事項とされています。*1

手順書の連絡先の欄は要領の該当箇所を指すようにすると、直す場所が1か所で済みます。保守と運用の違いは保守と運用の違いで整理しています。

運用手順書のテンプレート

デジタル庁の解説書は、運用ツールの手順書には操作方法だけでなく「用途、使用するための環境、操作するに当たる事前準備、操作結果の確認方法」まで含めるとしています。*1 これをもとに、実施者と連絡先、戻し方、記録を加えて項目を並べると、運用手順書のテンプレート(ひな形)は次のようになります。

表の罫線が入ったひな形の用紙にペンで書き込む手元

運用手順書のひな形(項目・書く中身・記入の例・よくある抜け)
項目名 書く中身 記入の例 よくある抜け
手順名と目的 何のための作業か。行わないと何が困るか 〇〇システムの夜間バックアップが成功したかを確かめる 目的が無く、手順を省いてよいか判断できない
対象と実施のタイミング 対象のサーバーや画面。いつ、どの頻度で行うか 毎営業日の始業前に〇〇サーバーで行う 障害の後など、臨時に行う条件が無い
実施者と承認者 誰が作業し、誰の承認が要るか 実施は運用担当、承認は〇〇課長 担当者が不在のときの代わりが決まっていない
前提と事前準備 作業の前にそろえる権限・資料・環境 管理画面に入る権限と前回の作業記録を用意する 権限の申請に日数がかかることが書かれていない
作業の手順 1行に1つの操作を番号つきで 1. 管理画面を開く/2. 〇〇の一覧を表示する 「適宜」「いつもどおり」など人によって変わる言葉
結果の確認 正しく終わったと判断する基準 一覧の状態がすべて成功になっている 何を見たら成功なのかが無い
異常時の連絡先 想定と違ったときに誰へ何を伝えるか 〇〇窓口へ画面の記録を添えて連絡する 夜間や休日の連絡先が無い
戻し方 途中で止めるときや元に戻すときの手順 設定を変更前の値に戻し、〇〇を再起動する 元に戻せない操作だという注意が無い
記録と改訂履歴 作業の記録の残し方と、手順書を直した日・人・理由 作業記録表に実施日時と結果を書く 手順を直しても、どれが最新版か分からない

記入の例の「〇〇」は、自社のシステム名や担当者に置き換えます。いちばん抜けやすいのは「結果の確認」と「戻し方」です。操作の手順だけが書かれていると、作業した人は終わったつもりでも、正しく終わったかを誰も判断できません。戻し方が無いと、想定と違う画面が出たときに作業を止めてよいのか判断できなくなります。

手順書を作る順番

手順書は運用が始まる直前に慌てて作られがちですが、IPA(情報処理推進機構)の共通フレーム2013は、要件定義で記述する運用・操作要件の例に「システム運用手順」を挙げています。*3 開発中から、次の4つの段階で進めます。

  • ステップ1:いま行っている運用作業を、日次・月次・臨時に分けて書き出す
  • ステップ2:その作業をいま担当している人が、ひな形に沿って書く
  • ステップ3:書いた人とは別の人が、手順書だけを見て作業してみる
  • ステップ4:置き場所と改訂のルールを決め、作業の記録をもとに直し続ける

運用手順書を作る4つの段階を左から順に並べた流れ図。STEP1 作業を書き出す、STEP2 担当者がひな形で書く、STEP3 別の人が試して直す、STEP4 置き場所と改訂を決める。

大切なのはステップ3です。書いた本人は手順を覚えているため、抜けに気づけません。経済産業省のシステム管理基準(令和5年版)も、運用管理に必要な情報を文書化して周知することや、運用の結果を記録・分析して必要な改善を行うことを管理活動の例に挙げています。*2

デジタル庁の解説書は、作業手順が明文化されておらず担当者によって作業時間のばらつきが大きいときに、作業手順書の整備を求めることを改善の例として示しています。*1 監視や夜間の当番まで含めた運用設計の全体は運用設計とRunbook整備を外注で進める方法で扱っています。

ひな形を埋めるときに外部に頼める範囲

運用手順書の中身には、システムを作った側や、いま運用している側の知識が要ります。社内に書ける人がいないときは、ひな形の欄ごとに外部に頼めるものと社内に残すものを分けて考えます。

社内担当と委託先のエンジニアが1冊の手順書を一緒に確かめる手元

運用手順書づくりで社内に残すことと外部に頼めること
作業 頼み先の目安
承認者と連絡先の決定、業務を止めてよいかの判断 社内に残す
いまの作業の聞き取りと、ひな形への書き起こし 外部に頼める
設計書や設定内容からの手順と戻し方の書き起こし 開発や保守の委託先に頼める
書いた人とは別の人による試しの作業 外部に頼める(社内の担当者が立ち会う)
定常作業の実施と、手順書の改訂 運用の委託先に頼める

依頼する前に、次の点を決めておくと、委託先どうしの見積もりを比べやすくなります。

  • 範囲:どの作業の手順書を何本作るか。ひな形を自社で用意するか、委託先の形に合わせるか
  • 期間:いつまでにそろえるか。聞き取りに社内の担当者がどのくらい時間を割けるか
  • 体制:書く人と、試しの作業をする人を分けられるか
  • 費用の決まり方:手順書の本数で決まるのか、作業の期間で決まるのか
  • 引き継ぎ:納品の形式と、納品の後に改訂を続けるのは誰か

デジタル庁の解説書は、運用と保守の引継ぎ資料の例として「運用手順書、保守手順書、各種マニュアル、チェックリスト」を挙げています。*1 委託先が変わっても手順書を引き継げるよう、置き場所と版の管理は社内で持っておきます。

まとめ:運用手順書で確かめておきたい3つの点

運用手順書をテンプレートから作るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、運用計画書や実施要領と役割を分け、手順書には作業の操作を書くこと。第二に、ひな形に結果の確認と戻し方、異常時の連絡先まで入れること。第三に、書いた人とは別の人が手順書だけで作業してみて、つまずいた箇所を直すことです。この3点を踏まえておけば、「手順書はあるのに、結局いつもの担当者に聞かないと作業できない」という事態を避けやすくなります。書き起こしに手が回らなければ、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

ZabbixやPrometheusなどの監視の通知ごとに、確かめる画面と連絡先を手順書に結びつけます。cronで動かす定期処理は設定から実行時刻と戻し方を書き起こし、Ansibleで自動化した作業は手作業の手順と並べて残します。どの作業を自動化に回すかや承認が要る操作はお客様と決め、別の担当者が手順書だけで作業して不足を直します。

よくある質問

運用手順書はExcelとWordのどちらで作るとよいですか

どちらでも作れます。大切なのは形式よりも、作業する人が迷わず最新版を開けることです。表の形で項目を並べやすいならExcel、画面の図を多く入れるならWordというように、社内でいま使っている道具に合わせ、置き場所を1か所に決めておくとよいでしょう。

SaaSを使っている場合も、手順書を作る必要がありますか

作業がある限り手順は要りますが、文書の数は減らせます。デジタル庁の解説書は、SaaSで発注者の運用の自由度が少ない場合、運用計画書・運用実施要領・各種手順書を個別に作らず、必要な作業を網羅する形で一つの文書にまとめる考え方を示しています。*1

障害対応の手順書も同じひな形で書けますか

項目の多くは使えますが、重みの置き方が変わります。障害のときは、どこから調べるかという切り分けの順番と、誰にいつ知らせるかという連絡の順番が中心になるため、その2つの欄を厚くします。定常作業の手順書とは分けて作ると、読む人が迷いにくくなります。

運用手順書の整備と運用のご相談

運用手順書のひな形づくりから、いまの作業の書き起こし、定常運用の引き受けまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:デジタル庁「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書(第3編第1章 ITマネジメントの全体像)」DS-110(2026年6月12日)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e2a06143-ed29-4f1d-9c31-0f06fca67afc/50952dae/20260715_resources_standard_guidelines_guideline_03.pdf)。出典:第7章5(移行手順書・運用ツールの手順書の説明)、第7章10(引継ぎ資料の例)、第9章1(運用実施要領と作業手順書の対象例)、第9章の改善観点の例、第9章4(運用・保守の引継ぎ資料)、SaaS利用時の文書の作り方の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:経済産業省「システム管理基準」(令和5年4月26日)(https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/sys-kansa/sys-kanri-2023.pdf)。出典:Ⅱ.5.1 運用体制の整備(運用管理の情報の文書化)、Ⅱ.5.2 運用計画、Ⅱ.5.7 運用の監視と記録(運用結果の記録)の管理活動の例を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「共通フレーム2013」第3部 共通フレームとガイダンス(ガイダンス部分抜粋)(https://www.ipa.go.jp/publish/secbooks20130304.html)。出典:要件定義プロセスのガイダンス(2.2.3.1)にある運用・操作要件の例(システム運用手順ほか)を参照(2026年10月確認)




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