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PuppetとAnsibleの違い|構成管理の仕組みと選び方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- Puppetは各サーバーにエージェントを入れ、設定のずれを書いた状態へ戻し続けるエージェント型の構成管理ツールです。
- AnsibleはSSHでつなぐエージェントレス型で、対象に何も入れずに必要なときに設定を流せます。
- 2025年から公式の実行ファイルの配布が変わり、本番で使うならPuppet Coreの購入かオープンソース版の自社保守を選びます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
サーバーが増えるたびに手作業で設定していて、どれが正しい状態なのか分からない。構成管理ツールを調べるとPuppetとAnsibleが並んでいて、どちらを選べばよいか判断がつかない——。サーバーの台数が増えてきた情報システム部門では、こうした迷いが起こりがちです。Puppet(パペット)は、サーバーの設定を「あるべき状態」として書いておき、その状態に自動でそろえ続けるための構成管理ツールです。
管理する側のサーバーと、各サーバーに入れたエージェント(常駐する小さなプログラム)がやり取りして設定をそろえる点が、Ansibleとの大きな違いです。ただし万能ではなく、2025年からは配布の形も変わりました。本記事では、構成管理の仕組みづくりを任された担当者に向けて、Puppetの基本、Ansibleとの違い、設定が届く仕組み、配布形態とライセンスの変更、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
Puppetとは
公式ドキュメントでは、Puppetはサーバーの設定の管理と自動化を助けるツールと説明されています。*1 設定は、Puppet専用の言語で書く「Puppetコード」で表します。手順ではなく、最後にあってほしい状態だけを書く宣言型の考え方です。
- どのソフトが入っていて、どんな設定になっているべきかをコードで書きます
- 同じコードを何度当てても同じ結果になる性質(冪等性)があり、設定がずれると書いた状態へ戻します*1
- 管理する側のPuppet Server、各サーバーに入れるPuppet agent、記録をためるPuppetDB(省略可)で動きます
- 設定の部品(モジュール)は、公開の置き場であるPuppet Forgeから無料で入手できます
公式ドキュメントは、同じ構成のサーバーが10台ほどならスクリプトや手作業でも管理でき、Puppetの効果は大きくないとも書いています。*1 100台や1,000台の規模、OSが混在する環境、今後台数が増える見込みがある場合に向いている、という位置づけです。
Ansibleとの違い
Puppetとよく比べられるのがAnsibleです。Ansibleは設計方針として、専用のエージェントを入れず、各サーバーにもともとあるSSH(遠隔操作に使う通信の仕組み)でつなぐことを掲げています。*6 対象のサーバーに何も入れずに始められるのがエージェントレス型、各サーバーに常駐するプログラムを入れて自分から設定を取りに行かせるのがエージェント型です。

| 項目 | Puppet(エージェント型) | Ansible(エージェントレス型) |
|---|---|---|
| 対象サーバーの準備 | Puppet agentを入れる | 追加のソフトは入れずSSHを使う |
| 設定の流れ | 各サーバーのエージェントが管理サーバーへ設定を取りに行く | 操作する側(コントロールノード)から対象へつないで適用する |
| 設定を書く言葉 | Puppet専用の言語 | YAML形式のプレイブック |
| ずれへの対応 | 動き続けることを前提にし、ずれを書いた状態へ戻す | 実行するたびに書いた状態へそろえる(そろっていれば何も変えない) |
| 通信の守り方 | HTTPSと証明書(Puppet内蔵の認証局で管理) | SSHと既存のOSの認証情報 |
| 本体のライセンス | Apache License 2.0 | GNU GPL v3 |
どちらを選ぶかは、運用の形で決めます。台数が多く、設定のずれを常に自動で戻したいならエージェント型のPuppet、必要なときにまとめて設定を流したいならAnsibleが合います。Ansibleそのものの基本はAnsible入門で扱っています。
設定が届く仕組み
Puppetでは、管理する側のサーバー(プライマリサーバー)が設定の情報を持ち、各サーバーのエージェントがそれを取りに行きます。*2 以前は管理サーバーを置かずに各サーバーだけで動かす方式もありましたが、保守とセキュリティの確保が難しいため、今は勧められていません。1回のやり取りは次の4つの段階に分かれます。
- ステップ1:エージェントが、ホスト名・IPアドレス・OSなどのサーバーの情報(ファクト)を管理サーバーへ送る
- ステップ2:管理サーバーが、そのサーバー用の設定の一覧(カタログ)を組み立てて返す
- ステップ3:エージェントがカタログと実際の状態を比べ、違うところだけを直す
- ステップ4:エージェントが結果の報告を管理サーバーへ送る
やり取りはHTTPSで行い、Puppetに組み込まれた認証局が証明書を管理します。*2 新しいサーバーを加えるたびに証明書の承認が要るため、承認する人を決めておきます。変更を加えずに差分だけを確かめる動かし方(no-opモード)もあり、本番前の確認に使えます。
配布形態とライセンスの変更
Puppetを開発するPerforceは2024年11月、2025年の早い時期から、自社チームが作る新しい実行ファイルとパッケージを非公開の配布場所から提供すると発表しました。*3 一方で、ソースコードは今と同じ場所でApache 2.0ライセンスのまま公開を続け、Puppet Forgeのモジュールも無料のままとしています。公開の場へのソースコードの反映は、頻度を下げるとしています。
| 形態 | 中身 | 使える範囲 |
|---|---|---|
| オープンソース版 | ソースコードをApache License 2.0でGitHubに公開 | 実行ファイルの組み立てと保守は自社で受け持つ |
| Puppet Coreの無料版 | 利用許諾(EULA)に同意して入手する公式の実行ファイル | 試用と開発向けで、管理対象25台まで*4 |
| Puppet Coreの有料版 | 公式の実行ファイル、SLA(サービス品質の保証)、サポート窓口 | 本番環境での利用 |
| Puppet Enterprise | 画面での操作、コードの配布の仕組み、変更の影響の予測 | 複数のチームで使う大きな環境向け |
本番環境で公式の実行ファイルを使うなら、Puppet CoreかPuppet Enterpriseの購入が前提になります。*4 オープンソース版を使う場合は、実行ファイルの組み立てや修正版の適用を自社で受け持つことになります。
外部に頼むときに確認しておきたい点
Puppetは、管理サーバー・証明書・コードの置き場所など、最初に決めることが多い道具です。台数が少ないうちは自社で試し、本番の台数に広げる段階で設計と移行を外部に頼む、という分け方もできます。頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

- 配布形態:本番でPuppet Coreを買うか、オープンソース版を自社で組み立てるか。無料版は試用と開発向けであること
- Ansibleとの分担:すでにAnsibleを使っている場合、どの設定をどちらで持つか
- 証明書とコードの管理:証明書の承認を誰がするか。PuppetコードをGit(変更の履歴を残す仕組み)でどう管理し、誰が変更を確かめるか
- 版の固定と更新:公式ドキュメントは、使う版を固定し、準備ができてから手動で上げる運用を勧めています*2
- 運用後の見直し:ずれを戻した報告を見て、コードや管理の対象を直す場を設けるか
配布形態は途中で変えると手戻りが大きいため、本番に広げる前に決めておくと計画が立てやすくなります。サーバーそのものをコードで作る道具についてはIaC/Terraform基盤構築の外注にまとめています。
まとめ:Puppetで確かめておきたい3つの点
Puppetを導入するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、エージェントを入れて設定のずれを戻し続けるPuppetと、必要なときにSSHで設定を流すAnsibleのどちらが自社の運用に合うかを見極めること。第二に、本番で使うならPuppet Coreを買うのか、オープンソース版を自社で組み立てて保守するのかを決めること。第三に、証明書の承認とコードの変更の確かめを誰が受け持つかを手順にしておくことです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、更新されない古い版のまま動き続けている」という事態を避けやすくなります。設計や移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
PuppetとAnsibleは一緒に使えますか
併用はできます。担当する範囲を分け、同じ設定を両方に書かないようにするのが基本です。Puppet Coreには、追加の契約(Edge)を結ぶと、Boltという道具からAnsibleのプレイブックを動かせるモジュールも用意されています。*4
Puppetを試すのに費用はかかりますか
Puppet Forgeに利用者として登録し、利用許諾に同意すれば、試用や開発の目的で25台まで無料版を使えます。*4 入手には多要素認証の有効化とAPIキーが必要です。サーバーの費用や構築の手間は別にかかります。
WindowsやmacOSの端末も管理できますか
管理される側のPuppet agentは、WindowsやmacOSを含む30以上のプラットフォームで使えます。*2 一方、管理する側のPuppet ServerはLinuxでしか動かないため、Linuxのサーバーを用意することになります。
構成管理の仕組みづくりのご相談
PuppetやAnsibleによる構成管理の設計から、既存サーバーの移行、版の更新を含む運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Puppet Core Documentation「What is Puppet?」「Why use Puppet desired state management?」「Key concepts behind Puppet」(https://help.puppet.com/core/current/Content/PuppetCore/what_is_puppet.htm)。出典:Puppetの説明、宣言型のPuppetコード、冪等性とずれの修正、10台規模と100台・1,000台規模での効果、Gitでのコード管理の推奨の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:Puppet Core Documentation「Puppet architecture」「The Puppet platform」「Install Puppet」「Installing Puppet」(https://help.puppet.com/core/current/Content/PuppetCore/architecture.htm)。出典:エージェントとサーバーの構成、ファクト・カタログ・報告の流れ、no-opモード、HTTPSと内蔵の認証局、単独で動かす方式を勧めない旨、PuppetDBが省略可であること、版の固定、Puppet ServerはLinuxのみでagentは30以上のプラットフォームに対応する旨の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:Perforce「Our Plans for Open Source Puppet in 2025」(2024年11月7日)(https://www.puppet.com/blog/open-source-puppet-updates-2025)。出典:2025年早期からの新しい実行ファイルとパッケージの非公開配布、ソースコードのApache 2.0での公開継続、Puppet Forgeの無料継続、公開リポジトリへの反映頻度の低下の記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:Puppet Core Documentation「Accessing Puppet Core for limited use for testing or development」「Purchasing Puppet Core」「Puppet Core vs Puppet Enterprise」、Puppet Core製品ページ(https://help.puppet.com/core/current/Content/PuppetCore/access_core_for_test_dev.htm)。出典:無料版の利用条件(EULA・25ノードまで・試用と開発向け・多要素認証とAPIキー)、本番環境での購入、SLAとサポート、Edgeの契約でAnsibleのプレイブックを動かすモジュール、Puppet Enterpriseの特徴、オープンソース版を自社で保守する負担の記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:puppetlabs/puppet(GitHub)(https://github.com/puppetlabs/puppet)。出典:リポジトリのライセンス(Apache License 2.0)を参照(2026年10月確認)
- *6 参考:ansible/ansible(GitHub)README・COPYING、Ansible Documentation「Introduction to Ansible」「Getting started with Ansible」(https://github.com/ansible/ansible)。出典:エージェントを入れずSSHを使う設計方針、YAMLのプレイブック、繰り返し実行しても状態がそろっていれば変えない性質、コントロールノードの説明、ライセンス(GNU GPL v3)を参照(2026年10月確認)