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2026.10.22 らしくコラム

工数管理システムの選び方|勤怠管理との違いと原価の見える化

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ノートPCで週の工数表を選び奥のモニターに作業時間の積み上げグラフ

この記事の結論

  • 工数管理システムは、誰がどの案件のどの作業に何時間使ったかを記録し、原価と稼働を集計する仕組みです。
  • 勤怠管理は労働時間を客観的な記録で把握する仕組みで、工数の入力はその代わりになりません。
  • 選ぶときは入力の手間、作業の区分、勤怠との突き合わせ、単価の持ち方、締めの運用を確かめます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

どの案件にどれだけ人の時間がかかったのか、終わってみないと分からない。赤字だと気づいたときには、見積もりを直す時期を過ぎている——。受託開発やシステム運用の現場では、こうした食い違いが起こりがちです。工数管理システムは、社員が「どの案件の、どの作業に、何時間使ったか」を記録し、案件ごとの原価や人ごとの稼働を集計するための仕組みです。

勤怠の記録があれば作業時間も分かると考え、勤怠管理システムで代わりにしようとする会社もあります。ただし万能ではなく、勤怠管理は労働時間を法令に沿って把握するための仕組みで、工数管理とは目的も記録の単位も違います。本記事では、情報システム部門やプロジェクトの管理者に向けて、工数管理システムの役割、勤怠管理との違い、原価と稼働を見える化する仕組み、選ぶときの基準、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

工数管理システムとは

工数は、作業にかかった人の時間を「人数×時間」で表したものです。IPA(情報処理推進機構)のソフトウェア開発のデータ集も、プロジェクトの工数を人時(1人が1時間働いた量)で集計し、人月に直すときは「1 人月=160 時間を代用」するとしています。*1 工数管理システムは、この工数を日々記録し、あとから案件別・作業別・人別に集計できるようにするための道具です。

  • 記録するのは「誰が」「どの案件の」「どの作業に」「何時間使ったか」の4つです
  • 入力は、本人が日ごと・週ごとに付ける形が中心です
  • 集計した結果は、案件の原価、作業ごとの時間の偏り、人ごとの稼働の3つに使います
  • 見積もりの工数と実績の工数を並べると、次の見積もりの精度を上げる材料になります

IPAのデータ集は、基本設計から総合テストまでの工程ごとに実績の工数を集めて分析しています。*1 工程や作業の区分を最初に決めておけば、こうした比べ方を自社のデータでもできるようになります。

勤怠管理との違い

工数管理と混同されやすいのが勤怠管理です。厚生労働省のガイドラインは、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定め、使用者に労働日ごとの始業・終業の時刻を確認して記録するよう求めています。*2 記録の方法は、原則として使用者が自ら確かめるか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録をもとにすることとされています。*2

通用口のカード読み取り機に社員証をかざす手

勤怠管理と工数管理の違い
項目 勤怠管理 工数管理
目的 労働時間を法令に沿って把握し、賃金の計算や健康管理に使う 案件ごとの原価と、人ごとの稼働を把握する
記録の単位 1日の始業と終業の時刻 案件と作業ごとの時間
記録の方法 タイムカードやパソコンの使用時間などの客観的な記録が原則 本人の入力が中心
主に見る人 人事・労務の担当者 プロジェクトの管理者・経営層

工数は本人の入力が中心なので、勤怠の記録の代わりにはなりません。ガイドラインは、自己申告で把握した労働時間と、入退場やパソコンの使用時間の記録との間に大きなずれがあれば、実態を調べて補正するよう求めています。*2 また労働安全衛生法は、医師による面接指導のために労働時間の状況を把握することを事業者に求め、その方法をタイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な方法としています。*3

このため、工数管理システムは勤怠管理を置き換えるものではなく、2つを並べて使う前提で選びます。1日の工数の合計を勤怠の労働時間と突き合わせられれば、どちらかの記録の漏れや食い違いに早く気づけます。

原価と稼働を見える化する仕組み

工数管理システムの集計は、記録した時間に単価を掛けて金額に直すところから始まります。1時間あたりの人件費を決めておけば、案件に付けた時間の合計から、その案件にかかった人件費の原価が出ます。

工数管理システムで原価と稼働を見るまでの流れを左から4つの段階で並べた図。1 工数を案件・作業ごとに入力、2 勤怠と1日の合計を突き合わせ、3 単価を掛けて案件別・人別に集計、4 原価と稼働を見積もりと比べる。

  • 案件別の原価:見積もりの工数と比べ、予算を超えそうな案件を途中で見つける
  • 作業別の時間:会議や問い合わせ対応など、どの作業に時間が偏っているかを見る
  • 人別の稼働:勤務時間のうち案件に付いた時間の割合(稼働率)を見て、忙しさの偏りに気づく

稼働率を出すには、分母になる勤務時間が要ります。ここで勤怠管理の労働時間を使えば、同じ人の同じ日について、工数の合計と労働時間を並べて見られます。案件に付かなかった時間も「社内作業」「教育」などの作業コードで記録しておくと、合計が合わない理由を後から確かめられます。

工数管理システムを選ぶ基準

工数管理システムには、工数の入力に絞った製品、勤怠管理や会計と一体になった製品、自社の業務に合わせて作る方法などがあります。次の表の観点で、自社がいちばん困っていることから選ぶと迷いにくくなります。

工数管理システムを選ぶときの観点
観点 確かめること
入力の手間 前日の内容の写しやスマートフォンからの入力など、毎日の入力が短く済む工夫があるか
作業の区分 案件・工程・作業の区分を、自社の見積もりの単位に合わせて作れるか
勤怠との連携 勤怠の労働時間を取り込み、1日の工数の合計と突き合わせられるか
単価と原価の集計 人別・職種別の単価を期間つきで持てるか。集計結果を会計の仕組みへ渡せるか
締めと修正 月ごとに入力を締め、締めた後の修正に履歴が残るか

選ぶ前に、いまのExcelや紙の記録で1か月ぶんを集計してみると、自社に要る作業の区分と、見たい表がはっきりします。WBS(作業を細かく分けた一覧)や進捗の管理まで含めた仕組みを自社向けに作る場合の考え方は、プロジェクト管理システム開発を外注する勘所で扱っています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

既製の製品を設定して使う場合も、自社の業務に合わせて作る場合も、勤怠や会計とのつなぎ込みと作業の区分の設計は、外部の手を借りることの多い部分です。見積もりを取る前に、次の点を確かめておきます。

打ち合わせ室で技術者がノートPCを回し担当者が画面を指す場面

  • どこまで頼むか:製品の選定、作業コードの設計、勤怠や会計との連携、社内への説明のうち、どれを任せるか
  • 勤怠との突き合わせ:工数の合計と労働時間のずれを、どの画面や帳票で確かめるか
  • 単価の扱い:人件費の単価を誰が登録し、委託先がどこまで見られるか
  • 移行:いまのExcelの記録を取り込むか、新しい月から記録を始めるか
  • 運用後の見直し:区分が細かすぎて入力されない作業コードを、誰がいつ見直すか

特に単価は給与に近い情報なので、見られる人を絞る設計が欠かせません。工数から出した人件費を、材料費や外注費と合わせた原価の計算まで広げる場合は、原価管理システムの開発を外注する進め方も参考になります。

まとめ:工数管理システムで確かめておきたい3つの点

工数管理システムを選んで使い始めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、案件・工程・作業の区分を、自社の見積もりの単位に合わせて先に決めること。第二に、勤怠管理を置き換えるのではなく、1日の工数の合計を勤怠の労働時間と突き合わせられる形にすること。第三に、単価の持ち方と見られる人の範囲、月ごとの締めと修正の扱いを導入の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「システムは入れたのに入力が続かず、原価が結局分からない」という事態を避けやすくなります。製品の選び方や連携の設計に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

工数管理の仕組みづくりでは、勤怠管理システムとの連携をCSVファイルの取り込みにするか、REST API(システム同士をつなぐ口)にするかを、お客様が使っている勤怠製品の仕様に合わせて決めます。社内アカウントでのログインにはSAMLやOpenID Connectを使い、単価や原価の画面は権限で見られる人を絞ります。設計の段階では、案件・工程・作業の作業コードの階層、単価を期間つきで持つデータの形、月ごとの締めと締めた後の修正履歴の残し方を決めます。検証では、試行した部署の1か月ぶんについて、工数の合計と勤怠の労働時間の差を人・日ごとに一覧にして確かめ、運用後は入力されていない作業コードを洗い出して区分の見直しを提案します。

よくある質問

工数はどのくらいの細かさで入力すればよいですか

見積もりと比べる単位に合わせるのが基本です。見積もりを工程ごとに作っているなら、工程ごとに入力できれば足ります。細かくしすぎると入力が続かず、記録の正確さがかえって下がります。

管理職も工数を入力する対象にすべきですか

案件の原価に管理職の時間を含めるかどうかで決めます。プロジェクトの管理にかかった時間も案件の原価に入れたいなら、管理職も入力の対象にします。なお、勤怠の側で労働時間の状況をどう把握するかは、就業規則や社会保険労務士などの専門家に確かめてください。

導入にはどのくらいの期間がかかりますか

作業コードの設計と、勤怠や会計との連携の有無で大きく変わります。既製の製品を設定するだけなら短く済み、連携や自社向けの開発が入るほど長くなります。まず1つの部署で試し、作業の区分を直してから全社に広げると、入力が定着するかを確かめながら進められます。

工数管理と原価の見える化のご相談

工数管理システムの選定から、勤怠・会計との連携、作業コードの設計まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ソフトウェア開発分析データ集2022」(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/metrics/metrics2022.html)。出典:工数を人時で集計していること、人月への換算に1人月=160時間を代用していること、開発5工程(基本設計〜総合テスト)ごとの実績工数の分析を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000336509.pdf)。出典:3 労働時間の考え方、4(1)始業・終業時刻の確認及び記録、4(2)原則的な方法、4(3)自己申告制の場合の措置を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第66条の8の3・「労働安全衛生規則」第52条の7の3(https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057)。出典:面接指導の実施のための労働時間の状況の把握と、その方法(タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の使用時間の記録等の客観的な方法)の規定を参照(2026年10月確認)




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